秀樹」カテゴリーアーカイブ

梅雨間の八景島

 今日は、梅雨間を利用して八景島を訪ねました。今年はアジサイ祭りも開催中止でしたが、2014年にお披露目されたアジサイ品種の八景ブルーが見頃を迎えていました。
2012年6月23日 2015年6月28日 2016年6月4日 2017年6月17日 2017年6月18日 2019年6月1日


【参考】
 アジサイ Hydrangea spp.
 オオハンゴンソウ Rudbeckia laciniata

梅雨間に…

 今日もテレワーク。業務後に駅前まで歩いてみました。


【参考】
 ハルジオン Erigeron philadelphicus
 アキノノゲシ Lactuca indica
 ホソバアキノノゲシ Lactuca indica f.indivisa
 ヒメヨモギ Artemisia feddei
 ヨモギ Artemisia indica
 ヒメジョオン Erigeron annuus
 オシロイバナ Mirabilis jalapa
 ウラジロチチコグサ(アメリカチチコグサ) Gamochaeta coarctata
 カニクサ Lygodium japonicum
 サンショウ Zanthoxylum piperitum
 カナムグラ Humulus japonicus
 ダンドク Canna indica
 ノウゼンカズラ Campsis grandiflora
 オオアレチノギク Erigeron sumatrensis

梅雨間の追浜散策

午後から雨になるとの予報。降り出す前に町内を歩いてみました。



【参考】
 アオイゴケ Dichondra micrantha
 コマツナギ Indigofera pseudotinctoria
 モナルダ(ベルガモット) Monarda didyma
 ガクアジサイ Hydrangea macrophylla f. normalis
 モジズリ Spiranthes sinensis var. amoena
 ヌルデハイボケフシ白膠木・葉・疣・毛・五倍子/ヌルデフシダニ Aculops chinonei/ヌルデ Rhus javanica
 ヒメジョオン Erigeron annuus
 アレチノギク Erigeron bonariensis
 オニタビラコ Youngia japonica
 マサキ Euonymus japonicus
 オオアレチノギク Erigeron sumatrensis
 ヒヨドリジョウゴ Solanum lyratum
 ムラサキカタバミ Oxalis debilis var. corymbosa
 ペパーミント Mentha x piperita
 ヒメヒオウギズイセン Crocosmia x crocosmiiflora
 オリヅルラン Chlorophytum comosum
 寿老人像:坂中山観音寺
 ナンテン Nandina domestica
 コモチシダ Woodwardia orientalis
 ドクダミ Houttuynia cordata
 ノハタカラクサ Tradescantia fluminensis
 ゲンペイコギク Erigeron karvinskianus

横須賀、横浜を歩く

 もうすぐ誕生日で運転免許更新の時期なので、今日は休暇を取得して横須賀警察署で更新手続き。帰りに立ち寄ったヴェルニー公園では春バラの時期が終わろうとしていました。



【参考】
 ハマナス Rosa rugosa
 ロサ キネンシス Rosa chinensis
 バラ Rosa spp.
  マリア カラス Maria Callas
  ジュビレ ドゥ プリンス デ モナコ Jubile du Prince de Monaco
  ステファニー ドゥ モナコ Staphanie de Monaco
  ケニギン ベアトリックス Konigin Beatrix
  プリンセス ミチコ Princess Michiko
  プリンセス アイコ Princess Aiko
  ジ インジニアス ミスターフェアチャイルド The Ingenious Mr. Fairchild
  エレン ウィルモット Ellen Willmott
  デンティ ベス Dainty Bess
  桜木さくらぎ Sakuragi
  桜霞さくらがすみ Sakuragasumi
  フィリップ ノワレ Philipe Noiret
  アイスバーグ Iceberg
  ザ フェアリー The Fairy
  アプリコットドリフト Apricot Drift
  ラベンダー メディランド Lavender Meidiland
  ローブリッター Raubritter
  ピエール ド ロンサール Pierre de Ronsard
  マジカルミラクル Magical Miracle
  ペイント ザ タウン Paint the Town
  レオナルド ダ ヴィンチ Leonard da Vinci
 スカシユリ Lilium maculatum
 ヒャクニチソウ Zinnia elegans
 シュウカイドウ Begonia grandis
 ヒルガオ Calystegia pubescens
 ハマヒルガオ Calystegia soldanella
 ハマダイコン Raphanus sativus f. raphanistroides
 糸葉春車菊イトバハルシャギク Coreopsis verticillata ‘Zagreb’
 ペラルゴニウム Pelargonium spp.
 ノボロギク Senecio vulgaris
 トマト Solanum lycopersicum
 オニタビラコ Youngia japonica
 マメヅタ Lemmaphyllum microphyllum
 ヤセウツボ Orobanche minor
 ハクチョウゲ Serissa japonica
  三浦按針(William Adams)夫妻墓
 ブタナ Hypochaeris radicata
 クリ Castanea crenata
 クララ Sophora flavescens
 大島桜(オオシマザクラ) Cerasus speciosa
 クロツリバナ(?)
 ハルジオン Erigeron philadelphicus
 クサイチゴ Rubus hirsutus
 スイカズラ Lonicera japonica
 ヒレハリソウ Symphytum officinale
 シャーレー・ポピー Papaver rhoeas
 ノビル Allium macrostemon
 トウキョウチクトウ Trachelospermum jasminoides
 ホタルブクロ Campanula punctata
 柳花笠(ヤナギハナガサ) Verbena bonariensis
 ゲンペイコギク Erigeron karvinskianus
 ベニガク Hydrangea serrata f. rosalba
 シチヘンゲ Lantana camara
 アルストロメリア Alstroemeria aurea
 オオキンケイギク Coreopsis lanceolata
 ウシハコベ Stellaria aquatica
 モモイロヒルザキマツヨイグサ Oenothera speciosa
 オオニワゼキショウ Sisyrinchium iridifolium var. laxum
 ハアザミ Acanthus mollis
 ドクダミ Houttuynia cordata
 キンシバイ Hypericum patulum
 キキョウソウ Triodanis perfoliata
 ヒメジョオン Erigeron annuus
 ワルナスビ Solanum carolinense
 アカメガシワ(雄) Mallotus japonicus
 マツバギク Lampranthus spectabilis
 オトギリソウ Hypericum erectum
 カワウ Phalacrocorax carbo
 アオサギ Ardea cinerea
 サワオグルマ Tephroseris pierotii
 ハゼラン Talinum fruticosum
 アレチノギク Erigeron bonariensis

初夏の鷹取山へ

 首都圏でもCOVID-19対策が緩和される方向が打ち出された本日、運動不足解消のため、鷹取山を久しぶりに訪ねました。



【参考】
 みなとみらい方面
 房総方面
 ヘメロカリス Hemerocallis spp.
 テリミノイヌホウズキ Solanum americanum
 シラン Bletilla striata
 マツバギク Lampranthus spectabilis
 ノハタカラクサ Tradescantia flumiensis
 オニタビラコ Youngia japonica
 アカゲキクラゲ Auricularia polytricha
 ウツギ Deutzia crenata
 スイカズラ Lonicera japonica
 クサイチゴ Rubus hirsutus
 ヤマグワ Morus australis
 マユミ Euonymus hamiltonianus
 ガマズミ Viburnum dilatatum
 コゴメウツギ Stephanandra incisa
 ウバユリ Cardiocrinum cordatum
 ナルコユリ Polygonatum falcatum
 ハコネウツギ Weigela coraeensis
 イヌツゲメタマフシ、イヌツゲ Ilex crenata
 オバボタル Lucidina biplagiata
 オボロヅキ Graptopetalum paraguayense
 コバンソウ Briza maxima
 シチヘンゲ Lantana camara
 ホタルブクロ Campanula punctata
 ゲンペイコギク Erigeron karvinskianus
 ツリージャーマンダー(クリオネ) Teucrium fruticans
 ワイヤープランツ Muehlenbeckia axillaris
 コンボルブルス・サバティウス Convolvulus sabatius
 カルガモ Anas poecilorhyncha
 ハタケニラ Nothoscordum gracile
 カラスノエンドウ Vicia sativa
 オヤブジラミ Torilis scabra
 テイカカズラ Trachelospermum asiaticum
 ナガミヒナゲシ Papaver dubium
 ヒメジョオン Erigeron annuus
 シロツメクサ Trifolium repens
 コメツブウマゴヤシ Medicago lupulina

久しぶりの野外撮影

 シフトで週に一回出勤するだけになって、ほぼひと月。今日は買物帰りに少しだけ植物を撮影しました。季節はもう初夏です。


【参考】
 ヨウラクツツアナナス Billbergia nutans ラヴェンナ(Ravenna)? Phaedranassa cinerea
 ユキノシタ Saxifraga stolonifera
 ノハタカラクサ Tradescantia flumiensis
 ゲンペイコギク Erigeron karvinskianus
 トベラ Pittosporum tobira

Sol Biancaの『G』-太陽の船ソルビアンカより

 外に出れないので、バックアップ用のハードディスクを整理していると面白い発見がある。先週みつけた『宇宙の守護神像』によく似た絵があった筈と思って探していて、OVA作品『太陽の船ソルビアンカ』に出て来る宇宙船Sol BiancaのOS(AI)である『G』の立体映像をみつけた。


 当該作品は、1999年に制作されたOVAだが、1990年に発表され未完のままになっている『ソル・ビアンカ』のサイドストーリーでもある。両作品間には、ほぼ10年のブランクがあったためか、声優陣が総入れ替えで、設定やメカデザイン等もいろいろと変更になっているのだが、宇宙船のフォルムが美しい事には変わりがなく、お気に入りの作品のひとつである。

 作品の舞台は、人類が宇宙に進出してから数百年が過ぎ、宇宙開拓時代のテクノロジーが失われている時代で、ソルビアンカ号はかつてのテクノロジーで造船された船という設定になっている。船の主要な制御は人工知能『G』に任されており、その立体映像がアールヌーボー調の女神像であった。

 発表時の時代背景としては、折しもiMacが1998年に発売されたところで、パソコンの基本性能が充足してきて、機能とは関係ないデザインにも注目するユーザにまでパソコンが普及していった時代であった。かく言う私も、(さすがにiMacには手を出さなかったが)PowerMacは何台か続けて購入したことを思い出した。宇宙船用OSの立体映像など、無駄と言ってしまえばそれまでだが、所謂戦艦タイプの宇宙船とは趣を異にする良さがあると思う。

 当該作品は、音楽にも特筆するものがあり、特にオープニングテーマ『To Bee Free』のスリリングなオーケストレーションは今でも十分に通用する優れたものだった。この機に全作品のテーマ曲の歌詞を再録しておく。和訳部分は、そういう解釈もあるかも知れないという温かい目でご覧いただき、不十分な点はご容赦いただきたい。


『To Be Free』太陽の船ソルビアンカ(1999年):オープニングテーマ
 作詞:Marie Cochrane / 作曲:長岡成貢 / 編曲:長岡成貢
 歌:Stella Furst
 演奏:スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団

Though you try to drain my mind
With all your foolish lies
I am fragile but powerful
No need to deny
Listen to my deed
I know your scheme
Is just a constant bluff
I need to get away
From this game you like to play

To be free
As free as a bird can be
Got a goal to reach
Be free
As free as a bird can be
Though you may not believe it

【意訳】
—————————————————————
愚かな虚言で疲れさせようしても、私は壊れやすいようでも力強い。
私の権利を否定せずに耳を傾けて欲しい。
ポーカーフェイスを続けていることは見抜いている。
私は、このゲームを終りにする必要がある。
鳥のように自由になるためのゴールは決まった。
鳥がそうであるように自由になるために。
あなたには理解できないだろうが……


『You’re not all alone』太陽の船ソルビアンカ(1999年):エンディングテーマ
 作曲 山路教斗詞、作詞 Marie Cochrane
 歌 Kryie

There are times when life can be cruel
Blink your eyes; it’ll pass before you know
A done deal… Believe me…

What is that my mother used to say?
“Rome was never built in just one day
By the ancient who reigned”

You’re not all alone.
You’re not all alone.
Don’t think that you’re all alone in the universe
You gotta hang your head high

Striving but not winning
Thriving but not giving in
The beast I have fed is now in rage
Chasing for the rainbow
Winding empty handed
Every dog has own day

【意訳】
———————————————
惨めな状況に陥るときは、瞬く間に過ぎて行くだろう。
それは定められたこと、信じなさい。
母はいつもなんと言っていたか?
『ローマは(いにしえ)の覇者によっても一日にしてならず。』
あなたは一人ではない。
あなたは一人ではない。
この宇宙でたった一人ではないと信じなさい。
(こうべ)を高く(もた)げていなさい。
勝利することなくても努力し、
降伏することなく目標に向かって進みなさい。
飼いならされた獣は、今、霊感を得て、
虹に向かい、徒手空拳でも曲がりくねった道を突き進む。
報われる日は、必ず訪れる。


『負けないで』ソルビアンカ(1990年):エンディングテーマ
 作詞:安岡孝章、作・編曲:安岡孝章
 歌:NAO

さよならを言い出せなくて 今夜は
少しだけ疲れたような その横顔
繋いだ手と手が とても冷たくて
交わし合う囁きさえも
Lonely stance call
強がって昨日のように笑ってるのね
夢のシルエット
思い出して 遠い約束
負けないで この想いは
言葉にさえならないけど
振り返れば すぐ側に私がいるから

黄昏が二人をいつか追い越して
少しだけ
あの日のような匂いがするね
時の強さに
壊れそうな幾つもの Lonely
風に乗せる想いは
言葉にさえ出来ないけど
きっといつも側にいて
輝き続けていて

何も言わずにそっと口づける
その瞳のままに映して
全ての事をまっすぐに
負ないで 片思いは
それだけ切なくても
きっといつもあなたらしく
輝き続けていて
負けないで この想いは
言葉にさえ出来ないけど
振り返れば すぐ側に私がいるから


『少年の瞳』ソルビアンカ2(1991年):エンディングテーマ
 作・編曲:軒上恒星
 作詞・歌:ASAO

腕の中で抱かせてくれ 悲しみが僕に似合うよ
世界中の 地上への 黒い雨が降り灌いでる
君を苦しめてる 闇に炎を灯していたい
壊れた未来も滅びゆく愛も 生まれ代われるように

傷ついた翼たちが
ひと時の安らぎに寝る
君は未来を行く 風をみた
世界中で愛し合う誰かに 微笑みが
もう一度 It’s grin for you
戻るように

傷ついた翼たちが
空へ帰って行くその日は
少年の瞳が風をみた
きっと会える
もう一度 二人で飛べるよ
いつでも It’s grin for you
待っているから

今朝は濃霧につき……

 鷹取山は見えません。さながら天空からの眺めでした。


 本日、夕飯は瓦そば。瓦そばは、もともとは川棚温泉の名物料理だそうですが、今では広く中国地方のスーパーで普通に売られているようです。家内の出身が広島なので、当家では定期的に巡って来るメニューです。麺は茶そばと決まっているのですが、その理由は定かではありません。

グリーンネックレスの分類的位置-文献調査

 時折、園芸店で見かけるグリーネックレス(緑の鈴)がキク科であることに気づいたのは、20年ほど前でした。たまたま花が咲いていたので、それと気づきました。その後、キオン属(Senesio属)であると知って、さらに驚いたのは数年前の事。COVID-19禍で外に出ることが憚られることもあり、これまで撮影していたキオン属の写真を整理するとともに、キオン属の周辺について少し調べてみました。

 キオン属は合弁花の代表ともいえるキク科の中で最大の属です(小山,1994)。キオン属には、草本と木本とが含まれており、乾燥地に適応した多肉植物から湿地を好むものまで、多様な環境に適応した種を包含しており、多型的な分類群と考えられてきました。このため、キオン属を細分化しようという動きは以前からあったようです(Jeffrey & Chen,1984; 小山,1994) 。
 日本産のキオン属に関する記載は、小山(1995)がよく纏まっているとの情報(大場,1997)がありましたが、当該文献は未入手のため、ここでは、Jeffrey & Chen(1984)、小山(1994)などを参考にしました。

【上位分類】
 分子系統分類の応用により、キク科は、現在バルナデシア亜科、タンポポ亜科、キク亜科の3亜科が広く認められており(渡邊,1997)、さらなる細分化が提案されています。キオン属はキオン亜連に、キオン亜連はサワギク連に、サワギク連はキク亜科に属します。

キク科 Compositae
 キク亜科 Asteroideae
  サワギク連 Senecioneae
   キオン亜連 Senecioninae
    キオン属 Senecio

【亜連以下の分類】
 Jeffrey & Chen(1984)によれば、西アジアに自生するサワギク連(tribe Senecioneae)の植物は、下記の3亜連、22属に整理されます。
tribe Senecioneae サワギク連(族)
 subribe Tussilagininae フキタンポポ亜連
  1. Doronicum ドロニクム属
  2. Dendrocacalia ワダンノキ属
  3. Farfugium ツワブキ属
  4. Ligularia メタカラコウ属
  5. Cremanthodium
  6. Sinacalia
  7. Dicercoclados
  8. Parasenecio コウモリソウ属
  9. Syneilesis ヤブレガサ属
  10. Miricacalia オオモミジガサ属
  11. Tussilage フキタンポポ属
  12. Petasites フキ属
 subtribe Tephroseridinae オカオグルマ亜連
  13. Sinosenecio
  14. Tephroseris オカオグルマ属
  15. Nemosenesio サワギク属
 subtribe Senecioninae キオン亜連
  16. Synotis
  17. Cissampelopsis
  18. Senecio キオン属
  19. Crassocephalum ベニバナボロギク属
  20. Erechtites タケダグサ属
  21. Gynura サンシチソウ属
  22. Emilia ウスベニニガナ属

 キオン属は少し前なら世界中に2000種近く(小山,1995)、整理が進んでいる今でも約1000種あるとされています(Jeffrey & Chen,1984; Ozetova et el,2017)が、分類所属に検討の余地のある種が今でも多く含まれているようです。
 帰化植物や園芸種の販売品も含めて、本邦でみかける種には下記などがあります。このなかで最もなじみ深いのは、欧州原産で明治時代初期に帰化したノボロギク(S. vulgaris)です。三浦半島エリアに自生するキオン属は本種のみと思われます(神奈川県植物誌調査会,2018)。
 ノボロギク(2018年11月25日撮影)
【在来種】
 キオン Senecio nemorensis
 ハンゴンソウ Senecio cannabifolius
 タイキンギク Senecio scandens
 コウリンギク Senecio argunensis
 エゾオグルマ Senecio pseudo-Arnica
【帰化種】
 ノボロギク Senecio vulgaris
 アレチボロギク Senecio sylvaticus
 ナルトサワギク Senecio madagascariensis
 ダイコクサワギク Senecio inaequidens var. daikoku
 シンコウサワギク Senecio inaequidens var. inaequidens
 マツバサワギク Senecio blochmaniae
 ヤコブコウリンギク Senecio jacobaea
 ハナノボロギク Senecio vernalis
 ネバリノボロギク Senecio viscosus
【園芸種】
 緑の鈴(グリーンネックレス) Senecio rowleyanus Syn. Curio rowleyanus
 弦月(三日月ネックレス) Senecio radicans Syn. Curio radicans
 銀月 Senecio haworthii Syn. Caputia tomentosa
 ドルフィンネックレス Senecio peregrinus Syn. Curio × peregrinus
 大弦月城(アーモンドネックレス) Senecio herreanus Syn. Curio herreanus
 紫月(ルビーネックレス) Senecio Othonna capensis Syn. Crassothonna capensis
 白寿楽 Senecio citriformis Syn. Curio citriformis
 青涼刀 Senecio flcoides Syn. Curio flcoides
 マサイの矢尻 Senecio kleiniiformis Syn. Curio kleiniiformis
 万宝 Senecio serpens Syn. Curio repens
 美空鉾 Senecio antandroi
 セネシオ ヤコブセニー Senecio jacobsenii Syn. Kleinia petraea
 セネシオ フレーリー Senecio fulleri
 ピーチネックレス Senecio spp. (hybrid ?)
 ムラサキオグルマ Senicio elegans
 マーガレットアイビー Senecio macroglossus
 シネラリア Senecio cruenta Syn. Pericallis x hybrida
 シロタエギク Senecio cineraria Syn. Jacobaea maritima

【緑の鈴の所属】
 Jeffrey(1986)は、それまでキオン属のRowleyani節とされていた多肉植物のうち25種をCurio属として独立させました。これを採用するならば、Curio属のタイプ種として指定された『銀の鈴(グリーンネックレス)』の学名は、Curio rowleyanusとなります。Ozetova et el(2017)による分子系統解析の結果もCurio属の独立性を支持しており、少なくとも下記の15種はCurio属であると報告しています。
 銀の鈴がキオン属としては異質だと言う直感は間違いではなかったようです。

Curio属 genus Curio
 C. acaulis
 C. articulatus 七宝樹
 C. archeri
 C. citriformis 白寿楽
 C. crassulifolius
 C. ficoides 青涼刀
 C. hallianus
 C. herreanus 大弦月城(アーモンドネックレス)
 C. kleiniiformis マサイの矢尻
 C. muirii
 C. radicans 弦月(三日月ネックレス)
 C. repens 万宝
 C. rowleyanus 緑の鈴(グリーンネックレス)
 C. sulcicalyx
 C. talinoides

 さらに、Taxon Pagesには、上掲の15種のうちC. kleiniiformisC. muiriiが載っていない代わりに、下記の9種が載っています。
 C. avasimontanus
 C. cicatricosus
 C. cuneifolius
 C. hanburyanus
 C. humbertii
 C. ovoideus
 C. peregrinus ドルフィンネックレス
 C. pinguifolius
 C. pondoensis

【かつてキオン属だった植物】
 大場(1997)によれば、かつてキオン属に分類されていて、キオン属から分離された本邦産種は下記になります。その他、園芸種では、シネラリア、シロタエギク等もかつては、Senecio属とされていたことがあります。
サワギク属 Nemosenecio
 サワギク Nemosenecio nikoensis
オカオグルマ属 Tephroseris
 キバナコウリンカ Tephroseris furusei
 タカネコウリンギク Tephroseris flammea
 コウリンカ Tephroseris flammea subsp. glarifolia
 オカオグルマ Tephroseris intergrifolia var. spathulata
 ミヤマオグルマ Tephroseris kawakamii
 サワオグルマ Tephroseris pierotii
 タカネコウリンカ Tephroseris takadana

類縁種の写真

 比較的よくみかける黄色い舌状花の『紫月(ルビーネックレス)』はCrassothonna属に、マーガレットアイビーはSenecio属に残ることになります。
 Senecio inaequidensは、三浦市を訪ねた際にたまたま撮影していたもので、同定にはウェブ上の写真を参照しましたが、近縁の別種である可能性もあり、特定外来種ナルトサワギク(S. madagascariensis) もその可能性のひとつです。S. inaequidensの神奈川県内の報告としては、ダイコクサワギク(S. inaequidens var. “daikoku“) とシンコウサワギク(S. inaequidens var. “inaequidens“) の2変種があり(神奈川県植物誌調査会,2018)、さらにS. madagascariensisS. inaequidens のシノニムであるとの未確認情報もあるようです。この写真では同定の鍵となる鋸歯や総苞片が鮮明に写っていないので、そのあたりのことも含めて、いずれ現地を調査したいと思います。

【毒性】
 Senecio属の植物は、アルカロイド(Pyrrolizidine alkariods = PA)を含むことがあり、アルカロイドは数種類あるようですが、その中で少なくともセネシオニン(Senecionine)はラットに対する肝毒性のあることが知られていてます。国外では、牛、馬などの家畜での死亡例が報告されています。

 これらの成分を含む分類範囲は不明ですが、S. vulgaris(ノボロギク), S. inaequidens(ダイコクサワギク、シンコウサワギク), S. jacobaea(ヤコブコウリンギク), S. madagascariensis(ナルトサワギク), S. glabellusでの毒性発現報告があることから考えて、Senecio属のうち我が国への帰化種に広く分布するものと思われます。

本邦への帰化が確認されているSenecio属のうちSenecionine含有の報告がある種
 ダイコクサワギク S. inaequidens var. daikoku
 シンコウサワギク S. inaequidens var. inaequidens
 ヤコブコウリンギク S. jacobaea
 ナルトサワギク S. madagascariensis
 ハナノボロギク S. vernalis
 ネバリノボロギク S. viscosus
 ノボロギク S. vulgaris

 この毒性のこともあり、繁殖力が旺盛で近年我が国での分布を急速に拡大しているナルトサワギクは、2006年に特定外来生物指定されています(環境省,2019)。

【まとめ】
 キク科の中でも最大の種数を包含するキオン属は多系統であると考えられてきました。このため、遺伝子解析技術の進歩に伴って、今後分子系統手法による整理がさらに進むと思われます。我が国でもよく見かける園芸種『銀の鈴』は、Curio属としてキオン属から独立させることが浸透して行くことでしょう。

【余談】
 キオン属の事を調べるにあたって、『さわぎく』というクレーの絵が中学校の頃の美術の教科書に載っていたのを思い出しました。当時は、おかしなタイトルと思っていましたが、ほぼ半世紀を過ぎて気がついたのは、『さわぎく』というタイトルは二重の誤訳だったのだろうという事です。
 キオン属Senecioは、ラテン語の『Senex=老人』が語源で、この属の植物が白っぽい冠毛を持つことから老人のイメージでつけられたのだそうです。恐らく、クレーの絵のタイトルの、本来の意味は『老人』だったのでしょう。
 サワギクNemosenecio nikoensisは、Jeffery & Chen(1984)による所属整理以前はSenecio属でしたが、当時でも『Senecio』をそのまま訳せば『キオン属』ですから、二重におかしなことになっています。もっとも、シュールレアリズムの香りがする作風ですので、わざとそのように間違って訳した可能性もあります。


『Senicio』Paul Klee作 1922年

【参考文献】
Geoger DE (1983) Comparison of the toxicities of Senecio jacobaea, Senecio vulgaris and Senecio glabellus in rats
Jeffrey C & Chen YL(1984) Taxanomic studies on the tribe Senecioneae (Compositae) of Eastern Asia, Kew Bulletin, 39, 205-446, DOI: 10.2307/4110124, URL: https://www.jstor.org/stable/4110124, Accessed: 2020-05-02.
Jeffrey C (1986) The Senecioneae in East Tropical Africa Notes on Compositae: IV, Kew Bulletin, 41:4, 873 – 943, DOI: 10.2307/4102988, URL: https://www.jstor.org/stable/4102988, accessed: 2020-05-02.
小山博滋(1994)キオン, 植物の世界, 6, 1-171 – 1-174 朝日新聞社, 東京.
渡邊邦秋(1997)キク科植物の系統と進化、種生物学研究, 20, 11-25.
大場秀章(1997)キオン属を細分する場合の学名, Jap J Bot, 72:2, 125.
Heger & Böhmer (2005) The invasion of central Europe by Senecio inaequidens DC. – A complex biogeographical Problem, Erdkunde, 59, 34-49, DOI: 10.3112/erdkunde.2005.01.03, Accessed: 2020-05-04.
Ozetova LV, Schanzer IA & Timonin (2017) Curio alliance (Asteraceae: Senecioneae) reviced, Wulfenia, 24, 29-52, URL: https://www.zobodat.at/pdf/Wulfenia_24_0029-0052.pdf, Accessed: 2020-05-02.
神奈川県植物誌調査会(2018)神奈川県植物誌2018(下)、1556-1559.
Curio (Asteraveae), Taxon pages, URL: http://encinos.org/taxpage/0/genus/Curio.html, Accessed: 2020-05-04.
農林水産省、食品中のピロリジジンアルカロイド類に関する情報、URL:https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/naturaltoxin/pyrrolizidine_alkaloids.html, Accessed: 2020-05-05.
環境省(2019) 特定外来生物等一覧, URL: https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/list.htmlAccessed: 2020-05-05.