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日本産ギボウシ属(Hosta)の系統概要

 ギボウシ(擬宝珠)は、キジカクシ科ギボウシ属の総称で、ウルイの名で知られるオオバギボウシ(Hosta sieboldiana)の若芽は山菜として利用されています(菅原,2001)。ギボウシ属の分布の中心は東アジアであり、最も種多様性に富んでいるのは、我が国の四国地方と考えられていて、最近公表された文献(矢原ら,2023)によって、新たに5種が記載されています。
 キジカクシ科 2023-06-18 現生植物 現生生物 後世動物


【日本産ギボウシ属(Hosta)の系統概要】Yahara et al.(2023)
属内に6つのクレード(分岐群)か識別され、その内の一つ、クレード1では5種の新種が記載されています。

クレード1 (Clade1)
││     ┌ナンカイギボウシ Hosta tardiva subsp. tardiva
││   ┌┬┴スダレギボウシ Hosta tardiva subsp. densinervia
┤│  ┌┤└オクスダレギボウシ Hosta polyneronoides【新記載種】
││ ┌┤└ザラツキギボウシ Hosta scabrinervia
││┌┤└サムカゼギボウシ Hosta samukazemontana【新記載種】
││││┌Hosta sp. 3
│││└┤┌ミナヅキギボウシ Hosta minazukiflora【新記載種】
│└┤ └┴┬シコクホキボウシ1 Hosta shikokiana 2
│ │   └シコクホキボウシ2 Hosta shikokiana 1
│ │┌カムロギボウシ Hosta longipedicallata【新記載種】
│ └┴┬タキミナヅキギボウシ Hosta takiminazukiflora subsp. takiminazukiflora【新記載種】
│   └セトガワギボウシ Hosta takiminazukiflora subsp. grandis【新記載亜種】
クレード2 (Clade2)
│└ヒメイワギボウシ Hosta gracillima
クレード3 (Clade3)
││┌┬Hosta sp. 1
│└┤└┬ブンゴギボウシ Hosta alata
│ │ └ウバタケギボウシ Hosta pulchella
│ └┬ヒュウガギボウシ Hosta kikuchii
│  └┬Hosta sp. 2
│   └サイコクイワギボウシ Hosta longipes var. caduca
└┬クレード4 (Clade4)
 │└┬トサノギボウシ Hosta tosana var. caput-avis
 │ └トサノギボウシ Hosta tosana Kagami Rver lineage
 │┌クレード5 (Clade5)
 └┤└オヒガンギボウシ Hosta aequinoctiiantha
  └クレード6 (Clade6)
   │  ┌Hosta sp. 4
   │ ┌┴┬イワギボウシ Hosta longipes var. longipes
   │┌┤ └イズイワギボウシ Hosta longipes var. latifolia
   ││└オオバギボウシ Hosta sieboldiana 
   └┤ ┌ナガサキキボウシ Hosta tibae
    │┌┼カンザシギボウシ Hosta cpitata
    └┤└ツシマギボウシ Hosta tsushimensis
     │┌┬バランギボウシ Hosta alismifolia
     └┤└ミズギボウシ Hosta lonissima
      └┬トウギボウシ Hosta seiboldiana X seiboldii
       └コバギボウシ Hosta seiboldii 

【文献】
菅原豊司 (2001) 岩手県北中山間地域の特産物の需要と産地対応, 東北農業研究別号, 14, 23-35, URL: https://www.naro.affrc.go.jp/org/tarc/to-noken/DB/DATA/e14/e14-023.pdf, Accessed: 2025-07-03.
Yahara T, Hirota SK, Fujii S, Kokami Y, Kengo Fuse K, Sato H, Tagane S , Suyama Y (2023) Molecular phylogeny and taxonomy of Hosta (Asparagaceae) on Shikoku Island, Japan, including five new species, one new subspecies, and two new status assignments, PhytoKeys, 235. 137–187, DOI: 10.3897/phytokeys.235.99140, Accessed: 2025-07-02.
Sauve RJ, Zhou S, Yu Y and Schmid WG (2005) Randomly Amplified Polymorphic DNA Analysis in the Genus Hosta, HortScenece, 40(5), 1243–1245, DOI: 10.21273/HORTSCI.40.5.1243, Accessed: 2025-07-03.
ソファアセンター(柏崎市立図書館) (2014)「四季・植物」46うるい, ソフィアだより, (94), 1, URL: https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11240916/www.city.kashiwazaki.lg.jp/library/kyoiku/bunka/tosho/hakkobutsu/documents/94.pdf, Accessed: 2025-07-06.

蓮、薔薇、擬宝珠など

 ハスの花の季節には早朝開園しているとのウェブ情報を見かけたので、朝一で大船フラワーセンターを尋ねました。園内ではニイニイゼミが鳴きだしています。
 ハス科 2023-06-18 現生植物 現生生物 後世動物
【本日更新のページ】バラ科 キジカクシ科 トケイソウ科 ヤマモガシ科 膜翅目 鞘翅目


【蓮】


 ウォレマイ・パイン Wollemia nobilis Wollemi Pine
 ハス Nelumbo spp.


大船フラワーセンターにハスが来た経緯
 大船フラワーセンターは2020年1月静岡県沼津市の本廣寺の関戸慈誠住職から約190品種のハスを譲り受けました。関戸住職は前任の蓮興寺(静岡県沼津市)で約30年間ハスを育ててきましたが、栽培の継続が困難になり、新しい担い手を探していらっしゃいました。2019年、当園の園長である榎本浩が栽培の引継ぎを申し出たところ、譲渡を快諾していただきました。
 2024年には大阪市のこの花咲くや館、及び蓮文化研究会から合計20品種のハスを譲り受けるなど、当園にて管理を行っていたハスと併せて、現在261品種のハスを園内に転じ字ています。


大賀ハス
 日本では非常に有名はハスで、1951年千葉の検見川の東京大学厚生農場の敷地内から縄文時代(約2000年前の地層)の丸木舟が発見され、大賀博士は多くの協力者を得て、その地下から3個のハスの実を発掘しました。そのうちの1個が発芽・開花しました。大賀博士にちなんで命名され平和のシンボルとして世界各国に株分けされています。花はピンク色で条線がぼやけており、葉の表面が触ると他の品種に比べてすべすべとした感触があります。別名「二千年蓮」。
大賀ハスは、実生、即ち発芽種子から育成すると、外観上の形質が大きく変化することが知られています。ここで展示されているのは種子系だけの様でした。
大賀ハス(こども植物園)


珍しいハス
○植松家系
 沼津の植松家の代々受け継がれてきたコレクション。一般には出回っていないので名前が付いていません。植松家の祖先は武田氏の宿將須田朝重で、武田が敗れたあと、朝重の嫡男李重が天正十二年(1584)年に居を決め、沼津で開墾や植林にいそしみ花卉類の収集もしました。花長者として有名になり、庭も帯笑園と名付けられ江戸に下る公家や大名、または明治政府の官僚、皇后、皇太子などが立ち寄り花卉類と京文化の交換の場となりました。
○大石寺系
 日蓮宗総本山の大石寺で昔から受け継がれてきたハス。一般に出回っていません。「大石NO. 」というのがそのまま正式名称になっています。
○巨椋池系
 巨椋池とは戦前まではハスの名所として世に知られた池です。現在の京都市、宇治市、久世郡久御山町くみやままちにまたがり、面積約800ヘクタールにも及んだところでしたが、農地・水田として埋め立てられ、今はありません。現在交通の要衝ともなっています。
 池であった当時、面積100ヘクタールほどのハスの群生地が広がっていました。この広さは中国の著名な蓮池にも匹敵します。池跡地の田んぼを巡り採取した幼芽を育成した蓮が巨椋池系と呼ばれています。巨椋池系の品種は約90種類ほどあります。


ハス Nelumbo nucifera、キバナハス Nelumbo lutea
 紅蜀蓮華しょっこうれん
 玉鶯ぎょくおう
 朱雀の舞姫すざくのまいひめ
 玉繍ぎょくしゅう
 玉繍蓮ぎょくしゅうれん
 喜上眉梢きじょうびしょう
 絢爛華けんらんか
 西村白にしむらしろ
 巨椋大島おぐらおおしま
 巨椋の曙おぐらのあけぼの
 巨椋の香おぐらのかおり
 巨椋瑞光おぐらずいこう
 巨椋の彩雨おぐらのさいう
 常楽じようらく
 春不老はるふろう
 多彩たさい
 輪王蓮りんのうれん
 美中心びちゅうしん(美中紅?)
 不忍池斑蓮しのばずのいけまだらはす 瑞姫みずひめ
 花火はなび
 黄陽きよう
 アルバ・グランディフローラ ‘AlbaGrandiflora’ (?)
 乗県碧蓮じょうけんへきれん
 天竺斑蓮てんじくまだらはす
 紅がにべにがに
 内側の縮れた花弁の形がカニの手のように見えることから「紅がに」と名付けられた。内田又男氏が育成したもの。中盤(荷鼻)の形は下の点々が大きく流れる模様となり、荷鼻から判断できるハスでもある。


 素白蓮そはくれん
 悄英しょうえい
 舞妃蓮まいひれん
 大賀蓮と王子蓮の交配種、優雅な舞姿を連想させることから妃殿下にイメージを重ねて、「舞妃蓮」と名付けられる。昭和43年に東宮御所に献上された。


 飛舞蓮ひぶれん
 ローズプレナ ‘Rose Plena’
 丈炎の舞じようえんのまい
 常陸の曙ひたちのあけぼの
 大灑錦たいさんきん
 暁風涼月ぎょうふうりょうげつ
 西円寺青蓮さいえんじせいれん
 カロライナ・クイーン ‘Carolina Queen’
 ミセス・スローカム ‘Mrs. Slocum’
 玉葉黄ぎょくようき
 花雲淡紅かうんたんべに
 アメリカ黄蓮あめりかおうれん
 雲之霞くものかすみ
 オハイオ蓮おはいおばす
 漁山紅蓮ぎょざんこうれん
 花色は桃色で条線は鮮明。漁山は声明(僧が仏の徳をたたえて節をつけて唱える)の起源地として伝説に残る中国の地。DNA分析では、現在伝わる藤壺蓮、浄台蓮、漁山紅蓮、桜蓮は、同一と判定された。これらは、形質的にも極似している。


 古楚女こそめ
 大空蓮だいくうれん
 大内池おおうちいけ
 インド白蓮いんどびゃくれん
 仏足蓮ぶっそくれん
 明妃めいひ
 宮西みやにし
 友誼牡丹ゆうぎぼたん
 大賀蓮おおがはす(種子系)
 重水華ちょうすいか
 黄玉杯こうぎょくはい
 白万葉しろまんよう
 唐招提寺蓮とうしょうだいじれん
 玉泉寺妙蓮ぎょくせんじみょうれん
 奈良蓮ならばす
 白君子小蓮しろくんししょうれん (?) ペリーズ・ジャイアント・サンバースト “Perry’s Giant Sunburst”
 斑桃まだらもも (?)
 寿星桃じゅせいとう
 詩仙堂西湖蓮しせんどうさいこれん
 剣舞蓮けんぶれん
 毎葉蓮まいようれん
 花上りが非常に良いのが特徴。ハスは節から一対の葉と花を上げてくるが、実際には花の方はすべてが上がってくるわけではない。しかし、本品種はそのすべての葉ごとに花が上がるほど花付がいいという意味で毎葉蓮の名が付いた。


 御所車ごしょぐるま
 金輪蓮きんりんれん
 西福寺観世さいふくじかんぜ
 即非蓮そくひれん
 植松10
 大石寺23
 植松03
 植松02
 大石寺08
 植松19
 大石寺21
 粉松球ふんしょうきゅう
 (突然変異)
 紫玉蓮しぎょくれん
 赤大君子あかだいくんし
 天照爪紅てんしょうつまべに
 天嬌てんきょう
 廬山白蓮ろざんびゃくれん
 植松球うえまつきゅう
 神采しんさい
 碧翠蓮へきすいれん
 小舞妃しょうまいひ
 小金鳳しょうきんほう
 揚州碗蓮ようしゅうわんれん
 祥隆紅蓮しょうりゅうこうれん



バラ Rosa
 デンティ・ベス ‘Dainty Bess’
 ピース ‘Peace’
 ゴールデン・チャッピー ‘Golden Chappy’
 ピンク・サクリーナ ‘Pink Sakurina’
 カウンティ・フェア ‘County Fair’
 マチルダ ‘Matilda’
 シークレットロパフューム ‘Secret Perfume’
 ミセス・オークリィ・フィッシャー ‘Mrs. Oakley Fisher’
 フラウ・ホレ ‘Frau Holle’
 金蓮歩 ‘Kinrenpo’
 ティファニー ‘Tiffany’
 オリンピック・ファイヤー ‘Olympic Fire’
 桜貝 ‘Sakuragai’
○ロサ・ギガンテア Rosa giganrea Manipur Wild-Tea Rose
 ロサ・キネンシス・ミニマ Rosa chinensis var. minima
 イザヨイバラ Rosa roxburghii
 ノイバラ Rosa multiflora


【擬宝珠】

日比谷花壇が管理するようになってから随分管理が良くなったフラワーセンターなのですが、古い説明版には信用できないものが残されている様です。
 レンゲギボウシ(黄覆輪) Hosta X fortunei
 コバギボウシ Hosta sieboldii syn. Hosta albo-marginata
 ギボウシ属の一種 Hosta sp.
 ホスタ・ウィリーニリィ Hosta cv. ‘Willy Nilly’
 マルバノタマカンザシ Hosta plantagina
 ホスタ・ハルシオン Hosta cv. ‘Halcyon’
 ホスタ・シャンデー Hosta cv. ‘Shandy’
 オハツキキボウシ(白覆輪) Hosta undulata var. Erromena
 ホスタ・シェードファンファーレ Hosta cv. ‘Sade Fanfare’
 タチギボウシ(黄中斑) Hosta sieboldii var. rectifolia Erect Hosta
 トクダマギボウシ(斑入り) Hosta sieboldiana var. condensata
 黄金姫トクダマ Hosta sieboldiana ‘Tokudama Aureonebulosa’
○スジボウシギ Hosta undulata Wavy Plantain Lily
 黄金コバギボウシ Hosta sieboldii ‘Ougon’
 オオバギボウシ Hosta sieboldiana
 ギボウシ属の一種 Hosta sp.
 ホスタ ‘武州錦’ Hosta ‘BushuNishiki’



 ヤマグルマ Trochodendron aralioides
 プラタナス Platanus sp.
 アエスクルス・パルウィフロラ Aesculus parviflora
○ニホンミツバチ Apis cerana japonica
○マメコガネ Popillia japonica
 シロタエギク Jacobaea maritima
 イヌタヌキモ Utricularia tenuicaulis
 ギャラックス・ウルセオラタ Galax urceolata
 ウォーターバコパ Bacopa caroliniana
 マルバデイゴ Erythrina crista-galli ‘Maruba-Deigo’
 ムサシアブミ Arisaema ringens
 ウラハグサ Hakonechloa macra
 ハアザミ Acanthus mollis
 ネムノキ Albizia julibrissin
 チョウセンアザミ(カルドン) Cynara cardunculus
 セイヨウニンジンボク Vitex agnus-castus
 ヒマワリ Helianthus annuus
 カンレンボク Camptotheca acuminata
 テイキンザクラ ‘ホコバヤトロファ’ Jatropha integerrima
 キバナキョウチクトウ Thevetia peruviana
 ペトレア・ウォルビリス Petrea volubilis
 シクシン Combretum indicum
 キフゲットウ Alpinia zerumbet ‘Variegata’
 パイナップル Ananas comosus
○パッシフローラ・サンギノレンタ Passiflora sanguineolenta Blood Red Passion Flower
○ステノカルプス・サリグヌス Stenocarpus salignus Scrub Beefwood
 ケヤキ Zelkova serrata


【文献】
日本花蓮協会 (2015) 日本で栽培されている品種, URL: http://www.j-lotus.org/hanabunrui/7%20sirohitoe.htm, Accessed: 2025-06-30.
久保中央, 金子明雄, 山本和喜 (2015) SSRマーカーに基づく巨椋池系品種群を含む日本国内花蓮品種の分類, 育種学研究, 17, 45–54, DOI: 10.1270/jsbbr.17.45, Accessed:2025-06-30.

ひと夜の夢傘

 昨日の午後にまだ開いていないヒトヨタケの傘を見かけたので、今朝確認したところ、ほとんどすべて開ききっていました。撮影の直後に大雨になったこともあり、明日には溶けて消えているのだと思います。ヒトヨタケは腐生菌ですので、隣接するムクノキが弱っているのかも知れません。
【系統概要(現生生物現生植物後世動物化石動物)】
【本日更新のページ】菌類鞘翅目



【参考】○は本日、初撮影種
○ヒトヨタケ Coprinus atramentarius Ink Cap
 ムクノキ Aphananthe aspera
○イチモンジハムシ Morphosphaera japonica

バラ写真の香りタイプによる整理

 バラの育種は、姿形だけでなく香りを楽しむことも目標とされてきました。蓬田・黒澤(2010)は、モダンローズを香気成分パターンから7つの香りタイプに分けることができるとしています。このページでは、これまで撮影していた芳香バラを香りタイプ別に整理してみました。
【系統】バラ属 バラ科 バラ目群 植物界 真核生物、 殿堂入りバラ


【ダマスク・クラシック】
 ロサ・ダマスセナ(Rosa X damascena)、ロサ・ケンティフォリア(Rosa centifolia)、ロサ・ガリカ(Rosa gallica)の香りを合わせ持ったタイプ。歴史的なバラの香りを正当に継承していると思われ、系統的にはバラ属ガリカ節(Gallicanae)がほぼ相当します。
 芳純 セシル・ブリュネ 香久山 スーベニール・ドゥ・ラ・マルメゾン


【ダマスク・モダン】
 ダマスク・クラシックの香りを受け継ぎながら、香り成分バランスの異なるタイプ。
 パパ・メイアン クリムゾン・グローリー マーガレット・メリル


【ティー】
 ロサ・ギガンテア(Rosa gigantea)、ノイバラ(Rosa multiflora)コウシンバラ(Rosa chinensis)など中国由来のバラの特徴を持つ香りタイプ。系統的には、ノイバラ節(Synstylae)およびコウシンバラ節(Chinensis)が相当すると思われます。
 レディ・ヒリンドン(金華山) デュシェス・ドゥ・ブラバン'(桜鏡) ガーデン・パーティー 春芳 ロイヤル・ハイネス つるブラックティー


【フルーティ】
 ダマスク系とティー系の香り成分のバランス変化によって、ピーチ、バナナ、アプリコット、アップルなどを感じさせる香りを持つタイプ。
 ダブル・ディライト フラグラント・クラウド (ドゥフトボルケ) ホワイト・クリスマス 楽園 ハーモニー ジュビリー・セレブレーション スウィート・ジュリエット レディ・エマ・ハミルトン


【ブルー】
 ブルームーンに代表される青バラの系統に特徴的な香りタイプ
 ブルームーン ブルーパフューム シャルル・ド・ゴール


【スパイシー】
 ダマスク・クラシックの香りを基調としながらも、オイゲノール(Eugenol)を多めに含むことでクローブ(丁子)を想起させる香りタイプ。
 デンティ・ベス クロチード・スペール(粉粧楼) ハマナス Rosa rugosa


【ミルラ】
 アニス(Pimpinella anisum)の種子に似た香りがプラスされたタイプ。イギリスのD.オースチンが1970代に育種導入した系統が元なっています。
 ぺルディータ セプタード・アイル グラミス・キャッスル クレア・オースチン ザ・ジェネラス・ガーデナー ストロベリー・ヒル

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芳純
Hojun
系統:ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ダマスク・クラシック
作出年:1981年 作出者:鈴木省三
撮影:2021-11-10 大船フラワーセンター

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セシル・ブリュネ
Cécile Brünner
系統:ポリアンサ(Pol)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ダマスク・クラシック
作出年:1981年 作出者:デュシェ(フランス)
撮影:2025-05-24 横浜こども植物園

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香久山
Kaguyama
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ダマスク・クラシック
作出年:1975年 作出者:田中泰助
撮影:2012-06-03 鎌倉文学館

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スーベニール・ドゥ・ラ・マルメゾン
Souvenir de la Malmaison
ブルボン(B)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ダマスク・クラシック
作出年:1843年 作出者:Jean Béluze
撮影:2025-05-24 横浜こども植物園

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パパ・メイアン
Papa Mailland
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ダマスク・モダン
作出年:1963年 作出者:アライン・メイアン(フランス)
撮影:2021-11-10 大船フラワーセンター

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クリムゾン・グローリー
Crimson Glory
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ダマスク・モダン
作出年:1935年 作出者:W. Kordes II
撮影:2019-10-20 横浜イングリッシュガーデン

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マーガレット・メリル
Margaret Merril
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ダマスク・モダン
作出年:1977年 作出者:Harkness
撮影:2019-05-12 大船フラワーセンター

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レディ・ヒリンドン(金華山)
Lady Hillingdon
ティー(T)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ティー
作出年:1910年 作出者:Lowe & Shawyer
撮影:2017-05-20 生田緑地

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デュシェス・ドゥ・ブラバン(桜鏡)
Douchesse de Brabant
ティー(T)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ティー
作出年:1857年 作出者:Pierre Bernède(フランス)
撮影:2025-05-24 横浜こども植物園

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ガーデン・パーティー
Douchesse de Brabant
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ティー
作出年:1959年 作出者:Herbert C. Swim(アメリカ)
撮影:2018-11-15 横浜イングリッシュガーデン

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春芳
Shunho
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ティー
作出年:1987年 作出者:鈴木省三
撮影:2023-05-21 横浜こども植物園

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ロイヤル・ハイネス
Poyal Highness
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ティー
作出年:1962年 作出者:Swim & Weeks(アメリカ)
撮影:2025-05-24 横浜こども植物園

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つるブラックティー
Climbing Black Tea
クライミンング・ハイブリッド・ティー (CLHT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ティー
作出年:1973年 作出者:岡本勘次朗
撮影:2017-05-21 ヴェルニー公園

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ダブル・ディライト
Double Delight
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:フルーティ
作出年:1976年以前 作出者:A.E. & A.W. Ellis, Herbert C. Swim(アメリカ)
撮影:2018-05-19 与野公園バラ園

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フラグラント・クラウド (ドゥフトボルケ)
Fragrant Cloud – syn. Duftwolke, Nuage Parfume
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:フルーティ
作出年:1963年 作出者:マチアス・タンタウ Jr.(ドイツ)
撮影:2021-11-10 大船フラワーセンター

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ホワイト・クリスマス
White Christmas
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:フルーティ
作出年:1953年 作出者:Howard & Smith (アメリカ)
撮影:2023-05-21 横浜こども植物園

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楽園
Rakuen
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:フルーティ
作出年:1996年 作出者:京成バラ園芸
撮影:2013-05-18 ヴェルニー公園

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ハーモニー
Harmonie
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:フルーティ
作出年:1981年 作出者:Reimer Kordes(ドイツ)
撮影:2017-05-14 与野公園バラ園

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スウィート・ジュリエット
Sweet Juliet
シュラブ (S)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:フルーティ
作出年:1989年 作出者:David C. H. Austin(イギリス)
撮影:2016-05-14 ヴェルニー公園

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ジュビリー・セレブレーション
Jubilee Celebration
シュラブ (S)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:フルーティ
作出年:2002年 作出者:David C. H. Austin(イギリス)
撮影:2025-05-24 横浜こども植物園

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レディ・エマ・ハミルトン
Lady Emma Hamilton
シュラブ (S)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:フルーティ
作出年:2005年 作出者:David C. H. Austin(イギリス)
撮影:2023-05-21 横浜こども植物園

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ブルームーン
Blue Moon
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ブルー
作出年:1964年 作出者:マチアス・タンタウ Jr.(ドイツ)
撮影:2017-05-20 生田緑地

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ブルーパフューム
Blue Perfume
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ブルー
作出年:1977年 作出者:マチアス・タンタウ Jr.(ドイツ)
撮影:2019-05-19 ヴェルニー公園

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シャルル・ド・ゴール
Charles de Gaulle
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ブルー
作出年:1974年 作出者:Marie-Louise Meilland(フランス)
撮影:2017-05-19 ヴェルニー公園

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デンティ・ベス
Dainty Bess
ハイブリッド・ティー(HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:スパイシー
作出年:1925年 作出者:アーシャー
撮影:2019-05-25 横浜イングリッシュガーデン

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クロチード・スペール(粉粧楼)
Clotilde Soupert
ポリアンサ(Pol)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:スパイシー
作出年:1890年 作出者:Soupert & Notting(ルクセンブルク)
撮影:2018-05-12 ヴェルニー公園

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ハマナス
Rosa rugosa
原種(Sp)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:スパイシー
作出年:- 作出者:-
撮影:2017-05-20 生田緑地

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ぺルディータ
Perdita
シュラブ(S)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ミルラ
作出年:1982年以前 作出者:David C. H. Austin(イギリス)
撮影:2019-10-20 横浜イングリッシュガーデン

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セプタード・アイル
Scepter’d Isle
原種(Sp)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ミルラ
作出年:1996年 作出者:David C. H. Austin(イギリス)
撮影:2017-05-20 生田緑地

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グラミス・キャッスル
Glamis Castle
原種(Sp)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ミルラ
作出年:1992年 作出者:David C. H. Austin(イギリス)
撮影:2018-11-15 横浜イングリッシュガーデン

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ザ・ジェネラス・ガーデナー
The Generous Gardener
シュラブ (S)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ミルラ
作出年:2002年 作出者:David C. H. Austin(イギリス)
撮影:2023-05-21 横浜こども植物園

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ストロベリー・ヒル
Strawberry Hill
シュラブ (S)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ミルラ
作出年:2006年 作出者:David C. H. Austin(イギリス)
撮影:2023-05-21 横浜こども植物園

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クレア・オースチン
Claire Austin
シュラブ (S)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ミルラ
作出年:2007年 作出者:David C. H. Austin(イギリス)
撮影:2025-05-24 横浜こども植物園

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【文献】
蓬田勝之、黒澤早穂 (2010) 現代バラとその香り, J Jap Assoc Odor Env, 41(3), 164-174, DOI: 10.2171/jao.41.164, Accessed: 2025-06-14.
岩崎尊嗣 (2010) バラの香り, J Jap Assoc Odor Env, 41(3), 149, DOI: 10.2171/jao.41.149, Accessed: 2025-06-14.

YEG『ある魔女が死ぬまで』コラボイベント

 先日の訪問では未達成だったワードラリーに挑戦してみたところ、達成景品は、メグ、カーバンクル、シロフクロウがデザインされたステッカーでした。5つのコラボ植物解説は残り一つ「バラ」だけになりましたので、近いうちにまた尋ねたいと思います。
 → 勤め帰りに立ち寄って、バラの解説も確認できました(2025-06-20)。
追記:アニメ作品は、本日(2025-06-18)最終話が放映されました。呪いによる死の宣告を受けた見習い魔法使いのメグは死ぬどころか、ますます元気で新たな旅立ちを迎えましたので、二期の製作に期待されるところです。
 植物界 真核生物
【本日更新】キジカクシ科 ナス科



【参考】○は本日、初撮影種
 ワードラリー達成景品のシール
 プライベートガーデン
 キャラクター紹介(メグ、ソフィー、フィーネ、祈、クロエ)
 原作展示とキャラクター紹介(ファウスト師匠、カーバンクル、シロフクロウ)
 横浜イングリッシュガーデン
 アジサイ祭り・メインストリート
 西洋ブドウ ‘プルプレア’ Vitis vinifera ‘Purpurea’
 ヘメロカリス Hemerocallis X ‘Ruby Spider’
 ヤブカンゾウ Hemerocallis fulva var. kwanso
 オリエンタルリリー Lilium X
 ジョウザンアジサイ ‘碧のひとみ’ Dichroa febrifaga ‘Ao-no-hitomi’
 テッポウユリ Lilium longiflorum
 トキワヤマボウシ Cornus hongkongensis
 アリウム・ギガンテウム Allium giganteum
 サンゴシトウ Erythrina X bidwillii
○ルリヤナギ Solanum glaucophyllum Waxyleaf Nightshade
 イワガラミ Schizophragma hydrangeoides


植物解説1/5 ローズマリー
 ハーブのことなら、このメグ・ラズベリーにお任せあれ! ローズマリーは、古代から現代に至るまで、人々の生活と深く、結びついてきたハーブの一つ!
 リフレッシュ効果や記憶力、集中力を高める効果があるとされておりやす!
 さなみに、ハンガリーの王妃エリザベートがローズマリーの化粧水で若返ったという伝説(※)があり、そこから「若返りのハーブ」とも呼ばれているとか…
  「ラピスの魔女」メグ・ラズベリー(CV.青山吉能)


※:松本(2022):p15によれば、ハンガリー王妃の水(ハンガリーウォーター)として知られるようになったローズマリーをアルコール蒸留して作られたリキュールは、エリザベート皇后の時代よりさらに遡る14世紀以前に起源するそうです。

植物解説2/5 ギョリュウバイ
 ニュージーランド、オーストラリア原産の常緑樹で、葉がギュリュウ(低木樹木の一種)に、花がウメに似ていることに由来する。
 ギョリュウバイの仲間は、近年、抗菌作用が高いことから注目されているマヌカハニー(※)の蜜源としても利用されているんだ。メグ、覚えておきな。
  「永年の魔女」ファウスト(CV.榊原良子)


※:蜂蜜に抗菌作用があることは古くから信じられてきましたが、その抗菌作用に対する蜜源植物の種類、原産地や季節などの影響についてはごく最近まで検討されてきませんでした。マヌカハニーの抗菌作用は、他の植物を蜜源とする蜂蜜に比べて飛び抜けて高いものであり(芋川ら,2018)、Mavric et al.(2008)によれば、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)の花から得られた蜂蜜は、主要な抗菌成分と考えられているメチルグリオキサール(Methylglyoxal,MGO)を、他の植物を蜜源とした蜂蜜と比べて100倍以上含有していたそうです。

グリオキサール

植物解説3/5 バラ
 バラの歴史は古い。古代エジプトでは、クレオパトラがバラ風呂を愛用したという逸話も残っている。紀元前から薬用・香料として栽培されてきた。
 バラの香りは10種以上の成分(※)が複雑に組み合わさって構成され、その成分量は種類によって変化し、バラの香りの多様性を生み出している。ズベリ―でなくても、七賢人であればこのくらいは知っている。
  「祝福の魔女」ソフィー・ヘイター(CV.羊宮妃那)


※:蓬田・黒澤(2010)によれば、バラの香りは7つのタイプに大別でき、香りの主要成分は4成分ほど(下図参照)ですが、その多様性を修飾構成する成分は10どころではないことが分かっています。主要成分は割と単純な構造のアルコール類であることが見て取れます。
Scent of Roses
【バラの香りの7タイプ】
 ・ダマスク・クラシック
 ・ダマスク・モダン
 ・ティー
 ・フルーティ
 ・ブルー
 ・スパイシー
 ・ミルラ

植物解説4/5 アジサイ
 アジサイは、土壌のpH(酸性度)によって花の色が変化する(※)という、植物の中でも珍しい特徴を持っているんだって。酸性の土壌では青色に、アルカリ性の土壌では赤色になる傾向があるらしいよ!
 色がコロコロ変化することから、「移り気」という花言葉を持っている…? まるでどこかの誰かさんみたい!
  フィーネ・キャベンディッシュ(CV.大久保瑠美)


※:アジサイの花色はアントシアニンのグルコース配糖体であるデルフィニジン 3-グルコシド(下図)が主要成分で、土壌pHにより色が変わることが知られていて、アルミニウム施肥により青色を、リン酸施肥で赤色を発色する栽培方法が行われています(小玉,2017)。

デルフィニジン 3-グルコシド

植物解説5/5 ヨーロッパブドウ
 世界中で最も生産量の多い果樹(※)で、主にワインの原料として広く栽培されているわ。ただ、この国では、雨量が多いことから栽培が難しい果樹とされ、長年の技術向上や品種改良により、生食用が大部分を占めるようになったの。ちなみに、鮮度の高いブドウは表面の白い粉(ブルーム)があることがポイントの一つよ。
  「英知の魔女」祈(CV.伊藤静)


※:ブドウ、生食、乾燥、醸造の需要があり、醸造用の栽培面積が半分以上を占めています。果実食のみに限定すれば、リンゴ、バナナの方が沢山生産されています。

【その他の本日撮影】
 朝に久しぶりに通りかかった福満弁財天の神池では、殆どが外来のアカミミガメに置き換わっていて、在来ヌマガメの生息数は一割程度まで減少していました。


【参考】○は本日、初撮影種
ユッカ・ロストラータ Yucca rostrata Mound Lily Yucca
 オーガスタ(瑠璃極楽鳥花(ルリゴクラクチョウカ)) Strelitzia nicolai white bird-of-paradise
 福満弁財天の神池
 ニホンイシガメ Mauremys japonica Japanese Pond Turtle
 クサガメ Mauremys reevesii
 ハマベハサミムシ Anisolabis maritima
【文献】
松本雄大 (2022) ローズマリー抽出液を活用した酒類リキュールの色安定性向上に関する研究, 92p, URL: https://nodai.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=942&file_id=64&file_no=2, Accessed: 2025-06-21.
Mavric E, Wittmann S, Barth G and Henie T (2008, Identification and quantification of methylglyoxal as the dominant antibacterial constituent of Manuka (Leptospermum scoparium) honeys from New Zealand, Mol Nutr Food Res, 52, 483-489, DOI: 10.1002/mnfr.200700282, Accessed: 2025-06-21.
上田義弘 (2010) バラとその栽培の歴史-人とバラとのかかわりから-, J Jap Assoc Odor Env, 41(3), 157-163, DOI: 10.2171/jao.41.157, Accessed: 2025-06-14.
岩橋尊嗣 (2010) バラの香り, J Jap Assoc Odor Env, 41(3), 149, DOI: https://doi.org/10.2171/jao.41.149, Accessed: 2025-06-20.
蓬田勝之、黒澤早穂 (2010) 現代バラとその香り, J Jap Assoc Odor Env, 41(3), 164-174, DOI: 10.2171/jao.41.164, Accessed: 2025-06-14.
小玉雅晴 (2017) アジサイの花色の発色機構に関する研究, 110p, URL: https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/record/42992/files/DA08190.pdf, Accessed: 2025-06-21.
中央果実協会 (2021a) 世界の醸造用ぶどう栽培の動向気候変動対応と持続可能性の取組, 海外果樹農業情報 No.148, 50p, URL: https://www.japanfruit.jp/Portals/0/resources/JFF/kaigai/jyoho/jyoho-pdf/KKNJ_148.pdf, Accessed: 2025-06-19.
中央果実協会 (2021b) 世界の主要果実の生産概要 2021年版, 海外果樹農業情報 No.151, 26p, URL: https://www.japanfruit.jp/Portals/0/resources/JFF/kaigai/jyoho/jyoho-pdf/KKNJ_151.pdf, Accessed: 2025-06-21.
佐藤明彦 (2017) 日本における生食用ブドウの栽培動向と遺伝的背景, 日本食品科学工学会誌, 64(5), 273-277, DOI: 10.3136/nskkk.64.273, Accessed: 2025-06-21.

梅雨時のイングリッシュガーデン

 午後には降りだすとの予報でしたので、朝から横浜イングリッシュガーデンを尋ねました。折しも開催地有だった放映中のアニメ『ある魔女が死ぬまで』とのコラボメニューから『メグのラズベリーソーダ』を戴くことができました。 【再訪:2025-06-17/20

世界バラ会連合World Federatiom of Rose Societies 選出-殿堂入りバラWFRS ROSE HALL OF FAME

 世界バラ会連合は、世界40ヶ国のバラ会の連合体で、3年に一度大会を開催し、これまでに33品種の殿堂入り品種を選定しています。今年2025年は日本の福山で第20回大会が開催され、オールドローズ、モダンローズ各1品種が殿堂入り品種に追加されました。写真を整理していて、殿堂入り33品種の写真が少なくとも1枚はありましたので、この機に整理してみました。
 バラ属 バラ科 バラ目群 植物界 真核生物


【原種およびオールドローズ】14品種
ロサ・ガリカ ‘ヴェルシコル’ ロサ・ガリカ ‘オフィキナリス’ キモッコウ オールド・ブラッシュ シャルル・ドゥ・ミル ブラッシュ・ノワゼット マダム・アルディ スーベニール・ドゥ・ラ・マルメゾン グロワール・ドゥ・ディジョン コント・ドゥ・シャンボール グルス・アン・テプリッツ マダム・アルフレッド・キャリエール セシル・ブリュネ ロサ・キネンシス ‘ムタビリス’


【モダンローズ】19品種
ニュー・ドーン ピース クィーン・エリザベス カクテル アイスバーグ フラグラント・クラウド (ドゥフトボルケ) パスカリパパ・メイアン ダブル・デライト サリー・ホームズ ボニカ ジャスト・ジョーイ グラハム・トーマス エリナ イングリッド・バーグマン ピエール・ドゥ・ロンサール ガートルード・ジェキル フラワーカーペット・ローズ・ピンク ノックアウト


ロサ・ガリカ ‘ヴェルシコル’
Rosa gallica ‘Versicolor’ syn. Rosa mundi
系統:原種-野生バラ(Sp)
作出年:1581年以前 作出者:不明
選出:2009年第15回バンクーバー大会(カナダ)
撮影:2022-05-28 大船フラワーセンター

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ロサ・ガリカ ‘オフィキナリス’
Rosa gallica ‘Officinalis’
系統:原種-野生バラ(Sp)
作出年:1600年以前 作出者:不明
選出:2012年第16回サントン大会(南アフリカ共和国)
撮影:2017-05-20 生田緑地薔薇園

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キモッコウ
Rosa banksiae ‘Lutea’
系統:原種-野生バラ(Sp)
作出年:1824年以前 作出者:不明(中国)
選出:2018年第18回コペンハーゲン大会(デンマーク)
撮影:2025-04-20 横浜こども植物園

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オールド・ブラッシュ
Old Blush
系統:オールドローズ-チャイナ(Ch)
作出年:1752年以前 作出者:不明(中国)
選出:1988年第8回シドニー大会(オーストラリア)
撮影:2017-05-20 生田緑地薔薇園

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シャルル・ドゥ・ミル
Charles de Mills
系統:オールドローズ-ガリカ(G)
作出年:1786年以前 作出者:不明(オランダ)
選出:2015年第17回リヨン大会(フランス)
撮影:2023-05-21 横浜こども植物園

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ブラッシュ・ノワゼット
Blush Noisette
系統:オールドローズ-ノワゼット(N)
作出年:1814年 作出者:フィリップ・ノワゼット(アメリカ)
選出:2025年第20回福山大会(日本)
撮影:2018-05-12 ヴェルニー公園

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マダム・アルディ
Mme. Hardy
系統:オールドローズ-ダマスク(D)
作出年:1832年 作出者:アレクサンドラ・アルディ(フランス)
選出:2006年第14回大阪大会(日本)
撮影:2025-05-21 横浜こども植物園

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スーベニール・ドゥ・ラ・マルメゾン
Souvenir de la Malmaison
系統:オールドローズ-ブルボン(B)
作出年:1843年 作出者:不明(フランス)
選出:1988年第8回シドニー大会(オーストラリア)
撮影:2025-05-21 横浜こども植物園

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グロワール・ドゥ・ディジョン
Gloire de Dijon syn. Glory John, Old Glory
系統:オールドローズ-ティー(T)
作出年:1850年 作出者:ピエール・ジャコット, アンリ・ジャコット(フランス)
選出:1988年第8回シドニー大会(オーストラリア)
撮影:2025-05-21 横浜こども植物園

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コント・ドゥ・シャンボール
Compte de Chambord
系統:オールドローズ-ハイブリッド・パーペチュアル(HP)、ポートランド(P)
作出年:1860年 作出者:モロー・ロバート(フランス)
選出:2022年第19回アデレード大会(オーストラリア)
撮影:2025-05-21 横浜こども植物園

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グルス・アン・テプリッツ
Gruss an Teplitz
系統:オールドローズ-チャイナ(Ch)
作出年:1867年 作出者:ゲシュヴィント(オーストリア=ハンガリー帝国)
選出:2000年第12回ヒューストン大会(アメリカ)
撮影:2025-05-24 横浜こども植物園

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マダム・アルフレッド・キャリエール
Mme. Alfred Carrière
系統:オールドローズ-ノワゼット(N)
作出年:1879年 作出者:J. シュヴァルツ(フランス)
選出:2003年第13回グラスゴー大会(イギリス)
撮影:2025-05-24 横浜こども植物園

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セシル・ブリュネ
Cécile Brünner
系統:オールドローズ-ポリアンサ(Pol)
作出年:1881年 作出者:デュシェ(フランス)
選出:1988年第8回シドニー大会(オーストラリア)
撮影:2025-05-24 横浜こども植物園

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ロサ・キネンシス ‘ムタビリス’
Rosa chinensis ‘Mutabilis’
系統:オールドローズ-チャイナ(Ch)
作出年:1894年以前 作出者:不明
選出:2012年第16回サントン大会(南アフリカ共和国)
撮影:2025-05-24 横浜こども植物園

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ニュー・ドーン
New Dawn
系統:モダンローズ-ハイブリッド・ウィクライアナ(Hwich)
作出年:1930年 作出者:ヘンリー・ドリーア(アメリカ)
選出:1997年第11回ベネルクス大会(ベルギー、オランダ、ルクセンブルク)
撮影:2017-05-21 ヴェルニー公園

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ピース
Peace
系統:モダンローズ-ハイブリッド・ティー(HT)
作出年:1945年 作出者:フランシス・メイアン(フランス)
選出:1976年第3回オックスフォード大会(イギリス)
撮影:2018-11-15 横浜イングリッシュガーデン

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クィーン・エリザベス
Queen Elizabeth
系統:モダンローズ-グランディフローラ(Gr)
作出年:1954年 作出者:Dr. ウォルター E. ラマーツ(アメリカ)
選出:1979年第4回プレトリア大会(南アフリカ)
撮影:2022-10-26 大船フラワーセンター

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カクテル
Cocktail (MEImic-569, MEImick)
系統:モダンローズ-シュラブ(S)
作出年:1956年以前 作出者:マリー-ルイ-ズ・メイアン(フランス)
選出:2015年第17回リヨン大会(フランス)
撮影:2017-05-20 生田緑地薔薇園

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アイスバーグ
Iceberg (KORbin)
系統:モダンローズ-フロリバンダ(FL)
作出年:1958年 作出者:レイマー・コルデス(ドイツ)
選出:1983年第6回バーデンバーデン大会(ドイツ)
撮影:2019-05-12 大船フラワーセンター

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フラグラント・クラウド (ドゥフトボルケ)
Fragrant Cloud (TANellis) – syn. Duftwolke, Nuage Parfume
系統:モダンローズ-ハイブリッド・ティー(HT)
作出年:1963年 作出者:マチアス・タンタウ Jr.(ドイツ)
選出:1981年第5回エルサレム大会(イスラエル)
撮影:2021-11-11 大船フラワーセンター

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パスカリ
Pascali (LENip)
系統:モダンローズ-ハイブリッド・ティー(HT)
作出年:1963年 作出者:ルイス・ランス(ベルギー)
選出:1991年第9回ベルファスト大会(イギリス)
撮影:2019-05-12 大船フラワーセンター

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パパ・メイアン
Papa Meilland (MEIcesar, MEIsar)
系統:モダンローズ-ハイブリッド・ティー(HT)
作出年:1963年 作出者:アライン・メイアン(フランス)
選出:1988年第8回シドニー大会(オーストラリア)
撮影:2021-11-11 大船フラワーセンター

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ダブル・デライト
Double Delight (ANDeli)
系統:モダンローズ-ハイブリッド・ティー(HT)
作出年:1976年以前 作出者:A.E. & A.W. エリス, ヘルベルト C. スウィム(アメリカ)
選出:1985年第7回トロント大会(カナダ)
撮影:2022-05-28 大船フラワーセンター

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サリー・ホームズ
Sally Holmes (HMsk)
系統:モダンローズ-ハイブリッド・ムスク(HMsk)
作出年:1976年 作出者:フライヤーズ・ローズ(イギリス)
選出:2012年第16回サントン大会(南アフリカ共和国)
撮影:2022-05-22 横浜こども植物園

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ボニカ
Bonica (MEIdomonac) – syn. Bonica 82
系統:モダンローズ-シュラブ(S)
作出年:1981年 作出者:マリー-ルイ-ズ・メイアン, ジャック・ムショット(フランス)
選出:2003年第13回グラスゴー大会(イギリス)
撮影:2022-05-28 大船フラワーセンター

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ジャスト・ジョーイ
Just Joey (CANjujo)
系統:モダンローズ-ハイブリッド・ティー(HT)
作出年:1982年 作出者:ロジャー・ポージー(イギリス)
選出:1994年第10回クライストチャーチ大会(ニュージーランド大会)
撮影:2019-10-20 横浜イングリッシュガーデン

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グラハム・トーマス
Graham Thomas (AUSmas)
系統:モダンローズ-シュラブ(S)
作出年:1983年 作出者:デヴィッド・オースティン(イギリス)
選出:2009年第15回バンクーバー大会(カナダ)
撮影:2025-05-21 横浜こども植物園

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エリナ
Elina (DICjana) – syn. Peaudouce
系統:モダンローズ-ハイブリッド・ティー(HT)
作出年:1983年 作出者:ディクソン(イギリス)
選出:2006年第14回大阪大会(日本)
撮影:2023-05-05 八景島バラ園

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イングリッド・バーグマン
Ingrid Bergman (POUlman)
系統:モダンローズ-ラージ・フラワード・クライマー(LCl)
作出年:1985年 作出者:ポールセン(デンマーク)
選出:2000年第12回ヒューストン大会(アメリカ)
撮影:2018-11-15 横浜イングリッシュガーデン

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ピエール・ドゥ・ロンサール
Pierrre de Ronsard (MEIviolin)
系統:モダンローズ-クライマー(CL)
作出年:1985年 作出者:ジャック・ムショット(フランス)
選出:2006年第14回大阪大会(日本)
撮影:2025-05-24 横浜こども植物園

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ガートルード・ジェキル
Gartrude Jekyll (aka AUSbord)
系統:モダンローズ-シュラブ(S)
作出年:1986年 作出者:デビッド C. H. オースチン(イギリス)
選出:2025年第20回福山大会(日本)
撮影:2025-05-21 横浜こども植物園

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フラワーカーペット・ローズ・ピンク
Flower Carpet Pink (NOAtraum)
系統:モダンローズ-シュラブ(S)
作出年:1988年 作出者:ヴェルナー・ノアック (ドイツ)
選出:2022年第19回アデレード大会(オーストラリア)
撮影:2025-05-24 横浜こども植物園

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ノックアウト
Knock Out (RADrazz)
系統:モダンローズ-フロリバンダ(FL)
作出年:2000年 作出者:ウィリアム・ラドラー (アメリカ)
選出:2003年第13回グラスゴー大会(イギリス)
撮影:2018-05-12 ヴェルニー公園

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【文献】
上田義弘 (2010) バラとその栽培の歴史-人とバラとのかかわりから-, J Jap Assoc Odor Env, 41(3), 157-163, DOI: 10.2171/jao.41.157, Accessed: 2025-06-14.
野村和子 (2010) バラの原種の分類と分布, 園芸文化, 7, 24-30, URL: https://keisen.repo.nii.ac.jp/records/932, Accessed:2025-06-14.

ミヤコグサ属(Lotus)周辺の系統概要

 ミヤコグサ(Lotus japonicum)は、我が国にも広く分布していて、三浦半島エリアでも天神島周辺では普通にみかけることができます。ゲノムサイズが470 Mbpと比較的コンパクトであることから窒素固定能力のあるマメ科のモデル植物としても知られているのですが、従来は別属とされていたドリクニウム属(Dorycnium)がミヤコグサ属と近縁であることが分かったためミヤコグサ属に統合されていることを見つけましたので、関連の文献で推定されている系統関係を引用しておきます。
マメ科 バラ目群 植物界 真核生物


【ミヤコグサ属(Lotus)周辺の系統概要】Kramina et al.(2016)

  ┌プロストレイテッドカナリークローバー・クレード Lotus dorycnicum Clade
 ┌┤└カナリークローバー Lotus (Bonjaenea) hirsutus Syn. Dorycnium hirsutum 
 │├セイヨウミヤクグサ・クレード Lotus corniculatus Clade
┌┤│└ミヤコグサ Lotus (Lotus) japonicus 
││├Lotus (Erythrolotus) conimbricensis
││├フレアーグラス・クレード Lotus castellanus Clade
┤│├グレイバーズフットトレイフォイル・クレード Lotus graecus Clade
││├ロータス・ストリクタス Lotus (Bonjaenea) strictus
││└グレーターバダッシ Lotus (Bonjaenea) rectus
││ ┌ペドロシア・クレード Pedrosia Clade
││┌┼ハイネケニア-N・クレード Heinekenia-N Clade
│└┤└カマエロータス・クレード Chamaelotus Clade
│ └ロテア・クレード Lotea Clade
│ ┌Hammatolobium kremerianum
└┬┴Hammatolobium lotoides
 └ヘアリーカナリークローバー Cytisopsis pseudocytisus

【文献】
Kramina TE, Degtjareva GV, Samigullin TH, Valiejo-Roman CM, Kirkbride JHJr, Volis S, Deng T and Sokolof DDf (2016) Phylogeny of Lotus (Leguminosae: Loteae): Partial incongruence between nrITS, nrETS and plastid markers and biogeographic implications, TAXON, 65(5), 997–1018, DOI: 10.12705/655.4, Accessed: 2025-06-15.
Kramina TE , Lysova MV, Samigullin TH, Özbek MU and Sokoloff DD (2022) When Morphology and Biogeography Approximate Nuclear ITS but Conflict with Plastid Phylogeny: Phylogeography of the Lotus dorycnium Species Complex (Leguminosae), Plants, 11:410, 1-26, DOI: 10.3390/plants11030410, Accessed: 2025-06-15.
Kramina TE, Lysova MV, Samigullin TH, Schanzer IA, Özbek MU and Sokoloff DD (2021) Phylogenetic Placement and Phylogeography of Large-Flowered Lotus Species (Leguminosae) Formerly Classified in Dorycnium: Evidence of Pre-Pleistocene Differentiation of Western and Eastern Intraspecific Groups, Plants, 10:260, 1-28, DOI: 10.3390/plants10020260, Accessed: 2025-06-15.
Abou-El-Enain MM, El-Nahas AI, Aboel-Atta AI, Latif HH, Ahmed SM and Atya NHM (2014) Reassessment of the taxonomic relationships between closely related taxa of Papilionoideae, Pure Appl Bio, 3(1), 32-54, URL: https://www.thepab.org/files/2014/Mar-2014/PAB-MS-13034.pdf, Accessed: 2025-06-15.
橋口正嗣, 佐藤修正, 橋口拓勇, 田中秀典 and 明石 良 (2019) マメ科植物研究のためのミヤコグサバイオリソース, 植物科学最前線, 10:179m 1-11, URL: https://bsj.or.jp/jpn/general/bsj-review/BSJ-Review10C_179-189.pdf, Accessed: 2025-06-15.

梅雨入り前の鷹取山

 週明けから雨がちの天気になりそうですので、晴れ間のあるうちに鷹取山へ行ってきました。ハイキングコースはすっかり初夏の装いで、ヤマユリの開花ももうすぐです。

【系統概要(現生生物現生植物後世動物化石動物)】
【本日更新】鞘翅目 菌類



【参考】○は本日初撮影種
 エノキ Celtis sinensis
○ミドリスギタケ Gymnopilus aeruginosus
 ハツタケ Lactarius hatsudake
 コムラサキ Callicarpa dichotoma
 ムラサキニガナ Paraprenanthes sororia
 テイカカズラ Trachelospermum asiaticum
 ヤブニッケイ Cinnamomum yabunikkei
 ナミギセル Stereophaedusa japonica
 チヂミザサ Oplismenus undulatifolius
○ヨツボシケシキスイ Librodor japonicus Syn. Glischrochilus japonica
 ノハカタカラクサ(斑入) Tradescantia flumiensis
 ヤマユリ Lilium auratum
 ホシハラビロヘリカメムシ Homoeocerus unipunctatus
 ムラサキシジミ Narathura japonica
 ウラハグサ Hakonechloa macra
 オニシバリ Daphne pseudomezereum
 オカトラノオ Lysimachia clethroides
 クロオオアリCamponotus japonicus
 ミズヒキ Persicaria filiformis
 鷹取山山頂付近
 ヌルデ Rhus javanica
 ヤマグワ Morus australis
 ビワ Eriobotrya japonica
 ニワトコ Sambucus sieboldiana
 ハナショウブ Iris ensata
 ムラサキツユクサ Tradescantia ohiensis
 ムシトリナデシコ Silene armeria
 ヒエンソウ Delphinium ajacis
 磨崖仏
 イヌビワ Ficus erecta
 ハツタケ Lactarius hatsudake
 ウバユリ Cardiocrinum cordatum
 コウゾリナ Picris hieracioides subsp. japonica
 イソヒヨドリ(♀) Monticola solitarius

バラ属の系統概要

 バラ属内には、フルテミア亜属(Hulthemia)、サンショウバラ亜属(Platyrhodon)、ヘスペロードス亜属(Hesperrhodos)、バラ亜属(Rosa)の4つの亜属が識別出来、比較的コンパクトな初めの3亜属は単系と考えられていますが、残りの多くの種を全て含むバラ亜属は多系であると考えられています。バラ亜属内では10程度の節(Section)が識別できるとされていますが、遺伝子解析の結果によれば、多くの入れ子構造が確認されています。ここでは、3つの葉緑体遺伝子配列に基づく系統推定結果(Liu et al.,2015)を引用しておきます。
 バラ科 バラ目群 殿堂入りバラ 植物界 真核生物


【バラ属 Rosaの系統概要】Liu et al.(2015)

      ┌───ロサ・フェティダ Rosa foetida            ┐
  ┌───┤┌──オーストリアン・カッパー R. foetida var. bocolor  │
 ┌┤   └┴──R. foetida var. persiana              ├ピンピネリフォリア節
 ││ ┌┬────満州バラ Rosa xanthina               │(Pimponellifoliae)
 ││┌┤└────ロサ・プリムラ Rosa primula             │
 │└┤└┬────ロサ・オメイエンシスRosa omeiensis         │
 │ │ └────ロサ・セリセア Rosa sericea             ┘
┌┤ │┌─────ロサ・ムリエラ Rosa murielae            ┐
││ └┤┌────ロサ・マクロフィラ Rosa macrophylla         ├ハマナス節
││  └┤┌───ロサ・スウェンズウィー Rose sweginzowii       │(Rosa)
││   └┤┌──ロサ・フォレスティアーナRosa forrestiana      │
┤│    └┤┌─ロサ・ダブリカRosa davurica             │
││     ├┴┬ハマナス Rosa rugosa               │
││     │ └ヤエシロバナハマナス Rosa rugosa var. albo-plena  ┘
││     └┬─ロサ・パルストリス’プレナ’Rosa palustris f. plena ─カロリナ節(Carolinae)
││      └─ロサ・マハリス Rosa majalis             ─ハマナス節(Rosa)
││  ┌─────ロサ・キネンシス ムタビリス             ┐
││  │      Rosa chinensis f. mutabilis            │
││  │┌────ノイバラ Rosa multiflora              │
││  │├────ショウノスケバラRosa multiflora var. watosoniana  │ノイバラ節
││ ┌┤├────ロサ・ブルノニー Rosa brunonii           │ (Synstylae)
││ ││├────タイワンノイバラ Rosa taiwenensis          ├  &
││ ││├────ロサ・オドラータ Rosa odorata            │コウシンバラ節
││ │├┤┌───ロサ・オドラータ エルベスケンス           │ (Chinensis)
││ ││││    Rosa odorata var. erubescens           │
││ │││├┬──ロサ・ヘレーネ Rosa helenae             │
││┌┤│└┤└──ロサ・オドラータ ギガンテア             │
│││││ │    Rosa odorata var. gigantea            │
│││││ └┬──ロサ・ウェイシエンシス Rosa weisiensis       ┘
│││││  └──ダマスクローズ Rosa X damascena          ─ガリカ節(Gallicanae)
│││││   ┌─ロサ・マルチフローラ イネルミス           ┐ノイバラ節
│││││  ┌┤  Rosa multiflora var. inermis           │ (Synstylae)
│└┤││ ┌┤└─ロサ・キネンシス ミニマRosa chinensis var. minima ├  &
│ │││┌┤└┬─サクライバラ Rosa multiflora var. cathayensis    │コウシンバラ節
│ │││││ └─ロサ・ラシオセパラ Rosa lasiosepala         │ (Chinensis)
│ ││└┤└┬──ロサ・ロンギクスピス Rosa longicupsis        ┘
│ ││ │ └──ロサ・クーペリー Rosa X cooperii          ─レビガータ節(Laevigatae)
│ ││ └┬───ロサ・ソウリエアナ Rosa soulieana          ┬ノイバラ節 &
│ ││  └───ロサ・リチアンゲンシスRosa lichiangensis      ┘ コウシンバラ節
│ ││┌─────ロサ・グラウカ Rosa rubrifolia           ┐
│ │└┴┬────イヌバラ Rosa canina               ├イヌバラ節
│ │  └────ロサ・アルウェンシスRosa arvensis          ┘(Caninae)
│ │     ┌─モッコウバラ Rosa banksiae            ┐
│ │    ┌┤┌ロサ・バンクシア・ノルマリス            │
│ │    │└┤ Rosa banksiae var. normalis            ├モッコウバラ節
│ ├────┤ └ロサ・バンクシア・ルテア              │(Banksianae)
│ │    │   Rosa banksiae var. lutea             │
│ │    └─┬ロサ・シモサ Rosa cymosa              │
│ │      └ロサ・シモサ・プベルラ Rosa cymosa var. puberula  │
│ ├──────┬ロサ・フォーチュニアーナ Rosa X fortuniana     ┘
│ │      └ナニワイバラ Rosa laevigata            ─レビガータ節(Laevigatae)
│ ├サンショウバラ亜属(Platyrhodon)
│ │└─────┬イザヨイバラ Rosa roxburghii           ┬ミクロフィラ節
│ │      └ヒメサンショウバラ Rosa roxburghii f. normalis   ┘(Microphyllae)
│ └───────カカヤンバラ Rosa bracteata             ─カカヤンバラ節(Bracteatae)
│       ┌─シマバライチゴ Rubus lambertianus          ┐
├───────┴┬クサイチゴ Rubus hirsutus             ├外群
│        └ビロードイチゴ Rubus corchorifolius         │(Outgroup)
└─────────ヤマシモツケ Spiraea trilobata           ┘

Liu C, Wang G, Wang H, Xia T, Zhang S, Wang Q and Fang Y (2015) Phylogenetic Relationships in the Genus Rosa Revisited Based on rpl16, trnL-F, and atpB-rbcL Sequences, HortSci, 50(11), 1618–1624, DOI: 10.21273/HORTSCI.50.11.1618, Accessed: 2025-05-31.