月別アーカイブ: 2016年1月

鎌倉八景を巡る

 双子は友達とディズニーシー、家内も姉妹で会う約束があるとのことで、今日はひとりで鎌倉の八景を歩いてみました。
 青木・榊原(2007)によれば、鎌倉には3つの八景が知られているようです。いずれも8つの景が選ばれていますが、厳密に瀟湘型に沿っているのは1914年に撰された八景のみです。

鎌倉八景1、撰者、撰年とも不詳
 霊山の白雨、長谷の晩鐘、(帰帆は不明)、鶴ヶ岡の晴嵐、大佛の秋月、松渓の清籟、光明の夕照、比企の慕雪、
鎌倉八景2、撰者不詳、1914年(大正3年)
 大塔の夜雨、長谷の晩鐘、由比の帰帆、松葉谷の晴嵐、大仏の秋月、鶴ヶ丘の落雁、光明寺の夕照、比企の慕雪
鎌倉八景3、撰者、撰年とも不詳
 大塔の白雨、長谷の晩鐘、由比の帰帆、鶴ヶ丘の晴嵐、大佛の秋月、二階堂の松籟、七里ガ浜の夕照、建長の慕雪

 今回は、ほとんど文献調査をしておらず、範囲もそこそこ広いので、早出して田浦-逗子経由で朝7時には材木座光明寺に到着し、相模湾側から巡検しました。

【光明の夕照、光明寺の夕照】
 天照山蓮華院光明寺は、浄土宗の関東大本山で仁治元年(1240年)佐助ヶ谷に開創した蓮華寺を起源とするそうです。『光明寺裏山の展望』はかながわの景勝50選に選ばれています。早起きのおかげで(明け六つ相当の)朝7時の鐘の音を聴くことができました。


【由比の帰帆】
 滑川河口西側の海岸を由比ガ浜と呼びます。帰帆の絵になる漁船はみかけませんでしたが、滑川河口には魚籃観音の碑がありました。

【霊山の白雨】
 霊山山りょうぜんさんは、稲村ケ崎にある山で、かつては霊山寺仏法寺という寺があったそうです。鎌倉海浜公園のロベルト・コッホ記念碑の近くから跡地の山頂に行くことができました。霊山ヶ崎の異名を持つ稲村ヶ崎はかながわの景勝50選に入っています。

【七里ガ浜の夕照】
 七里ガ浜は、稲村ヶ崎と小動岬こゆるぎみさきの間にある砂浜で、日本の渚百選に撰されているそうです。

【長谷の晩鐘】
 海光山慈照院長谷寺は、長谷観音の通称で知られています。創建は、創建は奈良時代とされており、比較的新しい寺院が多い鎌倉としては古くからある寺院です。梵鐘は、重要文化財に指定されています。

【大佛の秋月】
 大異山高徳院清浄泉寺は、材木座光明寺の末寺で、阿弥陀如来像は『鎌倉大仏』と呼び習わされています。東鑑によれば寛元元年(1243年)開眼供養とあるそうですが、出自に関しては不明のことも少なくないとのことです。肝心の大仏は現在改修工事中で、公開再開は3月11日だそうです。

【松渓の清籟】
 松渓というのは、松谷まつがやつのことでしようか。ウェブ情報によれば、佐助地区には松谷寺しょうこくじという寺があったそうです。清籟は『清らかな風の音』とのことです。

【比企の慕雪】
 比企谷ひきがやつには、日蓮宗本山の長興山妙本寺がありました。

【松葉谷の晴嵐】
 松葉ヶ谷まつばがやつには、日蓮宗の妙法蓮華山安国論寺があります。日蓮上人が『立正安国論』を著したことにより、避難することになったという南面屈が今も残されています。松葉ヶ谷まつばがやつには、同じ日蓮宗の楞厳山りょうごんざん妙法寺もあります。

【鶴ヶ岡の晴嵐、鶴ヶ丘の落雁、鶴ヶ丘の晴嵐】
 国幣中社鶴岡八幡宮は、治承4年(1180年)に源頼朝が現在地に遷したといわれ、2016年の初詣には250万人が訪れたそうです。

【建長の慕雪】
 巨福山こふくさん建長興国禅寺は、建長寺の名で親しまれている臨済宗建長寺派の総本山です。寺史(大本山建長寺(2010))によれば、建長3年(1251年)に落慶供養が行われたそうで、鎌倉五山筆頭にして、この界隈には建長寺の末寺が多数存在しています。八景の関連では浦郷(北郷)八景の獨園晩鐘で知られる獨園寺が建長寺派ですし、金澤八景一覧の地『九覧亭』のあった昇天山金龍禅院も建長寺末です。

【大塔の夜雨、大塔の白雨】
 大塔宮おおとうのみやは、護良親王もりながしんのうを祭神とする官幣中社鎌倉宮の別名です。白雨は『にわかあめ』のことですから、夜雨に対して昼間の雨を表しているのでしょうか。早咲きの桜が既に満開を過ぎており、花季から考えてヒカンザクラ系と思われます。

【二階堂の松籟】13
 松籟は『松の梢を吹く風』の意です。二階堂は源頼朝が建立したとされる永福寺ようふくじのことで、応永12年(1405年)の火災で廃寺となったそうですから、永福寺跡の松林のを撰したものかも知れません。永福寺ようふくじ跡地は、現在整備工事中となっています。

【参考文献】
青木楊二、榊原英子編(2007)八景の分布と最近の研究動向、国立環境研究所報告、第197号、256p.
大本山建長寺(2010)建長寺.

 以下、本日撮影した写真です。


【参考】
 ハアザミ Acanthus spp.
 ジョウビタキ Phoenicurus auroreus
 トウネズミモチ Ligustrum lucidum
 ヒヨドリ Hypsipetes amaurotis
 紅梅 Prunus mume
 マルバアカシア Acacia podalyriifolia

吉井八景を巡る

 今日(2016年1月24日)は、久里浜周辺に位置する吉井八景縁の地を訪ねました。吉井八景は横須賀雑考に記載がありますが、撰年も撰者も不明とされています。数は8つ揃っていますが瀟湘型になっておらず、秋月が観月、帰帆が釣船となっており、慕雪の代わりが曉色になっています。
【池田落雁】
 まずは、池田地区の最高峰池田山に登ってみました。山は住宅地になっていて、今も造成工事中です。頂上付近には桜、おそらくはオオシマザクラの大木が沢山ありましたので、今度は春に尋ねてみたいものです。


【吉井夕照】
 午前中に横浜横須賀道路の北側の吉井鎮守の安房口神社を、午後に南側の吉井山清水院眞福寺を尋ねました。池田山もそうでしたが、眞福寺の御林おはやしはドングリでいっぱいでした。

【森崎夜雨】
 森崎では妙覚寺を尋ねました。大きなスダジイや竹林が印象的でした。

【萱山晩鐘】
 普門山慈眼院じげんいんのすぐ裏手に茅山かやま貝塚があります。慈眼院に梵鐘はないようですが、このあたりの景と思われます。

【矢部晴嵐】
 現在「矢部」の名前の付く地名は小矢部と大矢部がありますが、今回は大矢部を歩いてみました。義明山満昌寺は、三浦義明の墓所がある臨済宗の寺です。近くには、三浦義明を祭神とする近殿神社や薬師寺跡もあります。横浜横須賀道路の南側の市営公園墓地内の林も当時の風情を残しているようです。

【佐原暁色】
 瀟湘八景型であれば、慕雪とすべきところを曉色としているようです。現在佐原には横浜横須賀道路の佐原インターチェンジができて、大きく様変わりしています。佐原2丁目公園にはサッカー場もできていました。

【久村釣船】
 この地域に海はないので釣船としたのでしょうが、現在の久村には船が運航できるような河川も見かけなくなっています。少し離れた平作川ひらさくがわには船が舫われていました。

【城山観月】
 秋月とすべきところが観月になっています。吉井城山にあった怒田城にかかる月を愛でたものと推定されます。額田城址は、現在吉井貝塚として公開されています。奇しくも今日は満月の日です。

【参考文献】
 高橋恭一(1968)三浦半島の八景、横須賀雑考、p.466-477.

 以下、本日撮影した写真です。

初声八景、宮田八景を巡る

【初声八景と宮田八景】
 三浦市では三崎八景が比較的よく知られているようですが、横須賀市との境付近の北部地区にもふたつの八景があったそうです。

初声八景、大正11年(1922年)、撰者不詳
 波島夜雨、実相晩鐘、矢作帰帆、長浜晴嵐、若宮秋月、新田落雁、黒崎夕照、丸山慕雪
宮田八景、撰年、撰者とも不詳
 黒崎夜雨、実相寺晩鐘、矢作帰帆、長浜晴嵐、若宮秋月、原下落雁、亀島夕照、波島暮雪

 現在の地名で初声(はっせ)の名前が残っているのは、三浦市の初声町和田、初声町入江、初声町下宮田、初声町三戸、初声町高円坊の五つです。今日は、下宮田、入江、和田を歩いてみました。

【初声八景丸山慕雪】初声町下宮田
 初声町下宮田に『丸山公園』の名前が残っていました。住宅地の中の小さな公園ですが、少し離れるとあたりはキャベツ畑や大根畑が広がっていました。


【若宮秋月】初声町下宮田
 キャベツ畑の向こうにこんもりとした岡が見えて、その麓にあるのが若宮神社です。この神社は、新編相模国風土記稿の下宮田村の項に『永正中北條早雲三浦道寸と合戦の時、兵火に罹りしと云』とありますので、少なくとも16世紀初頭にから村の鎮守だったことになります。今はすぐ隣が初声小学校、総合体育館『潮風アリーナ』もすぐ近くです。

【初声八景波島夜雨、宮田八景波島慕雪】初声町入江
 波島(はじま)の周囲はすっかり埋め立てられ、平成20年3月に神奈川県の開発許可が下りたにも拘わらず、そのまま放置されているようです。

【初声八景実相寺晩鐘、宮田八景実相晩鐘】初声町下宮田
 歓喜山實相寺は鎌倉本覚寺の末で、新編相模国風土記稿によれば、『鐘楼 享保八年時の地頭水野右近元朝起立す』となっていますが、梵鐘は太平洋戦争時に供出されたため、当時のものとは別とのことです。

【初声八景黒崎夕照、宮田八景黒崎夜雨】初声町下宮田
 三戸海岸と長浜海岸の境となっている岬が黒崎の鼻です。天気が良ければ富士山が正面に見える筈の景勝地ですので、日を改めて再訪の予定です。

【矢作帰帆】初声町和田
 矢作地区には小さな漁港がありますので、その情景を撰したものと思われます。残念ながら海に出ている船は見当たりませんでした。

【長浜晴嵐】初声町和田
 長浜は、砂浜が1km近く続く海岸です。岩礁部では緑藻の緑がきれいでした。

【初声八景新田落雁】場所不詳
 入江新田のことではないかと思われますが、開発の時代等につき、もう少し文献調査をしてみたいと思います。

【宮田八景亀島夕照、原下落雁】場所不詳
 亀島、原下という地名(?)を調査中です。『宮田八景』ですので、今度は東京湾側の上宮田のほうも歩いてみる予定です。

【参考文献】
 高橋恭一(1968)三浦半島の八景、横須賀雑考、p.466-477.
 青木楊二、榊原英子編(2007)八景の分布と最近の研究動向、国立環境研究所報告、第197号、256p.
 新編相模国風土記稿第五巻

 以下、本日撮影した写真です。1月2日に三浦七福神を廻った際に時間切れで辿り着けなかった延壽寺に立ち寄ったほか、園得寺の魚籃観音も尋ね、長浜から荒崎に抜ける際に通りかかった佃嵐崎つくだらしざきでは海鳥が多数休んでいるのを見かけました。岩礁域なのでイソヒヨドリかと思った鳥は、ズームしてみるとツグミでした。ウミウかカワウかは識別できませんでした。


【参考】
 カワヅザクラCerasus x kanzakura ‘Kawazu-zakura’
 オルレア Orlaya grandiflora
 アラセイトウ Mathiola incana
 キンセンカ Calendula officinalis
 ブロッコリー Brassica oleracea var. italica
 カリフラワー Brassica oleracea var. botrytis
 青首大根 Raphanus sativus var. longipinnatus
 タゼッタスイセン Narcissus spp.
 マサキ Euonymus japonicus
 不明種 Scenicio spp.(?)
 白梅 Prunus mume
 キダチロカイ Aloe arborescens
 ハマダイコン Raphanus sativus
 ツグミ Turdus eunomus
 ユリカモメ Larus ridibundus
 ハマボウフウ Glehnia littoralis
 ウミウ Phalacrocorax capillatus
 カワウ Phalacrocorax carbo
 イチョウ Ginkgo biloba
 キズイセン Narcissus jonquilla

鶴と亀の八幡宮

 今日は久しぶりに鎌倉へ。鶴岡八幡宮から長谷寺を廻った後、帰りは逗子経由で亀岡八幡宮にも立ち寄りました。


【参考】
 カイヅカイブキ Juniperus chinensis
 タイワンリス Callosciurus erythraeus thaiwanensis
 トビ Milvus migrans
 タブノキ Machilus thunbergii
 タイワンツバキ Gordonia axillaris

浦賀八景を巡る

 昨年11月にも、家内と訪れた浦賀の町、今日は浦賀八景の地をテーマに歩いてみました。
芝生落雁
 芝生(しぼう)は、浦賀駅の西北側の旧地名です。この辺りには水田や湿地は残されていませんが、川沿いの狭隘な平地に雁が降りたつことがあったかも知れません。


【柳涯夜雨】
 荒巻町あたりには、かつて花街が栄えていたそうです。縁のありそうな遺構は見当たりませんでしたが、老舗のパン屋さんがありました。

【扇海秋月】
 浦賀湾にかかる月ということで、愛宕山の坂本龍馬立像建立予定地から湾を眺めてみました。

【灯台帰帆】
 灯台とは燈明台のことで、2001年に三浦半島八景にも採用されたため、今でも訪れる人の多い地点です。

【館浦晴嵐】
 館浦は現在シティマリーナヴェラシスのあるあたりだそうです。

【平根暮雪】
 平根山にあったという千代ケ崎砲台跡は、私有地となっており入れませんでした。すぐ裏側は、特別養護老人ホーム太陽の家となっていました。

【東林晩鐘】
 浦賀山東林寺は浄土宗の仏教寺院ですが、なぜか鳥居があります。境内にある仏像はまだ新しい様で、どことなく芸術の香りを感じましたので、近くぜひ再訪したいと思います。

【尾村夕照】
 尾村は、山本詔一氏によれば、東叶神社の東側、現在のかもめ団地の「大室(おおむろ)」地区とのことですが、今回は時間切れで辿り着けませんでした。

【参考】
 高橋恭一(1968)三浦半島の八景、横須賀雑考、p.466-477.
 山本詔一氏の講演記録

 以下、本日撮影した写真です。


【参考】
 フチベニベンケイ Crassula ovata
 コバノランタナ Lantana montevidensis
 イヌマキ Podocarpus macrophyllus
 トキワサンザシ Pyracantha coccinea
 ツタバウンラン Cymbalaria muralis
 スイセン Narcissus tazetta
 マサキ Euonymus japonicus

【祝!一級合格】

 今日は、横須賀剣道連盟の級審査会が三浦潮風アリーナで開催されました。絵梨花と茉莉花は、中学二年生としては少々遅れ気味ながら、揃って一級の審査に合格しました。これで、一級受有者となり、次回は初段の審査を受けることができるようになります。因みに、お祝いの会は、六浦スシローでした。

横濱金澤七福神めぐり2016

 今日は、横濱金澤七福神の御開帳日にして、金澤観光協会主催のスタンプラリーの日でした。今年は3回目の参加にして、初めてすべて徒歩で一日で廻ってみました。
 【本日の路程】 2012年1月1日 2014年1月5日 2017年1月7日 2019年2月10日


弁財天

大黒天

毘沙門天

福禄寿

布袋尊

寿老人

弁財天

大黒天

毘沙門天

福禄寿

布袋尊

寿老人

恵比寿尊

横濱金澤七福神
 弁財天-琵琶島神社
 毘沙門天-嗣法山傳心寺
 大黒天-知足山龍華寺
 福禄寿-赤井山正法院
 布袋尊-富岡山長昌寺
 寿老人-此木山西方寺寶蔵院
 恵比寿尊-富岡八幡宮

ジュピの店がリニューアルオープン

 富岡地区では隠れた名店として知られる駄菓子屋さん『ジュピの店』が、昨年(2015年)12月25日をもって閉店したそうです。これも時代の流れと思って、よくよく見たらこの春、『ジュピのえんがわ』として近くに移転オープンするとありました。
 100mほど奥の古民家が移転先とのことで、縁側付きの現場では丁度改装工事の最中でした。うちの娘たちも大きくなったので、私が訪ねることはもうないのかも知れませんが、子供たちのコミュニケーションの場が残された意義は大変大きいと安堵いたしました。



 オープン後
(2016.5.15)

春と秋の競演-フラワーライン

 追浜中学校のフラワーラインが、見ごろを迎えています。春は寒咲花菜……、だった筈ですが、今年は秋を彩った黄花コスモスの種がこぼれて発芽して開花まで至っていました。これもエルニーニョに伴う暖冬の影響かも知れません。しばらくは、春秋の競演を楽しむことができそうです。
 –> 1/18の降雪で、黄花コスモスはすっかり萎れてしまいました。


【参考】
 寒咲花菜 Brassica rapa
 黄花コスモス Cosmos sulphureus

以下、今日撮影した写真です。
 双子がかつてお世話になった富岡の駄菓子屋さんジュピの店は、この春(4月?)、富岡サロン『ジュピのえんがわ』として移転オープンするそうです。


【参考】
 サンシュユ Cornus officinalis
 サザンカ Camellia sasanqua
 ウメ Prunus mume
 ロウバイ Chimonanthus praecox
 スイセン Narcissus tazetta
 ジュウガツザクラ Cerasus x subhirtella ‘Autumnalis’