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シュロソウ科(Melanthiaceae)の写真整理

 シュロソウ科(Melanthiaceae)は、現在はユリ科、サルトリイバラ科などからなるクレードの姉妹群としてユリ目に置かれているグループで(APG,2018)、最大196種により構成されるKim et al.(2019)とされていましたが、現在でもさらなる整理が進んでいる様です。
 この科には強い生理活性をもつ種が含まれていて、なかでもギボウシ(ウルイ)と外観が似ているバイケイソウ類は、中毒例が毎年のように報告されています。神奈川県植物誌(2018)によれば、三浦半島ではこの科の分布がない様で、写真は旅行中および前任地で撮影したものです。
 維管束植物の分類【概要小葉植物と大葉シダ植物裸子植物被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹


【ユリ目(Liliales) シュロソウ科(Melanthiaceae)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
シュロソウ属 Veratrum
コバイケイソウ コバイケイソウ
Veratrum stamineum Hellebore
ショウジョウバカマ属 Heloniopsis
ショウジョウバカマ ショウジョウバカマ
Heloniopsis orientalis Japanese Hyacinth

【シュロソウ科(Melanthiaceae)周辺の系統概要】Kim et al.(2019)

┌ユリ目(Liliales)
││  ┌シュロソウ科(Melanthiaceae)
││  ││  ┌キヌガサソウ亜科(Parideae)
││  ││  ││ ┌キヌガサソウ属 Paris
││  ││ ┌┤└┬┴エンレイソウ属 Trillium
││  ││ ││ └シュードトリリウム属
││  ││┌┤│  └Pseudotrillium rivale
┤│  ││││└クセロフィラム亜科(Xerophylleae)
││  ││││ └クセロフィラム属 Xerophyllum
││  ││││┌シライトソウ亜科(Chionographideae)
││  │││└┤└シライトソウ属 Chionographis
││  │││ │ └Chamaelirium luteum
││  │└┤ └ショウジョウバカマ亜科(Heloniadeae)
││  │ │  │┌ヘロニアス属 Helonias
││ ┌┤ │  └┴┬ショウジョウバカマ属 Heloniopsis
││ ││ │    └イプシランドラ属 Ypsilandra
││ ││ └シュロソウ亜科(Melanthieae)
││ ││  │    ┌リシリソウ属 Anticlea
││ ││  │   ┌┴┬メランチウム属 Melanthium
││ ││  │  ┌┤ └ステナンチウム属 Stenanthium
││┌┤│  │ ┌┤└┬アミアンチウム属 Amianthium
│││││  │┌┤│ └シュロソウ属 Veratrum
│││││  └┤│└サバジラ属 Schoenocaulon
│││││   │└トキシコスコルディオン属 Toxicoscordion
│└┤││   └ジガデナス属 Zigadenum
│ │││┌┬リポゴヌム科(Ripogonaceae)
│ ││└┤└フィレシア科(Philesiaceae)
│ ││ └┬ユリ科(Liliaceae)
│ ││  └サルトリイバラ科(Smilacaceae)
│ ││ ┌ユリズイセン科(Alstroemeriaceae)
│ ││┌┤└(Luzuriagaceae)
│ │└┤└イヌサフラン科(Colchicaceae)
│ │ └ペテルマニア科(Petermanniaceae)
│ └カンピネマ科(Campynemataceae)
└キジカクシ目(Asparagales)
 │ ┌ヒガンバナ科(Amarylidaceae)
 └┬┴キジカクシ科(Asparagaceae)
  └ラン科(Orchidaceae)

【文献】
Kim C, Kim S-C and Kim J-H (2019) Historical Biogeography of Melanthiaceae: A Case of Out-of-North America Through the Bering Land Bridge, Front Plant Sci, 10:396, DOI: 10.3389/fpls.2019.00396, Accessed: 2025-07-11.
The Angiosperm Phylogeny Group and others (2016) An update of the Angiosperm Phylogeny Group classification for the orders and families of flowering plants: APG IV, Botanical Journal of the Linnean Society, 181(1), 1–20, DOI: 10.1111/boj.12385, Accessed: 2023-07-11.
Tanaka N (1997) Taxonomic Significance of Some Floral Characters in H elonias and Ypsilandra (Liliaceae), J Jap Bot, 72, 110-116, DOI: 10.51033/jjapbot.72_2_9144, Accessed: 2025-07-12.
厚生労働省, バイケイソウ類, URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000079821.html, Accessed: 2025-07-12.
神奈川県植物誌調査会 (2018) 神奈川県植物誌2018(上)、p270-274.

日本産ギボウシ属(Hosta)の系統概要

 ギボウシ(擬宝珠)は、キジカクシ科ギボウシ属の総称で、ウルイの名で知られるオオバギボウシ(Hosta sieboldiana)の若芽は山菜として利用されています(菅原,2001)。ギボウシ属の分布の中心は東アジアであり、最も種多様性に富んでいるのは、我が国の四国地方と考えられていて、最近公表された文献(矢原ら,2023)によって、新たに5種が記載されています。
 キジカクシ科 2023-06-18 現生植物 現生生物 後世動物


【日本産ギボウシ属(Hosta)の系統概要】Yahara et al.(2023)
属内に6つのクレード(分岐群)か識別され、その内の一つ、クレード1では5種の新種が記載されています。

クレード1 (Clade1)
││     ┌ナンカイギボウシ Hosta tardiva subsp. tardiva
││   ┌┬┴スダレギボウシ Hosta tardiva subsp. densinervia
┤│  ┌┤└オクスダレギボウシ Hosta polyneronoides【新記載種】
││ ┌┤└ザラツキギボウシ Hosta scabrinervia
││┌┤└サムカゼギボウシ Hosta samukazemontana【新記載種】
││││┌Hosta sp. 3
│││└┤┌ミナヅキギボウシ Hosta minazukiflora【新記載種】
│└┤ └┴┬シコクホキボウシ1 Hosta shikokiana 2
│ │   └シコクホキボウシ2 Hosta shikokiana 1
│ │┌カムロギボウシ Hosta longipedicallata【新記載種】
│ └┴┬タキミナヅキギボウシ Hosta takiminazukiflora subsp. takiminazukiflora【新記載種】
│   └セトガワギボウシ Hosta takiminazukiflora subsp. grandis【新記載亜種】
クレード2 (Clade2)
│└ヒメイワギボウシ Hosta gracillima
クレード3 (Clade3)
││┌┬Hosta sp. 1
│└┤└┬ブンゴギボウシ Hosta alata
│ │ └ウバタケギボウシ Hosta pulchella
│ └┬ヒュウガギボウシ Hosta kikuchii
│  └┬Hosta sp. 2
│   └サイコクイワギボウシ Hosta longipes var. caduca
└┬クレード4 (Clade4)
 │└┬トサノギボウシ Hosta tosana var. caput-avis
 │ └トサノギボウシ Hosta tosana Kagami Rver lineage
 │┌クレード5 (Clade5)
 └┤└オヒガンギボウシ Hosta aequinoctiiantha
  └クレード6 (Clade6)
   │  ┌Hosta sp. 4
   │ ┌┴┬イワギボウシ Hosta longipes var. longipes
   │┌┤ └イズイワギボウシ Hosta longipes var. latifolia
   ││└オオバギボウシ Hosta sieboldiana 
   └┤ ┌ナガサキキボウシ Hosta tibae
    │┌┼カンザシギボウシ Hosta cpitata
    └┤└ツシマギボウシ Hosta tsushimensis
     │┌┬バランギボウシ Hosta alismifolia
     └┤└ミズギボウシ Hosta lonissima
      └┬トウギボウシ Hosta seiboldiana X seiboldii
       └コバギボウシ Hosta seiboldii 

【文献】
菅原豊司 (2001) 岩手県北中山間地域の特産物の需要と産地対応, 東北農業研究別号, 14, 23-35, URL: https://www.naro.affrc.go.jp/org/tarc/to-noken/DB/DATA/e14/e14-023.pdf, Accessed: 2025-07-03.
Yahara T, Hirota SK, Fujii S, Kokami Y, Kengo Fuse K, Sato H, Tagane S , Suyama Y (2023) Molecular phylogeny and taxonomy of Hosta (Asparagaceae) on Shikoku Island, Japan, including five new species, one new subspecies, and two new status assignments, PhytoKeys, 235. 137–187, DOI: 10.3897/phytokeys.235.99140, Accessed: 2025-07-02.
Sauve RJ, Zhou S, Yu Y and Schmid WG (2005) Randomly Amplified Polymorphic DNA Analysis in the Genus Hosta, HortScenece, 40(5), 1243–1245, DOI: 10.21273/HORTSCI.40.5.1243, Accessed: 2025-07-03.
ソファアセンター(柏崎市立図書館) (2014)「四季・植物」46うるい, ソフィアだより, (94), 1, URL: https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11240916/www.city.kashiwazaki.lg.jp/library/kyoiku/bunka/tosho/hakkobutsu/documents/94.pdf, Accessed: 2025-07-06.

蓮、薔薇、擬宝珠など

 ハスの花の季節には早朝開園しているとのウェブ情報を見かけたので、朝一で大船フラワーセンターを尋ねました。園内ではニイニイゼミが鳴きだしています。
 ハス科 2023-06-18 現生植物 現生生物 後世動物
【本日更新のページ】バラ科 キジカクシ科 トケイソウ科 ヤマモガシ科 膜翅目 鞘翅目


【蓮】
 ウォレマイ・パイン Wollemia nobilis Wollemi Pine
 ハス Nelumbo spp.


大船フラワーセンターにハスが来た経緯
 大船フラワーセンターは2020年1月静岡県沼津市の本廣寺の関戸慈誠住職から約190品種のハスを譲り受けました。関戸住職は前任の蓮興寺(静岡県沼津市)で約30年間ハスを育ててきましたが、栽培の継続が困難になり、新しい担い手を探していらっしゃいました。2019年、当園の園長である榎本浩が栽培の引継ぎを申し出たところ、譲渡を快諾していただきました。
 2024年には大阪市のこの花咲くや館、及び蓮文化研究会から合計20品種のハスを譲り受けるなど、当園にて管理を行っていたハスと併せて、現在261品種のハスを園内に転じ字ています。


大賀ハス
 日本では非常に有名はハスで、1951年千葉の検見川の東京大学厚生農場の敷地内から縄文時代(約2000年前の地層)の丸木舟が発見され、大賀博士は多くの協力者を得て、その地下から3個のハスの実を発掘しました。そのうちの1個が発芽・開花しました。大賀博士にちなんで命名され平和のシンボルとして世界各国に株分けされています。花はピンク色で条線がぼやけており、葉の表面が触ると他の品種に比べてすべすべとした感触があります。別名「二千年蓮」。
大賀ハスは、実生、即ち発芽種子から育成すると、外観上の形質が大きく変化することが知られています。ここで展示されているのは種子系だけの様でした。
大賀ハス(こども植物園)


珍しいハス
○植松家系
 沼津の植松家の代々受け継がれてきたコレクション。一般には出回っていないので名前が付いていません。植松家の祖先は武田氏の宿將須田朝重で、武田が敗れたあと、朝重の嫡男李重が天正十二年(1584)年に居を決め、沼津で開墾や植林にいそしみ花卉類の収集もしました。花長者として有名になり、庭も帯笑園と名付けられ江戸に下る公家や大名、または明治政府の官僚、皇后、皇太子などが立ち寄り花卉類と京文化の交換の場となりました。
○大石寺系
 日蓮宗総本山の大石寺で昔から受け継がれてきたハス。一般に出回っていません。「大石NO. 」というのがそのまま正式名称になっています。
○巨椋池系
 巨椋池とは戦前まではハスの名所として世に知られた池です。現在の京都市、宇治市、久世郡久御山町くみやままちにまたがり、面積約800ヘクタールにも及んだところでしたが、農地・水田として埋め立てられ、今はありません。現在交通の要衝ともなっています。
 池であった当時、面積100ヘクタールほどのハスの群生地が広がっていました。この広さは中国の著名な蓮池にも匹敵します。池跡地の田んぼを巡り採取した幼芽を育成した蓮が巨椋池系と呼ばれています。巨椋池系の品種は約90種類ほどあります。


ハス Nelumbo nucifera、キバナハス Nelumbo lutea
 紅蜀紅蓮べにしょっこうれん
 玉鶯ぎょくおう
 朱雀の舞姫すざくのまいひめ
 玉繍ぎょくしゅう
 玉繍蓮ぎょくしゅうれん
 喜上眉梢きじょうびしょう
 絢爛華けんらんか
 西村白にしむらしろ
 巨椋大島おぐらおおしま
 巨椋の曙おぐらのあけぼの
 巨椋の香おぐらのかおり
 巨椋瑞光おぐらずいこう
 巨椋の彩雨おぐらのさいう
 常楽じようらく
 春不老はるふろう
 多彩たさい
 輪王蓮りんのうれん
 美中心びちゅうしん
 不忍池斑蓮しのばずのいけまだらはす 瑞姫みずひめ
 花火はなび
 黄陽きよう
 アルバ・グランディフローラ ‘AlbaGrandiflora’ (?)
 乗県碧蓮じょうけんへきれん
 天竺斑蓮てんじくまだらはす
 紅がにべにがに
 内側の縮れた花弁の形がカニの手のように見えることから「紅がに」と名付けられた。内田又男氏が育成したもの。中盤(荷鼻)の形は下の点々が大きく流れる模様となり、荷鼻から判断できるハスでもある。


 素白蓮そはくれん
 悄英しょうえい
 舞妃蓮まいひれん
 大賀蓮と王子蓮の交配種、優雅な舞姿を連想させることから妃殿下にイメージを重ねて、「舞妃蓮」と名付けられる。昭和43年に東宮御所に献上された。


 飛舞蓮ひぶれん
 ローズプレナ ‘Rose Plena’
 丈炎の舞じようえんのまい
 常陸の曙ひたちのあけぼの
 大灑錦たいさんきん
 暁風涼月ぎょうふうりょうげつ
 西円寺青蓮さいえんじせいれん
 カロライナ・クイーン ‘Carolina Queen’
 ミセス・スローカム ‘Mrs. Slocum’
 玉葉黄ぎょくようき
 花雲淡紅かうんたんべに
 アメリカ黄蓮あめりかおうれん
 雲之霞くものかすみ
 オハイオ蓮おはいおばす
 漁山紅蓮ぎょざんこうれん
 花色は桃色で条線は鮮明。漁山は声明(僧が仏の徳をたたえて節をつけて唱える)の起源地として伝説に残る中国の地。DNA分析では、現在伝わる藤壺蓮、浄台蓮、漁山紅蓮、桜蓮は、同一と判定された。これらは、形質的にも極似している。


 古楚女こそめ
 大空蓮だいくうれん
 大内池おおうちいけ
 インド白蓮いんどびゃくれん
 仏足蓮ぶっそくれん
 明妃めいひ
 宮西みやにし
 友誼牡丹ゆうぎぼたん
 大賀蓮おおがはす(種子系)
 重水華ちょうすいか
 黄玉杯こうぎょくはい
 白万葉しろまんよう
 唐招提寺蓮とうしょうだいじれん
 玉泉寺妙蓮ぎょくせんじみょうれん
 奈良蓮ならばす
 白君子小蓮しろくんししょうれん (?) ペリーズ・ジャイアント・サンバースト “Perry’s Giant Sunburst”
 斑桃まだらもも (?)
 寿星桃じゅせいとう
 詩仙堂西湖蓮しせんどうさいこれん
 剣舞蓮けんぶれん
 毎葉蓮まいようれん
 花上りが非常に良いのが特徴。ハスは節から一対の葉と花を上げてくるが、実際には花の方はすべてが上がってくるわけではない。しかし、本品種はそのすべての葉ごとに花が上がるほど花付がいいという意味で毎葉蓮の名が付いた。


 御所車ごしょぐるま
 金輪蓮きんりんれん
 西福寺観世さいふくじかんぜ
 即非蓮そくひれん
 植松10
 大石寺23
 植松03
 植松02
 大石寺08
 植松19
 大石寺21
 粉松球ふんしょうきゅう
 (突然変異)
 紫玉蓮しぎょくれん
 赤大君子あかだいくんし
 天照爪紅てんしょうつまべに
 天嬌てんきょう
 廬山白蓮ろざんびゃくれん
 植松球うえまつきゅう
 神采しんさい
 碧翠蓮へきすいれん
 小舞妃しょうまいひ
 小金鳳しょうきんほう
 揚州碗蓮ようしゅうわんれん
 祥隆紅蓮しょうりゅうこうれん



バラ Rosa
 デンティ・ベス ‘Dainty Bess’
 ピース ‘Peace’
 ゴールデン・チャッピー ‘Golden Chappy’
 ピンク・サクリーナ ‘Pink Sakurina’
 カウンティ・フェア ‘County Fair’
 マチルダ ‘Matilda’
 シークレットロパフューム ‘Secret Perfume’
 ミセス・オークリィ・フィッシャー ‘Mrs. Oakley Fisher’
 フラウ・ホレ ‘Frau Holle’
 金蓮歩 ‘Kinrenpo’
 ティファニー ‘Tiffany’
 オリンピック・ファイヤー ‘Olympic Fire’
 桜貝 ‘Sakuragai’
○ロサ・ギガンテア Rosa giganrea Manipur Wild-Tea Rose
 ロサ・キネンシス・ミニマ Rosa chinensis var. minima
 イザヨイバラ Rosa roxburghii
 ノイバラ Rosa multiflora


【擬宝珠】

日比谷花壇が管理するようになってから随分管理が良くなったフラワーセンターなのですが、古い説明版には信用できないものが残されている様です。
 レンゲギボウシ(黄覆輪) Hosta X fortunei
 コバギボウシ Hosta sieboldii syn. Hosta albo-marginata
 ギボウシ属の一種 Hosta sp.
 ホスタ・ウィリーニリィ Hosta cv. ‘Willy Nilly’
 マルバノタマカンザシ Hosta plantagina
 ホスタ・ハルシオン Hosta cv. ‘Halcyon’
 ホスタ・シャンデー Hosta cv. ‘Shandy’
 オハツキキボウシ(白覆輪) Hosta undulata var. Erromena
 ホスタ・シェードファンファーレ Hosta cv. ‘Sade Fanfare’
 タチギボウシ(黄中斑) Hosta sieboldii var. rectifolia Erect Hosta
 トクダマギボウシ(斑入り) Hosta sieboldiana var. condensata
 黄金姫トクダマ Hosta sieboldiana ‘Tokudama Aureonebulosa’
○スジボウシギ Hosta undulata Wavy Plantain Lily
 黄金コバギボウシ Hosta sieboldii ‘Ougon’
 オオバギボウシ Hosta sieboldiana
 ギボウシ属の一種 Hosta sp.
 ホスタ ‘武州錦’ Hosta ‘BushuNishiki’



 ヤマグルマ Trochodendron aralioides
 プラタナス Platanus sp.
 アエスクルス・パルウィフロラ Aesculus parviflora
○ニホンミツバチ Apis cerana japonica
○マメコガネ Popillia japonica
 シロタエギク Jacobaea maritima
 イヌタヌキモ Utricularia tenuicaulis
 ギャラックス・ウルセオラタ Galax urceolata
 ウォーターバコパ Bacopa caroliniana
 マルバデイゴ Erythrina crista-galli ‘Maruba-Deigo’
 ムサシアブミ Arisaema ringens
 ウラハグサ Hakonechloa macra
 ハアザミ Acanthus mollis
 ネムノキ Albizia julibrissin
 チョウセンアザミ(カルドン) Cynara cardunculus
 セイヨウニンジンボク Vitex agnus-castus
 ヒマワリ Helianthus annuus
 カンレンボク Camptotheca acuminata
 テイキンザクラ ‘ホコバヤトロファ’ Jatropha integerrima
 キバナキョウチクトウ Thevetia peruviana
 ペトレア・ウォルビリス Petrea volubilis
 シクシン Combretum indicum
 キフゲットウ Alpinia zerumbet ‘Variegata’
 パイナップル Ananas comosus
○パッシフローラ・サンギノレンタ Passiflora sanguineolenta Blood Red Passion Flower
○ステノカルプス・サリグヌス Stenocarpus salignus Scrub Beefwood
 ケヤキ Zelkova serrata


【文献】
日本花蓮協会 (2015) 日本で栽培されている品種, URL: http://www.j-lotus.org/hanabunrui/7%20sirohitoe.htm, Accessed: 2025-06-30.
久保中央, 金子明雄, 山本和喜 (2015) SSRマーカーに基づく巨椋池系品種群を含む日本国内花蓮品種の分類, 育種学研究, 17, 45–54, DOI: 10.1270/jsbbr.17.45, Accessed:2025-06-30.

バラ写真の香りタイプによる整理

 バラの育種は、姿形だけでなく香りを楽しむことも目標とされてきました。蓬田・黒澤(2010)は、モダンローズを香気成分パターンから7つの香りタイプに分けることができるとしています。このページでは、これまで撮影していた芳香バラを香りタイプ別に整理してみました。
【系統】バラ属 バラ科 バラ目群 植物界 真核生物、 殿堂入りバラ


【ダマスク・クラシック】
 ロサ・ダマスセナ(Rosa X damascena)、ロサ・ケンティフォリア(Rosa centifolia)、ロサ・ガリカ(Rosa gallica)の香りを合わせ持ったタイプ。歴史的なバラの香りを正当に継承していると思われ、系統的にはバラ属ガリカ節(Gallicanae)がほぼ相当します。
 芳純 セシル・ブリュネ 香久山 スーベニール・ドゥ・ラ・マルメゾン


【ダマスク・モダン】
 ダマスク・クラシックの香りを受け継ぎながら、香り成分バランスの異なるタイプ。
 パパ・メイアン クリムゾン・グローリー マーガレット・メリル


【ティー】
 ロサ・ギガンテア(Rosa gigantea)、ノイバラ(Rosa multiflora)コウシンバラ(Rosa chinensis)など中国由来のバラの特徴を持つ香りタイプ。系統的には、ノイバラ節(Synstylae)およびコウシンバラ節(Chinensis)が相当すると思われます。
 レディ・ヒリンドン(金華山) デュシェス・ドゥ・ブラバン'(桜鏡) ガーデン・パーティー 春芳 ロイヤル・ハイネス つるブラックティー


【フルーティ】
 ダマスク系とティー系の香り成分のバランス変化によって、ピーチ、バナナ、アプリコット、アップルなどを感じさせる香りを持つタイプ。
 ダブル・ディライト フラグラント・クラウド (ドゥフトボルケ) ホワイト・クリスマス 楽園 ハーモニー ジュビリー・セレブレーション スウィート・ジュリエット レディ・エマ・ハミルトン


【ブルー】
 ブルームーンに代表される青バラの系統に特徴的な香りタイプ
 ブルームーン ブルーパフューム シャルル・ド・ゴール


【スパイシー】
 ダマスク・クラシックの香りを基調としながらも、オイゲノール(Eugenol)を多めに含むことでクローブ(丁子)を想起させる香りタイプ。
 デンティ・ベス クロチード・スペール(粉粧楼) ハマナス Rosa rugosa


【ミルラ】
 アニス(Pimpinella anisum)の種子に似た香りがプラスされたタイプ。イギリスのD.オースチンが1970代に育種導入した系統が元なっています。
 ぺルディータ セプタード・アイル グラミス・キャッスル クレア・オースチン ザ・ジェネラス・ガーデナー ストロベリー・ヒル

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芳純
Hojun
系統:ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ダマスク・クラシック
作出年:1981年 作出者:鈴木省三
撮影:2021-11-10 大船フラワーセンター

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セシル・ブリュネ
Cécile Brünner
系統:ポリアンサ(Pol)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ダマスク・クラシック
作出年:1981年 作出者:デュシェ(フランス)
撮影:2025-05-24 横浜こども植物園

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香久山
Kaguyama
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ダマスク・クラシック
作出年:1975年 作出者:田中泰助
撮影:2012-06-03 鎌倉文学館

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スーベニール・ドゥ・ラ・マルメゾン
Souvenir de la Malmaison
ブルボン(B)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ダマスク・クラシック
作出年:1843年 作出者:Jean Béluze
撮影:2025-05-24 横浜こども植物園

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パパ・メイアン
Papa Mailland
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ダマスク・モダン
作出年:1963年 作出者:アライン・メイアン(フランス)
撮影:2021-11-10 大船フラワーセンター

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クリムゾン・グローリー
Crimson Glory
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ダマスク・モダン
作出年:1935年 作出者:W. Kordes II
撮影:2019-10-20 横浜イングリッシュガーデン

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マーガレット・メリル
Margaret Merril
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ダマスク・モダン
作出年:1977年 作出者:Harkness
撮影:2019-05-12 大船フラワーセンター

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レディ・ヒリンドン(金華山)
Lady Hillingdon
ティー(T)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ティー
作出年:1910年 作出者:Lowe & Shawyer
撮影:2017-05-20 生田緑地

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デュシェス・ドゥ・ブラバン(桜鏡)
Douchesse de Brabant
ティー(T)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ティー
作出年:1857年 作出者:Pierre Bernède(フランス)
撮影:2025-05-24 横浜こども植物園

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ガーデン・パーティー
Douchesse de Brabant
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ティー
作出年:1959年 作出者:Herbert C. Swim(アメリカ)
撮影:2018-11-15 横浜イングリッシュガーデン

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春芳
Shunho
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ティー
作出年:1987年 作出者:鈴木省三
撮影:2023-05-21 横浜こども植物園

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ロイヤル・ハイネス
Poyal Highness
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ティー
作出年:1962年 作出者:Swim & Weeks(アメリカ)
撮影:2025-05-24 横浜こども植物園

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つるブラックティー
Climbing Black Tea
クライミンング・ハイブリッド・ティー (CLHT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ティー
作出年:1973年 作出者:岡本勘次朗
撮影:2017-05-21 ヴェルニー公園

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ダブル・ディライト
Double Delight
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:フルーティ
作出年:1976年以前 作出者:A.E. & A.W. Ellis, Herbert C. Swim(アメリカ)
撮影:2018-05-19 与野公園バラ園

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フラグラント・クラウド (ドゥフトボルケ)
Fragrant Cloud – syn. Duftwolke, Nuage Parfume
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:フルーティ
作出年:1963年 作出者:マチアス・タンタウ Jr.(ドイツ)
撮影:2021-11-10 大船フラワーセンター

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ホワイト・クリスマス
White Christmas
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:フルーティ
作出年:1953年 作出者:Howard & Smith (アメリカ)
撮影:2023-05-21 横浜こども植物園

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楽園
Rakuen
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:フルーティ
作出年:1996年 作出者:京成バラ園芸
撮影:2013-05-18 ヴェルニー公園

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ハーモニー
Harmonie
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:フルーティ
作出年:1981年 作出者:Reimer Kordes(ドイツ)
撮影:2017-05-14 与野公園バラ園

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スウィート・ジュリエット
Sweet Juliet
シュラブ (S)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:フルーティ
作出年:1989年 作出者:David C. H. Austin(イギリス)
撮影:2016-05-14 ヴェルニー公園

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ジュビリー・セレブレーション
Jubilee Celebration
シュラブ (S)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:フルーティ
作出年:2002年 作出者:David C. H. Austin(イギリス)
撮影:2025-05-24 横浜こども植物園

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レディ・エマ・ハミルトン
Lady Emma Hamilton
シュラブ (S)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:フルーティ
作出年:2005年 作出者:David C. H. Austin(イギリス)
撮影:2023-05-21 横浜こども植物園

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ブルームーン
Blue Moon
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ブルー
作出年:1964年 作出者:マチアス・タンタウ Jr.(ドイツ)
撮影:2017-05-20 生田緑地

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ブルーパフューム
Blue Perfume
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ブルー
作出年:1977年 作出者:マチアス・タンタウ Jr.(ドイツ)
撮影:2019-05-19 ヴェルニー公園

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シャルル・ド・ゴール
Charles de Gaulle
ハイブリッド・ティー (HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ブルー
作出年:1974年 作出者:Marie-Louise Meilland(フランス)
撮影:2017-05-19 ヴェルニー公園

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デンティ・ベス
Dainty Bess
ハイブリッド・ティー(HT)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:スパイシー
作出年:1925年 作出者:アーシャー
撮影:2019-05-25 横浜イングリッシュガーデン

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クロチード・スペール(粉粧楼)
Clotilde Soupert
ポリアンサ(Pol)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:スパイシー
作出年:1890年 作出者:Soupert & Notting(ルクセンブルク)
撮影:2018-05-12 ヴェルニー公園

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ハマナス
Rosa rugosa
原種(Sp)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:スパイシー
作出年:- 作出者:-
撮影:2017-05-20 生田緑地

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ぺルディータ
Perdita
シュラブ(S)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ミルラ
作出年:1982年以前 作出者:David C. H. Austin(イギリス)
撮影:2019-10-20 横浜イングリッシュガーデン

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セプタード・アイル
Scepter’d Isle
原種(Sp)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ミルラ
作出年:1996年 作出者:David C. H. Austin(イギリス)
撮影:2017-05-20 生田緑地

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グラミス・キャッスル
Glamis Castle
原種(Sp)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ミルラ
作出年:1992年 作出者:David C. H. Austin(イギリス)
撮影:2018-11-15 横浜イングリッシュガーデン

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ザ・ジェネラス・ガーデナー
The Generous Gardener
シュラブ (S)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ミルラ
作出年:2002年 作出者:David C. H. Austin(イギリス)
撮影:2023-05-21 横浜こども植物園

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ストロベリー・ヒル
Strawberry Hill
シュラブ (S)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ミルラ
作出年:2006年 作出者:David C. H. Austin(イギリス)
撮影:2023-05-21 横浜こども植物園

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クレア・オースチン
Claire Austin
シュラブ (S)
蓬田・黒澤(2010)による香りタイプ:ミルラ
作出年:2007年 作出者:David C. H. Austin(イギリス)
撮影:2025-05-24 横浜こども植物園

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【文献】
蓬田勝之、黒澤早穂 (2010) 現代バラとその香り, J Jap Assoc Odor Env, 41(3), 164-174, DOI: 10.2171/jao.41.164, Accessed: 2025-06-14.
岩崎尊嗣 (2010) バラの香り, J Jap Assoc Odor Env, 41(3), 149, DOI: 10.2171/jao.41.149, Accessed: 2025-06-14.

YEG『ある魔女が死ぬまで』コラボイベント

 先日の訪問では未達成だったワードラリーに挑戦してみたところ、達成景品は、メグ、カーバンクル、シロフクロウがデザインされたステッカーでした。5つのコラボ植物解説は残り一つ「バラ」だけになりましたので、近いうちにまた尋ねたいと思います。
 → 勤め帰りに立ち寄って、バラの解説も確認できました(2025-06-20)。
追記:アニメ作品は、本日(2025-06-18)最終話が放映されました。呪いによる死の宣告を受けた見習い魔法使いのメグは死ぬどころか、ますます元気で新たな旅立ちを迎えましたので、二期の製作に期待されるところです。
 植物界 真核生物
【本日更新】キジカクシ科 ナス科



【参考】○は本日、初撮影種
 ワードラリー達成景品のシール
 プライベートガーデン
 キャラクター紹介(メグ、ソフィー、フィーネ、祈、クロエ)
 原作展示とキャラクター紹介(ファウスト師匠、カーバンクル、シロフクロウ)
 横浜イングリッシュガーデン
 アジサイ祭り・メインストリート
 西洋ブドウ ‘プルプレア’ Vitis vinifera ‘Purpurea’
 ヘメロカリス Hemerocallis X ‘Ruby Spider’
 ヤブカンゾウ Hemerocallis fulva var. kwanso
 オリエンタルリリー Lilium X
 ジョウザンアジサイ ‘碧のひとみ’ Dichroa febrifaga ‘Ao-no-hitomi’
 テッポウユリ Lilium longiflorum
 トキワヤマボウシ Cornus hongkongensis
 アリウム・ギガンテウム Allium giganteum
 サンゴシトウ Erythrina X bidwillii
○ルリヤナギ Solanum glaucophyllum Waxyleaf Nightshade
 イワガラミ Schizophragma hydrangeoides


植物解説1/5 ローズマリー
 ハーブのことなら、このメグ・ラズベリーにお任せあれ! ローズマリーは、古代から現代に至るまで、人々の生活と深く、結びついてきたハーブの一つ!
 リフレッシュ効果や記憶力、集中力を高める効果があるとされておりやす!
 さなみに、ハンガリーの王妃エリザベートがローズマリーの化粧水で若返ったという伝説(※)があり、そこから「若返りのハーブ」とも呼ばれているとか…
  「ラピスの魔女」メグ・ラズベリー(CV.青山吉能)


※:松本(2022):p15によれば、ハンガリー王妃の水(ハンガリーウォーター)として知られるようになったローズマリーをアルコール蒸留して作られたリキュールは、エリザベート皇后の時代よりさらに遡る14世紀以前に起源するそうです。

植物解説2/5 ギョリュウバイ
 ニュージーランド、オーストラリア原産の常緑樹で、葉がギュリュウ(低木樹木の一種)に、花がウメに似ていることに由来する。
 ギョリュウバイの仲間は、近年、抗菌作用が高いことから注目されているマヌカハニー(※)の蜜源としても利用されているんだ。メグ、覚えておきな。
  「永年の魔女」ファウスト(CV.榊原良子)


※:蜂蜜に抗菌作用があることは古くから信じられてきましたが、その抗菌作用に対する蜜源植物の種類、原産地や季節などの影響についてはごく最近まで検討されてきませんでした。マヌカハニーの抗菌作用は、他の植物を蜜源とする蜂蜜に比べて飛び抜けて高いものであり(芋川ら,2018)、Mavric et al.(2008)によれば、ギョリュウバイ(Leptospermum scoparium)の花から得られた蜂蜜は、主要な抗菌成分と考えられているメチルグリオキサール(Methylglyoxal,MGO)を、他の植物を蜜源とした蜂蜜と比べて100倍以上含有していたそうです。

グリオキサール

植物解説3/5 バラ
 バラの歴史は古い。古代エジプトでは、クレオパトラがバラ風呂を愛用したという逸話も残っている。紀元前から薬用・香料として栽培されてきた。
 バラの香りは10種以上の成分(※)が複雑に組み合わさって構成され、その成分量は種類によって変化し、バラの香りの多様性を生み出している。ズベリ―でなくても、七賢人であればこのくらいは知っている。
  「祝福の魔女」ソフィー・ヘイター(CV.羊宮妃那)


※:蓬田・黒澤(2010)によれば、バラの香りは7つのタイプに大別でき、香りの主要成分は4成分ほど(下図参照)ですが、その多様性を修飾構成する成分は10どころではないことが分かっています。主要成分は割と単純な構造のアルコール類であることが見て取れます。
Scent of Roses
【バラの香りの7タイプ】
 ・ダマスク・クラシック
 ・ダマスク・モダン
 ・ティー
 ・フルーティ
 ・ブルー
 ・スパイシー
 ・ミルラ

植物解説4/5 アジサイ
 アジサイは、土壌のpH(酸性度)によって花の色が変化する(※)という、植物の中でも珍しい特徴を持っているんだって。酸性の土壌では青色に、アルカリ性の土壌では赤色になる傾向があるらしいよ!
 色がコロコロ変化することから、「移り気」という花言葉を持っている…? まるでどこかの誰かさんみたい!
  フィーネ・キャベンディッシュ(CV.大久保瑠美)


※:アジサイの花色はアントシアニンのグルコース配糖体であるデルフィニジン 3-グルコシド(下図)が主要成分で、土壌pHにより色が変わることが知られていて、アルミニウム施肥により青色を、リン酸施肥で赤色を発色する栽培方法が行われています(小玉,2017)。

デルフィニジン 3-グルコシド

植物解説5/5 ヨーロッパブドウ
 世界中で最も生産量の多い果樹(※)で、主にワインの原料として広く栽培されているわ。ただ、この国では、雨量が多いことから栽培が難しい果樹とされ、長年の技術向上や品種改良により、生食用が大部分を占めるようになったの。ちなみに、鮮度の高いブドウは表面の白い粉(ブルーム)があることがポイントの一つよ。
  「英知の魔女」祈(CV.伊藤静)


※:ブドウ、生食、乾燥、醸造の需要があり、醸造用の栽培面積が半分以上を占めています。果実食のみに限定すれば、リンゴ、バナナの方が沢山生産されています。

【その他の本日撮影】
 朝に久しぶりに通りかかった福満弁財天の神池では、殆どが外来のアカミミガメに置き換わっていて、在来ヌマガメの生息数は一割程度まで減少していました。


【参考】○は本日、初撮影種
ユッカ・ロストラータ Yucca rostrata Mound Lily Yucca
 オーガスタ(瑠璃極楽鳥花(ルリゴクラクチョウカ)) Strelitzia nicolai white bird-of-paradise
 福満弁財天の神池
 ニホンイシガメ Mauremys japonica Japanese Pond Turtle
 クサガメ Mauremys reevesii
 ハマベハサミムシ Anisolabis maritima
【文献】
松本雄大 (2022) ローズマリー抽出液を活用した酒類リキュールの色安定性向上に関する研究, 92p, URL: https://nodai.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=942&file_id=64&file_no=2, Accessed: 2025-06-21.
Mavric E, Wittmann S, Barth G and Henie T (2008, Identification and quantification of methylglyoxal as the dominant antibacterial constituent of Manuka (Leptospermum scoparium) honeys from New Zealand, Mol Nutr Food Res, 52, 483-489, DOI: 10.1002/mnfr.200700282, Accessed: 2025-06-21.
上田義弘 (2010) バラとその栽培の歴史-人とバラとのかかわりから-, J Jap Assoc Odor Env, 41(3), 157-163, DOI: 10.2171/jao.41.157, Accessed: 2025-06-14.
岩橋尊嗣 (2010) バラの香り, J Jap Assoc Odor Env, 41(3), 149, DOI: https://doi.org/10.2171/jao.41.149, Accessed: 2025-06-20.
蓬田勝之、黒澤早穂 (2010) 現代バラとその香り, J Jap Assoc Odor Env, 41(3), 164-174, DOI: 10.2171/jao.41.164, Accessed: 2025-06-14.
小玉雅晴 (2017) アジサイの花色の発色機構に関する研究, 110p, URL: https://tsukuba.repo.nii.ac.jp/record/42992/files/DA08190.pdf, Accessed: 2025-06-21.
中央果実協会 (2021a) 世界の醸造用ぶどう栽培の動向気候変動対応と持続可能性の取組, 海外果樹農業情報 No.148, 50p, URL: https://www.japanfruit.jp/Portals/0/resources/JFF/kaigai/jyoho/jyoho-pdf/KKNJ_148.pdf, Accessed: 2025-06-19.
中央果実協会 (2021b) 世界の主要果実の生産概要 2021年版, 海外果樹農業情報 No.151, 26p, URL: https://www.japanfruit.jp/Portals/0/resources/JFF/kaigai/jyoho/jyoho-pdf/KKNJ_151.pdf, Accessed: 2025-06-21.
佐藤明彦 (2017) 日本における生食用ブドウの栽培動向と遺伝的背景, 日本食品科学工学会誌, 64(5), 273-277, DOI: 10.3136/nskkk.64.273, Accessed: 2025-06-21.

ミヤコグサ属(Lotus)周辺の系統概要

 ミヤコグサ(Lotus japonicum)は、我が国にも広く分布していて、三浦半島エリアでも天神島周辺では普通にみかけることができます。ゲノムサイズが470 Mbpと比較的コンパクトであることから窒素固定能力のあるマメ科のモデル植物としても知られているのですが、従来は別属とされていたドリクニウム属(Dorycnium)がミヤコグサ属と近縁であることが分かったためミヤコグサ属に統合されていることを見つけましたので、関連の文献で推定されている系統関係を引用しておきます。
マメ科 バラ目群 植物界 真核生物


【ミヤコグサ属(Lotus)周辺の系統概要】Kramina et al.(2016)

  ┌プロストレイテッドカナリークローバー・クレード Lotus dorycnicum Clade
 ┌┤└カナリークローバー Lotus (Bonjaenea) hirsutus Syn. Dorycnium hirsutum 
 │├セイヨウミヤクグサ・クレード Lotus corniculatus Clade
┌┤│└ミヤコグサ Lotus (Lotus) japonicus 
││├Lotus (Erythrolotus) conimbricensis
││├フレアーグラス・クレード Lotus castellanus Clade
┤│├グレイバーズフットトレイフォイル・クレード Lotus graecus Clade
││├ロータス・ストリクタス Lotus (Bonjaenea) strictus
││└グレーターバダッシ Lotus (Bonjaenea) rectus
││ ┌ペドロシア・クレード Pedrosia Clade
││┌┼ハイネケニア-N・クレード Heinekenia-N Clade
│└┤└カマエロータス・クレード Chamaelotus Clade
│ └ロテア・クレード Lotea Clade
│ ┌Hammatolobium kremerianum
└┬┴Hammatolobium lotoides
 └ヘアリーカナリークローバー Cytisopsis pseudocytisus

【文献】
Kramina TE, Degtjareva GV, Samigullin TH, Valiejo-Roman CM, Kirkbride JHJr, Volis S, Deng T and Sokolof DDf (2016) Phylogeny of Lotus (Leguminosae: Loteae): Partial incongruence between nrITS, nrETS and plastid markers and biogeographic implications, TAXON, 65(5), 997–1018, DOI: 10.12705/655.4, Accessed: 2025-06-15.
Kramina TE , Lysova MV, Samigullin TH, Özbek MU and Sokoloff DD (2022) When Morphology and Biogeography Approximate Nuclear ITS but Conflict with Plastid Phylogeny: Phylogeography of the Lotus dorycnium Species Complex (Leguminosae), Plants, 11:410, 1-26, DOI: 10.3390/plants11030410, Accessed: 2025-06-15.
Kramina TE, Lysova MV, Samigullin TH, Schanzer IA, Özbek MU and Sokoloff DD (2021) Phylogenetic Placement and Phylogeography of Large-Flowered Lotus Species (Leguminosae) Formerly Classified in Dorycnium: Evidence of Pre-Pleistocene Differentiation of Western and Eastern Intraspecific Groups, Plants, 10:260, 1-28, DOI: 10.3390/plants10020260, Accessed: 2025-06-15.
Abou-El-Enain MM, El-Nahas AI, Aboel-Atta AI, Latif HH, Ahmed SM and Atya NHM (2014) Reassessment of the taxonomic relationships between closely related taxa of Papilionoideae, Pure Appl Bio, 3(1), 32-54, URL: https://www.thepab.org/files/2014/Mar-2014/PAB-MS-13034.pdf, Accessed: 2025-06-15.
橋口正嗣, 佐藤修正, 橋口拓勇, 田中秀典 and 明石 良 (2019) マメ科植物研究のためのミヤコグサバイオリソース, 植物科学最前線, 10:179m 1-11, URL: https://bsj.or.jp/jpn/general/bsj-review/BSJ-Review10C_179-189.pdf, Accessed: 2025-06-15.

バラ属の系統概要

 バラ属内には、フルテミア亜属(Hulthemia)、サンショウバラ亜属(Platyrhodon)、ヘスペロードス亜属(Hesperrhodos)、バラ亜属(Rosa)の4つの亜属が識別出来、比較的コンパクトな初めの3亜属は単系と考えられていますが、残りの多くの種を全て含むバラ亜属は多系であると考えられています。バラ亜属内では10程度の節(Section)が識別できるとされていますが、遺伝子解析の結果によれば、多くの入れ子構造が確認されています。ここでは、3つの葉緑体遺伝子配列に基づく系統推定結果(Liu et al.,2015)を引用しておきます。
 バラ科 バラ目群 殿堂入りバラ 植物界 真核生物


【バラ属 Rosaの系統概要】Liu et al.(2015)

      ┌───ロサ・フェティダ Rosa foetida            ┐
  ┌───┤┌──オーストリアン・カッパー R. foetida var. bocolor  │
 ┌┤   └┴──R. foetida var. persiana              ├ピンピネリフォリア節
 ││ ┌┬────満州バラ Rosa xanthina               │(Pimponellifoliae)
 ││┌┤└────ロサ・プリムラ Rosa primula             │
 │└┤└┬────ロサ・オメイエンシスRosa omeiensis         │
 │ │ └────ロサ・セリセア Rosa sericea             ┘
┌┤ │┌─────ロサ・ムリエラ Rosa murielae            ┐
││ └┤┌────ロサ・マクロフィラ Rosa macrophylla         ├ハマナス節
││  └┤┌───ロサ・スウェンズウィー Rose sweginzowii       │(Rosa)
││   └┤┌──ロサ・フォレスティアーナRosa forrestiana      │
┤│    └┤┌─ロサ・ダブリカRosa davurica             │
││     ├┴┬ハマナス Rosa rugosa               │
││     │ └ヤエシロバナハマナス Rosa rugosa var. albo-plena  ┘
││     └┬─ロサ・パルストリス’プレナ’Rosa palustris f. plena ─カロリナ節(Carolinae)
││      └─ロサ・マハリス Rosa majalis             ─ハマナス節(Rosa)
││  ┌─────ロサ・キネンシス ムタビリス             ┐
││  │      Rosa chinensis f. mutabilis            │
││  │┌────ノイバラ Rosa multiflora              │
││  │├────ショウノスケバラRosa multiflora var. watosoniana  │ノイバラ節
││ ┌┤├────ロサ・ブルノニー Rosa brunonii           │ (Synstylae)
││ ││├────タイワンノイバラ Rosa taiwenensis          ├  &
││ ││├────ロサ・オドラータ Rosa odorata            │コウシンバラ節
││ │├┤┌───ロサ・オドラータ エルベスケンス           │ (Chinensis)
││ ││││    Rosa odorata var. erubescens           │
││ │││├┬──ロサ・ヘレーネ Rosa helenae             │
││┌┤│└┤└──ロサ・オドラータ ギガンテア             │
│││││ │    Rosa odorata var. gigantea            │
│││││ └┬──ロサ・ウェイシエンシス Rosa weisiensis       ┘
│││││  └──ダマスクローズ Rosa X damascena          ─ガリカ節(Gallicanae)
│││││   ┌─ロサ・マルチフローラ イネルミス           ┐ノイバラ節
│││││  ┌┤  Rosa multiflora var. inermis           │ (Synstylae)
│└┤││ ┌┤└─ロサ・キネンシス ミニマRosa chinensis var. minima ├  &
│ │││┌┤└┬─サクライバラ Rosa multiflora var. cathayensis    │コウシンバラ節
│ │││││ └─ロサ・ラシオセパラ Rosa lasiosepala         │ (Chinensis)
│ ││└┤└┬──ロサ・ロンギクスピス Rosa longicupsis        ┘
│ ││ │ └──ロサ・クーペリー Rosa X cooperii          ─レビガータ節(Laevigatae)
│ ││ └┬───ロサ・ソウリエアナ Rosa soulieana          ┬ノイバラ節 &
│ ││  └───ロサ・リチアンゲンシスRosa lichiangensis      ┘ コウシンバラ節
│ ││┌─────ロサ・グラウカ Rosa rubrifolia           ┐
│ │└┴┬────イヌバラ Rosa canina               ├イヌバラ節
│ │  └────ロサ・アルウェンシスRosa arvensis          ┘(Caninae)
│ │     ┌─モッコウバラ Rosa banksiae            ┐
│ │    ┌┤┌ロサ・バンクシア・ノルマリス            │
│ │    │└┤ Rosa banksiae var. normalis            ├モッコウバラ節
│ ├────┤ └ロサ・バンクシア・ルテア              │(Banksianae)
│ │    │   Rosa banksiae var. lutea             │
│ │    └─┬ロサ・シモサ Rosa cymosa              │
│ │      └ロサ・シモサ・プベルラ Rosa cymosa var. puberula  │
│ ├──────┬ロサ・フォーチュニアーナ Rosa X fortuniana     ┘
│ │      └ナニワイバラ Rosa laevigata            ─レビガータ節(Laevigatae)
│ ├サンショウバラ亜属(Platyrhodon)
│ │└─────┬イザヨイバラ Rosa roxburghii           ┬ミクロフィラ節
│ │      └ヒメサンショウバラ Rosa roxburghii f. normalis   ┘(Microphyllae)
│ └───────カカヤンバラ Rosa bracteata             ─カカヤンバラ節(Bracteatae)
│       ┌─シマバライチゴ Rubus lambertianus          ┐
├───────┴┬クサイチゴ Rubus hirsutus             ├外群
│        └ビロードイチゴ Rubus corchorifolius         │(Outgroup)
└─────────ヤマシモツケ Spiraea trilobata           ┘

Liu C, Wang G, Wang H, Xia T, Zhang S, Wang Q and Fang Y (2015) Phylogenetic Relationships in the Genus Rosa Revisited Based on rpl16, trnL-F, and atpB-rbcL Sequences, HortSci, 50(11), 1618–1624, DOI: 10.21273/HORTSCI.50.11.1618, Accessed: 2025-05-31.

二枚貝類の系統概要

 二枚貝類(斧足綱:Bivalvia)は現在8綱に整理されている軟体動物門(Mollusca)に属していて、石灰質の殻が化石として残りやすく、アマチュア研究者や収集家の層が厚かったため、現生種だけでなく絶滅種も含めた調査研究が進んでいたグループです。しかしながら、その反面、シノニム(同物異名)が非常に多く、軟体部の比較研究の行われていない種が多くを占めているなどの問題があったため、目レベルの所属は記載しない(できない)ことも珍しくありませんでした。その様な中、最近になって遺伝子解析技術を応用して二枚貝類全体を俯瞰する研究論文(Li et al.,2025)が発表されましたので、系統図部分を和訳引用してみました、
 【軟体動物】【真核生物】【植物界】【後世動物】【哺乳類】【鳥類】【魚類】【節足動物


【文献】
Li Y-X, Ip JC-H, Chen C, Xu T, Zhang Q, Sun Y, Ma P-Z and Qiu H-W (2025) Phylogenomics of Bivalvia Using Ultraconserved Elements Reveal New Topologies for Pteriomorphia and Imparidentia, Syst. Biol. 74(1):16–33, DOI: 10.1093/sysbio/syae052, Accessed: 2025-05-21.
Wang Y, Yang Y, Kong L, Sasaki T and Li Q (2023) Phylogenomic resolution of Imparidentia (Mollusca: Bivalvia) diversifcation through mitochondrial genomes, Mar Life Sci Technol, 5, 326–336, DOI: 10.1007/s42995-023-00178-x, accessed: 2025-05-20.


【自鰓亜綱(Autobranchia)周辺の系統の概要】Li et al.(2025)
 和訳部分での分類階級のレベルは参考程度です。ホタテガイが属するイタヤガイ目はふたつに分割されることになりそうです。
外群(Outgroup)
││┌頭足綱(Cephalopoda)
│└┤└ダイオウイカ Architeuthis dux 
┤ └腹足綱(Gastropoda)
│  │ ┌ナスビカサガイ Lottia gigantea
│  │┌┴┬ウロコフネタマガイ Chrysomallonsquamilerum
│  └┤ └エゾアワビ Haliotis discus hanni 
│   │┌スクミリンゴガイ Pomacea canalicurata
│   └┤┌┬ジャンボアメフラシ Aplysia californica
│    └┤└エリシア・クロロティカ Elysia chlorotica
│     └┬モノアラガイ Radix auricularia 
│      └ビオファラリア・グラブラータ Biomphalaria glabrata
│┌原鰓亜綱(Protobranchia)
│││┌クルミガイ目(Nuculida)
││└┤└┬コグルミガイ Eunucula tenuis
││ │ └ユーヌクラ・クミンギイ Eunucula cumingii
└┤ └ヌクラニダ目(Nuculanida)
 │  │┌エゾソデガイ Yoldia hyperborea
 │  └┤┌┬アラボリロウバイ Nuculana yokoyamai
 │   └┤└メガヨルデア・リシュケイ Magayoldia lischkei
 │    └┬ヨメディラ属の一種 Yoldiella sp.
 │     └┬エクイヨルデイア・エイツィイ Aequiyoldia eightsii
 │      └┬カタデスミィア・クネアータ Katadesmia cuneata
 │       └ヌクラータ・イネクゥイスカルプタ Nuculana inaequisculpta
 └自鰓亜綱(Autobranchia)
  │┌翼形類(Pteriomorphia)
  │││ ┌イタヤガイ目(Pectinida)
  │││ ││┌ネズミノテ属の一種 Plicatula sp.
  │││┌┤└┴┬マドガイ Placuna placenta
  │││││  └ナミマガシワガイ Anomia chinensis
  │││││┌ミノガイ目(Limida)
  └┤││└┤└┬リマ属の一種1Lima sp. 1
   │││ │ └リマ属の一種2Lima sp. 2
   │└┤ └イタヤガイ目(Pectinida)
   │ │  └┬ミヒカリメンガイ Spondylus nicobaricus
   │ │   └┬カティロペクテン・マルガリタス Catillopecten margariatus
   │ │    └┬ヨーロッパホタテガイ Pecten maximus
   │ │     └┬アカザラガイ Chlamys farreri
   │ │      └ホタテガイ Mizuhopenten yessosnsis
   │ │┌カキ目(Ostreida)
   │ │││ ┌アトリナ・エクスタ Atrina exusta
   │ │││┌┴アトリナ属の一種 Atrina sp.
   │ ││└┤┌┬シュモクガイ Malleus albus
   │ ││ ││└┬マベガイ Peteria penguin 
   │ └┤ └┤ └┬イソニョーモン・インブレカータ Isognomon imbricata
   │  │  │  └┬モスソアコヤ Pinctada albina
   │  │  │   └ミドリアオリ Pinctada maculata
   │  │  └┬シャコガキ Hyotisa hyotis
   │  │   └┬シドニーロックオイスター Saccostrea glomerata
   │  │    └┬アメリカガキ Crassostrea vrginica
   │  │     └┬マガキ Crassostrea gigas 
   │  │      └┬スミノエガキ Crassostrea ariakensis
   │  │       └ホンコンカキ Magallana hongkongensis
   │  │┌フネガイ目(Arcida)
   │  │││┌ミミエガイ Striarca symmetrica
   │  ││└┤ ┌アーサー・プリカータ Acer plicata
   │  └┤ │┌┴┬ヌノメアカガイ Cucullaea labiata
   │   │ └┤ └タマキガイ Clycymeris aspersa
   │   │  │┌アカガイ Anadara broughtoni
   │   │  └┴┬フモンカイガイ Barbatia decussata
   │   │    └バルバティア・トラペチーナ Barbatia trapezina
   │   └イガイ目(Mytilida)
   │    │ ┌ホトトギスガイ属の一種 Arcuatula sp.
   │    │┌┴┬ミドリイガイ Perna vrridis
   │    └┤ └ミドリイガイ Perna vrridis
   │     │┌イガイ Mytilus unguiculatus
   │     └┴┬チチュウカイスキゲヒバリ Brachidontes variabilis
   │       └┬クジャクガイ属の一種 Septifer sp.
   │        └┬シギノハシ Lithophaga zitteliana
   │         └┬イシマテ Lithophaga curta
   │          └┬ヘイトウシンカイヒバリガイ Gigantidas platifrons
   │           └ホソスジヒバリガイ Modiolus philippinarum
   └異殻亜綱(Heteroconchia)
    │ ┌古異歯類(Palaeoheterodonta)
    │┌┤└Potamilus streckersoni
    ││└原始異歯類(Archiheterodonta) ───────────────────────┐
    └┤ └┬Cardita veriegata                            │
     │  └Astarte sulicata                            │
     └真異歯類(Euheterodonta)                      異歯亜綱  ┤
      │┌異靱帯類(Anomalodesmata)                   (Heterodonta)
      │││┌カスピダリア・ウンダータ Cuspidaria undata              │
      └┤└┴┬ブリオパ・ラタ Bryopa lata                     │
       │  └┬ソトオリガイ属の一種 Laternula sp. 1               │
       │   └ソトオリガイ属の一種 Laternula sp. 2               │
       └不完全歯上目(Imparidentia)                         │
        │┌ルガルシナ・ベトナミカ Rugalucina vietnamicaツキガイ目       │
        └┤┌ハナシガイThyasira tokunagai        ┘(Lucinida)       │
         └┤┌ツクエガイ目(Gastrochaenida)                    │
          ││└ツクエガイ科(未定) Gastrochaenidae indet.            │
          └┤  ┌キヌマトイガイ属の一種 Hiatella sp.             │
           │ ┌┴┬ラサイア属の一種 Lasaea sp.┐               │
           │ │ └アルテナム・チャルコティ  ├ウロコガイ目         │
           │ │   Altenaeum charcoti    ┘(Galeommatida)        │
           │ │  ┌タカノハガイ属の一種 Cultellus sp.           │
           │┌┤ ┌┴アゲマキガイ Sinonovacula constricta┐         │
           │││┌┤┌マテガイ Solen stricus       ├マテガイ目    │
           ││└┤└┴┬マテガイ属の一種 Solen sp, 1   │(Adapedonta)   │
           ││ │  └マテガイ属の一種 Solen sp. 2   ┘         │
           └┤ └ザルガイ目(Cardiida)                    │
            │  │ ┌シズクガイ Theora lubrica               │
            │  │┌┴┬アサジガイ科(不定) Semelidae indet.         │
            │  └┤ └<アサジガイ属の一種 Semele sp.           │
            │   │┌┬マスオガイ Gari elongata              │
            │   └┤└ミナトマスオ Gari inflata              │
            │    │┌リュウキュウシラトリ Quidnipagus palatam      │
            │    └┴┬モモノハナ属の一種 Moerella sp.          │
            │      └┬ケショウシラトリ Macoma calcarea        │
            │       └チヂミアサジガイ Semele crenulata        │
            └┬オオノガイ目(Myida)                      │
             ││┌┬イシゴロモ属の一種 Aspidopholas sp.           │
             │└┤└イシゴロモ Aspidopholas yoshimurai           │
             │ └┬ヒラタヌマコダキガイ Potamocorbula laevis        │
             │  └オオノガイ Mya arenaria                 │
             └マルスダレガイ目(Venerida)                  │
              │┌┬リュウキュウヒルギシジミ Geloina expansa        │
              └┤└グラウロノーム・ストラミネア Glauconome straminea    │
               │┌┬ウネナシトマヤガイ Neotrapezium liratum        │
               └┤└タガソデモドキ Neotrapezium sublaevigatum       │
                │┌ケイトウガイ Chama dunkeri              │
                ││  ┌バカガイMactra chinensis           │
                └┤ ┌┴┬イソハマグリ Atactodea striata        │
                 │┌┤ └イソハマグリ Atactodea striata        │
                 │││┌タイヘイヨウマルシオガマ Zemysina orbella    │
                 └┤└┴┬シレノイダ科(不定) Cyrenoididae indet. 1   │
                  │  └シレノイダ科(不定) Cyrenoididae indet. 2   │
                  │┌アーカイベシカ・マリシニカ Archivesica marissinica
                  └┤ ┌シナハマグリ Meretrix petechialis       │
                   │┌┴┬オキシジミ Cyclina sinensis         │
                   └┤ └オキシジミ Cyclina sinensis         │
                    │┌カガミガイ Dosinia japonica         │
                    └┤┌リュウキュウアサリ Tapes literatus     │
                     └┴┬アサリ Ruditapes philippinarum     │
                       └アサリ Ruditapes philippinarum      ┘

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【異歯亜綱(Heterodonta)不完全歯上目(Imparidentia)の系統の概要】Plazzi et al.(2023)
     ┌マルスダレガイ目(Venerida)
    ┌┤│          ┌┬サツマアカガイ Paphia amabilis
    │││         ┌┤└スダレガイ Paphia euglypta
    │││        ┌┤└┬パラタペス・テクスタリス Paratapes textilis
    │││       ┌┤│ └イヨスダレ Paratapes undulatus
    │││       ││└ヒメリュウキュウアサリ Tapes belcheri
    │││      ┌┤└┬タペス・コンスペルサス Tapes conspersus
    │││     ┌┤│ └ヤエヤマスダレ Marcia hiantina
    │││     ││└ヨーロッパアサリ Ruditapes decussatus
    │││     ││ ┌┬コタマガイ Macridiscus aequilatera
    │││     ││┌┤└オキアサリ Macridiscus multifarius
    │││    ┌┤└┤└クリプトネマ・プロダクタ Cryptonema producta
    │││    ││ └アサリ Ruditapes philippinarum
    │││    ││  ┌┬カガミガイ Dosinia japonica 
    │││    ││ ┌┤└マルヒナガイ Dosinia troscheli
    │││    ││┌┤└ドンセンキコウ(钝缀锦蛤) Dosinia altior
    │││    │││└┬ハナガイ Placamen foliaceum
    │││    │└┤ └プラカメン・イサベリナ Placamen isabellina
    │││    │ │ ┌┬シオヤガイ Anomalodiscus squamosus
    │││    │ │┌┤└オオハナガイ Anomalodiscus lamellaris
    │││    │ └┤└ヌノメガイ Periglypta puerpera
    │││    │  └┬オニアサリ Leukoma jedoensis
    │││   ┌┤   └ホンビノスガイ Mercenaria marcenaria
    │││   ││     ┌┬タイワンハマグリ Meretrix mercetrix
    │││   ││    ┌┤└シナハマグリ Mercetrix petechialis
    │││   ││   ┌┤└ハマグリ Meretrix lusoria 
    │││  ┌┤│  ┌┤└チョウセンハマグリ Meretrix lamarckii
    │││  │││ ┌┤└ミスハマグリ Meretrix lyrata
    │││  │││┌┤└┬ウチムラサキ Saxidomus purpurata 
    │││ ┌┤│└┤│ └カリスタ・エンリシナ Callista enricina
    │││ │││ │└オキシジミ Cyclina sinensis
    │││ │││ └┬シラオイガイ Circe scripta
    │││ │││  └ホソスジイナミ Gafrarium pectinatum
    │││┌┤││ ┌┬ヒロバナギナタシロウリガイ Calyptogena extenta
    │││││││┌┤└カリプトジェナ・マリシニカ Calyptogena marissinica
    ││││││└┤└┬ターネロコンカ・マグニフィカ Turneroconcha magnifica
    ││└┤││ │ └ピロカネディア・フルミナ Pliocardia fluminea
    ││ │││ └ナギナタシロウリガイ Abyssogena phaseoliformis 
    ││ │││┌┬タイワンシジミ Corbincula fluminea
    ││ ││└┤└ターネロコンカ・マグニフィカ Turneroconcha magnifica
    ││ ││ └アイスランドガイ Arctica islandica
    ││ ││ ┌┬アリソガイ Mactra antiquata
    ││ ││┌┤└バカガイ Mactra chinensis 
    ││ │└┤└ウバガイ Pseudocardium sachalinense
    ││ │ └┬オオトリガイ Lutraria maxima
    ││ │  └カモジガイ Lutraria rhynchaena
    ││ │┌┬ネツケザル Chama limbula
    ││ └┤└ケイトウガイ Chama dunkeri
    ││  └キクザル Chama asperella
    │└オオノガイ目(Myida)
   ┌┤ └┬オオノガイ Mya arenaria
  ┌┤│  └オニニオガイ Barnea manilensis
 ┌┤│└─マテガイ目(Adapedonta)
 │││  │  ┌┬オオマテガイ Solen grandis
 │││  │ ┌┤└マテガイ Solen strichus
 │││  │┌┤└アゲマキガイ Sinonovacula constricta
 │││  └┤└ヒアテッラ・アークティカ Hiatella arctica
 │││   │┌┬ナミガイ Panopea abrupta
 │││   └┤└アメリカナミガイ Panopea generosa
 │││    └メキシコナミガイ Panopea globosa
┌┤│└──ザルガイ目(Cardiida)
│││   │       ┌┬センシコウ(尖紫蛤) Hiatula acuta
│││   │      ┌┤└ムラサキガイ Hiatula diphos
│││   │     ┌┤└┬タイワンキヌタ Hiatula chinensis
│││   │    ┌┤│ └イタボシガイ Sanguinolaria ovalis
│││   │    ││└マスオガイ Gari elongata
│││   │   ┌┤└キヌタアゲマキ Solecurtus divaricatus
│││   │   ││ ┌┬サギガイモドキ Scrobicularia plana
┤││   │  ┌┤│┌┤└アサジガイ科の新属新種(Semelidae gen. et sp.)
│││   │  ││└┤└バルチックシラトリ Macoma balthica
│││   │ ┌┤│ └テリザクラ Iridona iridescens
│││   │ ││└セメレ・スカブラ Semele scabra
│││   │┌┤│ ┌┬コガタフランスナミノコ Donax semistriatus
│││   ││││┌┤└ニヨリフランスナミノコ Donax vittatus
│││   │││└┤└フランスナミノコ Donax trunculus
│││   └┤│ └ドナックス・ヴァリエントゥス Donax variegatus
│││    │└ワスレイソシジミ Nuttallia obscurata
│││    │    ┌┬ヒメジャコ Tridacna crocea
│││    │   ┌┤└ヒレシャコガイ Tridacna aquamosa 
│││    │  ┌┤└トガリシラナミ Tridacna noae
│││    │ ┌┤└ヒレナシシャコガイ Tridacna derasa
│││    │┌┤└オオシャコガイ Tridacna gigas 
│││    └┤└シャゴウガイ Hippopus hippopus
│││     │┌┬イボザル Acanthocardia tuberculata
│││     └┤└ヨーロッパザルガイ Cerastoderma edule
│││      └トリガイ Fulvia mutica
││└────オウナガイ Conhocele cf. bicecta        ┐
│└───┬─クテナ・ダイバージェンス Ctena divergens    ├ツキガイ目
│    └┬セイヨウツキガイ Lucinella divearilata     │(Lucinida)
│     └ロリペス・オービキュリトゥス Loripes orbiculatus
外群(Outgroup)/span>
 └┬ヒロクチソトオリガイ Laternula elliptica:真異歯類ソトオリガイ科(Laternulidae)
  └ミドリイガイ Perna viridis:翼形類イガイ科(Mytilidae)

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棘皮動物門(Echinodermata)の系統概要

 先週尋ねた葛西臨海水族園では棘皮動物の展示が沢山ありましたので、これまでの棘皮動物写真と併せて、整理しました。現在認められている5つの綱のうちウミユリ綱は化石種で沢山知られていますので、化石種についても調べておきました。

 【真核生物】【シダ類】【裸子植物】【被子植物】【哺乳類】【鳥類】【魚類】【昆虫類】【節足動物


【棘皮動物門(Echinodermata)周辺の系統関係】Reich et al.,2015)

┌刺胞動物門(Cnidaria)                    ┐
┤└ネマトステラ・ヴェクテンシス Nematostella vectensis   │
│┌前口動物(Protostomia)                   │
└┤└軟体動物門(Mollusca)                  │
 │ └ジャンボアメフラシ Aplysia californica        ├外群
 └後口動物(Deuterostomia)                 │Outgroup
  │┌頭索動物門(Cephalochordata)             │
  ││└ブランキオストマ・フロリダエ Branchiostoma floridae
  └┤┌脊椎動物門(Vertbrate)               │
   └┤└┬ヒト Homo sapiens               │
    │ └セキショクヤケイ Gallus gallus         │
    │┌半索動物門(Hemichordata)             │
    └┤└クビナガギボシムシ Saccoglassus kowalevskii  ┘
     └棘皮動物門(Echinodermata)
┌──────────────────┘
│┌───ウミユリ綱(Crinoidea)
└┤   └ニッポンウミシダ Oxycomanthus japonicus
 │┌ウニ亜門:有棘亜門(Echinozoa)
 │││┌ナマコ綱(Holothuroidea)
 ││└┤│┌スクレロダクティラ・ブリアレウス Sclerodactyla briareus
 └┤ │└┤┌アカナマコ Apostichopus japonicus
  │ │ └┴┬ワーティー シーキューカンバー Parastichopus parvimensis
  │ │   └カリフォルニア シーキューカンバーParastichopus californicus
  │ └ウニ綱(Echinoidea)
  │  │┌タイセイヨウマツカサウニ Eucidaris tribuloides
  │  └┤┌ホクヨウハスノハカシパン Echinarachnius parma
  │   └┤┌アメリカムラサキウニ Strongylocentrotus purpuratus
  │    └┴┬アメリカシロウニ Lytechinus variegatus
  │      └バイオレットシーアーチン Sphaerechinus granularis
  └ヒトデ亜門:星形亜門(Asterozoa)
   │┌クモヒトデ綱(Ophiuroidea)
   └┤ │┌レッド・ブリトルスター Ophiocoma wendtii
    │ └┴┬ブラック・ブリトルスター Ophiocoma echinata
    │   └オフィコマ・ビクトリアエ Ophiocoma victoriae
    └ヒトデ綱(Asteroidea)
     │ ┌ルイディア・クライラタ Luidia clathrata
     │┌┤┌┬コウモリヒトデ Patiria miniata
     ││└┤└イトマキヒトデ Patiria pectinifera
     └┤ └┬エチナスター・スピヌロサス Echinaster spinulosus
      │  └ヒメヒトデ属の一種 Henricia sp.
      │┌ラインド・シースター Marthasterias glacialis
      └┤┌オーカースター Pister ochraceus
       └┤┌ヒトデ属の一種 Leptasterias sp.
        └┤┌キヒトデ Asterias amurensis
         └┴┬コモンシースター Asterias rubens
           └フォーブスシースターAsterias forbesi

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【化石種を含むウミユリ綱(Crinoidea)の系統関係】Wright et al.,2017)
 分類階級は推測で入れてみましたが、化石種(✝)と現生種では階級がずれている様です。

┌棘皮動物側系統外群(Stemmed echinoderm outgroup)
ウミユリ綱(Crinoidea)
 │┌円頂亜綱(Camerata)(✝)
 └┤│┌──────────エクノモクリナス属 Eknomocrinus(✝)
  │└┼──────────アテルフィクリナス属 Adelphicrinus(✝)
  │ └円頂下綱(Eucamerata)
  │  │┌────────ロスファクリナス属 Rosfacrinus(✝)
  │  │├ディプロバトリダ目(Diplobathrida)(✝)
  │  └┤└┬──────ロドクリニテス属 Rhodocrinites(✝)
  │   │ └──────アルケオクリナス属 Archaeocrinus(✝)
  │   └モノバトリダ目(Monobathrida)(✝)
  │     └┬──────グリプトクリナス属 Glyptocrinus(✝)
  │      └──────アクチノクノニテス属 Actinocrinites(✝)
  └ペンタクリノイデア綱(Pentacrinoidea)
   └┬──────────アペクトクリナス属 Apektocrinus(✝)
    └イナドゥナータ亜綱(Inadunata)
     │┌ディスパリダ小綱(Disparida)(✝)
     └┤└┬──────アルファクラナス属 Alphacrinus(✝)
      │ └──────シンバソクリナス属 Synbathocrinus(✝)
      └クラディダ小綱(Cradida)
       │┌ポロクリノイディア上目(Porocrinoidea)(✝)
       │││┌ハイボクリニダ目(Hybocrinida)(✝)
       ││└┤ └┬─ハイボクリナス属 Hybocrinus(✝)
       └┤ │  └─ハイボシスティテス属 Hybosystites(✝)
        │ └ポロクリニダ目(Porocrinida)(✝)
        │   └┬─ポロクリナス属 Prorcrinus(✝)
        │    └─カラボクリナス属 Carabocrinus(✝)
        │┌フレキシビリア上目(Flexibilia)(✝)
        └┤ └┬──キュプロクラナス属 Cupulocrinus(✝)
         │  └──タクソクリナス属 taxocrinus(✝)
         └ユークラディダ巨目(Eucladida)
          └┬───デンドロクリナス属 Dendrocrinus(✝)
           └関節上目(関節亜綱)(Articulata)
            └┬─ドングリウミシダ属 Antedon
             └┬ペンタクリニテス属 Pentacrinites(✝)
              └エンドクソクリナス属 Endoxocrinus

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【ナマコ綱(Holothuroidea)の系統概要】Lacey et al.,2005)
 マナマコは、最近の遺伝子研究結果を踏まえて、クロナマコ(Apostichopus armata)とアカナマコ(Apostichopus japonicus)を別種とするようになってますが、ここの報告でどちらを指すのかは不明です。いずれにせよ、楯手目の所属とされてきた日本のナマコについては目レベルでの精査が必要と思われます。

ナマコ綱(Holothuroidea)
││  ┌─楯手目(Aspidochirotida)
││  │ │  ┌─アカミシキリ Holothuria (Halodeima) edulis
││  │ │  ├┬ニセクロナマコ Holothuria (Mertensiothuria) leucospilota
││  │ │ ┌┤└ホロスリア・ツーリセルサ Holothuria (Theelothuria) turriscelsa
││  │ │┌┤└─チズナマコ Bohadschia vitiensis
││ ┌┤ └┤└──イサミナマコ Holothuria (Thymiosycia) impatiens
││ ││  ├───コッカイクロナマコ Holothuria forskali
││ ││  ├┬──チリメンナマコ Actinopyga miliaris
┤│ ││  │└── Bohadschia vitiensis/marmorata
││┌┤│  └───ミナミフジナマコ Holothuria (Thymiosycia) arenicola
│││││┌樹手目(Dendrochirotida)
│││││││ ┌──ネオペンタダクティラ・ミクスタ Neopentadactyla mixta
│└┤││││┌┴┬─ムラサキグミモドキ Afrocucumis africana
│ ││└┤└┤ └─リポトラペザ・ヴェスティエンス Lipotrapeza vestiens
│ ││ │ │  ┌トラキトン・エロンガータ Trachythyone elongata
│ ││ │ └──┼アスリア・レフェブレイ Aslia (Cucumaria) lefevrei
│ ││ │    ├ティオネラ・ジェンマ Thyonella gemmata
│ ││ │    └ククマリア・シキオン Cucumaria sykion
│ ││ └────(アカナマコ) Stichopus japonicus
│ │└──板足目(Elasipodida)
│ │   └エボシナマコ Psychropotes longicauda
│ └───無足目(Apodida)
│     └┬───ホソイカリナマコ Leptosynapta inhaerens
│      └┬──シノブソメヒラギ Labidoplax digitata
│       └──ムラサキクルマナマコ Polycheira rufescens
ウニ綱(Echinoidea)
 │┌───テモノプリュールス目(Temnopleuroida)
 ││   └┬───サルマシス・スフェリオイデス Salmacis sphaeroides
 └┤    └───コシダカウニ Mespilia globulus
  │┌──アスナロウニ目(Arbacioida)
  └┤  └────アルバシア・リクスラ Arbacia lixula
   └──フィモソストマ目(Phymosomatoida)
      └────クロウニ Stomopneustes variolaris

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【ウニ綱(Echinoidea)の系統概要】Loch and Thompson(2021)

┌オウサマウニ亜綱(Cidaroida)
真ウニ亜綱(Euechinoidea)
 │ ┌────カリシナ上目(Calycina)
 │┌┤    └┬─フィモソマ目(Phymosomatoida)
 │││     └─オトメガゼ目(Salenioida)
 ││└────アウロドンタ上目(Aulodonta)
 └┤     │ ┌クモガゼ目(Aspidodiadematoida)
  │     │┌┼ガンガゼ目(Diadematoida)
  │     └┤└ペンディノイダ目(Pedinoida)
  │      └┬カサアシガゼ目(Micropygoida)
  │       └フクロウニ目(Echinothurioida)
  │┌────ホンウニ上目(Echinacea)
  ││    │┌─クロウニ目(Stomopneustoida)
  └┤    └┴┬アスナロウニ目(Arbacioida)
   │      └拱歯目(Camarodonta)
   └不正形ウニ下綱(Irregularia)
    │┌─────ムカシタマゴウニ目(Holectypoida)
    └┤┌────タマゴウニ目(Echinoneoida)
     └┤┌ネオナトストマータ上目(Neognathostomata)
      │││┌┬カシパン目(Scutelloida)
      └┤└┤└タコノマクラ目(Clypeasteroida)
       │ └┬マンジュウウニ目(Echinolampadoida)
       │  └アメリカマンジュウウニ目(Cassiduloida)
       └アテロストマタ上目(Atelostomata)
        └┬─ブンブクモドキ目(Holasteroida)
         └─ブンブク目(Spatangoida)

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【クモヒトデ綱(Ophiuroidea)の系統概要】O’Hara et al.(2024)

 ┌ヒトデ亜門(Asterozoa)
 ││┌現生のクラウン・クモヒトデ綱(crown extant Ophiuroidea)
 ││││    ┌─ハナビラクモヒトデ科(Amphiuridae)
 ││││   ┌┤┌チビクモヒトデ科(Ophiactidae)
 ││││  ┌┤└┴トゲクモヒトデ科(Ophiotrichidae)
 │└┤│ ┌┤└┬─アミメクモヒトデ科(Ophionereidae)
 │ ││ ││ └─ニホンクモヒトデ科(Ophiolepididae)
 │ ││┌┤└───ゴヨウクモヒトデ科(Ophioleucidae)
┌┤ ││││  ┌─アワハダクモヒトデ科(Ophiodermatidae)
││ ││││ ┌┼─キヌハダクモヒトデ科(Ophiomyxidae)
││ │└┤│┌┤├─フサクモヒトデ科(Ophiocomidae)
┤│ │ │└┤│└───オフィオキプリス属 Ophiocypris
││ │ │ │└┬─トゲナガクモヒトデ科(Ophiacanthidae)
││ │ │ │ └───クラーコマ属 Clarkcoma
││ │ │ └┬────オフィオプルーラ属 Ophiophrura
││ │ │  └────オフィオロギムス属 Ophiologimus
││ │ │┌ツルクモヒトデ目(Euryalida)
││ │ └┤ ┌──クモヒトデ科(Ophiuridae)
││ │  └┬┴────オフィオフィシス属 Ophiophycis
││ │   └─────オフィオムシウム属 Ophiomusium
││ └ヒトデ綱(Asteroidea)
│└ウニ亜門(Echinozoa)
│ └┬ウニ綱(Echinoidea)
│  └ナマコ綱(Holothuroidea)
└──ウミユリ綱(Crinoidea)

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【ヒトデ綱(Asteroidea)の系統概要】Loch and Thompson(2021)

┌─マクヒトデ目(Velatida)
│ │ ┌───ミクサスター科(Myxasteridae)
┤ └┬┴───マクヒトデ科(Pterasteridae)
│  └────コレスラスター科(Korethrasteridae)
├─シャリンヒドデ目(Peripodida)
│ └─────シロプラックス科(Xyloplacidae)
│┌─トリカスロプス目
├┤ └────トリカスロプス科(Trichasteropsidae)(✝)
│└─マヒトデ目(Forcipulitida)
│  │ ┌──シャキョクヒトデ科(Pedicellasteridae)
│  │┌┴──ゾラスター科(Zorasteridae)
│  └┤┌┬─スティチャスター科(Stichasteridae)
│   └┤└アンフェラスター分岐群(Ampheraster clade)
│    │┌┬6腕のシャキョクヒトデ類(6-rayed pedicellasterid)
│    └┤└タコヒトデ科(Heliasteridae)
│     └┬マヒトデ科(Asteriidae)
│      └ウデボソヒトデ目(Brisingida)
├──ヒメヒトデ目
│  └ルソンヒトデ科(Spinulosida-Echinasteridae)
│ ┌┬───フトトゲソトデ科(Mithrodiidae):アカヒトデ目(Valvatida)
│┌┤└───オフィディアステル科(Ophididasteridae)
││└ニチリンヒトデ目(Velatida)
├┤ └────カイマノステラ属 Caymanostella
│├─────トゲヒトデ科(Poraniidae):アカヒトデ目(Valvatida)
│└─モミジガイ目(Paxillosida)
│  │  ┌┬スナヒトデ科(Luidiidae)
│  │ ┌┤└その他モミジガイ科の(other Asteropectinidae)
│  │ │└─モミジガイ科(Astropectinidae)
│  │┌┼──マンプクヒトデ科(Porcellanasteridae)
│  └┤│┌┬スナイトマキヒトデ科(Ctenodiscidae)
│   │└┤└スナイトマキ科(Goniopectinidae)
│   │ └┬シューダークスター科(Pseudarchastridae)
│   │  └イバラヒトデ科(Benthopectinidae)
│   └───ザラヒトデ科(Radiasteridae)
└──アカヒトデ目(Valvatida)
   ├┬───オドンタステル科(Odontasteridae)
   │└───ケムシヒトデ科(Chaetasteridae)
   │┌───マリヒトデ科(Podosphaerasteridae)
   ├┼───ナンカイヒトデ科(Asterodiscidea)
   │└───ゴカクヒトデ科(Goniastridae)
   │┌┬──ニチリンヒトデ科(Solasteridae)
   ├┤└──その他のイトマキヒトデ科(other Asterinidae)
   │└┬──ガニアスター科(Ganeriidae)
   │ └──イトマキヒトデ科(Asterinidae)
   │┌───コブヒトデ科(Oreastridae)
   └┼───ノコギリヒトデ科(Asteropseidae)
    ├───アルカステル科(Archasteridae)
    └───オニヒトデ科(Acanthastridae)

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【ウミユリ綱(Crinoidea) 関節亜綱(Articulata) ゴカクウミユリ目(Isocrinida)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
ゴカクウミユリ科(Isocrinidae) プロイソクリナス属 Proisocrinus
ムーランルージュ ムーランルージュ
Proisocrinus ruberrimus Moulin Rouge
イセリクリヌス科(Isselicrinidae) トリノアシ属 Metacrinus
トリノアシ トリノアシ
Metacrinus rotundus Japanese Sea Lily

【ウミユリ綱(Crinoidea) カマロクリナス亜綱(Camerata) モノバトリダ目(Monobathrida)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
アクチノクリテス科(Actinocrinitidae) プロイソクリナス属 Proisocrinus
カクトクリヌス・インペラトル(†) カクトクリヌス・インペラトル(†)
Cactocrinus imperrator (Sea Lily)

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【ウニ亜門(Echinozoa) ナマコ綱(Holothuroidea) 楯手亜綱(Aspidochirotacea) 楯手目(Aspidochirotida)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
シカクナマコ科(Stichopodidae) マナマコ属 Apostichopus
マナマコ マナマコ
Apostichopus armata
Syn. Stichopus armata
Japanese Spiky Sea Cucumber

【ウニ亜門(Echinozoa) ナマコ綱(Holothuroidea) アクチノポダ亜綱(Actinopoda) 樹手目(Dendrochirotida)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
クロナマコ科(Holothuriidae) クロナマコ属 Holothuria
アカミシキリ アカミシキリ
Holothuria edulis Pinkfish Sea Cucumber
マツカサキンコ科(Psolidae) マツカサキンコ属 Psolus
スカーレット・プソルス スカーレット・プソルス
Psolus fabricii Scarlet Psolus

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【ウニ亜門(Echinozoa) ウニ綱(Echinoidea) 真ウニ亜綱(Euechinoidea) ガンガゼ目(Diadematoida)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
ガンガゼ科(Diadematidae) ガンガゼ属 Diadema
ガンガゼ ガンガゼ
Diadema setosum Long-spined Sea Urchin

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【ウニ亜門(Echinozoa) ウニ綱(Echinoidea) 真ウニ亜綱(Euechinoidea) 拱歯目(Camarodonta)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
サンショウウニ科(Temnopleuridae) コシダカウニ属 Mespilia
コシダカウニ コシダカウニ
Mespilia globulus Globular Sea Urchin
ナガウニ科(Echinometridae) ジンガサウニ属<Colobocentrotus
ジンガサウニ ジンガサウニ
Colobocentrotus mertensii Japanese Shingle Urchin

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【ウニ亜門(Echinozoa) ウニ綱(Echinoidea) 真ウニ亜綱(Euechinoidea) タコノマクラ目(Clypeasteroida)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
タコノマクラ科(Clypeasteridae) タコノマクラ属 Clypeaster
タコノマクラ タコノマクラ
Clypeaster japonicus Japanese Sea Biscuit

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【ウニ亜門(Echinozoa) クモヒトデ綱(Ophiuroidea) ニホンクモヒトデ目(Ophiurida)/ハナビラクモヒトデ目(Amphilepidida)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
ニホンクモヒトデ科(Ophiolepididae)/ハナクモヒトデ科(Hemieuryalidae) ニホンクモヒトデ属 Ophioplocus
ニホンクモヒトデ ニホンクモヒトデ
Ophioplocus japonicus Japanese Smooth Brittle Star
 ニホンクモヒトデは、Clark(1911)により記載されていて、Ophioplocus japonicusという学名は現在でも有効ですが、所属の目と科については確定していないようです。

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【ウニ亜門(Echinozoa) ヒトデ綱(Asteroidea) マヒトデ目(Forcipulatida)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
マヒトデ科(Asteriidae) ヤツデヒトデ属 Coscinasterias
ヤツデヒトデ ヤツデヒトデ
Coscinasterias acutispina Yatsude Sea Star

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【ウニ亜門(Echinozoa) ヒトデ綱(Asteroidea) モミジガイ目(Paxillosida)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
モミジガイ科(Astropectinidae) ハダカモミジガイ属 Dipsacaster
オオハダカモミジガイ オオハダカモミジガイ
Dipsacaster grandissimus Great Dipsacaster

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【ウニ亜門(Echinozoa) ヒトデ綱(Asteroidea) アカヒトデ目(Valvatida)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
イトマキヒトデ科(Asterinidae) イトマキヒトデ属 Patiria
イトマキヒトデ イトマキヒトデ
Patiria pectinifera Starfish
オドンタステル科(Odontasteridae) オドンタステル属 Odontaster
オドンタステル・ウァリドゥス オドンタステル・ウァリドゥス
Odontaster validus

【文献】
Reich A, Dunn C, Akasaka K and Wessel G (2015) Phylogenomic Analyses of Echinodermata Support the Sister Groups of Asterozoa and Echinozoa. PLoS ONE 10(3), e0119627. DOI: 10.1371/journal.pone.0119627, Acssessed: 2025-5-14.
Wright DF, Ausich WI, Cole SR, Peter ME and Rhenberg EC (2017) Phylogenetic taxonomy and classification of the Crinoidea (Echinodermata), J Paleontol, 91(4), 829–846, DOI: 10.1017/jpa.2016.142, Accessed: 2025-05-16/
Lacey KM,McCormack GP,Keegan BF and Powell R (2005) Phylogenetic relationships within the class Holothuroidea, inferred from 18S rRNA gene data Marine Biology, 147, 1149–1154, DOI: 10.1007/s00227-005-0009-2, Accessed: 2025-05-16/
Koch NM and Thumpson JR (2021) A Total-Evidence Dated Phylogeny of Echinoidea Combining Phylogenomic and Paleontological Data, Syst. Biol. 70(3):421-439, DOI: 10.1093/sysbio/syaa069, Accessed: 2025-05-16.
Thuy B and Stöhr S (2016) A New Morphological Phylogeny of the Ophiuroidea (Echinodermata) Accords with Molecular Evidence and Renders Microfossils Accessible for Cladistics, PLoS ONE 11(5): e0156140, DOI: 10.1371/journal.pone.0156140, Accessed: 2025-05-16.
O’Hara TD, Hugall AF, Thuy B and Moussalli A (2014) Phylogenomic Resolution of the Class Ophiuroidea Unlocks a Global Microfossil Record, Current Biology, 24(16), 1874-1879, DOI: 10.1016/j.cub.2014.06.060, Accessed: 2025-05-16.
Mah CL, Blake DB (2012) Global Diversity and Phylogeny of the Asteroidea (Echinodermata), PLoS ONE, 7(4), e35644, DOI: 10.1371/journal.pone.0035644, Accessed: 2025-05-16.
Clark HL (1911) North Pacific Ophiurans in the collection of the United States National Museum. Smithsonian Institution United States National Museum Bulletin. 75, 1-302, URL: https://biodiversitylibrary.org/page/7866026, Accessed: 2025-05-18.

小石川から湯島方面へ

 今日(2025-04-26:土)は小石川界隈を散策しました。後楽園のヌマガメは、残念ながら全て外来種に置き換わっている様です。
坂道】 【カメ目】 【現生生物の系統概要】【植物界の系統概要】【後世動物の系統概要


【参考】
小石川後楽園
ノダフジ Wistaris floribunda
アカミミガメ Trachemys scripta


東富坂ひがしとみさか (真砂坂まさござか)
 本来の「東富坂」は、この坂の南を通る地下鉄丸ノ内線に沿った狭い急坂である。現在は、「旧東富坂」と呼んでいる。もともとの坂は江戸の頃。木が生い繁り、鳶がたくさん集まってくることから「鳶坂」といい、いつの頃からか「富坂」と呼ぶようになったという。
 現在の東富阪は、本郷3丁目から伝通院まで路面電車(市電)を通すにあたり、旧東富坂上から春日町交差点まで新しく開いたゆるやかな坂道である。この市電は、1908年(明治41)4月11日に開通した。現在、文京区役所をはさんで反対側にある坂を、「富坂(西富坂)」と呼び区別している。
     文京区教育委員会 平成8年3月


春日局之像(麟祥院)


切通坂
旧湯島切通町(昭和40年までの町名)
 むかしから、奥州街道の脇道としてわずかばかりの町屋があった。
 江戸時代になって、旗本などの拝領屋敷ができ、元禄年中(1668~1704)から町並屋敷となった。南側にも切通坂があるので、湯島切通町とした。
 北側の隣接地には、徳川家康江戸入り早々に、四天王の一人榊原康政の屋敷となった、明治維新後、西郷隆盛の腹心桐野利秋が一時期所有した。後に三菱初代岩崎弥太郎の所有となり、戦後物納されて、最高裁判所の司法研修所などとなった。
 切通坂は、「湯島の白梅」の”青い瓦斯灯境内を出れば本郷切通し”て全国に知られた。


旧岩崎邸庭園
イチョウ Ginkgo biloba (旧岩崎邸庭園)
 推定樹齢400年
イチョウ 雄、幹周7.4m
 江戸時代 越後高田藩 神原屋敷時代よりこの地にあったと思われる大イチョウ。
 イチョウは老木になると幹枝から「乳」あるいは「垂乳」と呼ばれる乳房状のこぶが垂れ下がることがあり、このイチョウにも見られます。
 12月初旬の黄葉の季節には、洋館使用面玄関のステンドグラスを黄金色に染め上げ、やがて降り積もる落葉は、またたく間に車寄せ広場を黄金色の絨毯で埋めつくします。


【文献】
粟野隆・服部勉・進士五十八 (2003) 旧岩崎邸庭園(1900年頃~1945年頃)の構成と意匠, ランドスケープ研究, 66(5), 385-388, DOI: 10.5632/jila.66.385 accessed: 2025-04-27.