こども植物園で開催中の食虫植物展を見てきました。
【食虫植物展】
食虫植物とは
昆虫などの小動物を捕らえて栄養にしている植物たちを食虫植物と呼びます。養分にとぼしい土地をすみかに選んだ食虫植物の祖先たちは、不足する栄養分を小動物から得ようと葉を捕虫するための道具に進化させ、さらには自ら消化液を出して獲物を消化吸収するようになりました。なお、消化液を出さずバクテリアの力を借りて分解されたものを栄養として吸収する種類を食虫植物に含める場合もあります。しかし、捕らえた獲物だけから栄養をたよっているわけではなく光合成をしてい自分でも栄養分を作り出しているので、万が一小動物を捕らえることができなくても枯れることはありません。
南極大陸を除く世界各地の標高の低い土地から高い山まで見られ、湿原などの湿った土地や池・沼などに生えています。
ビブリスの仲間 -Byblis- ビブリス科
オーストラリア原産で、現在8種に分類されています。リニフロラほか5種はオーストラリア北部やパプアニューギニアなどの熱帯地域、バガンテア、ラメラタは地中海性気候のオーストラリア南西部に離れて分布していて、同じ仲間でも生えている環境が全く違います。
長い間、消化酵素が認められなかったため、食虫植物ではないという意見がありました。しかし最近になって、消化液を出しているということがわかり、食虫植物であることが確定しました。
モウセンゴケの仲間 -Drosera- モウセンゴケ科
世界中(南極大陸以外)に分布がみられ、湿原などの湿った場所に生えています。日本には「モウセンゴケ」や「コモウセンゴケ」、地下に塊茎をつくる「シイモチソウ」など6種ほどが自生しています。葉にある腺毛の先から粘液を出し、腺毛や葉を動かし、獲物を包み込んで消化します。
オーストラリア南西部には「ピグミーサンデュ」とよばれる非常にちいさなモンセンゴケの仲間が分布しており、これらはムカゴでも繁殖します。
「もうせん(毛氈)」とは毛などで織った敷物のことで、日本ではおもに赤い毛氈(緋毛氈)が多く使われました。この植物の腺毛は陽がよく当たると真っ赤に色づくため「モウセンゴケ(毛氈苔)」と名づけられました。
タヌキモとミミカキグサの仲間 -Utricularia- タヌキモ科
世界中(南極大陸以外)に分布がみられ、池沼や湿地に生育しています。この仲間には根がありません。タヌキモ類とミミカキグサ類は同じタヌキモ属に含まれますが、タヌキモの仲間はおもに水中に浮かんで生活しており、一方のミミカキグサの仲間は湿原の泥の中や、森林の苔と岩のあいだ、またパイナップル科の植物の葉のあいだにたまった水の中など生育場所はさまざまで、タヌキモ類とちがい水上に葉を出します。いずれも小さな生き物を吸い込んで捕らえます。日本には「タヌキモ」や「ミミカキグサ」、日本でしか見られない「フサタヌキモ」、世界で最も小さい食虫植物といわれる「ヒメミミカキグサなとが自生しています。フサフサと水中にただようようすをタヌキのしっぽにたとえて「タヌキモ」と呼びます。
ハエトリグサ –Dionaea muscipula- モウセンゴケ科 (ハエトリソウ、ハエジゴク)
欧米では、葉のようすを女神のまつ毛にたとえて、ビーナス・フライトラップ(女神のハエ取り器)ともよびます。閉じ合わさる形をした、捕虫葉の内側には獲物の動きを感じとる数本の感覚毛があり、獲物が葉の中に入りその感覚毛にふれると0.5秒というすばやい速さで葉が閉じ合わさるしくみになっています。そして閉じた葉はさらに中の獲物をしめつけ押しつぶすと、消化液を出して消化吸収します。
アメリカ合衆国のノースカロライナ州とサウスカロライナ州のごく限られた地域の湿原に生育していて、現在では国によって厳重に保護されています。
プロッキニアの仲間 -Brocchinia- パイナップル科
私たちが食用にするパイナップルの仲間で、ヘリアンフォラと同じく南アメリカ北部のギアナ高地が原産です。葉の構造は単純で、葉と葉の間にたまった甘い香りを発する水(強い酸性)の中に落ちた昆虫などの小さな生き物を、バクテリアに分解させて養分を吸収します。レドゥクタ(B. reducuta)とヘクティオイデス(B. hechtioides)、タテイ(B. tatei)の3種が食虫植物として知られています。
ヘイシソウの仲間 -Sarracenia- サラセニア科
北アメリカのおもに大西洋沿岸をふるさととする植物です。一般的には学名の「サラセニア」で呼ばれ、8種(分類によっては11種)ほどに分類されています。1日中陽の当たる湿った土地にしっかりと根を伸ばして生育しており、筒状になったカラフルな葉の中に消化液が溜まっていてい、さそい込まれて中に落ちた虫などをとらえ栄養にしています。筒の内側には下を向いた毛がたくさん生え、落ち込んだ獲物は上がることができず、動くほど中へ中へと入りこんでしまいます。春、新しい葉が出る前後に赤色やクリーム色のユニークな形の花を咲かせます。また冬の間は冬芽を作って休眠します。
【その他】
熱帯性スイレン(昼咲き) Tropical Dat Blooming Water Lilies
東南アジアからアフリカにかての、おもに熱帯域に分布するスイレンの仲間(スイレン科 スイレン属)、また、それらを元に交配して誕生した園芸品種を「熱帯性スイレン」または「熱帯スイレン」と呼びます。青~紫、桃~紅、白、黄といった豊富な花色を楽しむことができることが、大きな魅力です。高水温でよく成長し花を咲かせますから、日当たりさえよければ、年々暑さが厳しくなる日本の夏には非常に適した園芸植物といえるでしょう。
育種の中心は、アメリカやタイで、国際的な品評会も行われています。近年、温帯性スイレンとの亜種間交配も次々と発表されており、今後が楽しみです。なお、白色や紅色の花を咲かせる夜咲きの種類もあります。
二千年前の古代ハス大賀ハス
一九五一(昭和二六)年に植物学者の大賀一郎博士たちは千葉県検見川の東京大学厚生農場内(現・東京大学総合運動公園)の泥炭層を掘り進め、地下約六メートルの青泥層から三月三〇日に種子一粒を発見しました。そのあと四月六日にニ粒の種子を発見し、同年五月六日に大賀博士宅(東京都府中市)で発芽処理が行われ、発芽した実生苗のうちの一株だけがその後順調に成長しました。一九五二年(昭和二七)年七月十八日にはじめて開花し、一九五四(昭和二九)年三月三十一日付で千葉県の天然記念物「検見川の大賀蓮」として指定されています。大賀ハスは他のハスとくらべ性質がやや弱く、特に容器栽培ではあまり花を咲かせません。
なお、ハスの花は早朝から開き昼には閉じます。そして開きはじめてから四日目に散ります。
大賀ハスのおもな特徴
■葉の表面はすべすべしており、ざらつかない。
■花弁の条線がはっきりしていない。
現在、各地で大賀ハスとして公開されているもののなかには、大賀ハスとは明らかに違うとおもわれる個体が多く見受けられます。たとえ大賀ハスから採れた種子から成長した株でも大賀ハスとは呼べません。なお、この株は、千葉県農業試験場より当園に譲渡された正真正銘の大賀ハスです。
一部参照:千葉県ホームページ「大賀ハス何でも情報館」
【参考】○は本日初撮影種、◎は科としても初撮影
ビブリス科(Byblidaceae)
◎ビブリス・リニフロラ Byblis liniflora
タヌキモ科(Lentibulariaceae)
○ピンギクラ・プリムラフロラ Pinguicula primuliflora
○ウトリクラリア・ディコトマ Utricularia dichotoma
○ミミカキグサ Utricularia bifida
○イチョウバミミカキグサ Utricularia livida
モウセンゴケ科(Droseraceae)
ヤツマタモウセンゴケ Drosera binata var. multida f. extrema
トウカイモウセンゴケ Drosera tokaiensis subsp. tokaiensis
○コモウセンゴケ Drosera spathulata
○イトバモウセンゴケ Drosera filiformis
○ツルギバモウセンゴケ Drosera adelae
アフリカナガバノモウセンゴケ Drosera capensis
○ドロセラ・マダガスカリエンシス Drosera madagascariensis
ハエトリグサ Dionaea muscipula
ウツボカズラ科(Nepenthaceae)
○ネペンシス ‘レグレヤナ’ Nepenthes X ‘Wrigleyana’
(ナンヨウウツボカズラ X フッカーウツボ(ウツボカズラ x ツボウツボカズラ))
(N. mirabilis X N. X Hookeriana(N. rafflesiana X N. ampullaria)
○ネペンシス・グラキリフロラ Nepenthes graciliflora Syn. N. alata
○ネペンシス ‘ミクスタ’ Nepenthes X ‘Mixta’
(N. northiana X N. maxima)
○ネペンシス ‘インターメディア’ Nepenthes X ‘Intermedia’
イビツウツボカズラ Nepenthes ventiricosa
○ネペンシス・マダガスカリエンシス Nepenthes madagascariensis
○ネペンシス・アルボマルギナータ Nepenthes albomarginata
パイナップル科(Bromeliaceae)
ブロッキニア・レドゥクタ Brocchinia reducuta
サラセニア科(Sarraceniaceae)
○ウスギヘイシソウ Sarracenia alata
シラフヘイシソウ Sarracenia leucophylla
○モミジヘイシソウ Sarracenia rubra subsp. gulfensis
○コヘイシソウ Sarracenia minor
○ヒメヘイシソウ Sarracenia psittacina
○サラセニア ‘スカーレット・ベル’ Sarracenia X ‘Scarlet Bell’
○ムラサキヘイシソウ Sarracenia purpurea Subsp. venosa
ゼニゴケ(雌器托) Marchantia polymorpha
ゼニゴケ(雄器托) Marchantia polymorpha
横浜南キリスト教会:六ツ川2-1-14
ヒャクニチソウ Zinnia elegans
ミンミンゼミ Hyalessa maculaticollis
スイレン ‘スター・オブ・ザンジバル’ Nymphaea X ‘Star of Zanzibar’ (N. ‘Mornig Star’ X N. ‘Purple Zanxibar’)
スイレン ‘ペンシルヴァニア’ Nymphaea ‘Pennsylvania’ (N. caerulea X N. nouehali var. znzibariensis)
ホシザキスイレン Nymphaea nouchali var. zanzibariensis Syn, Nymphaea colorata
ハス Nelumbo nucifera
○オオアカバナ Epilobium hirsutum
ヤマトタマムシ Chrysochroa fulgidissima
○ウバタマムシ Chalcophora japonica
◎オオゴキブリ Panesthia angustipennis spadica
◎クロゴキブリ Periplaneta fuliginosa
ヒオウギ Iris domestica
オミナエシ Patrinia scabiosifolia
ミズヒキ Persicaria filiformis
ヤブミョウガ Pollia japonica
ハンゲショウ Saururus chinensis
○メハジキ Leonurus japonicus
○コノシメトンボ Sympetrum baccha matutinum
アイ Persicaria tinctoria
○ウツボグサ Prunella vulgaris subsp. Asiatica
カラタチ Poncirus trifoliata
カジノキ Broussonetia papyrifera
アズキ Vigna angularis
〇カワラケツメイ Chamaecrista nomame
ケチョウセンアサガオ Datula inoxia
○アジアワタ Gossypium arboreum var. obtusidolium
キンカン Citrus japonica Syn. Fortunella margarita