初頭のこども植物園

 今日はいつもと違ったルートでこども植物園を尋ねました。

横浜から鶴見へ

 今日は久しぶりに鶴見まで足を延ばしました。


【参考】○:本日初撮影種
 神奈川通東公園
 史跡オランダ領事舘跡碑
 アザレア Rhododendron sp.
 フレンチマリーゴールド Tagetes patula
 シロバナヨウシュチョウセンアサガオ Datura stramonium f. stramonium
○アガベ・アテヌアータ Agave attenuata Foxtail Agave
 マンネングサ属の一種 Sedum sp.
○カミツキガメ Chelydra serpentina (獅子ヶ谷二ッ池で捕獲)
 コルディリネ属の一種 Cordyline sp.
 岸谷の庚申塔岸谷:岸谷4丁目3
 イチョウ Ginkgo biloba No.48008(一到山弥陀院安養寺)
 カリン Pseudocydonia sinensis
 イチョウ Ginkgo biloba No.49027(遍照院密厳山不動寺)
 ススキ Miscanthus sinensis
 オリーブ Olea europaea
 新子安カトリック教会:入江1丁目19-30
 一之宮社:入江1丁目13-16
 地神塔:一之宮社
 タブノキ Machilus thunbergii 横浜市指定名木古木:白幡東町13
 イロハモミジ Acer palmatum
 考道山本仏殿:鳥越38
 ウィンターコスモス Bidens laevis
 シャリンバイ Rhaphiolepis indica


◎長延寺跡(オランダ領事館跡)
 「神奈川宿歴史の道」の終点である神奈川通東公園は、寛永八年(一六三一)から昭和四十年までの三三〇年余の間、浄土真宗長延寺゛所在した場所である。長延寺は、開港当時、オランダ領事館に充てられた。当時を偲ぶ狂歌の一節に「沖の黒船歴史を変えて、オランダ領事は長延寺」とある。
 昭和四十年の国道拡幅に伴う区画整理によって、長延寺は緑区に移転し、跡地は公園となった。今は、わずかに旧オランダ領事館跡を示す石碑を残すのみである。


史跡オランダ領事舘跡
 横浜市長 平沼亮三書
 昭和二十九年建
 開国百年祭記念


【文献】
神奈川宿歴史の道, Accessed: 2024-12-01.
タウンニュース (2023) そのカメ危険、近づかないで, Accessed: 2024-11-30.

大和本草における柑橘類

 18世紀初頭に出版された医薬書『大和本草(1708)』での柑橘類は、(たちばな)(=みかん)、金橘(こうじ)(ゆず)(だいだい)佛手柑朱欒(ざんぼ)(=ざぼん)が記載されています。それぞれの品種についての項目もあるのですが、現在の分類系統とは必ずしも一致しておらず、例えば、現在では温州ミカンの交配親のひとつと考えられている九年母(くねんぼ)(shimizu et al.,2016)は柑の品種と考えられていたようです。現在ではミカン科サンショウ亜科に位置付けられている山椒は全く別のグループとして記載され、ミカン科(Rutaceae)の名称の元となったミカン科の模式種ヘンルーダに関すると思われる記述は『雑草』の項にあります。
ミカン科の系統概要
 維管束植物の分類【概要小葉植物と大葉シダ植物裸子植物被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹


柑橘類:大和本草巻之九

 ○果木 説文云在木曰果在草曰菽


(タチハナ、ミカン)
○タチハナト訓スミカンナリ其花ヲ花タチハナト古歌ニヨメリ南方温煖ノ地及海邊沙地宜シ故紀州駿州肥後八代皆名産也共ニ南土ナリ紀州ノ産最佳シ北土及山中寒冽ノ地ニ宜カラス故本邦ニテ北州無之朝鮮亦然リ本草ニ實ヲウヘタルハ氣味尤マサルト伝ヘリ諸木皆(ツキ)木ヨリ實ウヘノ木實ノ味ヨク材ニ用ニモヨシ中𬜻ヨリ來ル陳皮ハ大ニシテ性ヨシ年々多ク來レリ日本ノ陳皮ハ大ニ下サレリ可用今ノ世醫多クハ是ヲ不用ハ何ソヤ陳皮ヲ君藥1)ニ用ル方ニ和ノ陳皮ヲ用レハ效ナシト云入ニハ和中ヲ理胃藥則留ハ白ヲ入ニハ下氣消痰藥ニ則去白ヲ本草曰陳皮ノ性能ク補フ其功在諸藥之上凡靑皮陳皮枳ノ實枳殻ハ其採時ノ早晩ト實ノ老ナン嫩ヲ以分ツ嫩キハ性酷シクシテ下ヲ治ス老ハ性緩ニシテ治高キヲ去白ヲニハヌル湯ニ盬ヲ入陳皮ヲヒタシ洗ヒ筋トウラノ白膜ヲ刻用ユ是本草ノ説ナリ白膜ヲウスクコソケ去ヘシ
○橘ヲ十一月ヨリ雨ヲサケテカコニ入或ワラニアラク包テ日ニホスカヘニソヒテ掛レハ易腐リ春月ヨク干タル時器ニ納ヲキ咳痰久ク癒サルニ刻ミテ生薑ヲ加ヘ煎シ用𫞪驗アリ其氣味好シ痰除キ咳ヲ止メ肺ヲ潤シ開ク胸ヲ香氣アリ果トシ食ノモ味ヨシ能ホシタルハ久ニ堪ヘテ損セス老人虛冷ノ人ハ生果ヲ食セスノ是ヲ食フヘシ核トモニ用
○”丹渓2)潤下丸”、”囘春痰飮門滌散”、本草綱目”二賢散”此三方相似タリ皆陳皮ヲ用ユ可考
○本草時珍(李時珍)3)曰橘品十有四今按韓彦直(Han Yen-Chih)4)橘録ニ詳ナリ本邦ニモ數品アリ
白和(シラワ)カウシ遠州白和村ニアリ故名ツク其皮ウスク色黄ニシテ味ヨシ不酸カラミカンヨリ大也是眞橘ナルヘシ輿本草合ヘリ其味ミカンニ下サレリ又一種ヨク白輪カウシニ似タル橘アリ是亦ミカンヨリ大ニシテ味亦ヨシ中𬜻ノ橘ナリトテ西土ニアリ
○溫州柑其葉蜜橘ニ似テ薄小ナリ其實ノ肌蜜橘ニ皮ノ裏如柑蜜橘ヨリ薄シ皮ノ味ハミカンニヲトレリ其色ミカンヨリ赤シ二三月ニ至リテ味彌ヨシ土佐州ヨリ出ツコレヲ日本ニテ溫州柑ト稱ス本草ニ橘譜ヲ引テ柑橘溫州ノ者爲上ト事ヲイヘリ凡そ中𬜻ノ書ニ所記ノ品類ト本邦所在ト同キアリ不同アリ橘類ナト各有無異動アリ
包橘(カウジ)橘ヨリ小也皮ウスク(ナカゴ)ノヘタテ上ヨリ見ユ皮ニ光アリ熟シテ後色黄ニシテ味甘シ本草ニ見ヱタリ又大カウシト云物アリ古人柑ヲカウシト訓ス今包橘ヲカウシト稱スルハ誤ナリタチハナハ橘ノ本名ナルヲ他果ニ名付ルカ如シ
○タチハナト云物カウシニ似テ小也金橘ヨリ微大也是本草所謂油橘カ未詳皮薄ク味スシ上少クボメリ橘類最下品ナリタチハナハ橘ノ名ナルヲ此果ニ名付ルハアヤマリ也
○紅橘アリカラヨリ來リルミカンニ形似タリ其色ミカンヨリ紅ナリ本草朱橘ト伝ナルヘシ又緑橘アリ味甘シ
○サ子ナシミカン大サハ常ノミカンニ同シ味ヨシ山州長池又紀州ニモアリト云
○日本紀垂仁帝九十年命田通間守遣常世國令求非時香果(カウノミ)今謂橘ト是也今按ミカン此時初テ日本ニ來ル常世ノ國未詳何地
○中夏ノ書ニハ橘下ニ埋鼠則結實加倍ス本邦ニテハ猫ヲ埋ムカヨシト云
○橘類菉豆ノ中ニ收ヲケハ不損米穀ノ傍ニヲケハ早ク損ス


金橘
一、名盧橘5)‘司馬相如6)譜’曰盧橘夏熟ス
一、説枇杷ヲ盧橘ト云ハ誤ナリ此論諸書に多ク出タリ盧橘ヲ金橘トスル説ハ枇杷ノ下ニ詳ニス金橘小ナル時移セハ活ク三尺以上の大ナル木ヲウツセハ必枯ル彭淵材金橘帯酸ヲコトヲ恨ム歸田録ニ云此果藏于菉豆ノ中ニ經テ時ヲ不變


(カウジ、ク子ンホ)
○俗ニ九年母7)ト云義未詳木ハ蜜橘ヨリ長シヤスク早クミノル虚冷ノ人不可食性寒続日本紀九聖武帝神龜二年(725年)播磨ノ直 弟兄(アタエ ヲトエ)(モッテ)甘子ヲ從唐國來ル佐味 虫麻呂(サミノムシマロ)先殖其種結子トイヘリ柑橘モト異國ヨリ來ル
○夏蜜橘8)アリ小ニ蜜橘ヨリ大ナリ皮色靑シ夏ニ至テ熟ス實モ皮モ味モ柑ニ似タリ柑類ナリ蜜橘ヨリ皮厚ク味淡シ橘類ニ非ス廣州記曰羅浮山橘夏熟ス實大如柿コレ本邦ノ夏蜜柑歟
○リマン9)ト云物アリ柑ノ類ナリ味不好只切テ酒ノ肴トス大サハ柑ノ如シ味酸シ



○山中寒村ニモ宜シ橘柑ニ異レリ一種國俗ニ花柚10)ト云物アリ其實小ニシテ多クミノル花ヲ酒にウカヘ羮ニ加フ故名ツク味大柚ニヲトレトモ亦可賞ス海邊砂土最繁茂シヤスシ
○大福ト云物アリ柚ノ類ナリ皮アツシ蜜橘ヨリ大也皮ノ肌柚ヨリ細ニ味酸シ京都ノ邊鄙ニアリ味不美
○ユカウ11)ト云物アリ柚ニ似タリ


(ダイダイ)
○若水曰橙柚ノ別本草綱目ニシルセルヲ正トスヘシ他書ニ往々記シアヤマリテ橙ヲ柚トシ柚ヲ橙トス
○俗ニタイタイト云ハ其(ヘタ)ニ臺二アル故也ト云又一種カブス12)アリ蔕ニ臺ナシカフスハ柑子(カンス)(アヤマリ)稱スルナルヘシ或云乾タル皮ヲ用テ蚊ヲ薫フレハ蚊去ルカフストハ蚊フスヘノ意ナリト云前説近是一種色最紅ニシテ(ナカゴ)モ皮モツ子ノ橙ヨリ味頗ヨキアリ
○橙實ハ四五年モ不落𫞪大ニナル橙皮ホシテ蚊ヲフスフヘシ又疝氣ヲ治ス春ニ至リテ橙實ノカコヲ去皮ヲ用内ノ白膜ト筋ヲ去細ニ切豆油ニテ煮テツキクタキ砂糖ヲ加ヘ和シ甆器ニヲサメ口ヲ堅ク封シテヲタヘシ腹中ノ滞氣ヲメクラシ積聚ヲ消シ疝氣ヲ治ス本草ニモ橙膏ヲノセタリ凡橙柚ノ類皮ノ味不苦ハ柚類ナリ皮味苦惡キハ皆橙類ナリ


仏手柑
 枸櫞ト云如人指ナルヲ佛手柑ト云由郡志ニノセタリ昔本邦ニ無之近世來ル味ハ不堪爲果ト只蜜煎鼓淹(ミツツケ)トス香味ユシ其木寒ヲ畏ル南方煖地ニ宜シ故ニ北土ニハウエテモ不茂ヲ本草ニ置衣笥ノ中ニ則數日香不歇トイヘリ今試ニ然リ


朱欒(ザンボ)13)
 本草ニ朱欒ハ柚ノ釋名ニ載テ別ニ條不立橘譜曰朱欒顆圓實皮麤ク辨堅ク味酸惡不可食其大有尺三四寸圍ニ者摘テ之置几案問ニ久ケレハ則其臭如蘭今按是ザンボナリ本草時珍云柚大者謂之朱欒ト最大者謂之ヲ香欒ト朱欒ノ類近年本邦ニモ多シ柑橙ノ屬ナリ大ナルヲザンボト云葉ハ柑ニ似タリ實ハ橙ニ似テ其大サハ圍一尺五寸ニイタル皮黄ニ肉厚シテ香シ色黄白ナリ盬豉ニ藏ムヘシナカコハ酸クシテ不可食是本邦ニ所在ノ諸果ノ内最大ナリ長崎ニ多シ他州ニモアリサンボニ數種アリ一種上スコシ光るル味アシ上スコシキホキアリ味ヨシ一種肉赤シ食フヘシ一種橙子ユリ𫞪大ニシテ頚アリ色黄ニシテ味良シ實下リ垂ル事諸果ニ異リ一種クビアリテ橙子ノ大サナルアり味酸ク惡シ又一種頚ナク圓クシテ橙子ノ大サカルアリ肉アツクナカコ小ナリ可食又味酸クシテ不食モアリ猶形味大小異ナルアリ小ナルハ俗にジャガタラミカント云皆是朱欒ナリ葉ハ皆橙柑ニ似タリ枝ニ有刺或無刺其實世人乾作リ器ニ納ム茶香烟草


山椒
 園史曰喜栽蔭處ニ宜壅河泥ヲ若糞ヲ澆ケハ則葉焦死年々根下土ヲ去テ河泥ヲ以カフレハ枯ス旱ニアヘハ枯ヤスシ山椒ニモ男女アリ男木ニハ實ノラス山椒ノ木處々刀ニテタテニワリテヨシ然ラサレハ木イタム桃樹ノ如シ陰地ニモヨシ𫞪歴地ヲイム山椒ト櫻ハ皮ヲ剝テモ不枯歟他木異常ノ山椒ハ丹波ニテビンセウト云ハリ多シ朝倉山椒14)ハ但馬ノ朝倉ノ里ヲ初トス其後丹波ニモ植フ香氣烈シ常ノ山椒ニ葉モカハリハリスクナシ又冬山椒15)アリ常ノサンセウヨリ葉大ニシテアツク冬葉アリ實ノ形状氣味ハ常ノ山椒ニ同シ本草諸書ニテ未見之本草序例云椒去實於鐺中ニ微熬令汗出則有勢力
○犬山椒16)アリ葉ハ山椒ニ似テ微大實ノ臭味不好不可食是本草所謂岸椒ナルヘシ一名野椒本草ニ不𫞪香葉大於蜀椒17)ト云ヘルニ能合ヘリ但子灰色不黑ト云ヘルニ異リ土地ニヨリ時ニヨリ品ニヨリテ然ルヤ山野ノ岸ニ多ク生ス岸椒野椒ト名ツケン事宜ナリ蔓椒ヲイヌサンセウトスルハ誤ナリ蔓椒ハ蔓生ス犬山椒ハ非蔓生凡犬ト名付シハ眞ニ以テ非眞ヲ云イヌタデイヌツゲナトノ如シ


雜艸:大和本草巻之七

ルウダ18)
 蠻語ナリ是南蠻ルウタト云其葉(アサ)及羅勒19)ニ似タリ左右に缼刻アリ蠻醫コノンテ用之腫物ニ葉ヲモミテヌルヘシヨク腫毒ヲ消ス又汗斑ニサクレハ験アリヘビ是ヲオソル故ヘビサシタル所ニ付レハヨシ凡諸毒虫ノサシタルニ付ヘン功能多シ園ニ栽ヘシ臭氣アリ葉零陵香ニ似タリトイヘルモ別ノ物也中蕐ヨリ來ル零陵香ハ別也秋ノ初花サキ秋ノ季ミノル春子ヲ下ク冬ハ枯ル又宿根ユリ生ス寛永ノ初此種南蠻ヨリ來ル中蕐ノ草ニ非ス今處々ニアリ俗ニ耆波(キバ)三禮艸ト云此草ヲ服スレハ山嵐ノ瘴氣ニ感セス時疫ハヤル時此艸ヲ門戸ニカクレハ其災ヲ免ル熱病時疫又勞療ノ病人ヲ介保スル人コレヲオビ又モミテ鼻孔ニヌレハ染ス山ニ入テ此草ヲ帯レハ毒蟲サゝスサシテモコレヲ(カワマ)ノ中ニ投スレハ虫生セスコレヲ食スレハ五辛の葷臭ヲ除ク痘瘡出シキリニ痒ク百方不效此草ヲブダウ酒ニテセンシ瘡頭ニヌル忽效アリ


ヘンルウタ18)
 近年紅夷ヨリ來ル是紅夷ルウタナリ紅夷人ハ是ヲ用テ食品ニ加ヘ其香氣ヲ助ケ多食ノ惡臭ヲ去コト日本人山椒ノ葉ヲ用ルカ如シ葉ハ細ニシテ莖ノ本木ノ如シ三四月ニ黄花ヲ開ク四出ニシテ一片ノ間各一蕋ヲ出ス花ノ心ニ實アリ岩梨ノ實ニ似タリ夏實ノル其年子ヲ下ケハ來年花サキ實ノル其莖葉根冬不枯此草常ノルウタノ性ニ相似テ性猶スクレタリツ子ノルウダヨリ惡臭𫞪シ故ニ草ハ別ニシテ不相似トモルウダト稱ス又鳥ノ病ヲ治ス


【注】
1) 君藥:漢方処方における『君臣佐使の理論』での最重要薬。臣薬の助けを得て、佐役により副作用を軽減し、使薬により服用しやすくすることで、効能を発揮する主要薬成分。
2) 丹渓:中国、金・元時代の四大医家の一人、字は彦修
3) 本草時珍:李時珍(1518年-1593年)『本草綱目』の著者
4) 韓彦直:『橘录(1178)』の著者
5) 盧橘(ろきつ):キンカン (Citrus japonica)、ただし夏に熟するとあるので、ナツミカンのことかも知れない。
6) 司馬相如:前漢の頃の文章家、字は長卿。B.C.179年-117年
7) 九年母(くねんぼ) (Citrus reticulata ‘Kunenbo’)
8) 夏蜜橘:現在のナツミカン(Citrus natsudaidai)とは恐らく別種。
9) リマン:Lemonが語源と思われるが、檸檬(レモン) (Citrus limon)との関係は不明
10) 花柚(はなゆ) (Citrus hanayu)
11) 柚香(ゆこう) (Citrus yuko)
12) カブス:香母酢(かぼす) (Citrus sphaerocarpa)との関係は定かでない。
13) 朱欒(ざぼん) (Citrus maxima)
14) 朝倉山椒 (Zanthoxylum piperitum f. inerme )
15) 冬山椒 (Zanthoxylum armatum var. subtrifoliatum)
16) 犬山椒(岸椒) (Zanthoxylum schinifolium)
17) 蜀椒(しょくしょう):漢方では中国産の花椒類(赤山椒、藤椒など)の成熟した果皮を乾燥した生薬。種を特定できるものではないと思われる。
18) ルウダ、ヘンルウタ:ヘンルーダ Ruta sp.。『常ノルウタ』はRuta graveolensか。
19) 羅勒:メボウキ = バジル Ocimum basilicum



【文献】
貝原篤信 (1708) 大和本草巻之九, Accessed: 2024-11-24.
貞松光男 (1996) 佐賀果試研報, 13, 5-7, キズ(Citrus kizu hort. ex Y.Yanaka)の発生年代に手掛かりを与える古記録について, URL: https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00323169/3_23169_1_houkoku1996_1.pdf, Accessed: 2024-11-24.
柴田勝, 樋口尚樹, 元水在斗, 岡﨑芳夫, 西岡真理, 五島淑子 (2022) CAPSマーカーを用いた山口県の幻のミカン クネンボ(九年母)の探索, 山口学研究, 2, 1-9, URL: https://petit.lib.yamaguchi-u.ac.jp/29398/files/166955, Accessed: 2024-11-24.
樋爪彩子 (2021) 花椒について-山椒との比較の視点から-, 日本調理科学会誌, 54(1), 70-72, DOI: 10.11402/cookeryscience.54.70, Accessed: 2024-11-24.
Shimizu T, Kitajima A, Nonaka K, Yoshioka T, Ohta S, Goto S, Toyoda A, Fujiyama A, Mochizuki T, Nagasaki H, Kaminuma E, Nakamura Y (2016) Hybrid Origins of Citrus Varieties Inferred from DNA Marker Analysis of Nuclear and Organelle Genomes, PLOS ONE, DOI: 10.1371/journal.pone.0166969, Accessed: 2024-11-25.

今日は、こども植物園へ

 雨に祟られ、温室内の撮影が多くなりました。
本日(2024-11-10)加筆:ウリ科の写真整理


【参考】〇:本日初撮影種
 ゲジ Thereuonema tuberculata
 大原隧道:南区清水ケ丘
 ケヤキ Zelkova serrata (横浜市名木古木 No.48075)
 タイワンツバキ Gordonia axillaris
 キンシバイ Hypericum patulum
 アーコレード Cerasus sargentii X C. subhirtella ‘Accolade’
 十月桜(じゅうがつざくら) Cerasus X subhirtella ‘Autumnalis’
 チャノキ Camellia sinensis
〇アガベ ‘雷神(ライジン)Agave potatorum
 アガベ ‘笹の雪(ササノユキ)Agave victoriae-reginae
 不夜城(フヤジョウ) Aloe bobilis
明鱗錦(メイリンニシキ) Aloe maculata
照波(テルナミ) Bargeranthus milticeps
〇アルブカ・フミリス Albuca humilis
 竜血樹(リユウケツジュ) Dracaena draco
〇アガベ ‘吹上(フキアゲ)Agave stricta
〇セネシオ ‘七宝樹(シッポウジュ)Senecio articulatus
〇コチレドン・オルビキュラータ Cotyledon orbiculata
 ガステリアの一種 Gasteria sp.
〇セネシオ ‘万宝(マンポウ)Senecio serpens
 十二の巻(ジュウニノマキ) Haworthia fasciata
 ヒロハザミア Zamia furfuracea
 フチベニベンケイ ‘花月(カゲツ)Crassula portulacea Syn.Crassula ovata
単刺団扇(タンシウチワ) Opuntia monacantha
 強刺団扇(キョウシウチワ) Opuntia sulphurea
大型宝剣(オオガタホウケン) Opuntia ficus-indica
大葉麒麟(オオバキリン) Pereskia grandifolia Syn. Rhodocactus grandifolius
木麒麟(モクキリン) Peireskia aculeata
 サンセベリア Dracaena trifasciata Syn. Sansevieria trifasciata
 花麒麟(ハナキリン)Euphorbia milii
var. Splandens
〇仙女の舞 Kalanchoe beharensis
 麒麟冠(キリンカン) Euphorbia grandicornis
黒錦蝶(コクキンチョウ) Kalanchoe beauverdii
〇ブラジルシシガシラ Blechnum brasiliense
 ヘンヨウボク(クロトン) Codiaeum vatiegatum
〇ミドリヒメワラビ Thelypteris viridifrons
〇アルブカ・スピラス “フリズルシズル” Albuca spiralis ‘Frizzle Sizzle’
〇ミシマサイコ Bupleurum stenophyllum
 マユミ Euonymus hamiltonianus
 サルビア ‘チェリー・センセーション’ Salvia X ‘Cherry sensation’
 トキリマメ Rhynchosia acuminatifolia
 ヤナギバシャリントウ ‘オータムファイアー’ Cotoneaster salicifolius cv. Autumn Fire
 ノコンギク Aster microcephalus var. ovatus
 トウガラシ Capsicum annuum
 カレープラント Helichrysum italicum ‘Everlasting’
 ステビア Stevia rebaudiana
 ツワブキ Farfugium japonicum
 ヒオウギ Iris domestica
 エゾヘビイチゴ Fragaria vesca
 マオラン(ニューサイラン) Phormium tenax
 カンレンボク Camptotheca acuminata
 タイワンツバキ Gordonia axillaris
 センリョウ Sarcandra glabra
 浙江柿セッコウガキ Diospyros glaucifolia
 ハッサク ‘紅八朔’ Citrus X hassaku ‘Benihassaku’
 老爺柿(ロウヤガキ) Diospyros rhombifolia
 メタセコイア Metasequoia glyptostroboides
 バラ ‘桜貝さくらがいRosa X ‘Sakuragai’
 バラ ‘月光(げっこう)Rosa X ‘Gekko’
 バラ ‘フリージア’ Rosa X ‘Freesia’
 バラ ‘ラ・ローズ・ドゥ・ベルサイユ’ Rosa X ‘La Rose de Versailles’
 ヒメツルソバ Persicaria capitata
 キキョウ Platycodon grandiflorus
 五色唐辛子ゴシキトウガラシ Capsicum annuum var. abbreviatum
 ミセバヤ Hylotelephium sieboldii
 ローゼル Hibiscus sabdariffa ‘Roselle’
 ザクロ Punica granatum
 サンザシ Crataegus cuneata
 オニドコロ Dioscorea tokoro
 キダチチョウセンアサガオ Brugmansia suaveolens

大船フラワーセンターでの開花状況

 ヒマラヤザクラの開花はまたまだ先の様です。フユザクラとコブクザクラは見頃中です。



【参考】〇:本日初撮影種
 風の塔
 ホソバヒイラギナンテン Mahonia fortunei
 トレニア ‘カウアイ ブルー&ホワイト’ Torenia fournieri ‘kauai’
 ノアサガオ Ipomoea indica
 キダチチョウセンアサガオ Brugmansia suaveolens
 雷神社
 イチョウ Ginkgo boloba
 センニチコウ Gomphrena globosa
 ギボウシ Hosta plantaginea
〇ナツミカン Citrus natsudaidai
 コシロノセンダングサ Bidens pilosa var. minor
 センニンソウ Clematis terniflora
 コウヤボウキ Pertya scandens
 ユウガギク Kalimeris pinnatifida
 ブラシノキ Callistemon speciosus
 ウンシュウミカン Citrus unshiu
 ハツユキカズラ Trachelospermum asiaticum ‘Hatsuyukikazura’
 オシロイバナ Mirabilis jalapa
〇ナツシロギク Tanacetum parthenium
〇ベニバナサルビア Salvia coccinea
 アキニレ Ulmus parvifolia
 シダレヤナギ Salix babylonica var. babylonica
 アオツヅラフジ Cocculus orbiculatus
 コマツヨイグサ Oenothera laciniata
〇ナツフジ Milletia japonica
 クサギ Clerodendrum trichotomum
 モンキチョウの広場(横浜自然観察の森)
 ウマノアシガタ Ranunculus japonics
 ウツギ Deutzia crenata
 ニシキギ Euonymus alatus
 ベニバナトチノキ Aesculus x carnea
 トウワタ Asclepias curassavica
 ジャゴケ Conocephalum conicum
 コクサギ Orixa japonica
 オランダガラシ Nasturtium officinale (ロゼット葉)
 カタヒバ Selaginella involvens
 マルバマンネングサ Sedum makinoi
 ユキノシタ Saxifraga stolonifera
 ノブドウ Ampelopsis glandulosa var. heterophylla
 コウテイダリア Dahlia imperialis
 フウセンカズラ Cardiospermum halicacabum
 絞り咲きカワラナデシコ Dianthus superbus var. longicalycinus
 ツルウメモドキ Celastrus orbiculatus
 タネツケバナ Cardamine scutata
 一福弁財天尊:大船1丁目1
 イヌツゲ Ilex crenata


 大船フラワーセンター
 冬桜(ふゆざくら)Cerasus x parvifolia ‘Fuyu-zakura’
 子福桜(こぶくざくら) Cerasus X kobuku-zakura
 トウカエデ Acer buergerianum
 カンレンボク Camptotheca acuminata
 セイヨウカボチャ Cucurbita maxima ‘アトランティック・ジャイアント’
 ハートカズラ Ceropegia woodii
 イランイランノキ Cananga odorata
 ハイビスカス Hibiscus X hybridus ‘ウォーターフォールピンク’
 ハイビスカス Hibiscus X hybridus ‘花恋’
 ハイビスカス Hibiscus X hybridus ‘ベンレクセ’
 ベニツツバナ Odontonema strictum
 ルエリア・ロゼア Ruellia rosea
 ベニマツリ Rondeletia odorata
〇ローレルカズラ Thunbergia lauriflora
 ゲッキツ Murraya paniculata
 ヘミグラフィス・アルテルナタ Himigraphis alternata
 ネッタイスイレン ‘ドーベン’ Nymphaea X daubenyana
 シュロガヤツリ Cyperus alternifolius
〇シクラメン・ヘデリフォリウム Cyclamen hederifolium
 ヤドリギ Viscum album
 デュランタ Duranta erecta
 ルッティア・フルティコサ Ruttya fruticosa
 テイキンザクラ ‘ホコバヤトロファ’ Jatropha integerrima
〇バルレリア・クリスタータ Barleria cristata
 バナナ Musa acuminata
 コスモス Cosmos bipinnatus
 ウォレマイ・パイン Wollemia nobilis
〇ミントマリーゴールド(ニオイマンジュギク) Tagetes lucida
 トウカエデ Acer buergerianum
 コリウス Solenostemon scutellarioides
 アマミヒイラギモチ Ilex dimorphophylla

晩秋の追浜で…

 短かった秋が過ぎていきます。
 本日(2024-11-07)加筆:シソ科の写真整理


【参考】
 モッコク Ternstroemia gymnanthera
 マルバウツギ Deutzia scabra
 カラスザンショウ Zanthoxylum ailanthoides
 センニンソウ Clematis terniflora
 アサバソウ(ピレア) Pilea cadierei
 ランタナ Lantana camara
 ツユクサ Commelina communis
 アツバキミガヨラン Yucca gloriosa
 タマスダレ Zephyranthes candida
 ツタバウンラン Cymbalaria muralis
 テイカカズラ Trachelospermum asiaticum
 コバノランタナ Lantana montevidensis
 ヤドリフカノキ(カポック) Schefflera arboricola
 トウネズミモチ Ligustrum lucidum
 アメリカイヌホウズキ Solanum ptychanthum

富岡から杉田へ

 きょうは、久しぶりに富岡から杉田を歩いてみました。
 本日(2024-11-04)加筆:モクセイ科の写真整理


【参考】
 磯子火力発電所方面
 キヅタ Hedera rhombea
 シロザ Chenopodium album var. album
 オキナワスズメウリ Diplocyclos palmatus
 カタバミ Oxalis corniculata
 ひまわり動物病院
 コムラサキ Callicarpa dichotoma
 ムラサキカタバミ Oxalis debilis var. corymbosa

晩秋の鷹取山で

 そろそろ、コウヤボウキが咲き始めるのではと思い、鷹取山を尋ねました。コウヤボウキ連の小花は、二唇形筒状花がみられるという情報がありましたが、花序を分解して撮影したコウヤボウキの小花には、5枚の花弁がありました。どうやら、コウヤボウキ連に属する全ての種が、二唇形筒状花を有するのではないようです。ただし、二唇形ではないにしろ、コウヤボウキの小花が筒状花と舌状花との中間的な花弁を持っていることは間違いありません。
 頭状花序(頭花)における筒状花と舌状花 キク科の写真整理
 維管束植物の分類【概要小葉植物と大葉シダ植物裸子植物被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹
 本日(2024-11-03)加筆:セリ科の写真整理



【参考】
 コバノセンナ Senna coluteoides
 タマスダレ Zephyranthes candida
 シチヘンゲ Lantana camara
 チェリーセージ Salvia microphylla
 ホウキギ(コキア) Bassia scoparia
 イヌタデ
Persicaria longiseta

 シロヨメナ Aster ageratoides
 アカネ Rubia argyi
 ベニバナボロギク Crassocephalum crepidioides
 ヒイロタケ Pycnoporus coccineus
 センニンソウ Clematis terniflora
 マユミ Euonymus hamiltonianus
 アキノタムラソウ Salvia japonica
 ユウガギク Kalimeris pinnatifida
 トネアザミ Cirsium comosum ver. incomptum
 コウヤボウキ Pertya scandens
 ガマズミ Viburnum dilatatum
 鷹取山頂上付近
 ヤマトシジミ Pseudozizeeria maha
 ハナシュクシャ Hedychium coronarium
 カラスウリクキフクレフシ
 ニシキギ Euonymus alatus
 トキワサンザシ Pyracantha coccinea

ナス属(Solanum)の系統概要

 ナス属(Solanum)はナス科(Solanaceae)全種の半数以上に相当する1250~1700種を擁する巨大な属で(Weese and Bohs,2007;Gagnon et al,2021)は、これまで得られた遺伝情報を包括的に整理することにより、棘のない系統(クレードⅠ:約350種)、棘のある系統(クレードⅡ:約900種)、祖先種に当たる系統(Thelopodium:3種)を識別できることなどを報告しています。そのうちトマト(Solanum lycopersicum)やジャガイモ(Solanum tuberosum)が属するクレードⅠでは単系と見做せる下位クレードも確認されていますが、ナス(Solanum melongena)を含むクレードⅡに属する旧来の節レベルでは入れ子が多く確認されて、単系とは言い難いようです。このためクレードⅡは今後とも再編が進むと思われる側系統群です。
 ナス属を含むナス科の植物には、広く糖アルカロイド(Glycoalkaloid)が分布しており、ジャガイモの場合ではα-チャコニンとα-ソラニンがその主体であることが知られています(新藤ら,2004; 秋山・水谷,2022など)。ソラニン類が原因物資と考えられるジャガイモ食中毒が屡々報告されていますが、これは表皮が緑色化した地下茎の喫食によるもので(岩崎,1984)、ソラニン類は210℃10分以上のような通常の調理では考えられない条件でないと分解しないことが報告(高木ら,1990)されていますので、緑色になったジャガイモは食材として利用しないよう注意が必要です。
 alpha-Solanine
 ナス科の写真整理 トウガラシ属(Capsicum)の系統および機能成分
 維管束植物の分類【概要小葉植物と大葉シダ植物裸子植物被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹


【ナス属(Solanum)の系統概要】Gagnon et al.(2021)

┌外群:Jaltomata bicolor
┤┌Thelopodium clade
││└Solanum dimorphandrum
││┌クレードⅠ(棘のない系統:約350種)
└┤││┌Regmandra clade
 ││││└S. paposanum
 ││└┼VANAns clade
 └┤ ││┌Solanum laciniatum
  │ │└┼Solanum trisectum
  │ │ └Solanum valdiviense
  │ └┬DulMo clade
  │  │└┬テリミノイヌホウズキ Solanum americanum 
  │  │ └イヌホウズキ Solanum nigrum 
  │  └Potato clade
  │   └┬Basarthrum
  │    ││┌Solanum muricatum
  │    │└┼Solanum caripense
  │    │ └Solanum coshoae
  │    └┬Tomato clade
  │     │└┬Solanum chilense
  │     │ └┬トマト Solanum lycopersicum 
  │     │  └ Solanum cheesmaniae
  │     └Petota clade
  │      └┬Solanum etuberosum
  │       └┬ジャガイモ Solanum tuberosum 
  │        └Solanum chacoense
  └クレードⅡ(棘のある系統:約900種)
   └レプトステモナム亜科(Leptostemonum)
    └┬カナリアナス Slanum mammosum 
     └┬ワルナスビ Solanum carolinense 
      └ナス Solanum melongena  

【ナス属(Solanum) Morelloid clade周辺の系統概要】Särkinen et al.(2015)

┌クレードⅠ
││ ┌Morelloid
││ ││   ┌Black nigtshade clade
││ ││   ││┌イヌホウズキ Solanum nigrum 
┤│ ││   │└┤┌テリミノイヌホウズキ Solanum americanum 
││┌┤│   │ └┴┬オオイヌホウズキ Solanum nigrescens 
│└┤││   │   └アメリカイヌホウズキ Solanum ptychanthum 
│ │││  ┌┴Episrcophyllum clade
│ │││ ┌┴Radicans clade
│ ││└┬Cahmaesarachidium clade
│ ││ └DULCAMAROID
│ ││  └ルリイロツルナス Solanum seaforthianum 
│ ││  ┌ARCHAESOLANUM
│ ││ ┌┴NORMANIA
│ │└┬┴AFRICAN NON-SPINY
│ │ └solanum valdiviense
│ │┌POTATO
│ └┤└ジャガイモ Solanum Tuberosum 
│  └Regmandra
└クレードⅡ
 │      ┌Leptostemonum
 │     ┌┤└ナス Solanum melongena 
 │    ┌┤└Wendlandii
 │    ││ └ソラナム・ウェンドランディー Solanum wendlandii 
 │   ┌┤└┬GEMITANA
 │  ┌┤│ └Solanum reductum
 │ ┌┤│└BREVANTHERUM
 │┌┤│└NEMORENSE
 └┤│└CYPHOMANDRA
  │└ALLOPHYLLUM
  └┬MAPORIENSE
   └Solanum anomalostremon

【文献】
Gagnon E, Hilgenhof R, Orejuela A, , McDonnell A, Sablok G, Aubriot X, Giacomin L, Gouvêa Y, Bragionis T, Stehmann JR, Bohs L, Dodsworth S, Martine C, Poczai P, Knapp S, Tiina Särkinen T (2021) Phylogenomic discordance suggests polytomies along the backbone of the large genus Solanum, Am J Bot, 109:580–601, DOI: 10.1002/ajb2.1827, Accessed: 2023-10-21.
Särkinen T, Barboza GE and Knapp S (2015) True Black nightshades: Phylogeny and delimitation of the Morelloid clade of Solanum, Taxon, 64(5), 945-958, DOI: 10.12705/645.5, Accessed: 2024-10-24.
Weese TL and Bohs L (2007) A Three-Gene Phylogeny of the Genus Solanum (Solanaceae) System Bot, 32(2), 445-463, URL: https://www.jstor.org/stable/25064255, Accessed: 2023-09-26.
Knapp S (2013) A revision of the Dulcamaroid Clade of Solanum L.(Solanaceae), PhytoKeys, 22, 1–432, DOI: 10.3897/phytokeys.22.4041, Accessed: 2023-10-22.
新藤哲也, 牛山博文, 観公子, 安田和男 and 斉藤和夫 (2004) ジャガイモ中のα-ソラニン, α-チャコニンの含有量および貯蔵中の掲示変化,食衛誌, 45(5), 277-282, DOI: 10.3358/shokueishi.45.277, Accessed: 2024-10-27.
岩崎久夫 (1984) バレイショによるソラニン中毒, 食衛誌, 25(5), 466-468, DOI: 10.3358/shokueishi.25.466, Accessed: 2024-10-27.
高木加代子, 豊田正武, 藤山由起 and 斎藤行生 (1990) ジャガイモ中のα-チャコニン及びα-ソラニンの加熱調理による影響, 食衛誌, 31(1), 67-73, DOI: 10.3358/shokueishi.31.67, Accessed: 2024-10-27.
秋山遼太・水谷正治 (2022) ジャガイモの毒ソラニン生合成の鍵となる酵素の発見, 化学と生物, 60(3), 107-109, URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/60/3/60_600303/_pdf, Accessed: 2024-10-27.
The Angiosperm Phylogeny Group and others (2016) An update of the Angiosperm Phylogeny Group classification for the orders and families of flowering plants: APG IV, Botanical Journal of the Linnean Society, 181(1), 1–20, DOI: 10.1111/boj.12385, Accessed: 2023-07-11.

アブラナ属(Brassica)の系統概要

 アブラナ科(Brassicaceae)は2亜科58連約4000種から構成される有用種を多く含むグループです。葉緑体の遺伝子配列を利用した分子時計解析によれば、アブラナ科の分化は始新世後期(Late Eocene)から漸新世後期(Late Oligocene)にかけての温暖期から寒冷期に移行した時代に進んだと推定されていて、中でも比較的最近登場したと考えられているアブラナ連の分化は、その後の中新世(Miocene)以降だったと考えられています(Hendriks et al.,2023)。
 科内には自家不和合性を示す種が多いため、種間、属間の雑種ができやすいので、多数の自然交配種、また栽培品種が存在し、それらの原種はアブラナ(Brassica rapa)、クロガラシ(B. nigra)、ヤセイカンラン(B. oleracea)の3種が主体であると考えられています(Karam et al.,2014)。黄色い花のアブラナ科の植物を総称して、油菜(アブラナ)と呼ぶことが多いことを初めとして、地域や研究グルーブによっても名称に統一を欠いています。一方では、植物として初めて核ゲノムの全ゲノム解析に供されたモデル種シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)を含む科であったこともあり、遺伝子解析が進められている(Karam et al.,2014; Bird et al.,2017など)のですが、形態による分類との一致が見られないことも多いため、アブラナ(Brassica rapa)のうち特にカブ、アブラナの類を遺伝子配列に基づいて区別することは、あまり意味がないのかも知れません。アブラナ属の栽培では、意図せぬ交雑により遺伝資源が失われないように注意して隔離栽培することが重要とされています(本田,2015)。
 アブラナ目(Brassicales)に特徴的な成分としてはカラシ油配糖体(Glucosinolate)が知られており(Agerbirk et al.,2022)、アブラナ科植物の辛味の主体は、植物体が損傷した際に、これまで120種以上が報告されてるカラシ油配糖体が加水分解されることにより生ずるイソチオシアネートでることが分かっています(宮澤ら,2016)。
 
 アブラナ科の写真整理
 維管束植物の分類【概要小葉植物と大葉シダ植物裸子植物被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹


【アブラナ連(Brasiceae)周辺の系統概要】Hendriks et al.(2023)

┌アブラナ亜科(Brassicoideae)
││   ┌アブラナ上連(Brassicodae)
││   │└┬ケルネ連(Kernereae)
││   │ └┬コチレアリ連(Cochlearieae)
││   │  └┬コルテオカルペ連(Coluteocarpeae)
││   │   └┬カレピン連(Calepineae)
││   │    └┬ユートレメ連(Eutremeae)
││   │     └┬グンバイナズナ連(Thlaspideae)
┤│   │      └┬シュレンキーラ連(Schrenkielleae)
││   │       │ ┌フォーレア連(Fourraeeae)
││   │       │┌┤┌イサチ連(Isatideae)
││   │       └┤└┴┬キバナハタザオ連(Sisymbrieae)
││   │        │  └ゼリポジ連(Thelypodieae)
││   │        └アブラナ連(Brasiceae)
││  ┌┴ヤマハタザオ上連(Arabodae)
││ ┌┴─ヘリオフィラ上連(Heliophilodae)
││┌┴──ハナダイコン上連(Hesperodae)
│└┴───ナズナ上連(Camelinodae)
│     └シロイヌナズナ属 Arabidopsis 
└タイリンミヤコナズナ亜科(Aethionemoideae)

アブラナ連(Brasiceae)の系統概要】Hendriks et al.(2023)

            ┌Otocarpus virgatus
          ┌┬┴Ceratocnemum rapistroides
         ┌┤└ミヤガラシ Rapistrum rugosum
        ┌┤└Raffenaldia primuloises
        │└┬Sinapidendron furtscens
       ┌┤ └Guiraoa ervensis
       ││ ┌┬Rhamphospermum arvense
       ││┌┤└Hirschfeldis incana
       │└┤└┬ルッコラ Eruca vesicaria 
       │ │ └ダイコン Raphanus sativus 
      ┌┤ └Zahora ait-atta
      ││    ┌Hemicrambe fruticilosa
      ││  ┌┬┴Erucastrum gallicum
      ││ ┌┤└Morisia montanthos
      ││┌┤└Quidproquo confusum
      │└┤└┬Brassica villosa
      │ │ └ヤセイカンラン Brassica oleracea 
     ┌┤ └Enarthrocarpus arcustus
    ┌┤│┌┬シロガラシ Sinapis alba
    ││└┤└Kremerlella cordylocarpus
    ││ └Coincya monensis
    │└┬Crambe maritima
    │ └┬Moricandla arvensis
   ┌┤  └Diplitaxis harra
   ││  ┌┬Cakile maritima
   ││ ┌┤└Didesmus aegyptlus
   ││┌┤└Erucaria hispanica
  ┌┤└┤└┬Crambella teretifolla
  ││ │ └Eremophyton chevallieri
  ││ └Ammosperma cinerea
  ││  ┌┬Guenthera souliei
 ┌┤│ ┌┤└Psychine stylosa
 │││┌┤└Nasturtiopsis coronopifolia
 ││└┤└Savignya parviflora
 ││ └┬Henophyton deerti
 ││  └Pseuderucaris clavata
┌┤│  ┌┬Physorhynchus brahuicus
│││ ┌┤└Fortunia garcinii
│││┌┤└Douepea tortuosa
││└┤└┬Zilla spinosa
┤│ │ └Foleyola billotii
││ └┬Quezelliantha tibestrica
││  └Schouwia purpurea
││ ┌┬Vella castrilensis
││┌┤└Vella pseudocytisus
│└┤└Carrichtera annua
│ └Horwoodia dicksoniae
└┬Sinalliaria limprichtiana
 └Orychophragmum violaceus

アブラナ連(Brasiceae)の系統概要】Arias and Pires(2012)

   ┌ヤセイカンラン系(Oleracea)
  ┌┤│ ┌フラシカ・エロンガータ Brassica elongata
  │││┌┴┬ブニシカ・グラビナエ Brassica gravinae
  ││││ └┬ブラシカ・デrスノッティ Brassica desnottesii
  ││└┤  └アルペンキャベジ Brassica repanda
  ││ │ ┌モリカンディ・フェチダ Moricandi foetida
  ││ │┌┴パープルミストレス Moricandia arvensis
  ││ └┤ ┌ディプロタキス・ハラ Diplotaxis harra
  ││  │┌┴┬ルッコラ Eruca vesicaria subsp. sativa
  ││  ││ └アルグラ Eruca pinnatifida
  ││  └┤  ┌┬ホワイトロケット Diplotaxis erucoides
  ││   │ ┌┤└ドッグマスタード Erucastrum gallicum
  ││   │ │└【Core Oleracea】
  ││   │ │  │ ┌┬ブラシカ・ルペストリス Brassica rupestris
  ││   │ │  │┌┤└ブラシカ・マクロカルパ Brassica macrocarpa
  ││   │ │  ││└ブラシカ・ウィロサ Brassica villosa
  ││   │ │  └┤┌セイヨウアブラナ Brassica napus
  ││   │┌┤   ││┌ワイルド・ウィード Carrichtera annu
  ││   │││   │├┼カラシナ Brassica juncea 
  ││   │││   ││├チンゲンサイ Brassica rapa subsp. chinensis
  ││   └┤│   └┤└カブ Brassica rapa
  ││    ││    │┌ブラシカ・クレティカ Brassica cretica
  ││    ││    │├メキャベツ B. oleracea var. gemmifera
  ││    ││    │├コールラビ B. oleracea var. gongylodes
  ││    ││    │├カイラン B. oleracea var. alboglabra
  ││    ││    │├ヤセイカンラン Brassica oleracea
  ││    ││    │├┬ケール B. oleracea var. viridis
  ││    ││    └┤└┬カリフラワー B. oleracea var. botrytis 
  ││    ││     │ └ブロッコリー B. oleracea var. italica> 
  ││    ││     ├ブラシカ・インカナ Brassica incana
  ││    ││     └ブラシカ・モンタナ Brassica montana
  ││    ││┌エナルトカルブス・リラトス Enarthorcarpus lyratus
  ││    │├┴┬モリシア・モナトス Morisa monanthos
  ││    ││ └セイヨウノダイコン Raphanus raphanistrum 
  ││    │└┬エルカストルム・ナスツルチイフォリウム Erucastrum nasturtiifolium
  ││    │ └ブラシカ・バレリエリ Brasica barrelieri
  ││    └ブラシカ・デフレクサ Brasica deflexa
 ┌┤└サビーニャ系(Savignya)
 ││  └サビーニャ・パルビフローラ Savignya parviflora
┌┤│┌クロガラシ系(Nigra)
││└┤└クロガラシ Brassica nigra
┤│ │┌カキレ系(Cakile)
││ └┤└カキレ・マリティマ Cakile maritima
││  └クランベ系(Crambe)
││   └シーケール Crambe maritima
│└ヘノフィトン系(Henophyton)
│ └ヘノフィトン・ジガレナム Henophyton zygarrhenum
│┌ベラ系(Vella)
└┤└ベラ・スピノサ Vella spinosa
 └ジラ系(Zilla)
  └ジラ・マクロプテラ Zilla macroptera

アブラナ(Brassica rapa)内部の系統概要】Karam et al.(2014)

    ┌チンゲンサイ B. rapa subsp. chinensis
   ┌┴白菜 B. rapa subsp. pekinensis 
  ┌┴アジア系カブ B. rapa subsp. rapa
 ┌┤┌夏西洋カブ B. rapa subsp. oleifera f. annua
 │└┴┬フリアリエッリ B. rapa subsp. sylvestris
┌┤  └冬西洋カブ B. rapa subsp. oleifera f. biennis
│└┬アブラナ B. rapa subsp. oleifera
┤ └イエローマスタード B. rapa subsp. trilocularis
└┬ブラウンマスタード B. rapa subsp. dochotoma
 └ブロッコレット B. rapa subsp. oleifera f. ruvo

アブラナ(Brassica rapa)内部の系統概要】Bird et al.(2017)

 ┌チンゲンサイ B. rapa subsp. chinensis
┌┴白菜 B. rapa subsp. pekinensis 
┤ ┌アジア系カブ B. rapa subsp. rapa
└─┼イエローマスタード B. rapa subsp. trilocularis &
  │ ブラウンマスタード B. rapa subsp. dochotoma
  └西洋カブ(ルタバガ) B. rapa subsp. rapa

【文献】
Hendriks HP, Kiefer C, Al-Shehbaz IA, Bailey CD, Huysduynen AHv, Nikolov LA, Nauheimer L, Zuntini AR, German DA, Franzke A, Koch MA, Lysak MA, Toro-Núñez Ó, Özüdoğru B, Invernón VR, Walden N, Maurin O, Hay NM, Shushkov P, Mandáková T, Schranz ME, Thulin M, Windham MD, Resštnik I, Španiel S, Ly E, Pires JC, Harkess A, Neuffer B, Vogt R,Braäuchler C, Rainer H, Janssens SB, Schmull M, Forrest A, Guggisberg A, Zmarzty S, Lepschi BJ, Scarlett N, Stauffer FW, Schönberger I, Heenan P, Baker WJ, Forest F, Mummenhoff K and Lens F (2023) Global Brassicaceae phylogeny, based on filtering of 1,000-gene dataset, Current Biol, 33, 4052–4068, DOI: 10.1016/j.cub.2023.08.026, Accessed: 2024-10-20.
Arias T and Pires JC (2012) A fully resolved chloroplast phylogeny of the brassica crops and wild relatives (Brassicaceae: Brassiceae): Novel clades and potential taxonomic implications, TAXON, 61(5), 980–988, DOI: 10.1002/tax.615005, Accessed: 2024-10-20.
Karam MA, Morsi YS, Sammour RH and Ali RM (2014) Assessment of genetic relationships within Brassica rapa subspecies based on polymorphism, Int J Curr microbiol APP Sce, 3(3) 1-10, URL: https://www.ijcmas.com/vol-3-3/Mohamed%20A.%20Karam,%20et%20al.pdf, Accessed: 2024-10-20.
Bird KA, An H, Gazave E, Gore MA, Pires JC, Robertson LD and Labate JA (2017) Population Structure and Phylogenetic Relationships in a Diverse Panel of Brassica rapa L., Front Plant Sci, 8, 321, DOI: 10.3389/fpls.2017.00321, Accessed: 2024-10-09.
本田裕 (2015) 岩手県における Brassica 属野菜の探索・収集, 植探報, 31, 73-81, URL: https://repository.naro.go.jp/record/4854/files/AREIPGR31_p73-81.pdf, Accessed: 2024-10-20.
Agerbirk N, Hansen CC, Kiefer C, Hauser TP, Ørgaard M, Lange CBA, Cipollini D, Marcus A. Koch MA (2021) Comparison of glucosinolate diversity in the crucifer tribe Cardamineae and the remaining order Brassicales highlights repetitive evolutionary loss and gain of biosynthetic steps, Phytochemistry, 185, 112668, DOI: 10.1016/j.phytochem.2021.112668, Accessed: 2024-10-27.
宮澤紀子, 阿部雅子, 木村典代, 松岡寛樹, 田中進, 森光康次郎, 中村宜督, 綾部園子, 小澤好夫 (2016) アブラナ科野菜漬物(カブ,ハクサイ)のイソチオシアネート生成に関する塩化ナトリウム(NaCl)およびアスコルビン酸の影響, 日本調理科学会誌, 49(2),138-146, DOI: 10.11402/cookeryscience.49.138, Accessed: 2024-10-27.
The Angiosperm Phylogeny Group and others (2016) An update of the Angiosperm Phylogeny Group classification for the orders and families of flowering plants: APG IV, Botanical Journal of the Linnean Society, 181(1), 1–20, DOI: 10.1111/boj.12385, Accessed: 2023-07-11.