こども植物園では、今はヤマアジサイが見頃で、ヤマアジサイ展とハーブ展が開催されていました。
【アジサイ類、陸上植物、小葉植物と大葉シダ植物、裸子植物、被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹】
【紫陽花類】
可憐な美しさと多様な変異が人を魅了する
ヤマアジサイ Hydrangea serrata
■小さく繊細な、こころに残る美しさ
ヤマアジサイはガクアジサイやエゾアジサイとともに日本列島に自生している小ぶりのアジサイです。あまり丈が大きくならず、花が小さく、葉も小さくて細長く光沢がないのが特徴です。
■自然が生み出す変異の妙
ヤマアジサイは沢筋の斜面で地下水が染み出し、午前中の日差しは入るけれども午後は日陰になるような環境を好みます。このような場所は離れて点在しがちなため、地域ごとに変異が見られます。伊予、九重、大山、土佐、日向など、地域や山域の名がついた品種名が多いのはそのためです。ヤマアジサイを観察したり育てたりするするときには、どの地域で生まれた品種なのか、思いを馳せてみたいものです。
■ヤマアジサイには東日本型、西日本型、韓国型の3つがあり、横浜を含む関東地方のヤマアジサイは一重の白花がほとんどです。稀に紅色の覆輪があるものや紅花が発見されます。
多く見かける青や紫のヤマアジサイは、西日本型や韓国型のものです。
注:アジサイ類の多くは、従来Hydrangea属とされてきましたが、2016年に公表された研究結果でHydrangea属を6つに分割することが提案され、本邦に自生するアジサイ類の殆どは、Hortensia属に移されることになります。
ヤマアジサイ Hortensia serrata var. serrata Syn. Hydrangea serrata var. serrata
クレナイ ‘kurenai’
エゾアジサイ Hortensia serrata var. Yesoensis Syn. Hydrangea serrata var. Yesoensis
ヒメアジサイ Hortensia serrata ver. yesoensis f. cuspidata
牧野富太郎のお気に入りのひとつ
ヒメアジサイ(姫紫陽花) Hydrangea serrata ver. yesoensis f. cuspidata
植物学者の牧野富太郎は昭和3年に信州から東北にかけての植物採集旅行に人家の庭先で見つけたアジサイの一種を昭和4年に「ヒメアジサイ」として発表しました。ヒメアジサイのヒメ(姫)は小さいという意味ではなく、美しいという意味です。本種は学名上、エゾアジサイの品種ということになっていますが、ホンアジサイとエゾアジサイの交雑起源により誕生したと考えられています。庭園や道路沿いの植栽などによく利用されているので、知らずに見ている場合が多いと思われます。
〈特徴〉
■装飾花のひとつひとつはホンアジサイにくらべて小ぶりながらも、花房全体はいくつかの花房からなりボリュームがあります。(栄養状態によります)
■葉はホンアジサイにくわべ明るい緑色でつやがなく、葉脈がくぼんで見えます。
■葉はややしなりその先に花を着けます
■最大の特徴は花色で、赤味のない澄んだ青色をしています。また、アルカリ土壌ではあざやかな桃色になります。(ヨーロッパでは石灰質の土壌が多く、桃色花のアジサイとして知られています。)
西洋アジサイの発色のよさはヨーロッパに持ち込まれたヒメアジサイに起因しているといわれます。
牧野富太郎はこのヒメアジサイを特に気に入っていたそうで、練馬の自宅の庭に植えていました。(現在は絶えてしまっています。)
※アジサイの花の発色の要因のひとつに土壌のPHがあり、酸性よりの場合青色に、アルカリ性よりの場合は赤色に発色する場合が多い。
ガクアジサイ Hortensia macrophylla f. normalis Syn. Hydrangea macrophylla f. normalis
ミカンバアジサイ(蜜柑葉紫陽花) ‘Mikanba-Gaku-ajisai’
エンドレスサマー Hortensia macrophylla ‘Endless summer’
コガクウツギ ‘花笠’ Hortensia luteovenosa ‘Hanagasa’ Syn. Hydrangea luteovenosa
ヤクシマコンテリギ(屋久島紺照木) Hortensia kawagoeana var. grosseserrata Syn. Hydrangea grosseserrata
イワガラミ Schizophragma hydrangeoides
【ヤマアジサイ展】
ヤマアジサイ Hortensia serrata var. serrata Syn. Hydrangea serrata var. serrata
クレナイ
乙姫
野庭ヤマアジサイ
霧の夕映え
木沢テマリ
富士の滝
桃色ヤマアジサイ
土佐のまほろば
星の雫
坊ヶ鶴の華
揚羽蝶
黄金アツヒメ
九重の花吹雪
紅剣
土佐青鈴
木沢の光
横浪の月
剣の舞
美方八重
深山黒姫
あゆみ
満天星
久住小手毬
日向紅子持
藍姫錦
藍姫
摩耶山
紫式部
倉木の光
木沢星
九重至宝
土佐美鈴
坊ヶ鶴の華
瀬戸の花嫁
【香草類:薬草園】○は本日初撮影種
ハナハッカ(オレガノ) Origanum vulgare
グリークオレガノ Origanum vulgare ssp. hirtum
○マジョラム Origanum majorana
タチジャコウソウ(タイム) Thymus vulgaris
○レモンバーム(香水薄荷) Melissa officinalis
コモンセージ(薬用サルビア) Salvia officinalis
エゾネギ(チャイブ) Allium schoenoprasum
アシタバ Angelica keiskei
ウイキョウ(フェネル) Foeniculum vulgare
○オランダワレモコウ(サラダバーネット) Sanguisorba minor
○セイヨウノコギリソウ Achillea millefolium
キンレンカ Tropaeolum majus
【香草展】
タラゴン Artemisia dracunculus
コモンセージ(ヤクヨウサルビア) Salvia officinalis
○セイヨウノコギリソウ Achillea millefolium
アップルミント Mentha suaveolens
○レモンタイム(シトラスタイム) Thymus citriodorus
ワイルドストロベリー Fragaria vesca
タチジャコウソウ(タイム) Thymus vulgaris
○マジョラム Origanum majorana
○イタリアンパセリ Petroselinum neapolitanum
パセリ Petroselinum crispum
エゾネギ(チャイブ) Allium schoenoprasum
○ハナハッカ(オレガノ) Origanum vulfare
○オランダワレモコウ(サラダバーネット) Sanguisorba minor
ステビア Stevia rebaudiana
キンレンカ Tropaeolum majus
ルバーブ Rheum rhabarbarum
セリ Oenanthe javanica
ミョウガ Zingiber mioga
アシタバ Angelica keiskei
プリンスオブオレンジペラルゴニウム Pelargonium X citriodorium
○ニガヨモギ Artemisia absinthium
モナルダ(ベルガモット) Monarda didyma
ジャーマンカモミール(カミツレ) Matricaria recutita
ゲッケイジュ Laurus nobilis
ローズマリー(マンネンロウ) Rosmarinus officinalis
ラバンディンラベンダー Lavendula X intermedia
ハープ展示
期間:令和7年4月23日(水)~5月28日(水)
こども植物園で鉢植えにより栽培しているハープの中から、日本のハープも含め主なものを展示いたしました。どうぞお楽しみください。
ラベルには、一般的になじみのあるハーブ名を使用しています。なお、和名・別名のあるものは併記しています。