『11人いる!』という萩尾望都原作のSF漫画を御存知だろうか。1975年初出というから45年前の作品である。ハヤカワSF文庫の創刊が1970年だったことを考え合わせると、SFブームのさなかであった頃の作品で、1977年にドラマ化、1986年にはアニメ映画化もされた。
かつて、このアニメ作品をVHS版で持っていたのだが、そこからパソコンに取り込んだことがあった。多分30年近く前のことだったと思うが、その後何台ものパソコンのハードディスクを経由して、今もISO形式のファイルがあるので、マウントして再生することが出来る。
作品の舞台は、星間連盟により設置された宇宙大学の入学試験の最終試験会場として設定された廃棄移民船。原作では白号、アニメ映画版ではエスペランサ号と名付けられたこの宇宙船のホールには『宇宙の守護神』と題した彫像のレプリカがあり、その台座にはなにやら銘文が刻まれていた。もしやと思い画面を止めてみると何とか読み取れることに気づき、読み取って翻訳してみたのが下記である。(Esperanza:西 = Hope:英)
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We desire this statue of the “Guardian Lady of Space”, hoping that “Esperanza” will travel safely carrying our brothers and sisters to the new world where the light of Terra has never shone. “Esperanza” is our hope, flying from Terra to the vacuum of deep Space at a speed faster than light may her destiny be one of peace and may yours love and courage be her guard.
エスペランサ号が我らの同胞を地球の光が決して輝くことのない新世界まで無事届けてくれることを、宇宙を守護する女神の像に強く願う。
エスペランサ号は我らの希望、地球から真空なる宇宙へ光より早く翔け、その運命が平和であり、愛と勇気が守護されますように。
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ファンならご存知なのだろうが、ウェブ検索しても出てこなかったので、ここに再録する。
【追記】
1971年に日本語版の刊行が始まった『宇宙英雄ローダンシリーズ』に登場した最初のアルコン艦の搭載艇が『グッド・ホープ』であったことを思い出した。後にこのクラスの名称にもなり、初期設定では巡洋艦クラス以上に搭載される小型宇宙艦で、直径60メートルの球型、赤道部に装備される駆動部が遷移エンジンタイプでの航続距離は500光年、後にリニアエンジン搭載タイプでは航続1万光年であった。
グッド・ホープ級艦載艇(ディンギータイプ『オタマジャクシ』):外部サイト
【追記2】
アニメ版『11人いる!』はYoutubeで見ることが出来るようです。まだ著作権の有効期限内ですが…。
【文献】
萩尾望都(1994)11人いる!<新編集版>、323p、小学館、東京.
早川書房編集部(1994)ローダンハンドブック、367p、早川書房、東京.
Good Hope, url:https://www.perrypedia.de/wiki/GOOD_HOPE, Accessed:2020-05-01.