ツアーの集合時間直前に駆け足で撮影しましたので、抜けている標本が多いと思います。系統関係は科博の特別展『鳥』で撮影した写真が参考になります。フクイラプトルは歯が残っているなど、孔子鳥より古い形質を残していると考えられている様です。同種が鳥であるか鳥でないかは、定義によって微妙なところです。
現生生物の系統概要】【植物界の系統概要】【後世動物の系統概要】
【鳥類とその周辺の系統概要:化石種、現生種】【恐竜博物館】
【現生鳥類(Aves)周辺の系統概要】【新堅尾類の系統推定】【真正鳥類周辺の系統概要】
└テタヌラ類(Tetanurae)
│┌コエルロサウルス類(Coelurosauria)
└┤└コンプソグナトゥス科(Compsognathidae)
│ └シノサウロプテリクス・プリマ Sinosauropteryx prima (中華鳥竜) – 白亜紀前期
└マニラプトル類(Maniraptora)
└┬オヴィラプトル類(Oviraptoridae)
│└カウディプテリクス・ゾウイ Caudipteryx zoui (尾羽鳥) – 白亜紀前期
└原鳥類=近鳥類(Paraves)
│┌ドロマエオサウルス科(Dromaeosauridae)
└┤└┬デイノニクス・アンティロプスDeinonychus antirrhopus – 白亜紀前期
│ └ベロキラプトル・モンゴリエンシス Velociraptor mongoliensis – 白亜紀前期
└鳥群=鳥翼類(Avialae)
└┬アーケオプテリクス科(Archaeopterygidae) – ジュラ紀後期
│└アーケオプテリクス・リトグラフィカ Archaeopteryx lithographica (始祖鳥)
└尾端骨類(Pygostylia)
│┌フクイプテリクス・プリマ Fukuipteryx prima – 白亜紀前期アブチアン
└┼コンフキウソルニス・サンクトゥス Confuciusornis sanctus(孔子鳥) – 白亜紀前期
└鳥胸類(Ornithothoraces)
│┌エナンティオルニス類(Enantiornithes)
└┤└┬カタイオルニス・ヤンディカ Cathayornis yandica – 白亜紀前期
│ └オトゴルニス・ゲンギシ Otogornis genghisi – 白亜紀前期
└真鳥類(Ornithurae) = 真鳥形類(Ornithuromorpha)
│┌─チャオヤンギア・ベイシャネンシス Chaoyangia beishanensis – 白亜紀前期
└┤┌ガンスス・ユメネンシス Gansus yumenensis – 白亜紀前期
└┤┌ヘスペロルニス目(Hesperornithiformes)>
└┤└ヘスペロルニス・レガリス Hesperornis reagalis – 白亜紀後期
└新鳥類(Neornithes) = (現生)鳥類(Aves)
獣脚類から鳥類へ
ジュラ紀の終わりころ、気候がやや寒冷化するのに伴って、小型肉食恐竜が”羽毛”を獲得し、それが次第に飛翔能力を持つ鳥類(始祖鳥)の出現のきっかけとなったようです。肉食恐竜の顎から歯が失われ、前肢はカギ爪や指のない”翼”となり、尾も短くなってゆき、飛翔能力を持った鳥類になっていったと考えられるようになりました。そうだとすると、恐竜は絶滅したわけではなく、現在も鳥に姿を変えて生き続けているということになります。
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【爬虫綱(Reptilia) 双弓亜綱(Diapsida) 主竜形下綱(Archosauromorpha) 恐竜上目(Dinosauria) 竜盤目(Saurischia) 獣脚亜目(Theropoda) テタヌラ類(Tetanurae) コエルロサウルス類(Coelurosauria) コンプソグナトゥス科(Compsognathidae)】
| 和名 (Japanese Name) | 画像 (Image) | 学名 (Latin name) | 英語名 (English name) |
|---|---|---|---|
| シノサウロプテリクス・プリマ(中華鳥竜) |
|
Sinosauropteryx prima | (Sinosauropteryx) |
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【爬虫綱(Reptilia) 双弓亜綱(Diapsida) 主竜形下綱(Archosauromorpha) 恐竜上目(Dinosauria) 竜盤目(Saurischia) 獣脚亜目(Theropoda) テタヌラ類(Tetanurae) オヴィラプトルサウルス類()】
| 和名 (Japanese Name) | 画像 (Image) | 学名 (Latin name) | 英語名 (English name) |
|---|---|---|---|
| カウディプテリクス・ゾウイ(尾羽鳥) |
|
Caudipteryx zoui | (Caudipteryx) |
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【爬虫綱(Reptilia) 双弓亜綱(Diapsida) 主竜形下綱(Archosauromorpha) 恐竜上目(Dinosauria) 竜盤目(Saurischia) 獣脚亜目(Theropoda) 原鳥類(Paraves) ドロマエオサウルス科(Droodontidae)】
この標本は、モンゴルのゴビ砂漠で見つかったもので、二匹の恐竜が絡み合ったまま倒れています。ベロキラプトルの鋭いカギ爪がプロトケラトプスの頭部にくいこんでいるのがわかります。戦いの最中に砂に埋もれて化石になったと感がられています。
プロトケラトプス・アンドリューシ(複製) Protoceratops andrewsi
●分類:鳥盤類 周飾頭類 角竜類 プロトケラトプス科
●時代:後期白亜紀
●産地:モンゴル
ベロキラプトル・モンゴリエンシス(複製) Velociraptor mongoliensis
●分類:竜盤類 獣脚類 テタヌラ類 ドロマエオサウルス科
●時代:後期白亜紀
●産地:モンゴル
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1994年、中国遼寧省の白亜紀前期層から恐竜時代の鳥類(孔子鳥)が発見されました。1995年には同じ場所から”羽毛”のある小型肉食恐竜(中華竜鳥)が発見され、鳥類との関係で大変な議論がわき起こるようになりました。さらに付近から、飛翔能力のある鳥の化石(遼寧鳥など)や新たな羽毛を持った恐竜(原始祖鳥、尾羽鳥、中華鳥竜)が相次いで発掘されました。これらの発見で、鳥類は小型肉食恐竜から進化したことが確実視されるようになりました。
中華竜鳥:シノサウロプテリクス・プリマ Sinosauropteryx prima
遼寧鳥: リャオニンゴルニス・ロンギディジタリス Liaoningornis longidigitris
原始祖鳥:プロトアーケオプテリクス Protarchaeopteryx
尾羽鳥: カウディプテリクス・ゾウイ Caudipteryx zoui
中華鳥竜:中華竜鳥が鳥ではないとして改められた名称で『鳥のような竜』の意
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【爬虫綱(Reptilia) 双弓亜綱(Diapsida) 主竜形下綱(Archosauromorpha) 恐竜上目(Dinosauria) 竜盤目(Saurischia) 獣脚亜目(Theropoda) 原鳥類(Paraves) 鳥翼類(Avialae) アーケオプテリクス科(Archaeopterygidae)】
| 和名 (Japanese Name) | 画像 (Image) | 学名 (Latin name) | 英語名 (English name) |
|---|---|---|---|
| アーケオプテリクス属 Archaeopteryx | |||
| アーケオプテリクス・リトグラフィカ(始祖鳥) |
|
Archaeopteryx lithographica | (Archaeopteryx) |
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フクイプテリクス(Fukuipteryx)の復元
フクイプテリクスの化石は全身の70%の骨が立体的に残されていて、当時の鳥類の骨格の特徴を三次元的に調べることができます。マイクロX線CTスキャンによって化石を傷つけることなく精密に調査し、コンピュータ上で骨格の復元を行うことができました。その結果、フクイプテリクスが鳥類としてはアーケオプテリクス(始祖鳥)に次いで原始的な体のつくりをしていたことを明らかにすることができました。
フクイプテリクス・プリマ Fukuipteryx prima
●分類:近鳥類(=原鳥類:Paraves) 鳥翼類(Avialae)
●時代:前期白亜紀
●産地:福井県勝山市北谷町
●地層:手取群赤岩亜群北谷層
2013年8月、第四次恐竜発掘調査において、一体分のまとまった状態で鳥類の骨化石が発見されました。恐竜博物館、福井県立大学恐竜研究所、中国科学院古脊椎動物古人類研究所による共同研究の結果、この化石が新種のものであることが判明し、「原始的な福井の翼」を意味するフクイプテリクス・プリマの学名が与えられました。この非常に保存状態が良い化石は、極めて原始的な鳥類のもので、初期の鳥類進化を解き明かすために重要なものです。
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【爬虫綱(Reptilia) 双弓亜綱(Diapsida) 主竜形下綱(Archosauromorpha) 恐竜上目(Dinosauria) 竜盤目(Saurischia) 獣脚亜目(Theropoda) 原鳥類(Paraves) 鳥翼類(Avialae) 尾端骨類(Pygostylia)】
| 和名 (Japanese Name) | 画像 (Image) | 学名 (Latin name) | 英語名 (English name) |
|---|---|---|---|
| フクイプテリクス属 Fukuipteryx | |||
| フクイプテリクス・プリマ |
|
Fukuipteryx prima | (Fukuipteryx) |
| 和名 (Japanese Name) | 画像 (Image) | 学名 (Latin name) | 英語名 (English name) |
|---|---|---|---|
| コンフキウソルニス属 Confuciusornis | |||
| コンフキウソルニス・サンクトゥス(孔子鳥) |
|
Confuciusornis sanctus | (Confuciusornis) |
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【爬虫綱(Reptilia) 双弓亜綱(Diapsida) 主竜形下綱(Archosauromorpha) 恐竜上目(Dinosauria) 竜盤目(Saurischia) 獣脚亜目(Theropoda) 原鳥類(Paraves) 鳥翼類(Avialae) 尾端骨類(Pygostylia) 鳥胸類(Ornithothoraces)】
| 和名 (Japanese Name) | 画像 (Image) | 学名 (Latin name) | 英語名 (English name) |
|---|---|---|---|
| カタイオルニス属 Cathayornis | |||
| カタイオルニス・ヤンディカ |
|
Cathayornis yandica | (Cathayornis) |
| オトゴルニス属 Otogornis | |||
| オトゴルニス・ゲンギシ |
|
Otogornis genghisi | (Otogornis) |
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【爬虫綱(Reptilia) 双弓亜綱(Diapsida) 主竜形下綱(Archosauromorpha) 恐竜上目(Dinosauria) 竜盤目(Saurischia) 獣脚亜目(Theropoda) 原鳥類(Paraves) 鳥翼類(Avialae) 尾端骨類(Pygostylia) 鳥胸類(Ornithothoraces) 真鳥類(Ornithurae)】
| 和名 (Japanese Name) | 画像 (Image) | 学名 (Latin name) | 英語名 (English name) |
|---|---|---|---|
| チャオヤンギア属 Deinonychus | |||
| チャオヤンギア・ベイシャネンシス |
|
Chaoyangia beishanensis | (Chaoyangia) |
| ガンスス属 Gansus | |||
| ガンスス・ユメネンシス |
|
Gansus yumenensis | (Gansus) |
ヘスペロルニス・レガリス Hesperornis regalis
●分類:真鳥類(Ornithurae) ヘスペロルニス科(Hesperornithidae)
●時代:後期白亜紀
●産地:アメリカ
ヘスペロルニスは白亜紀の北半球に広く分布したいた大型の海鳥です。翼は非常に小さくて飛ぶことができず、後ろあしで泳いで暮らすようになった鳥類です。後ろあしの指には膜がついて木の葉を並べたようになっており(弁足)、水を蹴るようにして海の中で泳ぐことができたと考えられています。
| 和名 (Japanese Name) | 画像 (Image) | 学名 (Latin name) | 英語名 (English name) |
|---|---|---|---|
| ヘスペロルニス目(Hesperornithidae) ヘスペロルニス科(Hesperornis) ヘスペロルニス属 Hesperornis | |||
| ヘスペロルニス・レガリス |
|
Hesperornis regalis | (Hesperornis) |
【文献】
Imai T, Azuma Y, Kawabe S, Shibata M, Miyata K, Wang M and Zhou Z (2019) An unusual bird (Theropoda, Avialae) from the Early Cretaceous of Japan suggests complex evolutionary history of basal birds, Commun Biol, 2:399, DOI: 10.1038/s42003-019-0639-4, Accessed: 2025-09-29.
田中公教・小林快次 (2018) ヘスペロルニス目:白亜紀の潜水鳥類の起源と進化, 日本鳥学会誌, 67(1), 57–68, DOI: 10.3838/jjo.67.57, Accessed: 2025-10-26.

