歳の瀬の鷹取山

 昨日の金沢八景権現山に続いて、今日は鷹取山を歩いてみました。ヤブツバキの花の時期には少し早いので少々淋しい季節なのですが、木本植物の葉など今の季節でないと気づくことの出来なかった彩に気づきます。遠目に白い花のように見えたのは、シロヨメナの総苞片でした。


C-252 シロダモハコブフシ【湯川(1996)を転記】
 シロダモタマバエ Pseudosphondylia neolitseae Yukawa(1974) によって葉に形成される虫えいである。展開直後の葉表には直径2~3mmの赤い斑点が現れ、その後急速に生長し、初夏には成熟する。虫えいの葉表部には黒褐色で先端の丸くなった円錐形、葉裏部は茶褐色で半球形を呈する。九州南部では、高さは2.8~5.0mm、直径は2.1~3.5mmで、葉表部の突出の方が葉裏部のそれよりも大きい。暖かい地方ではこの傾向がさらに強くなるが、九州北部などでは、逆に、葉裏の半球形の部分が大きくなり、葉表の円錐形の部分が小さくなる。内部はほぼ球形の幼虫室があり、淡黄褐色の幼虫が1匹入っている。成虫は虫えいの葉裏部から羽化する。多いときには、葉当たりの虫えい数が100個にも達することがあり、葉が折れ曲がったり、捻じれたりする。
 生態 基本的には年1世代であるが、まれに2年1世代のものもある(図II-17)。成虫は4月上~中旬に羽化し、20~40mmに伸びた新芽の中に産卵する。羽化した幼虫は新葉に潜入し、その部分が赤斑点になり、初夏には顕著な虫えいとなる。1齢で越夏し、秋には2齢から3齢に進み、翌春、虫えい内で蛹化する。2年1世代のものは2年目の秋まで1齢のままで、その後、年1世代のものと同じような経過をたどる。これまで内部寄生蜂としてコガネコバチ科のGastrancistrus sp.、外部寄生蜂としてシロダモタマバエコマユバチ Bracon tamabae Maetô(1991) (=Ibobracon scurra Fischer)が知られている(436ページ参照)。
 分布 本州、佐渡、伊豆諸島、四国、九州、種子島、屋久島、南西諸島。
(参考文献) 井手(1928)、Maetô(1991)、Sunose(1982)、巣瀬(1986d)、鈴木(1980)、Takasu & Yukawa(1984)、薄葉(1977)、山内ら(1982)、矢野(1964)、Yukawa(1974, 1976b, 1983a)、湯川(1979a, 1984a, 1988d)、Yukawa et al.(1976)、湯川・松岡(1992)、湯川・巣瀬(1988)。
虫癭ちゅうえい = 虫こぶ。

【参考】
 イソギク Chrysanthemum pacificum
 シロヨメナ Aster ageratoides
 ツルマサキ Euonymus fortunei
 コゴメウツギ Stephanandra incisa
 ナンテン Nandina domestica
 カニクサ Lygodium japonicum
 イタビカズラ Ficus nipponica
 オオバウマノスズグサ Aristolochia kaempferi var. kaempferi
 エビヅル Vitis ficifolia
 マルバウツギ Deutzia scabra
 シロダモ Neolitsea sericea
 マンリョウ Ardisia crenata
 オニシバリ Daphne pseudomezereum
 前浅間
 コウヤボウキ Pertya scandens
 キヅタ Hedera rhombea
 マユミ Euonymus hamiltonianus
 ハゼノキ Rhus succedanea
 ウグイスカグラ Lonicera gracilipes
 トネアザミ Cirsium comosum ver. incomptum
 ヤマブキ Kerria japonica
 ヤマコウバシ Lindera glauca
 親不知
 子不知
 ビワ Eriobotrya japonica
 ヤブツバキ Camellia japonica
 アセビ Pieris japonica
 壁画群
 リュウノヒゲ Ophiopogon japonicus
 ハリギリ Kalopanax septemlobus
 シロダモハコブフシ
 ヤツデ Fatsia japonica
 コセンダングサ Bidens pilosa var. pilosa
 サルトリイバラ Smilax china
 アオキ Aucuba japonica
 アケビ Akebia quinata
 釈迦如来像
 ミツバアケビ Akebia trifoliata
 ナワシログミ Elaeagnus pungens
 サザンカ Camellia sasanqua
 セイヨウヒイラギ Ilex aquifolium
 ギョリュウバイ Leptospermum scoparium
 夕照橋よりみた富嶽


参考文献
渡邉-東間加奈・大井-東間哲雄(2016)日本産オオバウマノスズクサ群の分類学史およびオオバウマノスズクサとアリマウマノスズクサの混同について、Bunrui, 16(2):131-151、URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunrui/16/2/16_01602-06/_pdf/-char/ja、accesed: 2020-12-29.
湯川淳一(1996)日本原色虫えい図鑑、p.201.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です