葉脈の黄化したヒヨドリバナ

 植物葉が黄化する現象は、クロロフィル量が減少するためで、一般にクロロシスとして知られています。その原因としては、クロロフィルの構成元素であるマグネシウムの欠乏、ニッケルの過剰などによる栄養障害が考えられるのですが、通常は葉脈と葉脈の間、脈間で黄化が見られます。先日は鷹取山で、それとは逆に葉脈のほうが黄化しているヒヨドリバナをみかけました。


 周囲には同様に葉脈が黄化したクズも生えていたので、土壌成分に障害の原因があるのではないかと考えて、ウェブで検索したところ、予想に反して、病原ウィルス『geminvirus』の一種『ヒヨドリバナ葉脈黄化ウイルス(eupatorium yellow vein virus, EpYVV)』によるウィルス病であることが解明されていました。このウィルスはダニにより媒介されるそうですが、なかなか美しいので、媒介種や宿主となる植物種の範囲を調べて見ると面白いかも知れません。ちなみに、この葉脈黄化現象は古くは万葉時代から知られていたそうです。
 キク科ヒヨドリバナ連 維管束植物の分類【概要小葉植物と大葉シダ植物裸子植物被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹


【文献】
尾崎武司・井上忠男 (1978) ヒヨドリバナ(Eupatorium japonicum Thunb.)の葉脈黄化症状株から分離されるコナジラミ伝搬性ウイルス, 日本植物病理学会報, 45(19, 11-112, DOI: 10.3186/jjphytopath.45.98, Aceesed: 2025-07-15.
井上忠男・尾崎武司 (1980) 植物 ウイルス病に関するもっとも古い記録とみられる万葉集の歌について, 日本植物病理学会報, 46, 49-50, DOI: 10.3186/jjphytopath.46.49, Aceesed: 2025-07-15.

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