ジョイナスの森 彫刻公園

 横浜駅からのすぐ近くに屋外彫刻のある森があると聴き、家内と尋ねてみました。茉莉花は『まりか』ではなく『まつりか』だそうです。

 ジョイナスの森 彫刻公園:昭和53年5月竣工 相模鉄道株式会社


茉莉花 Matsurika 1978
船越保武 Yasutake Funakoshi (1912-)
 船越保武は、新制作協会に所属して活躍する現代日本の具象彫刻を代表する作家といえます。初期にはブランクーシを思わせる抽象彫刻を試み、さらに幾多のキリスト教的な題材の彫刻を作ってきました。そしてその静かな感銘をひめたような女性像が追求されて、そこに比類のない美しさが打ち出されています。うすい衣をまとったこの女性のすがたにも、限りなく端正で流麗な理想像ともいえる美しさがあらわされています。


道標・鳩 Guide-post・Pigeon (1973-79)
柳原義達 Yoshitatsu Yanagihara (1912-)
 柳原義達は、かつて新制作協会に所属していましたが、現在は無所属で活躍する特異な具象作家です。ただ表面的な形の美しさではなく、その内奥にある真実をあらわそうとするところに、その特色があります。「道標」は鳥によるシリーズとして行われているもので、ここには四羽の鳩が、実際に地上でえさわついばむような姿に配列されています。現実にふれてみられるような親しみ易さがあり、かえってその真実味をあらわしています。


ニケ’83 Nike ’83 1983
朝倉響子 Kyoko Asakura
 朝倉響子は明治から大正にかけて日本の近代彫刻の黎明期に活躍した巨匠朝倉文夫の二女として生まれ、学校にゆかず、父のもとで自家の天才教育をほどこされたといわれています。数少ない女流彫刻家として、早くから頭角をあらわしまずか、シックで現代的な魅力のある作風を作り上げています。「ニケ」はその象徴のような都会の若いスリムな女性の透明感をよくあらわしているといえます。


踊り子 Passo di danza che riposa 1983
ジャコモ・マンズー Giacomo Manzu イタリア(1908-1991)
 マンズーとマリーには、現代イタリア彫刻の中核といわれていてきましたが、その作風は極めて対照的です。マリーニが古代的な素朴で力強い作風をみせたのに対して、マンズーは対照的にローマ的な人間臭い表現を作り上げています。踊り子はその主要なテーマの一つですが、この作品にも、静かな肉づけにやわらかな量感を盛り上げて、陰影をふくんだ女のさがともいうべき哀愁の味わいをにじみ出しているように思われます。


果実 Le Fruit 1911
アントワーヌ・ブールデル Antoine Bourdelle
 ブールデルはロダンとともに、フランス近代彫刻の扉を開いた巨匠として知られています。ロダンのいぶくような奔放な肉づけに対して、むしろ実在的な真実をめざして、構築的な力強さをあらわしているところに特色があります。この作品も体全体が大きくうねるような伸びやかさをみせて、手にもつ果実のような清新な若さをあらわしていますが、しっかり腰がはり、中に強いシンが通っているような安定した感銘があります。


構成 マリノ・マリーニ 1995

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