板橋清掃工場の排熱利用で加温されている板橋区立熱帯環境植物館を訪ねました。ここでは、植物に限らず熱帯環境をコンセプトに展示をしており、水族の展示もあってカメ目も4種飼育されています。ナツメヤシ、サトウヤシ、アブラヤシ、ココヤシなど関東地方では露地栽培が難しいヤシ科植物も観ることが出来ました。
【ウナヅキヒメフヨウとタイリクヒメフヨウ】 【ショウジョウヤシとヒメショウジョウヤシ】
【ウナヅキヒメフヨウとタイリクヒメフヨウ】
ウナヅキヒメフヨウ(ピンク)は大船フラワーセンターの温室でも栽培されており、そこでの学名はMalvaviscus arboreus var. mexicanusとなっているのですが、ウェブ画像検索からみる限り、ここで示されているMalvaviscus penduliflorusの方が広く使われているようです。また、ウナヅキヒメフヨウ(赤)は、夢の島熱帯植物館で展示されているタイリンヒメフヨウと同じと思われ、学名も同じMalvaviscus penduliflorusです。
Schery RW (1942)のモノグラフによると、
M. arboreusの品種へのキーは、
var. penduliflorus 花の長さが4.2cm以上
var. mexicanus 花の長さが2.3~4.2cm
と、花のサイズで識別できることになっていますが、その後80年のうちに品種ではなく種として格上げされているのかも知れません。学名が変更されたために、和名との関係が混乱することは十分にあり得ます。上位分類をみても、AGP体系による分類での旧アオイ科は、旧パンヤ科、旧シナノキ科などと統合再構成されていることもあり、いずれ調べたい課題が増えました。
【文献】
Schery RW (1942) Monograph of Malvaviscus, Annals of the Missouri Botanical Garden, 29(3), pp.183-236+238-244, URL: https://www.jstor.org/stable/2394317?seq=1#metadata_info_tab_contents, Accessed:2021-12-26.
Baum DA, Smith SDeW, Yen A, Alverson WS, Nyffeler R, Whitlock BA & Oldham RL (2004) Phylogenetic relationships of Malvatheca (Bombacoideae and Malvoideae; Malvaceae sensu lato) as inferred from plastid DNA sequences, Am J Bot, 91(11) 1863-1871, DOI; 10.3732/ajb.91.11.1863, Accessed: 2021-12-26.
【ショウジョウヤシとヒメショウジョウヤシ】
ショウジョウヤシ(Cyrtostachys renda)は、タイ、マレー半島、スマトラ島、ボルネオ島、すなわちウォレス線の西(東洋区)に分布します。一方、ヒメショウジョウヤシは、ボルネオ島サラワクのクチンで採集された標本に基づきC. lakka として命名された学名に対して設けられた和名の様ですが、現在では、C. lakkaはC. rendaのシノニムとされているので、ヒメショウジョウヤシとショウジョウヤシは同じものと考えてよさそうです。
【文献】
Heatubun CD, Baker WJ,Mogea JP, Harley MM, Tjitrosoedirdjo SS & Dransfield J (2009) A monograph of Cyrtostachys (Arecaceae), Kew Bull, 64, 67–94, URL: https://link.springer.com/content/pdf/10.1007/s12225-009-9096-4.pdf, Accessed: 2012-12-28.
【参考】
板橋区立熱帯環境植物館
ビルマムツアシガメ Manouria emys phayrei
ジーベンロックナガクビガメ Chelodina siebenrocki syn. Chelodona rugosa
ニシキマゲクビガメ Emydura subglobosa
ボルネオカワガメ Oritia borneensis
アダン Pandanus odoratissimus
ウナヅキヒメフヨウ(ピンク) Malvaviscus penduliflorus
ウナヅキヒメフヨウ(赤) Malvaviscus penduliflorus
ニッパヤシ Nypa fruticans
ナツメヤシ Phoenix dactylifera
オウギバショウ(タビビトノキ) Ravenala madagascariensis
ハスノハギリ Hernandia nymphaeidolia
ゴバンノアシ Barringtonia asiatica
スノーフレークツリー Trevesia palmata
ヤエヤマヤシ Satakentia liukiuensis
サトウヤシ Arenga pinnata
ナンヨウソテツ(雄株)(Queen sago palm) Cycas rumphii
パパイヤ ‘ソロ’ Carica papaya ‘solo’
ココヤシ Cocos nucifera
ビンロウ Areca catechu
リュウビンタイ Angiopteris lygodiifolia
ウチワヤシ Licuala grandis
ヤエヤマアオキ Morinda citrifoila
ムラサキモクワンジュ(ムラサキソシンカ) Bauhinia purpurea
ハネフクベ Alsomitra macrocapra
テーブルヤシ Chamaedorea elegans Syn. Collonia elegans
トックリヤシ Hyophorbe lagenicanulis
ヒメショウジョウヤシ Cyrtostachys renda Syn. Cyrtostachys lakka
ウツボカズラの交配種 Nepenthes ventricosa x N. truncata
ウツボカズラの1種 Nepenthes sp.
パラワンヤシ(マニラヤシ) Adonidia merrilli Syn.Veitchia marrillii
ガルデニア・シャクナゲ Rhododendron gardenia
ハシカンボク Bredia hirsuta
ロキアエ・シャクナゲ Rhododendron lochiae
ジゴニシア ‘紫小町’ Zygopetalum x Aganisia ‘Murasakikomachi’
サンゴノボタン Medinilla speciosa
ブラキキルム・ホースフィールディー Brachychilum horsfieldii
カクチョウラン Phaius tankervilleae
コモチクジャクヤシ Caryota mitis
アンスリウム・ジャングルキング Anthurium crassinervium
ギニアアブラヤシ Elaeis guineensis
ビヨウタコノキ Pandanus utilis
アレカヤシ Dypsis lutescens
タイガーオーキッド Grammatophyllum speciosum
オーガスタ(ルリゴクラクチョウカ) Strelitzia nicolai
スギノハカズラ ‘スプレンゲリ’Asparagus densiflorus ‘Sprengeri’
ビカクシダ Platycerium bifurcatum
アンスリウム・ジャングルキング Anthurium crassinervium
ドワーフモンキーバナナ Musa cv.
ホソバアラリア Polyscias fruticosa
モンステラ Monstera deliciosa
マレー凧「ワウ」
パラミツ(ジャックフルーツ) Artocarpus heterophyllus
シンノウヤシ Phoenix roebelenii
オトヒメエビ Stenopus hispidus
ニシキテグリ Synchiropus splendidus
トランススルーセントグラスキャットフィッシュ Kryptopterus bicirrhis
スポッテッドナイフフィッシュ Chitala ornata
ニシキアナゴ Gorgasia preclara
コンゴウフグ Lactoria cornuta
レッドライントーピードバルブ Puntius denisoni
レッドテールブラックシャーク Epalzeorhynchos bicolor
タイガーヒルストリームローチ(?) Sewellia marmorata
ハタタテサンカクハゼ Fusigobius longispinus
アカシマシラヒゲエビ Lysmata amboinensis
レインフォースゴビー koumansetta rainfordi
アオギハゼ Trimma caudomaculatum
キイロサンゴハゼ Gobiodon okinawae
ヒメセミエビ Scyllarus cultrifer
アカメカブトトカゲ Tribolonotus gracilis
カットハウス飛行船
馬頭観音:板橋区坂下3丁目23-25
地蔵尊:板橋区小豆沢3丁目12
シュロ(左)、トウジュロ(右) Trachycarpus fortunei
イヌシデ Carpinus tschonoskii
ハウチワカエデ Acer japonicum
赤羽台トンネル碑
赤羽台トンネル
三千三百世帯の人々が生活する緑豊かな赤羽台団地に、赤羽地区のまちづくりを促すために都市計画道路の建設が提議された。
団地を南北に分断するこの道路は、交通の利便性と引き替えに住環境の悪化と、生活の便益を損なうおそれがあった。このため団地住民は全面地下方式を強く主張し、行政は半地下掘割方式を提示し、両者のあいだに数年に及ぶ相克がつづいた。
住民は悩み、考え、行動し、深い苦渋をもって行政側の要望を選択した。その後両者は細部に及ぶ円満な合意づくりをめざして、対話と研究に多大の努力をかさねたすえ、今ここに、新しく修景された“赤羽トンネル”の実現をみた。
この地に住む人々の知恵とたゆみない努力の結晶として生まれたこの周辺環境が真に住民のためのものとして末永く健全に守られ、育成されることを願い、ひたむきに取り組んた多くの人々の努力の証として、この碑を置く。
平成四年四月
東京都北区
赤羽台団地自治会
マレー凧「ワウ」
マレー語で「Wau(ワウ)」と呼ばれるマレーの代表的な娯楽で、マラッカ王朝時代から盛大な競技会が行われていたそうです。特に東海岸のトレンガヌ州やクランタン州で、収穫の時期に楽しまれてきました。
マレー凧の起源はさまざまな説があり、風の精霊との交信に用いたとか、農作物を荒らす鳥を遠ざけるために作られた、などと言われています。