ムラサキ目は、APG-IV(2016)により新設された5つの目のひとつでムラサキ科のみから構成されます。ムラサキ科は、毛深くて螺旋状の花序(巻散花序)を持つことが多いなど特徴的な形態を有する種が多かったため、科としてのまとまりは良く、シソ科に近いと考えられてきたのですが、遺伝子解析の結果、シソ科とは近くないことが明らかとなったため、目として独立したそうです。
科名、また目名となった種ムラサキ(Lithospermum murasaki)は染料としての需要があったこともあり、かつては栽培も含めて武蔵野ではありふれた植物であったのですが、神奈川県植物誌2018によれば、今世紀になって神奈川県内では確認されておらず、野生個体は既に絶滅していると思われます。ムラサキの写真は、こども植物園で栽培されていたものです。因みに同属のホタルカズラはハイキングコースなどでよく見かけます。
維管束植物の分類【概要、小葉植物と大葉シダ植物、裸子植物、被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹】
【ムラサキ目( Boraginales) ムラサキ科(Boraginaceae)】
【文献】
秋山忍・大場秀章(2016)ThunbergのFlora Japonicaでの学名を基礎に発表されたSiebold およびSiebold & Zuccariniの学名の検討、J. Jpn. Bot. 91(5): 255–262, DOI: 10.51033/jjapbot.91_5_10685, Accessed: 2023-07-03.
The Angiosperm Phylogeny Group and others (2016) An update of the Angiosperm Phylogeny Group classification for the orders and families of flowering plants: APG IV, Botanical Journal of the Linnean Society, 181(1), 1–20, DOI: 10.1111/boj.12385, Accessed: 2023-06-28.
神奈川県植物誌調査会(2018)神奈川県植物誌2018(下)、p1320.