通勤途中の道端で今年もクゲヌマラン(Cephalanthera longifolia)が咲きだしました。昨年みつけた2箇所(3地点)とは全く別の箇所でベルト状の緑地帯です。昨年は花期の終盤に気づいたため、よく確認できませんでしたが、今回みつけた個体は、少なくとも形態的にはクゲヌマランと言ってよさそうです。草丈は10cmから20cmほどで、周囲には、まだ蕾だけの個体が沢山ありました。
この写真からも明らかなようにギンラン(C. erectra)でもササバギンラン(C. longibracteata)でもないのですが、ただ、問題なのは周囲の植生です。この写真の場所はサクラとコナラの樹の下で、あたりにマツは一本もありません。マツも含めて針葉樹がない場所であることは、昨年の生育箇所にも共通することです。つまり、マツの根と菌根共生系を形成することで栄養を得ているとされたクゲヌマランには当てはまらないのです。それと、どの生育箇所もここ30年ほどの間に造成された埋立地であることも、このランがクゲヌマランではなく近縁の外来種である可能性を否定できない材料です。
【参考】
金沢区に生育するクゲヌマランあるいはギンラン類似種