2022夏休み2日目~雨飾山へ

 雨飾山は高山植物の種類が豊富なことで知られていて、高校生の頃から一度は訪れたいと考えていた山です。当時は東側に位置する信濃町側から火打山までは何度か来ていたのですが、雨飾山と火打山の間に位置する焼岳の噴火可能性があるため入山禁止となっていたため、今回が初めての訪問でした。
 宿泊地を白馬にしたため行動時間に制限があったので頂上までは辿りつけないことも想定していたのですが、それよりも大分手前で雪渓に行く手を阻まれてしまいました。アイゼンなどの装備がないとこれ以上は危険と考え、戻ったことが幸いして、下山後バスの終点まで舗装路を歩いているときに激しい雨となり、最近の天気状況を考えると絶妙な晴れ間に有効に過ごすことが出来ました。
 行き帰りともお世話になったバスの運転手さんによれば、この時期まで登山路に雪渓が残っていることは珍しいとのことで、今年は雪解けが遅れているようです。
【主な経路】
白馬(6:28)~南小谷(7:17-7:25)~雨飾高原(8:06)~登山口~ブナ平~荒菅沢~(雪渓の残る沢)~荒菅沢~ブナ平~登山口~雨飾高原(17:11)~南小谷(17:52-17:56)~白馬(18:14)


新渠土碑

中土村在信之北安曇郡北隅地多荒壤而之水
利民以為不便明治十三年戸長横川才蔵等與
村人白澤横澤諸氏相議謂中谷川上流懸崖而
下幾七十丈今鑿新渠以引其水則稻田可得也
余時為北安曇郡長深嘉其議則請於官興工於
是村人相競就役鑿渠七千八十間始於十四年
竣於十八年用工若千人糜貨數千金遂得田七
十余町其𠬧二千餘石云村人謀勤石傳其責於
後乃来曰此舉始子取奘勵悉其顛末莫若子者
願記其事余以為此舉經費頗多村民不能無困
獘雖然一旦之勞遂為永年之利闔村頼其慮者
多救子孫凶歉之謀莫善焉而於為昭代之民庶
 不負乎之不辭而述其概如此
 大蔵大臣正三位勲三等渡邉國武篆額
   衆議院議員窪田畔夫撰并書
 明治二十六年四月建

   明才堰
 明才堰は、地形が急峻で推理の乏しい中谷川一帯から北小谷三ヶ村にかけて。新しく水田を開墾するため作られた灌漑用水路である。
 開鑿は、地形が厳しく、豪雪地であり、、岩場も多く、すべてを手作業による難儀を極めた一大事業であった。口伝によると、測量は夜間に提灯を比べて水平を測ったり、岩盤トンネルは佐渡の金山石工でくりぬいたとも伝えられる。
 しかし、完成後の自然災害や、生産性の低い立地条件などにより用水路の維持さえ困難となり、昭和60年代に至ってついにその用を閉じた。
  事業の概要
用水路の規模 中谷川支流大海川大渕より源八沢まで約16km
       上幅182cm 底幅121cm 深さ91cm
着手     明治12年9月15日  竣工 明治16年11月 1日
工費     15969円88銭 2厘  人足 延26213人(一説では4万5千人)
組合員    約200名      開墾地見込み 80ヘクタール
 主導者 横川才蔵
弘化 4年(1847) 7月   小谷村中土塩之久保古沢佐左衛門の長男に生る 幼名 房吉
元治 1年(1864)     小谷村中土松本 横川才蔵の養子となる
慶応 3年(1867)     養父病死 家督相続 才蔵襲名
明治 7年(1874) 6月26日 学校世話役を命ぜられる。
明治 8年(1875) 6月10日 中谷村副戸長仰せ付けらる
明治12年(1879) 6月30日 中谷村戸長拝命 明才堰開発の責任者としておよそ200戸の先頭に立って努力
明治15年(1882) 6月30日 戸長退任 以後新堰開鑿担当人として努力
明治19年(1886) 6月30日 新堰開鑿担当人を横沢市五郎へ引継ぎ
大正 5年(1916)11月15日 病死(69才)
 氏は、筆も立ち、構想力もあり、政治力もあった。時の郡長窪田畔夫と親交し、大野県令・渡辺尚武大蔵大臣らを動かして事業を成功させ、先見をもって村民をリードし、剛腹よく幾多困難を切り開き、もって大業を成し遂げた手腕と力量は高く評価され、新堰名も明治の明と才蔵の才から明才堰と名付けられた。

【参考】
 ヴィラれんが亭
 雨飾高原(バス終点)
 雨飾荘
 ガクウツギ Hydrangea scandens
 トリアシショウマ Astilbe thunbergii var. congesta
 ヒヨドリバナ Eupatorium makinoi
 タイヤマウツボグサ Prunella prunelliformis
 クロヅル Tripterygium regelii
 オカトラノオ Lysimachia clethroides
 ガクアジサイ Hydrangea macrophylla f. normalis
 イワガラミ Schizophragma hydrangeoides
 雨飾山山頂付近遠望
 明才堰碑
 マタタビ Actinidia polygama
 ヤグルマソウ Rodgersia podophylla
 木道
 ミズバショウ Lysichiton camtschatcensis
 ミヤマシシウド Angelica pubescens var. matsumurae
 サンカヨウ Diphylleia grayi
 イワカガミ Schizocodon soldanelloides
 イヌブナ Fagus japonica
 ズダヤクシュ Tiarella polyphylla
 ブナ平
 ヤマモミジ Acer amoenum var. matsumurae
 クマザサ Sasa veitchii var. veitchii
 ハウチワカエデ Acer japonicum
 コバノガマズミ Viburnum erosum
 マイヅルソウ Maianthemum dilatatum
 ミヤマカタバミ Oxalis griffithii
 アオイスミレ Viola hondoensis
 ノウゴウイチゴ Fragaria iinumae
 ヒロヒダタケ Oudemansiella platyphylla
 アキアカネ Sympetrum frequens
 布団菱
 カナヘビ Takydromus tachydromoides
 マガリケムシヒキ Neoitamus angusticornis
 ミヤマカラマツ Thalictrum filamentosum var. tenerum
 ウワバミソウ Elatostema umbellatum
 荒菅沢
 オオバキスミレ Viola brevistipulata
 蕗の薹(フキ) Petasites japonicus
 キカワゲラ Xanthoneuria sp.
 ニリンソウ Anemone flaccida
 雪渓の残る登山道
 本日の到達点遠望
 リョウブ Clethra barbinervis
 サルナシ Actinidia arguta
 バイカウツギ Philadelphus coronarius

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