堅牢地神(地天)


堅牢地神(けんろうじしん)は、平安時代前期に伝来した十二天の一柱『地天(Prthivi)』が原型とされ、元は女神であったらしい。その地天が仏教に取り込まれていく過程で、男神、あるいは男女対の神として描かれるようになり、男神として描かれる時には花器と(げき)を持つことが多いそうである。しかしながら、石碑としての地神塔は角柱に名称が刻まれただけの文字塔であることが多く、その姿が刻まれることはなぜか少ない。
 地天は、大地を顕す神であったことから、我が国では地主神、地母神などと混同されることもあるようだが、少なくとも元は別である。一方、地天は菩薩像として描かれることもあり、地蔵菩薩へと変容したとする考え方もあるそうである。
(堅牢)地神塔マップ (作成中) 緑区、旭区、保土ケ谷区の地神(地天)(2022-12-29)
 堅牢地神塔は、少なくとも三浦半島エリアではあまり一般的ではない。一方、旧相模国の横浜市、藤沢市などでは、それなりに分布しているようだ。これまで、単に石塔群と認識していた中にもあると思われ、この分布は双体道祖神に似ているようにも思われるので、今後整理していく予定です。

【文献】
伊藤真(2018)李通玄における『華厳経』の善知識・安住地神の理解、佛教大学仏教学会紀要、23号、27-61、URL: https://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/BK/0023/BK00230R027.pdf, Accessed: 2022-11-28.
田中義恭・星山晋也(1987)目で見る仏像・天、136p.、東京美術、東京.
石川博司(1998)地神信仰雑記、URL: http://koktok.web.fc2.com/isikawa/isikawaCD/dijin.htm, Accessed: 2022-11-28.
泉区小史編集委員会(1996)地神塔と地神信仰、in いずみいまむかし、URL: https://www.city.yokohama.lg.jp/izumi/shokai/rekishi/ayumi/imamukashi/index-pdf.files/0072_20181017.pdf, Accessed: 2022-11-28.
納冨常天(1987)『善財童子華厳縁起』について、駒澤大学仏教学部論集、18、270-298、URL: http://repo.komazawa-u.ac.jp/opac/repository/all/19034/KJ00005120647.pdf, Accessed: 2022-11-30.

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