武相国境を歩く-石塔群

 この地区では境川の両岸、すなわち旧相模、武蔵の国のどちらにも双体道祖神が残されているようです。堅牢地神塔が多く、しかも石塔を集めた場所の中心に坐していることも特徴です。月待ち塔があることにも興味が持たれます。
 石塔マップ
【石塔群】栄区飯島町175(飯島南谷交差点)


二十三夜塔、双体道祖神、庚申塔
    供養塔
  六地蔵尊並に庚申塔の由来
 いつのころ建立されたものが、その年代は詳らかでないが、以前よりこの地飯島町涼戸一七四番地に六地蔵尊並に庚申塔、二十三夜塔が、三米足らずの細い道路端に安置されていたが、昭和三十年農道拡幅工事の際、飯島町民相違によって岩窟を穿ち、ここに移転安置しました。しかるにまたも再度の周辺地域の開発による環境の著しい変化に伴い、遷座を余儀なくされ景観その他往昔の俤は失はれたが、殆ど元の位置と同じ場所に移転安置することが出来ました。横浜市としても史跡保存に深い理解を示し、現在地に建設することになりました。
  昭和六十二年十一月吉祥
       大機山雲頂禅庵大岑誌


【双体道祖神】戸塚区小雀町486
 それほど古いとは見えませんでしたが、文久3年1863年と読み取れました。


【石塔群】戸塚区東俣野町1103
堅牢地神塔と庚申塔


【道祖神】戸塚区東俣野町
 石碑があるのでそれとわかりましたが、かなり磨滅が進んでいます。双体ではなさそうに見えました。


【小栗墓塔】藤沢市西俣野832
 たまたま通りかかった閻魔堂跡に小栗忠順おぐりただまさの墓石がありました。


閻魔堂跡(法王院十王堂跡)
 法王院十王堂、通称“閻魔堂”は慶長5年(1600)の建立といわれ、鎌倉材木座の浄土宗光明寺の末寺、あるいは同系統の藤沢の常光寺の末寺であったという。
 天保11年(1840)に火災により堂が焼失したが、閻魔大王座像・地獄変相十王絵図・小栗判官縁起図絵などは、村の若者たちの手により運び出され、難を免れた。
 これらの遺産は何れも花應院に現存する。土手番様の浪人の墓、歴代住職の墓が残っている。
  六会地区郷土づくり推進会議


【石塔群:俣野観音堂】戸塚区俣野町1028
 ここでも堅牢地神塔が中心に位置していました。


  俣野五郎景久と観音堂
 治承四年八月二十三日(一一八〇)伊豆に配流中の源義朝が平家政権打倒のため石橋山に挙兵すると平家側の総大将として是を襲ったのは藤沢の大庭景親であったが弟俣野五郎景久は家臣長尾兄弟(上杉謙信の祖)し源氏の先陣佐奈田与一を討ち取り、義朝軍は敗走辛うじて房総に逃れた。
 義朝が源家累代の家臣、千葉一族の協力を得て勢力を恢復し十月鎌倉に入府すると大庭影親を片瀬川畔で梟首し、五郎景久を遠く京都に敗走させて石橋山の報復を遂げた。
 寿永二年五月、俣野景久は平宗盛軍の将とし、頼朝の徒弟木曽義仲の軍と加賀の篠原で対戦したが、平家の敗戦濃厚で。武将の間から、いっそ源氏に鞍替えしてはとの話が出ると景久は強く反対し『武士としていさぎよく討死』の覚悟を示し、守護仏の観音像を家臣に託して母の待つ故郷、相模国俣野村に送って自らは壮烈な最期をとげた。
 いま篠原には景久の戦友で共に討死した斉藤実盛の墓はあるが、景久の墓はない。
 推うに実盛はまだ三歳だった義仲が殺されるのを救けた生命の大恩人であるが、是に反し景久は徹底した反源氏将なるが故に、その墓の建立が憚られたものに相違ない。
 景久に由緒のある観音堂は、茲、鎌倉街道西の道に接してはいるが、治承の昔からこの地に建立されていたかは定かではない。
     大正地区歴史散歩の会
         平成四年十月吉日 健之


【伝承小栗塚之跡】藤沢市西俣野410


    小栗伝説
 中世になると、浄土信仰が全国的に広まり時宗は浄土の教えに小栗説話なども交えて人びとの心をひきつけた。
 小栗伝説は、説教浄瑠璃などにも登場する。一度は地獄に落ちた判官は、閻魔大王の力によって再びもとの地に、餓鬼となってよみがえる。冥界の入口は小栗塚。娑婆への出口は土振塚すなふるいづか、遊行上人の情にもすがった判官は、はるか後方現世の、西方浄土熊野へと送られもとの美男子に生まれ変わる。美女照手姫車引の話もからめ。壮大なロマンとなる。
 今も「閻魔祭」や「判官絵解き」の行事の時に目にすることができる。
 「湘南ゆうき村」建設に伴って調査し、塚のもとの位置には、現在「伝承小栗塚」の碑が建っている。
          平成七年十月一日
     西俣野史跡保存会
     社会福祉法人 藤沢育成会


【堅牢地神塔】藤沢市西俣野380



【石塔群】佐波神社(藤沢市石川141)
 ここでも、堅牢地神塔が中央です。


【双体道祖神】藤沢市円行2丁目17-6


 その他、本日撮影の写真です。藤沢市の地神社は、阿波型地神塔での地神の一柱である埴山姫命はにやまひめが祭神だそうです。

【参考】
 コアオハナムグリ Gametis jucunda
 ワイヤープランツ Muehlenbeckia axillaris
 ツルハナナス Solanum laxum
 イモカタバミ Oxalis articulata
 ヒメフウロ Geranium robertianum
 ナワシロイチゴ Rubus parvifolius
 ヤブカラシ Cayratia japonica
 マダラウスナミシャク Hydrelia bicauliata
 レッドロビン Photinia glabra × P. serrulata
 ハルジオン Erigeron philadelphicus
 稲荷社(戸塚区東俣野町1709)
 マーガレット(木春菊) Argyranthemum frutescens
 俣野神社(戸塚区俣野町763)
 ハナショウブ Iris ensata
 ヤマグワ Morus australis の並木
 地神社(亀井野2丁目36-4)
 マツヨイグサ Oenothera stricta
 ビロードモウズイカ Verbascum thapsus
 ヒメイワダレソウ(英名:リッピア) Phyla canescens var. repens
 メキシコハナヤナギ Cuphea hyssopifolia (鷺舞橋)
 カラタネオガタマ Magnolia figo Syn. Michelia figo

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