シデ類の虫癭(虫こぶ)は冬が探しやすいとの記述をみかけたので、今日はイヌシデメフクレフシを探しに出かけたのですが、出会ったシデ類はどれも背が高くてよく分かりませんでした。その代わり、イヌツゲメタマフシを見つけることが出来ました。
【主な経路】
(自宅)-浜見台-鷹取山-朝比奈-六浦-(金沢八景駅)
【参考】
イヌツゲ Ilex crenata var. crenata
ナギ Nageia nagi
ヤブツバキ Camellia japonica
ウグイスカグラ Lonicera gracilipes
オニシバリ Daphne pseudomezereum
キブシ Stachyurus praecox
マユミ Euonymus hamiltonianus
(沼間の)スダジイ Castanopsis sieboldii
カラスザンショウ Fagara ailanthoides
キヅタ Hedera rhombea
スギ Cryptomeria japonica
前浅間遠望
ショカッサイ Orychophragmus violaceus
カヤ Torreya nucifera
イヌガヤ ephalotaxus harringtonia
二ホンスイセン Narcissus tazetta var. chinensis
マンサク Hamamelis japonica
蕗の薹(フキ) Petasites japonicus
フラサバソウ Veronica hederifolia
タネツケバナ Cardamine scutata
ヒメオドリコソウ Lamium purpureum
ジンチョウゲ Daphne odora
ユキヤナギ Spiraea thunbergii
アンズ Prunus armeniaca
ケイワタバコConandron ramondioides var. pilosus
タチツボスミレViola grypoceras
C-373 イヌツゲメタマフシ【湯川(1996)を転記】
イヌツゲタバエ(=イヌツゲハリオタマバエ)Asteralobia sasaki (Monzen, 1937)によって、葉腋の芽に形成される虫えいで、形状はソヨゴメタマフシ(C-375)の場合と基本的には同様である。虫えいの直径はソヨゴやナナミノキに形成されるものよりやや小さく。虫えい内の幼虫室数もやや少ない。
生態 生活史はソヨゴタマバエ(C-375)の場合とほぼ同じ
分布 北海道(ハイイヌツゲのみ)、本州、佐渡、四国、九州、沖縄本島(オオシイバモチのみ)。
関連寄主植物 後述のソヨゴを含め、ナナミノキ、ハイイヌツゲ、モチノキ、オオシイバモチ、ヒメモチなどモチノキ属(モチノキ科)の腋芽に類似の虫えいが形成される。これらから羽化するタマバエの形状がきわめてよく似ているので、これらの虫えいはすべて同一種による可能性もあり、ソヨゴとの寄生交換実験などで確かめる必要がある。
異名 イヌツゲタマフシ、モチノキメフシ
C375 ソヨゴメタマフシ
ソヨゴタバエ Asteralobia soyogo (Kikuti,1939b)によって、葉腋の芽が肥大してほぼ球形または不整形のこぶ状になる虫えいで、最大直径は6.0~20mmと変異幅が大きい。表面は平滑で最初は緑色、やがて部分的に暗紫色を帯びる。成虫の羽化後は褐変して木質化するが、落下しないので、樹上に古い虫えいが残存しているのをよく見かける。内部は漿質で、円筒形またはU字型の幼虫室が1~10個あり、それぞれに1匹ずつ幼虫が入っている。幼虫室の壁は白色で、比較的薄いが固い。
生態 年1世代。成虫は1月下旬から6月にかけて羽化し、長い針状の産卵管で腋芽に産卵する。虫えいは秋までに成熟し、幼虫も10月には3齢に達する。越冬した3齢幼虫は3月頃から虫えい内で蛹化を始める。コバチ類やコマユバチの寄生が見られるが、まだ同定されていない。
分布 本州、四国、九州、屋久島。
異名 ソヨゴメフシ、モチノキメフクレフシ。
※虫癭 = 虫こぶ。
参考文献
湯川淳一(1996)日本原色虫えい図鑑、p.246-247.