シダを探して衣笠山公園へ

 暖地性のシダであるコシダをここしばらく探していたのですが、三浦半島での普通種とは言えそうにないようです。そこで、ターゲットをコシダの属するウラジロ科にひろげると下記の記述をみつけました。


ウラジロ:馬堀・野比五明山・小矢部~衣笠公園北斜面大群落(大谷,1960)


 現在の『衣笠公園』は平地の運動場なので、当時の衣笠公園は現在の衣笠山公園であると仮定して、確認してきました。衣笠山公園はシダ類も含めてよく管理されているようでしたが、現在の北側斜面一帯はモウソウチクの林となっていてウラジロやコシダよりも日陰を好むシダ類が繁茂しているだけでした。恐らく竹林を整備した際に乾燥地を好むウラジロは衰退し、耐陰性がより高く湿地を好むシダ類に置き換わって来たものと思われます。温暖化が進む近年ですので、ウロジロ科のシダ類が絶滅しているとは思えませんので、次にはシダ類で覆われていた記憶がある津久井浜浅間神社の若宮などを尋ねたいと思います。
 ウロジロ科の写真としては、とりあえず正月飾り用の乾燥標本を掲げておきます。
  『小葉植物と大葉シダ植物の分類


『文献』
 大谷茂(1966)神奈川県の羊歯植物(1), 横須賀市博物館研究報告 自然科学, 12, 31-51, URL: https://cir.nii.ac.jp/crid/1520853834865120512, accessed: 2023-12-24.


【参考】
 ウラジロ Diplopterygium glaucum
 ヤマモミジ Acer amoenum var. matsumurae
 コモチシダ Woodwardia orientalis
 フモトシダ Microlepia marginata
 ベニシダ Dryopteris erythrosora
 マンリョウ Ardisia crenata
 ビワ Eriobotrya japonica
 道六神:太田坂
 フヨウカタバミ Oxalis variabilis
 ホラシノブ Odontosoria chinensis
 カニクサ Lygodium japonicum
 ツワブキ Farfugium japonicum
 オシロイバナ Mirabilis jalapa
 ゼンマイ Osmunda japonica
 コゲラ Dendrocopos kizuki
 イノシシ注意
 塚山公園
 イノデ Polystichum polyblepharum
 イワガネソウ Coniogramme japonica
 手作り弁当ひまわり:平作1丁目2
 衣笠厄除地蔵菩薩:衣笠栄町2丁目
 庚申塔(3基):小矢部2丁目
 ヒロハイヌワラビ Athyrium wardii
 オオヒメワラビ Deparia okuboana
 ベニシダ Dryopteris erythrosora
 芭蕉句碑
 トウカエデ Acer buergerianum
 大楠山山頂
 追浜方面
 オニヤブソテツ Cyrtomium falcatum
 イノモトソウ Pteris multifida
 タチシノブ Onychium japonicum
 モウソウチク Phyllostachys heterocycla Syn:P. edulis
 シケシダ Deparia japonica Syn. Athyrium japonicum
 ヤブソテツ Cyrtomium fortunei
 横須賀線田浦隧道
 アメリカフウロ Geranium carolinianum


  しら露も
こぼさぬ萩の
   うねり哉
      はせを

注:『しら露も こぼさぬ萩の うねり哉』松尾芭蕉、最晩年の句で、元禄6年(1693年) 秋に、杉山杉風の別邸採茶庵に咲く萩を見て詠んだ句と言われます。芭蕉が三浦半島に足を運んだという記録はないので、何故この句碑がここにあるのかは定かではありません。

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