カナリーヤシとブラジルヤシ

 午後から家内と買い物に出かけた金沢文庫で、カナリーヤシとブラジルヤシが並んで植栽されているのをみかけました。


 左がカナリーヤシ、右がブラジルヤシです。ある程度生育していれば、ブラジルヤシでは、葉が白っぽく見え、葉が下の方に垂れ下がらないので、遠目でもなんとなくわかります。それとシダが着生しているのは大抵カナリーヤシです。さらに、近くによることが出来れば、葉の付け根の方の複葉が変形した棘の長さで確実に判断できます。カナリーヤシのほうが明らかに長くてトゲトゲです。
 一方、ブラジルヤシと同属の異種ヤタイヤシも耐寒性が強く関東地方でも地植えが可能なので区別は簡単ではなさそうです。これは、後日、別途調べてみたいと思います。


【ブラジルヤシとヤタイヤシ】
→ ブラジルヤシ(B.capitata) と ヤタイヤシ(B.yayai) とは、こちらのサイトに従って種子で識別するのがよさそうです。(2021-12-29)
   ココスヤシ ヤタイヤシ ブラジルヤシ ブティア
→ 種の観察から大船フラワーセンターのButia属ヤシは、ブラジルヤシであることを確認しました。(2022-03-13)

 わが国では、Buita属のヤシをひっくるめてココスヤシとして流通することがあるのは、外部形態から識別することが困難なためと思われますが、実がなっていれば、ブラジルヤシとヤタイヤシの識別はなんとかなりそうです。
 ブラジルヤシの原産地はブラジル、ウルグアイですが、ヤタイヤシはアルゼンチン、パラグアイに自生するので、現地では天然木の識別に困ることはあまりないと思われます。ただし、自生地域が同じで類似しているBuita属もあるので、組織レベルの識別法が研究されています。
 わが国で流通しているブラジルヤシは、そもそもB. capitataではないのではないかとの疑惑があるそうで、日本のブラジルヤシは本当はこちらではないかと言われているB. odorataとの比較では、SANT’ANNA-SANTOS et al.(2015)の報告があり、B.capitataでは形成される束晶(raphide)がB. odorataがみられないとのことですので、これが両種の識別に役立ちそうです。
【文献】
SANT’ANNA-SANTOS BF, CARVALHO GO Junior & AMARAL VB (2015) Butia capitata (Mart.) Becc. lamina anatomy as a tool for taxonomic distinction from B. odorata (Barb. Rodr.) Noblick comb. nov (Arecaceae), An. Acad. Bras. Ciênc., 87:1, 71-81, DOI: 10.1590/0001-3765201520130457. Accesed: 2021-12-19.
【参考】
 カナリーヤシ Phoenix canariensis
 ブラジルヤシ Butia capitata
 ヤタイヤシ Butia yatay

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