【文献紹介】生物系統学(三中,1997)

 ポスドク時代に同じ科だった先輩から(著者割で)お頒けいただいた一冊です。当時は勿論、今でも系統学のスタンダードな教科書ではないかと思います。今でこそ、クレード、グレートの等のタームはWikiPediaにも載っているくらいポピュラーになっていますが、当時はどこの辞書にも載っていませんでしたので、大変新鮮に感じたことを想い出します。あの頃の私は、字面では理解できたものの、この本の本質は理解できていなかったのだと思います。単にテクニックを示すだけではなく、著者の想いが込められている佳書ですから、我国での系統学黎明期を飾るマイルストーンと言える一冊です。

 出版から四半世紀を過ぎた今、他にも良書は有るのかも知れませんが、私にとっては大切な一冊となっています。三中氏は、進化学を中心話題としたメーリングリスト『Evolve』の主催者でもありましたので、いろいろと勉強させて頂きました。今にして思えば、献辞サインくらい戴いておけばよかったと悔やまれますが、(自筆の)メモ書きが挟まっていて、日めくりの裏紙だっことに今更気づきました。これも氏の人柄を忍ばせる良き思い出となっています。


【文献】
三中信弘 (1997) 生物系統学、458p、東京大学出版会、東京.
 第1章-なぜ系統を復元するのか
 第2章-系統とはなにか
 第3章-分岐学-その起源と発展
 第4章-分岐学に基づく系統推定
 第5章-系統が語る言葉


Pooh wonderred if being a faithful Knihght meant that you just went on being faithful without being told things. The House At Pooh Corner
「プーは、忠実な騎士であるということは、何も言われなくてもただ忠実であり続けることなのかと考えました。」プー横町に建った家

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