早めの昼食後に田浦梅林を尋ねました。
【参考】
白梅 Armenica mume
日本水仙 Narcissus tazetta
昼食は船食製麺で
横浜方面
追浜方面
富津方面
昨日からの雨も上がって、少しずつ温かくなってきました。鷹取山ではヤツデの花はすっかり終わり、スイカズラも冬の葉に代わって春の葉が目立つようになっています。花の種類はまだ多くはないのないのですが、オニシバリの開花が進んでいました。ジンチョウゲが香る季節はもうすぐです。
今冬はラニーニャの影響のためか、最近にしては寒いのですが、春は遠くないと思い、午後から横浜イングリッシュガーデンの開花状況を確認してきました。ミモザやカワヅザクラが咲き始めていましたし、帰りに立ち寄った金沢八景の御伊勢山ではオニシバリも咲いていました。
【概要】
わが国で地植え可能なヤシ科植物の多くはコウリバヤシ亜科Trachycarpeae連に属しており、以下の9種は関東あたりでもよくみかけます。
カナリーヤシ(Phoenix canariensis)は、葉が羽状で樹高10mを超える。幹にはシダ類の着生することが多い。
シンノウヤシ(Phoenix roebelenii)は、葉が羽状の小型ヤシで鉢植えの観葉植物としても利用される。
シュロ(Trachycarpus fortunei)は、葉が扇状で、葉柄基部に繊維網を密に生じる。
トウジュロはシュロのなかでも葉先が下垂しない園芸種。シュロとの中間型が存在し、実生育成するとシュロと区別がつかない個体を生ずることがあるためシュロと同一種と見做されている。
チャボトウジュロ(Chamaerops humilis)は、トウジュロに似るが、葉の先端がさらに2裂する。
カンノンチク(Rhapis excelsa)は、幹は細身で竹に似ており、葉は扇状で6-10裂する。
シュロチク(Rhapis humilis)は、カンノンチクに似るが、扇状葉は7-18裂する。
ビロウ(Livistona chinensis)は、葉身が規則正しく分裂、先端はさらに2裂し、葉柄の基部には逆刺を有する。花序にはビロード毛(tomentum)が密に宿存する。
オガサワラビロウ(L. boninensis )は、小笠原諸島に広く分布し、果実の長径が最大30mmとビロウより大きいこと、花序のビロード毛を欠くこと等で識別される。長くビロウの変種(L. chinensis var. boninensis )とされてきたが、Dowe(2001)により北村四郎の記載当初の通りに独立種とすることが提案され、PalmWEbもこれを受け入れている。
メイジマビロウは、小笠原諸島の聟島列島、母島列島の姪島などに分布する。オガサワラビロウより小型で葉柄基部の逆刺が殆ど目立たない。分類的な位置は確定していない様だが、遺伝的にオガサワラビロウから隔離していることが確認されているため、島間の移動自粛など保全に際しては配慮が必要とされている。
ワシントンヤシ(Washingtonia filifera)は、扇状の葉に白い糸状の繊維が垂れ、樹高20mに達する。オニジュロの別名がある。
ワシントンヤシモドキWashingtonia robusta)は、ワシントンヤシより細身で、幹は概ね電柱より太くならならず、ゆるやかに湾曲することが多い。
ヤシ科植物の写真整理 ヤシ科植物原産地マップ 内向敷石状と外向敷石状 PALMeweb
亜科への検索表 夢の島熱帯植物 板橋区立熱帯環境植物館 サムエル・コッキング苑
【参考】
我が国で地植え栽培可能なヤシとその他の名が知れている(一部の)ヤシのリストです。ヤシ科で最も多様化しているのはアレカヤシ亜科で、ヤシ科の半分以上の属はアレカヤシ亜科に属しますが、このリストでは北半球起源とされるコウリバヤシ亜科のほうが多くなっています。
ヤシ科の亜科への検索表
Coryphoideae (コウリバヤシ亜科)
Sabaleae (サバル連)
Cryosophileae連
Phoeniceae (ナツメヤシ連)
Phoenix属
カナリーヤシ (P. canariensis) ∨
ナツメヤシ (P. dactylifera) ∨
シンノウヤシ (P. roebelenii) ∨
Trachycarpeae (シュロ連)
Rhapidinae (シュロチク亜連)
Chamaerops属
チャボトウジュロ (C. humilis) ∨
Trachycarpus属
シュロ (T. fortunei) ∨
(トウジュロ:園芸品種) ∨
Rhapis属
カンノンチク (R. excelsa) ∨
シュロチク (R. humilis) ∨
Livistoninae (ビロウ亜連)
Livistona属
ビロウ(枇榔) (Livistona chinensis var. subglobosa) ∨
オガサワラビロウ (Livistona boninensis) ∨
メイジマビロウ ∨
Licuala属
ウチワヤシ (Licuala grandis) ∧
亜連未分類
Washingtonia属
ワシントンヤシ (W. filifera) ∨
ワシントンヤシモドキ (W. robusta) ∨
Chuniophoeniceae連
Caryoteae連
Arenga属
クロツグ (A. engleri) ∨
Corypheae (コウリバヤシ連)
Borasseae (パルミラヤシ連)
Arecoideae (アレカヤシ亜科)
Cocoseae (ココヤシ連)
Arecinae亜連
ビンロウ(檳榔) (Areca catechu) ∧
Attaleinae亜連
ブラジルヤシ (Butia capitata) ∧
ヤタイヤシ (Butia yatay) ∧
ココヤシ (Cocos nucifera) ∧
Areceae (アレカヤシ連)
Carpoxylinae亜連
ヤエヤマヤシ (Satakentia liukiuensis) ∧
Clinospermatinae亜連
ノヤシ (Clinostigma savoryanum) ∧
Dypsidinae亜連
アレカヤシ(ヤマドリヤシ) (Dypsis lutescens) ∧
∨:内向敷石状に葉身が断裂、∧:外向敷石状に葉身が断裂
【文献】
Dransfield J, Natalie WU, Lange CBA, Baker WJ, Harley MM & LewisCE (2008) Genera Palmarum – The Evolution and Classification of Palms, 219p., Kew Ryal Botanic Garden, UK,, DOI: 10.34885/92, Accessed: 2022-02-06.
北村四郎・村田源(1979)原色日本植物図鑑木本編Ⅱ、保育社、東京、545p.
森林総合研究所森林遺伝研究領域、小笠原諸島における植栽木の種苗移動に関する遺伝的ガイドライン、URL: https://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/chukiseika/documents/3rd-chuukiseika25.pdf, Accessed: 2022-02-12.
Ohtani M,Tani N and Yoshimaru H (2009)Isolation of polymorphic microsatellite loci in Livistona chinensis (Jacq.) R.Br. ex Mart. var. boninensis Becc., an endemic palm species of the oceanic Bonin Islands, Japan, Conserv. Genet., 10:997–999, DOI: 10.1007/s10592-008-9671-5, Accessed: 2022-02-12.
Dowe JL (2001) Studies in th genus Livistona (Cryphoideae: Arengaceae), PhD thesis, Janes Cook University, URL: https://researchonline.jcu.edu.au/24103/, acesses: 2022-02-13.
【概要】ヤシ科の5つの亜科の特徴
トウ亜科は、果実(子房)が瓦状の鱗片で覆われる。
ニッパヤシ亜科は、地上の幹が確認できず、雌花が頂生する。
コウリバヤシ亜科は、内向敷石状に葉が裂けていることが多い。
ケロクシロン亜科は、外向敷石状で雌雄異株のことが多い。
アレカヤシ亜科は、外向敷石状で雌雄同株のことが多く、花は3花が集合する。
【文献】
Dransfield J, Natalie WU, Lange CBA, Baker WJ, Harley MM & LewisCE (2008) Genera Palmarum – The Evolution and Classification of Palms, 219p., Kew Ryal Botanic Garden, UK,, DOI: 10.34885/92, Accessed: 2022-02-06.
下野綾子, 植物の繁殖-自殖?他殖?, URL: https://www.toho-u.ac.jp/sci/bio/column/0816.html, Accessed: 2022-02-08.
内向敷石状と外向敷石状(外出自粛なので写真を整理してみました)
ヤシ科植物の写真整理 ヤシ科植物原産地マップ PALMeweb
内向敷石状(induplicate)、外向敷石状(reduplicate)、どちらも聞きなれない単語ですが、ヤシ科植物に関する記述ではよくみかけます。『敷石状』は覆瓦状に対して使われる植物形態学の用語で、葉や花被の重ならない繰り返し構造を意味します。
![]() カナリーヤシの葉 内向敷石状(∨字断面) |
![]() ブラジルヤシ属ヤシの葉 外向敷石状(∧字断面) |
![]() ソテツの葉 折り畳み構造はない |
(外向敷石状葉の例は良い写真がなかったので、後日差し替えたいと思います)
→ ヒロハケンチャヤシからブラジルヤシ属ヤシの写真に差し替えました(2/8)
ヤシ科植物の葉は若い時期には丁度扇子のように折り畳まれており、後に展開して扇状あるいは羽状になるのがこの科の特徴となっています。外観が似ているソテツ科植物の葉では、このような折り畳み構造はありませんので葉を近くで見ることが出来れば明確に区別できます。ヤシ科植物の展開された葉を表から見たときに断面が『∨』字になっているのが内向敷石状、『∧』字になっているのが外向敷石状です。英語ではそれぞれ『V-shaped in cross-section』、『A-shaped in cross-section』です。
ヤシ科植物はこの敷石構造をみると亜科を判別するのに役立ちます。関東地方辺りでは野外栽培のできない、トウ亜科、ニッパヤシ亜科、ケロクシロン亜科ではすべて外向敷石状(∧)、ココヤシ、テーブルヤシ類、ブラジルヤシなどを含むアレカヤシ亜科もすべて外向敷石状(∧)です。一方、カナリーヤシ、ワシントンヤシ、ビロウ、シュロなどが含まれるコウリバヤシ亜科の植物は、一部の例外を除くと内向敷石状(∨)です。
コウリバヤシ亜科で外向敷石状(∧)になる種はウチワヤシなど少数で、わが国の屋外では殆どみかけることが出来せんので、『∨』字型断面のヤシの葉を野外で見かけたらほぼコウリバヤシ亜科と考えられます。反対に、琉球、小笠原などでない限り、国内で『∧』字型の断面を持つ葉であれば、アレカヤシ亜科とみて間違いありません。
なお、コウリバヤシ亜科に外向敷石状(∧)を示す種が含まれるのは、分類に間違いがあるのではと疑いたくなるのですが、遺伝学的手法による検討(Asmussen et al, 2006)でもこれまでの分け方が支持されているようです。
春はすぐそこですが…。早く集団免疫状態になることを望んでおります。
【参考】
ヤシ科 Arecaceae (Palmae) (∨/∧)
トウ亜科 Calamoideae (∧)
ニッパヤシ亜科 Nypoideae (∧)
コウリバヤシ亜科 Coryphoideae (∨/(∧))
カナリーヤシPhoenix canariensis (∨)
ワシントンヤシ Washingtonia filifera (∨)
ビロウ Livistona chinensis (∨)
シュロTrachycarpus fortunei (∨)
ウチワヤシ Licuala grandis (∧:例外)
ケロクシロン亜科 Ceroxyloideae (∧)
アレカヤシ亜科 Arecooideae (∧)
ココヤシ Cocos nucifera (∧)
テーブルヤシ Chamaedorea elegans (∧)
ブラジルヤシ Butia capitata (∧)
ヒロハケンチャヤシ Howea forsteriana (∧)
ソテツ Cycas revoluta
寒咲花菜 Brassica sp.
【文献】
Dransfield J, Natalie WU, Lange CBA, Baker WJ, Harley MM & LewisCE (2008) Genera Palmarum – The Evolution and Classification of Palms, 219p., Kew Ryal Botanic Garden, UK,, DOI: 10.34885/92, Accessed: 2022-02-05.
Asmussen CB, Dransfield J, Deickmann V, Barfod AS, Pintaud J-C and Baker WJ (2006), A new subfamily classification of the palm family (Arecaceae): evidence from plasmid DNA phylogeny, Bot J. Linnean Soc. 151, 15-38. URL: https://academic.oup.com/botlinnean/article/151/1/15/2420456. Accessed: 2022-02-05.
いつもとはルートを変えて、今日は日ノ出町から横浜イングリッシュガーデンを尋ねました。追浜駅では、ホームドアの設置工事か始まっていました。
【マップ】うらが道、かなざわ道、など
【主な経路】(日ノ出町駅)ー野毛三丁目公園-尻こすり坂-藤棚-水道橋-横浜イングリッシュガーデン-金沢横丁-いわな坂-清水ヶ丘公園-(南太田駅)
橋の概要
種類:斜張橋
橋長:59m
塔柱高さ:18.2m
幅員:4m
竣工:1971年(昭和46年)
設計者:柳宗理
総工費:52000万円(当時)
斜張橋と柳宗理
橋のデザインは、プロダクトデザイナーである柳宗理
○西区歴史街道 ~西区は道の交差点、すべての道は開港へ~
西区は、昭和19年4月1日に、中区から独立して誕生しました。今から250年ほど前までは、現在の西区の区域は、芝生村(しぼうむら)と戸部村(とべむら)が、東海道の景勝地である「袖ケ浦」という三角形の内海をはさんで成り立っていました。神奈川宿台町から見た風景は、たいへん美しく、「武蔵国第一の景」と言われるほどでした。
宝永4(1707)年の富士山大噴火による降灰の影響等で海が浅くなり湿地帯になっていくと、18世紀以降、埋め立てによる新田開発が進められ、「宝暦新田」「平沼新田」「岡野新田」などが造成されました。その結果、150年ほど前の「袖ケ浦」は、畑と塩田の風景に変わりました。なお、「横浜道」ができるまでは、神奈川から開港場へは須崎神社前から渡し船によっていました。
西区には「東海道(とうかいどう)」「横浜道(よこはまみち)」「保土ケ谷道(ほどがやみち)」という三つの古道が通っていました。
江戸時代の大動脈であった「東海道」は、江戸方からは袖ケ浦の海岸に沿って、神奈川宿台(元、神奈川区台町)の坂を下り、大通り(環状1号)に出て観行寺の前を通り、浅間下交差点を横切って浅間下公園の中を抜け、浅間神社へと続いていました。そして、追分、現在の松原商店街を通り、天王町、帷子町を経て保土ケ谷宿へつながっていました。
わが国は、安政6(1859)年に開港し、横浜村(現在の関内地区)に開港場が築かれました。そのとき、東海道と開港場を結ぶために作られたのが「横浜道」で、初めは「しんみち」と呼ばれていました。浅間下交差点近くの薬局横が起点で、岡野・平沼新田の埋立地と海面の境に盛土して通とし、帷子川、石崎川の河口に「新田間橋」「平沼橋」「石崎橋(現敷島橋)」を経て開港場に至っていました。
また、「保土ケ谷道」は、保土ケ谷宿と戸部村を結ぶ古道で、現在の保土ケ谷区岩間町大門通り交差点で東海道と別れ、鉄道線路をこえて安楽寺(保土ケ谷区西久保町)から左折、藤棚商店街を通り、願成寺の下の通り「暗闇(くらやみ)坂」を抜け、伊勢町商店街から「横浜道」に合流していました。
開港場をめざして全国から集まる人々や物資は、この西区内の三つの古道をひんぱんに行き交いました。それにともない、わが国に入ってきたさまざまな文化も、これらの道を通って全国に伝えられていきました。重要な役割を果たしてきた三つの古道の周辺には、さまざまな歴史資源が残っています。
2004年12月設置
西区観光協会、西区土木事務所、西区役所
【参考】
ホームドア設置工事の始まった追浜駅
日本近代水道最古の水道管 (野毛三丁目公園)
野毛山公園碑
知恵の箱 1993 望月
佐久間象山の碑(野毛山公園)
野毛のつり橋
近代水道発祥の地碑
近代水道発祥の地(野毛山貯水場跡)
野毛山貯水場跡
ロウバイ Chimonanthus praecox
尻こすり坂(水道道)
セダムの一種 Sedum sp.
神中神髙希望ヶ丘髙 発祥の地碑
藤棚交差点
西戸部町塩田横枕西部公私道路修理記念之碑(西区浜松町9)
ノジスミレ Viola yedoensis
水道橋
横浜イングリッシュガーデン
ワシントンヤシ Washingtonia filifera
エレガンスみゆき Cerasus x Armenica mume ‘Elegance Miyuki’
パンジー Viola × wittrockiana
オオヤエクチナシ Gardinia jasminoides f. ovalifolia
ミツマタ Edgeworthia chrysantha
(西久保)杉山神社
(伏見)稲荷社:保土ケ谷区帷子町2丁目69
金沢横丁道標四基
石難坂(石名坂)
庚申塔(御所台地蔵前)
御所台地蔵尊
御所台の井戸
北向地蔵尊
エノキ Celtis sinensis (ゆずの木)
ソテツ Cycas revoluta
シンノウヤシ(Phoenix roebelenii)は、ヤシ科コウリバヤシ亜科に分類されるフェニックス属のヤシです。お好みソースの甘みになくてはならないデーツを実らせるナツメヤシや結構大きく育つカナリーヤシなどと同属ですが、本種は比較的耐寒性があり、あまり大きくならないため、地植えだけでなく鉢植えも見かけます。
『シンノウ』ヤシときいて、当然、中国最古の本草書(薬物書)とされる『神農本草経』に記載されている薬効あらたかなヤシだと思っていたのですが、確認のため調べてみたところそうではありませんでした。