鶴見区の名木古木を巡って- part2

 先週の続きで、横浜市指定の名木古木を訪ねて鶴見区を歩いてみました。


スダジイ2本 No.48024,48025(指定番号現地確認できず):熊野神社(鶴見区寺谷1丁目21-7)
ケヤキ No.49001::徳雄山建功寺(鶴見区馬場1丁目2-1)
ヤマザクラ No,49003(滅失):徳雄山建功寺(鶴見区馬場1丁目2-1)
クスノキ No.49004:徳雄山建功寺(鶴見区馬場1丁目2-1)
イチョウ No.49005:徳雄山建功寺(鶴見区馬場1丁目2-1)
ヒイラギ No.49006:徳雄山建功寺(鶴見区馬場1丁目2-1)
エノキ No.200201:徳雄山建功寺(鶴見区馬場1丁目2-1)
クスノキ No.49011:神明社(馬場6丁目17-20)
ツバキ No.49007(指定番号現地確認できず):愛宕山寳藏院延命寺(鶴見区馬場4丁目7-5)
アカガシ No.49009:愛宕山寳藏院延命寺(鶴見区馬場4丁目7-5)
イヌツゲ(指定番号現地確認できず):愛宕山寳藏院延命寺(鶴見区馬場4丁目7-5)
グミ No.48020:仙鶴山松蔭寺(鶴見区東寺尾1丁目18-2)
タラヨウ No.48021:仙鶴山松蔭寺(鶴見区東寺尾1丁目18-2)
サルスベリ No.48022:仙鶴山松蔭寺(鶴見区東寺尾1丁目18-2)
イヌツゲ(指定番号現地確認できず):仙鶴山松蔭寺(鶴見区東寺尾1丁目18-2)
イチョウ No.48008:一到山安養寺(鶴見区岸谷1丁目22-12)
タブノキ No.48009:生麦山聖無動院龍泉寺(鶴見区岸谷4丁目3-2)
イチョウ No.48003:聖王山文殊院大聖寺(鶴見区仲通1丁目2-3)
イチョウ No.48004:聖王山文殊院大聖寺(鶴見区仲通1丁目2-3)
イチョウ No.48005:聖王山文殊院大聖寺(鶴見区仲通1丁目2-3)


かながわの名木100選  昭和59年12月選定
宝蔵院の源平五色のツバキ
 和名:ツバキ(ツバキ科)
 赤、白。ピンク、しぼり、ぼかしの5色の花をつける珍しいツバキとして知られ、3月下旬から4月上旬の開花期には多くの人が観賞に訪れる。
 横浜市の名木古木に指定されている。
 樹高 6メートル 胸高周囲0.9~1.0メートル
 樹齢 約600年(伝承)
 ツバキは、本州から九州に分布する常緑高木で観賞用として庭などに植えられ、園芸品種も多い。実からは油がとれる。


  史蹟
源平五色椿 げんぺいごしきのつばき
   横浜市の名木古木に指定 (昭和四十九年度第七号)
このツバキは赤と白の他に、赤白混合のピンク、しぼり(赤白が点散)、ぼかし(色がにじむ)、等の五色の花が一本の幹に咲くのが特徴で、もちろん接ぎ木ではない。
品種としては「五色椿」だが、純粋な赤白がとりわけ美しく咲き、樹齢六百年以上(高さ六メートル、枝張り六メートル、幹回り一・五メートル、の幹から三本の枝に分かれる)の長老木であることから「源平」の二字を冠した。
三月中旬より五月中旬まで(特に四月上旬が見頃)五色に咲き分けるが、年間を通して雨上がりの時、緑青をふいたような幹は雨露を含んで美しく光り輝き、最高の芸術品である。
全国唯一の誠に美しい銘木のため、本や新聞・テレビ等にも紹介されている。椿の種類では全国で一番古いものである。


宝蔵院の源平五色の椿
昭和50年3月 横浜市の名木古木に指定
昭和59年12月 かながわの名木100選に選定
樹高6m、枝張り6m、根回り1.6mで地上1mのところで、幹が三本に分岐し、胸高直径は、それぞれ0.9~1mに及ぶ。樹齢は推定600年と伝えられている。
樹の種類は五色椿(ごしきつばき)で、接ぎ木ではなく、一本の幹から[赤・白・ピンク・しぼり(赤白が点散)・ぼかし(にじんだ色)]の五色(ごしき)の花が咲き分けます。赤と白の花の色が混じりを生じない長老木であるところから「源平」の名が付けられ、花はカーネーションの様に復輪で、蕊(しべ)が花ビラの間から出ている誠に珍しい樹のため、希少価値で選定されている。開花時期は3月下旬より5月中旬ごろまで毎日咲き替わり、特に4月上旬が見ごろです。


【主な経路】
(京急鶴見駅)-寺谷-馬場-東寺尾-岸谷-潮田-(京急鶴見駅)



  心願地蔵(鶴見区東寺尾6丁目33)
江戸の昔、安永八年(一七七九年)に東寺尾村二本木に住んでいた松沢源右衛門という人が建てたという。子宝に恵まれなかった源右衛門は、お地蔵様を建て、道行く人にお参りをしてもらえば、その功徳によって願いが叶えられるのではないかと思い立ち、お地蔵様を建てた。
     ふるさと再発見 寺尾奉行
※「天明五乙巳」の文字が読めるので正しくは1785年の建立と思われます。


  馬頭観音(馬場1丁目3-13)
その昔武士を背に乗せて走り、時には兵隊さんと戦地に赴き、家族同様田畑を耕し働いてくれた愛馬に感謝の「馬頭観音」之碑をこの地に何時、誰が建てたのかは定かでないが、祈る心と感謝の気持ちは時代が移るとも今は変わらない。
     ふるさと再発見 寺尾奉行
※碑の裏面に「大正七年四月 横尾□□建」と読めます。立札の文は詩的ではありますが、史実を確認してはいないようです。


  青面金剛合掌立像(馬場7丁目4)
右側の塔は青面金剛合掌立像を浮き彫りとしたものです。(一七六四年)
左側の尖頂角塔文字碑「庚申青面金剛合」は庚申(干支の一つでかのえ猿で)本尊は青面金剛合であります。街道沿いに置かれ塔に道標を彫りつけられたものもみかけられます。更に賽神として建立されることもあり、村の境目に建立されることもあったようです。(一八〇五年)
     ふるさと再発見 寺尾奉行


  寶藏院沿革碑
 真言宗智山派の愛宕山寶藏院は、橘樹郡神奈川宿新義真言宗金藏院末寺である。
 創建は、平安期の白山しらやま信仰(江戸時代には白山はくさんさまと称し歯の神様)・仏像、鎌倉期の愛宕社・山門等の建立および製作のほか、慶安二年(一九四九)の古文書により、鎌倉時代以前に草庵されたものと推定される名刹である。
 惣鎮守愛宕社は源頼朝公時代(建久三年より正治元年)に建立され、天正十八年(一五九〇)戦火で焼失し江戸時代に再建されたが、昭和二十年に堂宇老朽のため解体した。
 昭和二十年、本堂真後ろの墓地裏より板碑が数基出土したが、そりうち一枚は鎌倉時代の承元四年(一二一〇)と彫られている。
 山門は一部補修されているが、鎌倉時代のもので、板戸(樅の木の一枚板)獅子の彫刻(真向きの獅子・爪の彫り方)等は


同時代の風格をよく表現していることで知られている。
 左側の石段は鎌倉時代に建造されたものと伝えられている。
 本堂裏山には寺尾城(戦国時代に築城)址の砦として使用された愛宕社への虎口を守るための土塁があったことが発見されている。又、境内にあった溜池は、寺尾城の「水の手」として使用されたことが昭和五十四年判明された。
 過去帳による歴代住職中、最古と認められるのは、永享に二年朔日「寂」として傳燈大阿闍梨でんどうだいあじゃり耶法印弁栄と記録されて居り、江戸時代中ごろ元禄二年法印秀賢を中興として、爾来法燈連綿として現在に至っている。
 本堂には本尊大日如来・弘法大師尊像など仏像三十八躰が安置されて居り、寺尾地区にある最古の寺であるため、相武不動尊霊場の二十一番札所「寺尾不動尊」と称し、この他玉川八十八ヶ所霊場の十二番札所にもなっている。
 寺宝としては、聖観世音菩薩・薬師如来(伝鎌倉期以前)、十王尊像・十王尊掛軸・須弥壇(伝鎌倉期)、人生一生を守る十二支一大本尊、白蛇(弁才天の化身)などがある。
 境内には咲き分けの椿の名木で樹齢六百年以上と伝え、市の名木古木に指定されている。
 その他、足びき地藏・水子地藏・白山さま(歯の神様)・霊泉(延命水)などがあり、墓地には珍しい左文字の墓(鏡文字)がある。
         國田隆稔撰文並謹書


  庚申供養塔
 二本木と二反田の交差路馬場境にあった庚申さまは、江戸時代中期のもので(一、六八八年)に建てられ、寺尾地区に現存する最も古い庚申供養塔である。
 寺尾の水田深田で土質が悪く稲作不良から米作祈願として、青面金剛の庚申像が水田に添った辻に祭られていた。
  巡拝成就供養塔
 宝蔵院山門前にあったもので江戸時代中期の享保六年(一、七二一)に建てられ。寺尾地区に現存する最も古い供養塔である。
 大峯山・立山・浅間山・湯殿山・月山、及び西国・坂東・秩父、等の諸国巡拝成就の供養塔


  宝蔵院の板碑
 宝蔵院の本堂真後ろ墓地裏台地に樹令数百年の老松あり。老朽により危険のため昭和二十年伐採し、根を掘ったところ本堂に向い地中に人骨あり。その囲りから板碑が数基出土された。この中の一枚には鎌倉時代の承元四年(一、二一〇)と彫られてある。その人骨はおそらく宝蔵院先師のものと思われ、追福供養の為板碑を添え松を植えたものと考えられる。板碑は石塔婆の一種で青石塔婆とも言われ、秩父を原産とする扁平な緑泥片岩そのまゝを使用し、上部を三角形に作り、その下に二・三条の横線を入れ、仏像または梵字、ときには花瓶を彫刻し、その下に年月日及び人名、ときには建碑の由来などを刻む一定の形式がある。


  白山さま
 水子地蔵尊のあたりに、霊泉より流れる天然の清水を利用して戦国時代の頃から馬が水を飲むために造られた長さ三間のため池が昭和四十一年まであって、源平五色の椿との間に、水の流れに架かる太鼓橋を渡ったところに、小高い築山あり。その頂上に當山鎮守の「白山大権現」が祀られていた。
 「白山さま」と称し、江戸時代の頃から通称「歯の神様」として敬われ、多くの祈願崇敬者が訪れた。明治十九年二月、堂宇老朽化の為、宝蔵院中興第二十二世住職國田観誉代に石造りに再建された。
 「白山さま」が祀られていることは、平安期の「白山しろやま信仰」に由来するもので、宝蔵院が鎌倉時代以前に草庵されたものと推定される創建にかかる史料の一つとなっている。


  足びき地蔵尊
 馬場の貯水池脇の坂で、足を怪我するもの続発し、昭和五十年、山上の草むらの中から横たわるの仏二躰が発見され、このうち一躰には、江戸時代中期の、明和四年(一七六七)と彫られており、宝蔵院過去帳に記載されておりしご縁によって宝蔵院住職はこれを「足びき地蔵尊」と命名し、当寺に移転したもので、この地蔵尊を祈願する者より、足腰の痛みが取れしという。誠に霊験(ごりやく)あらたかな地蔵尊である。
 足腰を患う者、地蔵尊のご真言
 おん か か かび さんまえい そわか
とお唱え下さい。


  宝篋印塔
 この塔は、寶藏院の本堂並びに客殿庫裡の新築再建記念と、真言宗の宗祖弘法大師さまご誕生千二百年記念として、全国の宝篋印塔を訪ね、鎌倉時代の前期・中期・後期の中で中期のものが一番洗練されており、笠の部分が優麗で非常に美しいので、広島・尾道の浄土寺にある重要文化財を元に復元して製作されたものである。
 細かい丸みを帯びた部分は、すべて割り箸の先に砥石をくくり付けて、錬磨の特殊な技法によって、手作業で丹念に磨き上げ、精魂込めて造られたもので、これほどの完璧な作品は、現代我が国於ける石材技術の最高作である。
 塔身には密教の金剛界四佛をあらわす梵字が蓮座上の月輪内にある。笠の四隅にある隅飾の八つの面には、八方天の梵字が配されているのは八方護持の意味である。
 この塔の中には宝篋印陀羅尼の経文が銅筒の中に納められている。
  昭和四十三年(一九六八)八月吉祥日 建立


  霊泉(延命水)
 この水は、横井戸から清水が流れ出ていて一年中涸れることがうりません。仙國時代には水の手でもあり、昔から霊泉と称されて居り、延命水とも言われていますが龍王は水の神として仏法の守護神であります。日常努力されておまいりされると、必ずやお願いごとが成就されると言われます。合掌して「南無大師遍照金剛」とお唱え下さい。
  ご利益
この水を飲み、龍の頭に水をかけて祈願すれば、
   ◎健康で長寿
   ◎頭が良くなる
   ◎家運長久
この霊泉で水を汲んで、指定の場所でお金に水をかけて洗うと、
   ◎財宝が増す
   ◎商売繁盛
この水を指先に取り、病気の箇所に当てると、
   ◎霊験がある
この霊泉の水を顔につけると、
   ◎心身ともに美男美女になる。
   (美しさとは心から湧き出るものである)
この水を持ち帰って顔につれると、
   ◎火災を防ぐ
 ◎お願い事はお墓にお供えするものですから奇麗に使いましょう。
     愛宕山 寶藏院


【参考】
 スダジイ Castanopsis sieboldii
 ケヤキ Zelkova serrata
 ヤマザクラ Cerasus jamasakura
 クスノキ Cinnamomum camphora
 イチョウ Ginkgo biloba
 ヒイラギ Osmanthus heterophyllus
 エノキ Celtis sinensis
 ヤブツバキ Camellia japonica
 アカガシ Quercus acuta
 イヌツゲ Ilex crenata
 グミ Elaeagnus sp.
 タラヨウ Ilex latifolia
 サルスベリ Lagerstroemia indica
 タブノキ Machilus thunbergii
 大阪:鶴見区寺谷てらや
 ホトケノザ Lamium amplexicaule
 ノゲシ Sonchus oleraceus
 (響橋)庚申塔:鶴見区東寺尾6丁目36
 心願地蔵:鶴見区東寺尾6丁目33
 鶴見配水池配水塔:鶴見区馬場3丁目29
 ひまわり畑:鶴見区馬場3丁目18-22
 白山神社(建功寺境内社)
 不動尊/不動尊/日龍大神(建功寺境内)
 天満宮碑(建功寺境内)
 梵鐘(徳雄山建功寺)
 蕗の薹(フキ) Petasites japonicus
 馬頭観音:鶴見区馬場1丁目3-13
 庚申堂:鶴見区馬場7丁目4
 モチツツジ Rhododendron macrosepalum
 (上の宮)八幡神社:鶴見区上の宮1丁目32-2
 伊勢社(八幡神社境内社):右
 聖徳太子廟/稲荷大明神(八幡神社境内社)
 力石(八幡神社境内)
 河津桜(かわづざくら)Cerasus x kanzakura ‘Kawazu-zakura’
 神明社:馬場6丁目17-20
 愛宕山寳藏院延命寺(鶴見区馬場4丁目7-5)
 巡拝成就供養塔/庚申供養塔(愛宕山寳藏院延命寺)
 板碑(愛宕山寳藏院延命寺)
 白山はくさんさま(愛宕山寳藏院延命寺)
 おびんずるさん(愛宕山寳藏院延命寺)
 足びき地蔵尊(愛宕山寳藏院延命寺)
 宝篋印塔(愛宕山寳藏院延命寺)
 延命水(愛宕山寳藏院延命寺)
 観音像(仙鶴山松蔭寺)
 クスノキ Cinnamomum camphora(岸谷稲荷社)
 稲荷社(岸谷1丁目19)
 フチベニベンケイ Crassula portulacea
 岸谷庚申塔(生麦山聖無動院龍泉寺)
 潮田庚申塔(聖王山文殊院大聖寺)
 三界萬霊塔(聖王山文殊院大聖寺)
 鶴見川夕照
 循環源象-鉄-NO.16CIRCULATION POINT-IRON-NO.16 藤井FUJII 浩一郎KOUICHIROU(YOKOHAMA BIENNALE ’93)
 億万年の骨の詩 寺田TERADA 武弘TAKEHIRO(YOKOHAMA BIENNALE ’93)
 何をしているの? 矢作YAHAGI 隆一RYUICHI(YOKOHAMA BIENNALE ’93)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です