春の武山へ

 先週の大楠山に続いて今日は武山を訪ねました。途中で見かけたテンニンソウは、文献によると三浦半島からの報告例はないようですので同定間違いの可能性があります。できれば、花の季節にもう一度確認したいと思います。ナガサキアゲハはこの界隈でもすでに普通種なのかもしれません。
  神木相生松記(阿部倉諏訪明神社)
【文献】
 城川四郎(1987)神奈川県のテンニンソウについて、神奈川県自然誌資料, 8, 53-58.
 神奈川県植物誌調査会(2018)神奈川県植物誌2018(下)、1441-1442.
北原 正彦, 入來 正躬, 清水 剛(2001)日本におけるナガサキアゲハ(Papilio memnon Linnaeus)の分布の拡大と気候温暖化の関係、蛾と蝶、52:4、253-264、DOI:10.18984/lepid.52.4_253、Accessed:2019-09-16.


【参考】
(白花)ボリジ Borago officinalis
浅間山登山口
ウシハコベ Stellaria aquatica
浅間神社若宮
ネコノメソウ Chrysosplenium grayanum
アリドオシ Damnacanthus indicus
浅間神社
地蔵尊(浅間山山頂)
マサキ Euonymus japonicus
ウバユリ Cardiocrinum cordatum
ヤブニンジン Osmorhiza aristata
ウマノスズグサ Aristolochia debilis
ノハタカラクサ Tradescantia fluminensis
シャガ Iris japonica
オオジシバリ Ixeris japonica
カントウタンポポ Taraxacum platycarpum
オオバコ Plantago asiatica
モンキアゲハ Papilio helenus
ヒメウズ Semiaquilegia adoxoides
躑躅園之碑(武山山頂)
NTT横須賀研究開発センタ
追浜方面を望む
猿島方面を望む
ヒラドツツジ Rhododendron x pulchrun
武山子安地蔵尊
キンレンカ Tropaeolum majus
龍塚山持経寺武山不動院
焼火地蔵菩薩(武山不動境内)
武山稲荷大明神(武山不動境内)
筆塚(武山不動境内)
身代り不動尊(武山不動境内)
マメヅタ Lemmaphyllum microphyllum
庚申塔:武山不動院参道
タブノキ Machilus thunbergii
カマツカ Pourthiaea villosa
ヤマグワ Morus australis
ハルジオン Erigeron philadelphicus
ソバ Fagopyrum esculentum
ノイバラ Rosa multiflora
マムシグサ Arisaema serratum
ジャコウアゲハ(♂) Byasa alcinous
ヒレハリソウ Symphytum officinale
庚申塔群:武4丁目26
ゼフィランサス Zephyranthes spp.
ヘラオオバコ Plantago lanceolata
ナギイカダ Ruscus aculeatus
庚申塔群:太田和5丁目116
キイチゴ Rubus spp.
オーストラリアン・ローズマリー Westringia fruticosa
クスノキ Cinnamomum camphora
コクサギ Orixa japonica
地蔵尊:衣笠町32
衣笠城追口遺址碑
ノダフジ Wisteria floribunda
ミズキ Cornus controversa
タチツボスミレ Viola grypoceras
キクイサビゾウムシ類 Dryophthorus spp.
ツメクサ Sagina japonica
阿部倉諏訪神社
帝釈天王奉賽碑(阿部倉諏訪神社)
ホタルガ Pidorus atratus
ナワシロイチゴ Rubus parvifolius
石塔群::阿部倉30-1
キリ Paulownia tomentosa
ハリエンジュ(ニセアカシア) Robinia pseudoacacia
ヒナゲシ類 Papaver spp.
コゴメウツギ Stephanandra incisa
ノビル Allium macrostemon のムカゴ
ミチヤナギ Polygonum aviculare
ヒメビジョザクラ Verbena tenera
カヤ Torreya nucifera
ヒメコウゾ Broussonetia kazinoki
キンラン Cephalanthera falcata
イヌガヤ Cephalotaxus harringtonia
タツナミソウ Scutellaria indica
テンニンソウ Leucosceptrum japonicum (?)
ノアザミ Cirsium japonicum
オオシマザクラ Prunus lannesiana var. speciosa
ナガサキアゲハ Papilio memnon
イヌツゲ Ilex crenata var. crenata
ノヂシャ Valerianella locusta
道六神:太田坂
オランダガラシ Nasturtium officinale
サツキ Rhododendron indicum


市制施行七十周年記念
 横須賀風物百選
  武山初不動
 初不動は、例年一月二十八日で、縁日商人や近在の善男善女でにぎわいます。
 ここに至る参詣道は、南部、一騎塚、須軽谷、北下浦と四方にあります。それらの登山口には、必ず前不動と呼ばれる不動明王像が立っていて、参詣人の案内役を勤めます。
 不動明王は、大日如来が一切の悪魔を払うために変身された姿で、災害を除き財宝を得る功徳があると言われています。とくに、武山不動尊は、航海安全の浪切不動として広く知られ、漁業関係者から厚く信仰されています。
 沿岸漁業者にとっては、この山頂が漁場を定める基準として、あるいは、港の方向を知る標準として欠かすことが出来ないお山であったことも信仰を深めた一因と思われます。
 「武山の不動さん」と親しまれるこの寺院の正式名称は、「龍塚山持経寺武山不動院」で浄土宗です。ここに安置される不動尊は、御小松天皇の御代、応永四年(一三九七)に奈良東大寺の沙門万務大阿闍梨(しゃもんまんむだいあじゃり)が、諸国行脚の途中に、現在の南部にあった持経院に立ち寄り、高さ三尺九寸(約一一七センチメートル)の不動尊を彫刻して本尊としたものです。その後、修験僧讃与見隋(さんよげんずい)が、この山頂に移したと伝えられています。
 この山頂には、オオムラサキ、博多白、妙義山のツツジが約二千本あり、毎年四月下旬に「武山つつじ祭」が行われています。また、この山頂は、一騎塚から現在地を経て砲台山、三浦富士、津久井に至るハイキングコースの一拠点でもあります。


   武山不動尊縁起由来
当山は浄土宗龍塚山持経寺不動院と称します。武山は昔日本武尊が弟橘比売命妃と共に御登りになられたので其の名がつけられたと謂はれ又三笠山、浩宮様方も学習院に在籍中は御遊覧にお登りになられた由緒ある歴史を持っております。仰も当不動尊は後小松帝の御写応永四年(西暦一、三九七)奈良東大寺門萬務大阿闍梨が諸国行脚の折当地に立寄り創建したもので国家安全萬民福利を祈願とする道場として一刀三禮感応の霊場、霊作たる不動明王を安置し奉り三浦半島の総鎮守として霊場一番の札所であります。
当山の標高は海抜二百余米の髙燥の地位を占め空気清浄閑雅にして遠くには霊峰富士の山を控え眺望絶佳なるをもって善男善女紳士淑女学生団体の参拝あり又航海者漁夫達の目標の場所として特に篤い信仰を寄せられております。  龍塚山持経寺武山不動院


  焼火地蔵菩薩
 焼火とは、島根県隠岐島の島前西ノ島町にある焼火山(たくひやま海抜452m)のことで北前船が航路の目標としている焼火権現を武山へ移した地蔵菩薩です。焼火山にある焼火神社に伝わる神火に祈念すると、船が遭難しかかった時には神火が出現して、安全な方向を示してくれると信じられ、海上交通に携わる人々の信仰を集めていました。この信仰の有様は、北斎・広重共に画いています。


武山稲荷大明神鳥居破損修理
 令和元年十月のおり、台風十五号で御神木が本堂の屋根に倒れかかり、急きょ枝を切り落とし徐々に鳥居の養生もした上で、伐採を始めたのずすが最後に御神木の根元を切り落とした際、鳥居に当たり破損。みの鳥居は、昭和三十九年に信徒の皆様が奉納された貴重な鳥居なので復元したおり、地元の(有)鈴木石材店鈴木俊充氏の協力で復元が完成いたしました。
信徒の皆様方に御寄付のお願いを申し上げます。
  令和二年一月吉日   武山不動院


  身代り不動尊・筆塚由来
 江戸時代末期文化の頃豪雨の中本堂脇のオオキの大木に落雷大木は真二つにさけ焼焦げとなりました。御本尊御本堂も無事なるを見た人々は御身代りと唱えました。その大木年代を経て芽を吹き青き葉枝をささえ旺盛なる力に感動し参拝の有信者が手を合わせ身代り不動尊を唱えこれをまつりました。
          合掌
筆塚
 人は皆筆により智を幸を知るその筆に感謝し成長する事を念じここに筆塚を信者の賛同御寄附を得て建立されました。
          合掌
     龍塚山持経寺武山不動院


帝釈天王奉賽碑
 これまで何度か尋ねた折、殆ど読めなかった碑文が、本日午後3時過ぎには何が書いてあるかくらいは識別出来るようになっていました。逢魔時の絶妙な光加減のなせる業ですが、誤判読は残っていると思います。
注:明神の相生松は、阿部倉村七不思議のひとつとされています。


   神木相生松記
本社の背ニ巨枩アリ相傳テ神木トス張根雙幹鬱蒼一畝龍踊リ雲覆フ遠ク近ク
望ハ青幢ノ半空ニ懸カ如シ怪形翁鬱眞ニ愛スヘシ惜哉安政年中己枯レ今終二
朽株ヲ存スル而巳矣頃日予宿志ヲ以テ庚申塔ヲ本社ノ傍ニ建ツ其ノ成ニ及テ里中ノ
老少弓會シテ宴ヲ社前ニ張ル行酒ノ間タリ誇偶マ神木ノ事ニ及テ予卒余曰ク枯松
己成石ト堅客相視テ謁ク翁ノ言謬レリ古言樟樹千歳化石ト未タ松ノ石ニ化スル
ヲ聞サル也予笑テ辨セス杯ヲ挙ケ板ヲ撃テ大歌フ老少和舞社頭湧カ如シ己ニ
シテ夕陽客感帰ル予亦返テ寝ニ記リ恍惚聲アリヨリ翁ノ前言訛ハ則訛ナリ然
陰陽相感シ物類相拓ク古尚ホ非情ノ有情ニ變スル者アリ若春樟ノ化テ石ト為ル
ヲ信セハ松ノ變テ石ト為ルモ亦タ怪二足ラサル也況後人此碑二因テ曽テ巨松有
シヲ知ルヲ得ハ則チ松ノ堅心石ト為ルトヨシモ亦可也予驚テ之ヲ見レハ四壁□然
只タ冷風ノ窓紙ニ吟スル而己矣     關口老夫誌
     明治廿二巳丑年六月廿三日
        關口佐兵衛治 謹テ


阿部倉の七不思議【横須賀雑考より転記】
10.阿部倉の七不思議
 阿部倉の七不思議という口碑が昔からあり今でもこれが伝えられている。その七つとは(一)明神の相生之松、阿部倉の鎮守諏訪明神社境内に新しく松を植えるとこれが必ず相生の姿になるという。(後略)
【文献】
 横須賀文化協会(1968)阿部倉の七不思議、横須賀雑考、p.127.

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