ブナ科(Fagaceae)は、ブナ亜科(Fagoideae)とコナラ亜科( Quercoideae)が単系として識別されていて、北半球を中心にして1000種以上が記載されてきました。近縁であるとされてきた南半球に分布するナンキョクブナ科(Nothofagaceae)はブナ科の姉妹群に位置付けられています(APG-IV,2016)。
ブナ科はすべて木本で優良材となる種が多いのですが、ブナ(Fagus crenata)は均質な木目(ブナ目:散孔材)、常緑性のカシ類では、繊細な木目(カシ目:放射孔材)、落葉性のミズナラ(Quercus crispula)では顕著な木目(環孔材)とそれぞれの特長で知られています(佐伯,1993)。
コナラ属(Quercus)のうち常緑性樹種は樫、落葉性樹種は楢として区別することもあるのですが、「Oak=楢」という定義が必ずしも明確ではないため例外も少なからずあるようです。(Oakは欧州産のコナラ属に対して使われるのですが、欧州産のコナラ属はほぼ落葉性です。このため、欧州産種は楢であって樫と呼ぶのは相応しくないことになります。)
維管束植物の分類【概要、小葉植物と大葉シダ植物、裸子植物、被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹】
【ブナ目(Fagales) ブナ科(Fagaceae)】
【文献】
佐伯浩(1993)この木なんの木, 132p., 海育舎、大津.
Li R-Q, Chen Z-D, Lu A-M, Soltis DE, Soltis PS and Manos PS (2004) Phylogenetic Relationships in Fagales Based on DNA Sequences from Three Genomes, Ann J Plant Sci, 165(2), 311-324, DOI: 10.1086/381920, Accessed: 2023-08-03.
The Angiosperm Phylogeny Group and others (2016) An update of the Angiosperm Phylogeny Group classification for the orders and families of flowering plants: APG IV, Botanical Journal of the Linnean Society, 181(1), 1–20, DOI: 10.1111/boj.12385, Accessed: 2023-07-11.