ギンラン類似種、そしてキンラン

今日は、連休の谷間でそれほど忙しくはないので定時で退社、あたりを散策してみました。昨年から気になっているクゲヌマラン(Cephalanthera longifolia)と思われるギンラン類似種ですが、金沢区沿岸部の埋め立て地に広く分布していることを改めて確認しました。一方、ギンランは見当たらず、キンラン(C. falcata)は二株みつけました。


【参考】
 ギンラン Cephalanthera erectra、キンラン C. falcata、クゲヌマラン C. longifolia
 2018年5月26日 金沢区に生育するギンラン属の実
 2017年4月25日 今年のクゲヌマラン(類似種?)
 2016年5月15日 金沢区に生育するクゲヌマランあるいはギンラン類似種
 2019年5月5日 ササバギンラン キンラン


【ギンラン類似種に関するまとめ】
この地区での存在に気付いたのが昨年の花期の終盤で結構珍しいものをみつけたと思っていたのが、今年はかなり広く分布していることを確認したギンラン類似種(クゲヌマラン?)についてわかってることをまとめておきます。

  • 花期は4月下旬から5月上旬
    (2017年5月7日には、ほぼ花期は終わっていた。一方近隣のギンランは花期の最中だった。)
  • ギンランに似ているが、花には殆ど距がない。
  • 草丈は10cmから20cm程度のことが多いが、時として30cmを超えることもあり、また5cmくらいで一花のみをつけている個体もある。
  • 確認できた場所は、30年ほど前までに埋め立てられた工業団地、住宅地、および公園。
  • 確認できた場所は、定期的に人の手が入っており、少なくとも年一度は下刈りされていると思われる。
  • 2013年の春に、この植物の可能性がある個体を、鷹取山の鉄塔管理道のどこかで見たが、写真や形態記録など残さなかった。
  • 今のところ、埋立地以外では確認できていない。
  • 水分条件は水はけが良くやや乾いた土地を好み、窪地、湿地等では見られない。
  • 周囲の状況からみて、人が意図的に植えた可能性のある場所は殆どない。
  • 広葉樹の林床に生じる。少なくとも5m以内に必ず高木が生えている。
  • 原記載標本が採取された環境である松林に生じている例は確認できていない。
  • 針葉樹としては、一例のみビャクシンの樹下に生えていたが、近くには広葉樹も生えていた。
  • 周辺樹種はサクラ、スダジイ、ヤマモモ、タブ、ケヤキ等々様々で、それらの混交の時もある。
  • 光条件は様々で、かなり暗い林内から辺縁の舗道近くにも生えている。
  • 落葉樹下とは限らず、常緑樹下にも生ずるので、カタクリのような春蜉蝣とは思えない。
  • チガヤ、ススキ、セイタカアワダチソウなどの日向を好み群生する草本が侵入した場所では確認できない。
  • 近辺で典型的な形態のギンランおよびササバギンランは確認できていない。
  • 草丈30cmを超える個体では20花近くがついており、ササバギンランを思わせる葉をしている。ただし、この様な個体でも花に距はない。
  • 松林に依存しないことを除いて、この植物をクゲヌマランと呼んではいけない理由(証拠)はない。

結論を出すには早いのですが、この植物はクゲヌマランといってもよさそうです。もうすぐ花期が終わってしまいますが、引き続きこの地区でギンラン、ササバギンランを探して比較できればと思います。


 逸出と思われるツリガネヅイセン(Hyacinthoides spp.)もみかけました。

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