地神(地天) 三浦半島の道祖神と地神(2023-01-14)
緑区、旭区、保土ケ谷区(2022-12-29) 瀬谷区、大和市(2023-01-02) 神奈川区、西区、保土ケ谷区(2023-01-09)
三浦半島エリアでは、庚申塔、五輪塔、地蔵尊像などはよく見かけるが、双体道祖神(安曇野型道祖神)や地神(地天)信仰に関わる堅牢地神塔をみかけることは稀である。これは、金沢区、磯子区などの旧武蔵国の横浜市でも同様であるが、ほぼ上大岡駅の西側に当たる旧相模国地域では、堅牢地神塔、双体道祖神ともに見かけることが多くなる。これまで、その様な視点で石造群を見てこなかったこともあり、堅牢地神塔と双体道祖神の分布に類似性があるのではないかと思いあたり、改めて位置をプロットしてみた。
(堅牢)地神塔・道祖神マップ (作成中)
まだ作成中のマップではあるが、この二種類の石塔の分布は必ずしも一致していないことが見えてきている。道祖神は元々塞神であることから村境の路傍にあることが普通である。堅牢地神塔は、土地の五穀豊穣を願う神として、18世紀末から19世紀の建塔が殆どとされ、道標を兼ねることも少なくない。区画整理等の影響で石塔が元位置にないことはよくあることだが、元々同じ集落内にあったため、現在同じ場所にまとめられていると考えてよい。このため、堅牢地神塔と双体道祖神が一か所に残っていることがあるものと推定したが、実際には、近くにまとめられている例は見当たらなかった。これは、堅牢地神塔と庚申塔、あるいは双体道祖神と庚申塔が一か所にまとめられている例が屡々あるのと異なる点である。
例外として旭区鶴ケ峰の堅牢地神塔の向かいに双体道祖神が見られるのだが、この道祖神は平成になってから建立されたものであった。
これまでのところ、堅牢地神塔、双体道祖神の三浦半島エリアでの確認例は、逗子市亀岡八幡神社での堅牢地神塔、逗子市小坪に散在する双体道祖神がある。両者は同じ逗子市内とはいえ、2km以上離れた全く別の集落に位置していて、直接関連しているとは思えない。小坪は逗子市内に残る漁村のひとつであるが、この集落内に少なくとも5基の双体道祖神が確認できる。うち1基は摩滅の状態からみて新しいもので夫婦神と思われるいわゆる安曇野型であるが、その他の4基では大きさ、服装、性別など左右で判別できない2体が並んでいることが特徴である。このタイプの道祖神は、瀬谷区本郷の瀬谷山徳善寺で六地蔵の手前に三基確認できるほか、港南区、戸塚区でもみられる。なお、葉山町上山口には安曇野型の双体道祖神があるのだが、これは最近になって設置されたものである。
亀岡八幡の石塔群(一番左が堅牢地神塔):逗子市逗子5丁目2-13 |
子之神社の双体道祖神:逗子市小坪5丁目6 |