隠翅目(Siphonaptera)の系統概要

 隠翅目(Siphonaptera)は、長翅(シリアゲムシ)目のユキシリアゲムシ亜目が姉妹群と考えられていて、16科2500種以上が記載されています(Whiting,2008)。翅を二次的に失ったノミのグループが単系であることは間違いないようですが、長翅目との入れ子関係が認められるので、将来的には長翅目内に移されるかも知れません。
 生きた蚤の類は、40年ほど前に1頭だけ捕獲したことがあったのですが、特に珍しいとも思わず、標本にしてはいませんでした。写真は目黒寄生虫館で展示されている模型で、雄のヒトノミと思われます。
 【昆虫綱の分類概要】 【陸上植物の分類概要】【動物界(Animalia)の系統概要】【真核生物(Eukaryota)の系統概要


【隠翅(ノミ)目(Siphonaptera)の系統概要】(Whiting,2008)
┌外群:ユキシリアゲムシ科(Boreidae)
┤ ┌スナノミ科(Tunigidae)
│ │ ┌ピジオプシロモルファ下目(Pygiopsyllomorpha)
│ │ │ │┌リュコプシラ科(Lycopsyllidae)
│┌┤ │ └┴┬ピジオプシラ科(Pygiopsyllidae)
│││┌┤   └スティヴァリ科(Stivaliidae)
││└┤│ ┌マラコプシルラ科(Malacopsyllidae)
└┤ │└┬┴コプトプシュラ科(Coptopsyllidae)
 │ │ └クテノフタルムス科(Ctenophthalmidae)
 │ │┌ゴブリンノミ科(Stephanocircidae)
 │ └┤┌┬ヒストリコシラ科(Hystrichopsyllidae)
 │  ││└クテノフタルムス科(Ctenophthalmidae)
 │  └┤ ┌┬クテノフタルムス科(Ctenophthalmidae)
 │   │┌┤└ヴァーミプシラ科(Vermipsyllidae)
 │   └┤└ロパロプシル科(Rhopalopgyllidae)
 │    │┌┬クテノフタルムス科(Ctenophthalmidae)
 │    └┤└ヒプソフタルミ科(Hypsophthalmidae)
 │     └クテノフタルムス科(Ctenophthalmidae)
 │ ┌キマエロプシルルス科(Chimaeropsyllidae)
 └┬┴ヒトノミ科(Pulicidae)
  └ケラトプスシロモルファ下目(Ceratopsyllomorpha)
    └┬レプトプシルラ科(Leptopsyllidae)
     └ナガノミ上科(Ceratopsyllidea)

【ヒトノミ科(Pulicidae)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
ヒトノミ科(Pulicidae) ヒトノミ属Pulex
ヒトノミ(♂)模型 ヒトノミ(♂)模型
Pulex irritans Human Flea

(蝋模型の)製作者・沼田 仁吉(ぬまた じんきち)
 沼田は1915年の帰国直後から、北里研究所の技師として長らく従事していた。(目黒寄生虫館)初代館長で医師の亀谷 了(かめがい さとる)とは、戦後、診療所に通う患者として交流を深めた。1953年に当館が創設されると、展示用として寄生虫の蝋模型を製作、寄贈した。
 沼田の作品は当館所蔵の35点の他、北里柴三郎記念館(東京都港区)所蔵の15点が確認されている。


【文献】
Whiting MF, Whiting AS, Hastriter MW, Dittmar K (2008). A molecular phylogeny of fleas (Insecta: Siphonaptera): origins and host associations, Cladistics, 24, 677-707, DOI: j.1096-0031.2008.00211.x.
University of Florida, human flea, URL: https://entnemdept.ufl.edu/Creatures/URBAN/MEDICAL/human_flea_Pulex_irritans_Linnaeus.htm, Accessed: 2024-09-08.

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