三浦の名木・古木を巡る

 今日は、三浦市を中心にして、『三浦市指定保存樹』に指定された木々を訪ねました。これらのいくつかは、『かまくらと三浦半島の古木・名木50選』にも撰されています。
【主な経路】
(三浦海岸駅)-南下浦市民センター-十劫寺-円福寺-走湯神社-三浦市役所-市役所福祉会館-三崎小学校-海南神社-白髭神社-小網代の森-光照寺-延寿寺-初声町和田-(三崎口三浦海岸駅)


【南下浦市民センターのクスノキ】南下浦町上宮田655


 保存樹指定は3本で、恐らく道沿いの3本と思われます。このうち①と思しき一番東側の木には、セッコク、ノキシノブなどの着生植物が繁茂しています。古木・名木50選にもはいっていますが、説明板等はなにもありませんでした。


【十劫寺のイチョウ】南下浦町上宮田3527
 正覚山専求院十劫寺境内のイチョウのうち雄の樹一本が、三浦市保存樹No.5として登録されています。ここでも台風の潮風に痛めつけられて、黄葉は期待できそうにありませんでした。


【円福寺のイチョウ】南下浦町金田258
 三浦七福神の金光恵比須尊で尋ねたことのあった金田山円福寺のイチョウです。雄樹一本が三浦市保存樹の筈ですが、いずれの樹も刈り込まれて行く末が案ぜられます。案内板等はありませんでした。


【走湯神社のイチョウ】三浦市南下浦町金田373

 『金田の権現様』として知られる走湯(そうとう)神社は、天忍穂耳(あめのおしほみみ)命を祭神としています。雌一本と雄一本は、三浦市指定保存樹かつ『かまくらと三浦半島の古木・名木50選』に撰されているほか、イヌマキとヤブツバキ各一本が三浦市指定保存樹となっています。説明板等はみあたりませんでした。


【市役所本館前のスダジイ】城山町1-1
 それほど大きな樹ではありませんが、枝ぶりの良い樹下にベンチがありました。


【市役所福祉会館下駐車場前のクスノキ】三崎1丁目2-17
 こちらも、クスノキとしてはそれほどの大木ではありませんが、道沿いなのでよく目立ちます。


【三崎小学校のクロマツ】三浦市三崎1丁目20-32


 三崎小学校の校庭にひときわ大きく聳えるクロマツには、五条 = 五常(仁義礼智信)という名称の由来があるそうです。樹下の案内板に間違い(3葉、5葉の例)があるのは残念です。


  五常の松
種名 クロマツ(マツ科マツ属)
学名 Pinus Thunbergii
樹高 約13m
由来 幹が五本に別れているところから五条の松と言われているが、人の常に守るべき五つの道という意味から五条の松と呼ばれており、『かまくらと三浦半島の古木、名木50選』に選定されている。


【海南神社のイチョウ】三浦市三崎4丁目12-11
 これまでにも何度か尋ねたことのある海南神社にはイチョウが何本かありますが、雌雄各一本が三浦市指定保存樹かつ『かまくらと三浦半島の古木・名木50選』に撰されています。


三浦市保護樹木 No.22 海南神社のイチョウ(雌)
 樹齢 約800年、幹周 4.6m、樹高 15m

三浦市保護樹木 No.23 海南神社のイチョウ(雄)
 樹齢 約800年、幹周 5.6m、樹高 15m

 分類  イチョウ科イチョウ属
 樹種名 イチョウ
 漢字  銀杏、公孫樹
 学名  Ginkgo biloba
 分布  北海道南部、本州、四国、九州、沖縄(中国原産)
 特徴等 源頼朝公が祈願成就の記念に植えたといわれている。
     樹齢約800年で、市内で最も古い木。
                  平成13年3月16日指定
                  三浦市


  御神木
頼朝公手植えの雌雄の大銀杏
 この大公孫樹は鎌倉時代(一一八五)に源頼朝公当社に敬神の念篤く祈願成就の記念として寄進しと伝えられる。
     (樹齢約八百年)
市指定天然記念物


【白髭神社のフジ】三崎町小網代1793
 小網代の森の海側に位置する白髭神社の境内には大木が沢山ありますが、拝殿に向って左の方にフジがあるのを確認しました。三浦市指定の保存樹となっているのは、紫花、白花の各一本ですが、花期に確認する必要がありそうです。


【光照寺のスダジイ】三浦市初声町三戸2473
 三浦七福神の寿老人で知られる開宮山光照寺のスダジイです。指定樹は本堂向って左の樹でしょうか。


【延寿寺ナギ/イチョウ】三浦市初声町下宮田3403
 三浦七福神の寿福大黒天で知られる寿福山延壽寺には、ナギとイチョウがあります。


三浦市保護樹木 No.12 延寿寺のナギ
 分類  マキ科マキ属 注)
 学名  Podocarpus nagi 注)
 漢字  梛  樹零 約600年
 幹周  2.0m 樹高 18m
 分布  本州南部、四国、九州、沖縄、台湾、海南島
 特徴等 団地の山地に自生する。県内には比較的少ない。葉には中央脈がなく、多数の平行脈があり、、縦には裂けるが、横には裂けない。神社によく植えられているため、御神木とされるものが各地に見られる。地元では「なんじゃもんじゃ」とも呼ばれ、親しまれている。
                  平成13年3月16日指定
                  三浦市
注:ナギをイヌマキと同じマキ属(Podocarpus)に含める考え方もありましたが、現在ではナギ属(Nageia)として独立させることが普通です。


三浦市保護樹木 No.13 延寿寺のイチョウ(雌)
 分類  イチョウ科イチョウ属
 樹種名 イチョウ
 学名  Ginkgo biloba
 漢字  銀杏、公孫樹  樹齢 約300年
 幹周  3.5m      樹高 20m
 分類  北海道南部、本州、四国、九州、沖縄(中国原産)
 特徴等 秋に美しく黄葉する。種子は9月頃に成熟する。外種皮は黄色で特異な匂いがある。白くて堅い内種皮に包まれているギンナンは食用になる。
                  平成13年3月16日指定
                  三浦市


【芹沢家のヤマモモ】三浦市初声町和田3013
 個人宅のヤマモモの大樹です。何度か訪れたことがあるのですが、かまくらと三浦半島の古木・名木50選に選ばれているとは気づいていませんでした。根元には稲荷社があります。


【稲荷社(カイナンマリネ)】三浦市三崎4丁目8-6
 たまたま通りかかったレストランに稲荷神が祀られていました。


【出世稲荷茶吉尼天尊/鬼王大神】三浦市三崎1丁目10


 三崎まぐろで知られる紀の代からすぐ近くのお社です。相殿といっても良い様な造りの境内社には、鬼王が祀られています。


三戸(みと)上諏訪社】:三浦市初声町三戸1091


 初声町三戸で相模湾を望むお社にも立寄りました。


 その他、本日撮影の写真です。


【参考】
 クスノキ Cinnamomum camphora
 セッコク Dendribium spp.
 ノキシノブ Lepisorus spp.
 イチョウ Ginkgo biloba
 イヌマキ Podocarpus macrophyllus
 ヤブツバキ Camellia japonica
 スダジイ Castanopsis sieboldii
 クロマツ Pinus thunbergii
 ナギ Nageia nagi (syn.:Podocarpus nagi)
 ヤマモモ Morella rubra
 富山(とみさん)(房総)遠望
 ツルナ Tetragonia tetragonioides
 オナモミ Xanthium strumarium
 コウボウムギ Carex kobomugi
 ハマボウフウ Glehnia littoralis
 ハマヒルガオ Calystegia soldanella
 スベリヒユ Portulaca oleracea
 マメカミツレ Cotula australis
 カタバミ Oxalis corniculata
 ツユクサ Commelina communis
 ノゲシ Sonchus oleraceus
 フクシマシャジン Adenophora divaricata
 クコ Lycium chinense
 青首大根 Raphanus sativusvar. longipinnatus
 宮川公園の風車
 イモカタバミ Oxalis articulata
 ブラジルヤシ Butia capitata
 ショウキズイセン Lycoris africana
 アカメガシワ Mallotus japonicus
 ノカンゾウ Hemerocallis fulva var. disticha
 常盤山査子(ピラカンサ) Pyracantha spp.
 諸磯湾
 イノコヅチ Achyranthes bidentata
 榎テラス(小網代の森)
 ミゾソバ Polygonum thunbergii
 シロバナサクラタデ Persicaria japonica
 ローズヒップ Rose spp.
 イソヒヨドリ Monticola solitarius、雌

横須賀小川町教会

 横須賀中央に用事があり、よく通りかかる小川町の教会に案内板があることに気づきました。


  小川町の鐘(横須賀市小川町7番地)

 この十字架に吊るされている鐘は、1932年に米国メリーランド州ボルチモア市のマックシャン鐘鋳造会社で造られ、1950年の秋に旧会堂の完成にともない、当時の基地司令官W.デッカー氏の寄贈によって設置されたものです。重さ約300kg、直径80cm。毎週日曜日、礼拝開始を告げるために鳴らされます。
The bell hanging in the cros tower was donated by Commander Benton W. Decker upon completion of the original Ogawa-cho Church structure in Fall 1950. It was cast by the McShane Bell Foundry in Baltimore, Maryland (USA), in 1932, and weighs 300 kilograms and is 80 centimeters in diameter. The bell tolls every Sunday morming to announce the commencement of worship services.

 宗教法人「日本基督教団 横須賀小川教会」

大津、平作、葉山の名木・古木を巡る (1)

 本日、振替休日につき、三浦半島中部の名木・古木を訪ねました。京急大津から京急新逗子までの間のかまくらと三浦半島の古木・名木50選に選ばれた木々を辿ってみました。

【主な経路】
 (京急大津駅)-信誠寺-大津高校-金井家-大蔵寺-永嶋家-大昌寺-須藤家-玉蔵院-(新逗子駅)

【信誠寺のイチョウ】横須賀市大津町4丁目20-10


 京急大津駅近くの嶂谷山(しょうこくざん)信誠寺(しんじょうじ)の本堂前に生えているイチョウの古木で、蓮如上人(1415 – 1499年)に縁の逆さ銀杏の伝説があるそうです。類似の伝説は、浦和の法光山真福寺にも伝えられています。宝徳2年(1499年)という言い伝えが真実であれば、樹齢は500年以上ということになります。
 なお、坂本龍馬の妻だったことのある楢崎龍(西村ツル)の墓がある信楽寺(しんぎょうじ)は近くの別の寺院です。


  信誠寺(しんじょうじ)(浄土真宗)
 本願寺派の末寺で本尊は阿弥陀如来です。
 境内の「逆さ銀杏」は蓮如上人が杖を逆さに差したところ枝葉が繁茂したいわれ祈願をすると乳の出が良くなる信仰が伝えられています。
 「竜灯木古跡」には海中から火の玉が飛んできて木の梢で燃え続けたのを人々は竜灯と呼び大津の港の目印になったという伝説があります。
 山門下には江戸湾沿岸を防備した川越藩士の墓、墓地の奥正面には初代三浦郡長を務めた小川茂周の墓があります。
 幕末期に寺子屋が設けられ明治十年(一八七七)大津小学校ができるまで寺の庫裡には小学校の前身となった郷学校が置かれていました。
     大津行政センター市民協働事業・大津探報くらぶ


【大津高校のメタセコイア】横須賀市大津町4丁目17-1

 メタセコイア属は1941年に化石種として記載され、その後すぐの1945年に中国四川省で原生樹が発見され「生きた化石」として話題になりました(塚越、2016)。日本への初めての導入は1949年ですから、樹齢70年を超える樹は本邦にはまだ存在しません。来歴等は示されていませんでしたが、今から半世紀ほど前には、新発見の生きた化石として小中学校等にこの樹を植えるブームがありましたので、その一環かも知れません。1950年にアメリカから日本に導入された100本は神奈川県には植樹されなかったので、残念ながら日本で最初のメタセコイアではないようです。


【文献】
 塚越 実(2016)メタセコイアの発見と普及-三木 茂博士の発見から75年-、化石、100、1-2 accessed 2018-10-04.
 Tsukagoshi M, Momohara A and Minaki M (2011) Metaseqouia and the life and work of Dr. Shigeru Miki, Jpn J Histr Bor, 19(1-2), 1-14, accessed 2018-10-06.


【金井家のカキノキ】横須賀市平作2丁目28-10


 個人宅の柿の古木です。この季節で既に殆ど落葉していて実もありませんでした。今年がたまたま裏年なのかも知れませんが、行く末が少々心配です。


【大蔵寺のタチバナ】横須賀市平作5丁目13-1
 明登山大蔵寺


 タチバナは日本の固有種で、概ね本州南岸線の南側に自生するとされています。最近の研究成果(Shimizu et al.,2016)によれば、柚子、花柚、日向夏、黄金柑などの親である可能性があるとのことです。『京都御所から譲り受けた』実から育てたとのウェブ情報があり、これが事実であれば右近橘(うこんのたちばな)の何れかの樹の直系の子孫ということになります。
 同寺の境内には瘡守稲荷があり、使い魔のキツネたちが沢山いました。


明登山大蔵寺(みょうとうさんだいぞうじ)縁記
 当山は天文二十一年(一五五二年)三月、妙応院日善 現在地の南字、明登山(みょうとうやま)の麓に小庵を建て立正安国の法華経弘道の道場とされた。
 その後永禄二年(一五五九年)十月、第三世智教院日昌 堂宇を栄地谷(えいじやと)(現在地)に建立し山号を明登山、寺号を大蔵寺と命名し今日にいたる。
 山内勧請の稲荷尊は宝暦四年(一七五四年)第十世日性 霊感により妙王自在天を山内鎮護と村内守護の厄除稲荷尊として小庵を建て勧請する。
 文化元年(一八〇四年)郷土力士岩男波(いわおなみ)(浦賀は荒巻の住人本名浅葉磯吉)が関西相撲との一戦を目指し日夜稽古に励んでいたが悪病に罹り力も落ちてしまった。村人も心配して大蔵寺のお稲荷さんにお願いいたらと勧められ、三七、二十一日お籠もりして祈願したところ満願の日に元の身体に戻り関西相撲に勝つことが出来た。
 岩男波は心願成就の報恩のため京に上り伏見稲荷に参拝し、正一位の神位を受け(文化元年七月)三浦に持ち帰り大蔵寺に奉納しました。その神位宣下の中に瘡守(かさもり)の二字があり以来正一位瘡守稲荷妙王自在天(かさもりいなりみょうおうじざいてん)として不思議な御利益があるお稲荷さんとして横須賀をはじめ全国に尊信を集め、当病平癒、家内安全、商売繁盛、交通安全等々の祈願に参拝者が絶えない。


    厄除けの槙
 宝暦四年(一七五四)当山十世日性上人かせ霊感により山内鎮護と村内守護の厄除稲荷尊を勧請されし御神木槙の大樹(鎌倉と三浦半島の古木名木五十選の木)平成八年(一九九六)九月の台風により、根こそぎ倒壊しました。
 この槙の木は大樹の実が山内に落ち生長した木でこれから大樹に変わり永く御参詣の皆様を見守り続けることでしょう


【文献】
 Nakamura Y (2016) Hybrid Origins of Citrus Varieties Inferred from DNA Marker Analysis of Nuclear and Organelle Genomes PLOS ONE, 11(11), 1-58、 accessed 2018-10-04.


【永嶋家のカヤ】葉山町木古庭1301


 木古庭の個人宅のカヤです。樹勢も良好で、榧実も実っていました。


葉山町指定重要文化財天然記念物 木古庭永嶋家のカヤの木
昭和四十三年二月二十九日 指定第十号


【大昌寺のモミジ】葉山町上山口768


 上山口の八幡山法林院大昌寺のモミジで、なかなか見事な枝ぶりです。境内にはサルスベリやイチョウもあるほか、後継樹になりそうなモミジの大木もありました。登録上は3株を1群としているようです。まだ紅葉には早かったので、いずれ折を見て訪ねたいと思います。


葉山町指定重要文化財天然記念物 大昌寺のモミジ
昭和六十二年十月二十九日 指定第四十号


由緒沿革
 本寺は北条氏家家臣冨塚善四郎(現戸塚家先祖)を開基とするともいわれているが、すでにそれ以前の南北朝時代(一三三八年)山口郷領主戸塚八郎衛門宗建が自家持分の地に庵室を立て、阿弥陀如来を安置したとされている。一五九一年(天正一九年)には、御朱印二石を受けている。
 現本尊は徳川家祖先松平家の菩提寺高月院より縁あって当寺に移されたものである。


【須藤家のウメ】葉山町下山口78


葉山町指定重要文化財天然記念物 ウメの巨木
昭和五十二年一月八日 指定第三十一号


【玉蔵院のエノキ・イチョウ】葉山町一色2154

 これまでにも何度か尋ねたことのある一色の守護山玉蔵院境内のエノキとイチョウ数本です。イチョウは後継樹も育っており、正確に数えるのは困難ですが、登録上は榎1株、銀杏4株となっているようです。
 今年は暑い夏で、既に台風が2回も通過していることもあり、イチョウは黄葉する前に茶色くなっていました。


葉山町指定重要文化財天然記念物 玉蔵院のエノキ・イチョウ
昭和四十三年二月二十九日 指定第十二号


【千片神社跡】


  千片神社跡
 神社の祭神は六代衣笠城主・三浦義村で、義村の死後三七〇年余りを経た慶長十八年(一六一三)に創建されました。
 関東大震災で社殿などが壊れ、大正十三年(一九二四)に諏訪神社に合祀されました。
 義村は鎌倉幕府の評定衆に任命され御成敗式目の制定にも貢献し文武を兼ね備えた武将で館もこの辺りにあったと推定されています。
 神社は根岸の氏神様として崇敬され「はしか」によく効くことで知られていました。
 鎮守の森は戦時中に伐採されましたが、現在は根岸町内会館裏に神社跡の鳥居の一部が残されています。
     大津行政センター市民協働事業・大津探報くらぶ


【横須賀しょうぶ園】
 オフシーズンということでしょうか、しょうぶ園が無料で公開されていました。


【参考】
 イチョウ Ginkgo biloba
 メタセコイア Metasequoia glyptostroboides
 カキノキ Diospyros kaki
 タチバナ Citrus tachibana
 イヌマキ Podocarpus macrophyllus
 カヤ Torreya nucifera
 サルスベリ Lagerstroemia indica
 カリン Pseudocydonia sinensis
 シュウカイドウ Begonia grandis
 イロハモミジAcer palmatum
 ウメ Prunus mume
 エノキ Celtis sinensis
 横須賀しょうぶ園
 カクレミノ Dendropanax trifidus
 カラスウリ Trichosanthes cucumeroides
 ガクアジサイ Hydrangea macrophylla f. normalis
 ハリギリ Kalopanax septemlobus
 キンモクセイ Osmanthus fragrans
 ヒメマダラエダシャク Abraxas niphonibia
 ポーチュラカ Portulaca oleracea × P. grandiflora
 イチモンジセセリ Parnara guttata

大津、平作、葉山の名木・古木を巡る (2)

 以下は本日(2018.10.3)撮影のその他の写真です。


【参考】
 スイフヨウ Hibiscus mutabilis cv. Versicolor
 阿部倉諏訪神社
 カナムグラ Humulus japonicus
 ムラサキツユクサ Tradescantia ohiensis
 アカネ Rubia argyi
 シシウド Angelica pubescens
 木古庭不動滝
 アキノノゲシ Lactuca indica
 ノササゲ Dumasia truncata
 フヨウ Hibiscus mutabilis
 オオスカシバ Cephonodes hylas
 クズ Pueraria lobata
 センニンソウ Clematis terniflora
 日月神社
 イチョウ Ginkgo biloba(上山口杉山神社)
 スギ Cryptomeria japonica(上山口杉山神社)
 上山口の棚田
 ツユクサ Commelina communis
 ゲンノショウコ Geranium thunbergii
 ヘクソカズラ Paederia scandens
 キヅタ Hedera rhombea
 クワズイモ Alocasia odora
 正吟の庚申塔
 スイカズラ Lonicera japonica
 クロガネモチ Ilex rotunda (水源池入口)
 稲荷社(水源池入口):上山口142
 地蔵堂:上山口123
 ハナカタバミ Oxalis bowiei
 庚申塔:下山口
 稲荷社:下山口152
 穴守稲荷
 イノコヅチ Achyranthes bidentata (斑入り)
 茅木山の庚申塔
 ハゼラン Talinum crassifolium
 アキニレ Ulmus parvifolia
 イヌツゲ Ilex crenata
 ロウヤガキ Diospyros rhombifolia


正吟(しょうぎん)の庚申塔:上山口2354
 葉山町指定重要文化財第十九号の十(昭和二十年十一月十五日指定)


茅木山の庚申塔:下山口991
 葉山町指定重要文化財第十九号(昭和四十五年八月二十七日指定)

晴れた秋の日に-2018

 ようやく雨が上がって、秋らしい一日となった今日、追浜ではもう十月桜が咲き始めています。和田山の雷神社では、艦これ関係の絵馬が追加になっていました。


【参考】
 雷神社
 絵馬(RIKA@LACECATSさん作)
 雷神社境内社
 シュウカイドウ Begonia grandis
 ヒカゲチョウ Lethe sicelis
 ハナシュクシャ Hedychium coronarium
 エノコログサ Setaria viridis
 チカラシバ Pennisetum alopecuroides
 ムラサキゴテン Tradescantia pallida
 ジュウガツザクラ Cerasus x subhirtella cv. Autumnalis
 オヒシバ Eleusine indica
 ハマスゲ Cyperus rotundus
 ハゼラン Talinum crassifolium
 イヌゴマ Stachys japonica (?)
 ゴウシュウアリタソウ Dysphania pumilio
 ニシキソウ Chamaesyce humifusa
 センニンソウ Clematis terniflora
 キンモクセイ Osmanthus fragrans
 アキノノゲシ Lactuca indica
 シーパラダイス
 ススキ Miscanthus sinensis
 ヤマボウシ Cornus kousa
 メヒシバ Digitaria ciliaris
 ロベリア Lobelia spp.

今年も巾着田へ

 昨年はバスツアーで訪れた埼玉県日高市の巾着田を二人で尋ねました。ヒガンバナの季節はもう殆ど終わりでしたが、心配されていたお天気もなんとかもってくれましたので、近くの日和田山から巾着田の全景を望むことが出来ました。


巾着田(きんちゃくだ)
     所在地 日高市大字高麗本郷
 刈場坂峠付近に源を発する高麗川の流れは複雑な起伏の山峡を東流し、関東平野に出たところで、南東から北東にその流れの方向を変えます。
 この大きな蛇行した姿は、あたかも円を描いたような流れとなって、他で見ることができない珍しい地形を形成しました。
 水の流れは、永い歳月をかけ外縁の土地を侵食して急崖をつくり、内側には川原が形成され、その内側は自然堤防となり、自然林の木立が生育しています。。
 更にこの内側には上流部から運ばれてきた土砂が堆積し、この土地を利用して古くから水田耕作が営まれていました。
 地元の人は、ここを川原田と呼んでおり、この地に市原田、内野、新田、八ヶ下が字として存在し、面積は約22haに及びます。
 また、慶長2年(1597年)高麗本郷全域にわたり、検地がおこなわれたことが検地帳に記されており、中世末期には巾着田が耕地化されていたものと推定されます。
 上空から見ると、この姿が巾着袋のように見えるので、俗称として「巾着田」と呼ばれるようになりました。日和田山から眺めるとその姿を確認することができます。
           日高市・日高市観光協会


天皇皇后両陛下行幸啓記念
 平成29年9月20日、天皇皇后両陛下が日高市に行幸啓されました。両陛下は高麗神社ほ参拝後、ここ巾着田曼殊沙華公園を視察され、深紅に染まる満開の曼殊沙華群生地を散策されました。散策中は巾着田の地形や動植物に関心を示され、担当者の説明に耳を傾けられました。途中、両陛下の前をカワセミが飛翔する場面もあり、秋の日高の豊かな自然をご覧いただきました。
         平成30年9月吉日
           日高市長 谷ヶ崎照雄


【参考】
 ヒガンバナ Lycoris radiata
 シロバナマンジュシャゲ Lycoris x albiflora
 コスモス Cosmos bipinnatus
 キバナコスモス Cosmos sulphureus
 スイフヨウ Hibiscus mutabilis cv. Versicolor
 キンモクセイ Osmanthus fragrans
 オクラ Abelmoschus esculentus
 コムラサキ Callicarpa dichotoma
 シロミノコムラサキ Callicarpa dichotoma f. albifructa
 サンショウ Zanthoxylum piperitum
 高麗駅前
 昼食は阿里山Cafeで
 巾着田遠望
 巾着田全景
 金刀比羅神社
 金刀比羅神社二の鳥居下で
 昭和天皇皇后両陛下行幸啓記念碑

スベリヒユ属の植物たち

 本日、大宮の実家で熱帯アメリカから帰化したと考えられているヒメマツバボタン(ケツメクサ)を見かけました。同種は最近分布が広がっているように感じますし、同属(スベリヒユ属)の栽培種との関係も気になりましたので、少し文献を紐解いてみました。


 夏の暑い盛りにも元気な花の代表というと、サルスベリ、キョウチクトウ、ノウゼンカズラなどを思い浮かべる事が多いと思いますが、かつては、夏の路傍で足元に目を移せば小さな黄色い花を咲かせたスベリヒユがあちらこちらに生えていたものです。スベリヒユは、世界中の熱帯域を中心に広く分布する普通種で、食用になりますので、非常用食料の普及のために選定された夏の七草にも選ばれています。
 スベリヒユ属の園芸種としてはマツバボタンが江戸時代末期から知られていましたが、最近では属名のポーチュラカとして流通しているカラフルな花のハナスベリヒユを園芸店でよく見かけます。いずれも逸出して半野生化しているのを時折みかけます。

 APG植物分類体系第3版(APG III)で、スベリヒユ科(Portulacaceae)はスベリヒユ属(Portulaca)1属に整理され、現在世界中に約100種が知られています。逸出も含めると本邦に自生する同属の植物は、スベリヒユ、ヒメマツバボタン、マツバボタン、オキナワマツバボタン、タイワンスベリヒユの5種、本州に限るならスベリヒユ、ヒメマツバボタン、マツバボタンの3種になります。

 これらのうちスベリヒユは食用として利用され(Aberoumand, 2009)、その栽培品種の一つがタチスベリヒユです。その他のスベリヒユ属も(試したことはないですが)美味しくて栄養豊かな食材として利用できるそうです。園芸用のマツバボタンはヒメマツバボタンの亜種とされることもありますが、遺伝子の解析結果(Ocampo & Columbus, 2012)によると他系統の独立種というのが正解のようです。ポーチュラカの名前で流通しているハナスベリヒユの由来は明らかでないようですが、スベリヒユとマツバボタンとの交配種とも考えられているそうです。

 オキナワマツバボタンとタイワンスベリヒユ(帰化種)は奄美諸島と沖縄諸島に限って分布しており、本土での自生は未確認の様です。オキナワマツバボタンは、奄美諸島と沖縄諸島の固有種でかつてヒメマツバボタンの亜種とされていましたが、遺伝子解析の結果、現在では独立種として扱うことが提案されています(Kokubugata et al. 2013)。同種は、2018年版の環境省レッドリストでCR(絶滅危惧IA類:ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)として記載されています。同種には、2013年に記載されたアマミマツバボタンという変種が含まれます(Kokubugata et al. 2013, 2016)。

 スベリヒユの仲間は、夜のうちに気孔を開いて二酸化炭素を蓄えておき、昼間は気孔を閉じて蒸散を防ぎながら光合成することが出来るCAM植物(Crassulacean Acid Metabolism Plant)です。このため夏の盛りでも多少水やりを忘れたくらいでは枯れることなく花を咲かせ続けてくれます。C4植物でもあり、C4型光合成の中間代謝物であるリンゴ酸を蓄積するため、独特の酸味があると考えられます。
 葉序の基本は互生ですが、茎の上部では、類対生、輪生などになることがあり、これを属内のクレード識別に利用する試みもあるようです(Ocampo & Columbus, 2012)。


 以下、これまでに撮影したスベリヒユの仲間です。

【参考】
 スベリヒユ Portulaca oleracea、英名:Common purslane
  タチスベリヒユ P. oleracea var. sativa、英名:purslane
 ヒメマツバボタン P. pilosa、英名:Shaggy purslane
 マツバボタン P. grandiflora、英名:Moss-rose purslane
  ハナスベリヒユ P. oleracea x P. grandiflora、英名:Green purslane
 タイワンスベリヒユ P. quadrifida、Syn: P. psammotropha、英名:Chikenweed
 オキナワマツバボタン P. okinawensis
  アマミマツバボタン P. okinawensis var. amamiensis

【参考文献】
 米倉浩司(2014)スベリヒユ科、in 日本維管束植物目録、北隆館、東京、163-164.
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