秀樹」カテゴリーアーカイブ

コウヤマキ科の写真整理

 コウヤマキ科(Sciadopityaceae)は、1属1種からなる科(Christenhusz and Byng,2016)で、唯一の現生種であるコウヤマキ(Sciadopitys verticillata)は本邦の特産です。科としての成立は白亜紀で(Morriset al.,2018)、欧州で化石が発見されていることから、古第三紀漸新世(Oligocene)にはユーラシア大陸に広く分布していたと考えられています(Worth et al,2013)。
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【ヒノキ目(Cuperssales) コウヤマキ科(Sciadopityaceae)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
コウヤマキ属 Sciadopitys
コウヤマキ コウヤマキ
Sciadopitys verticillata Japanese Umbrella-pine

【文献】
Worth JRP, Sakaguchi S, Tanaka N, Yamasaki M and Isagi Y (2013) Northern richness and southern poverty: contrasting genetic footprints of glacial refugia in the relictual tree Sciadopitys verticillata (Coniferales: Sciadopityaceae), Biol J Linnean Soc, 108, 263–277, DOI: 10.1111/j.1095-8312.2012.02017.x, Accessed: 2023-11-11.
Morris JL, Puttick MN, Clark JW, Dianne Edwards D, Kenrick P, Pressel S, Wellman CH, Yang Z, Schneider H and Donoghue PCJ (2018) The timescale of early land plant evolution, Proc Nat Acad Sci, 115(10), E2274-E2283, DOI: 10.1073/pnas.1719588115, Accessed: 2023-11-11.
Christenhusz MJM and Byng JW (2016) The number of known plants species in the world and its annual increase, Phytotaxa. 261(3), 201–217. DOI: 10.11646/phytotaxa.261.3.1, Accessed: 2023-10-05.

マキ科の写真整理

 マキ科(Podocarpaceae)は、南半球を中心に19属約187種が記載されています(Christenhusz and Byng,2016)。分布の北限に当たる我が国では、イヌマキ(Podocarpus macrophyllus)とナギ(Nageia nagi)の2種が自生しており、庭木や生け垣として利用されています。
 マキ科が姉妹群であるナンヨウスギ科(Araucariaceae)と分岐したのはジュラ紀初期(約2億年前)まで遡ると推定されていますが、現世種の分化成立は新生代に入ってからであったと推定されています(Biffin et al,2010))。
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【ナンヨウスギ目(Araucariales) マキ科(Podocarpaceae)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
マキ属 Podocarpus
イヌマキ イヌマキ
Podocarpus macrophyllus Yew Plum Pine
ラカンマキ ラカンマキ
Podocarpus macrophyllus var. maki Shrubby Yew Pine
ポドカルプス・ネリィフォリウス ポドカルプス・ネリィフォリウス
Podocarpus neriifolius Mountain Teak
ナギ属 Nageia
ナギ ナギ
Nageia nagi Asian Bayberry
ダクリマキ属 Dacrycarpus
フェザーパイン フェザーパイン
Dacrycarpus imbricatus var. imbricatis Red Podocarp

【文献】
Biffin E, Conran JG, and Lowe AJ (2010) Podocarp Evolution: A Molecular Phylogenetic Perspective, Smithson Contrib Botany, 95, 1-20, DOI: 10.5479/si.0081024X.95.1, Accessed: 2023-11-11.Christenhusz MJM and Byng JW (2016) The number of known plants species in the world and its annual increase, Phytotaxa. 261(3), 201–217. DOI: 10.11646/phytotaxa.261.3.1, Accessed: 2023-10-05.

ナンヨウスギ科の写真整理

 ナンヨウスギ科(Araucariaceae)は、ナンヨウスギ属(Arucaria), ナギモドキ属(Agathis), ウォレミア属(Wollemia)の3属約37種からなる科(Christenhusz and Byng,2016)です。現世種は南半球のみに自生しますが、ナンヨウスギ属の化石は北半球でも発見されていて、北海道の白亜系からも報告されています(Stockey,1994)。
 この科の基準種であるチリーマツ(モンキーパズル)(Araucaria araucana)は、ワシントン条約(CITES)付属書Ⅰに記載されている絶滅危惧種です(CITES,2023)。
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【ナンヨウスギ目(Araucariales) ナンヨウスギ科(Araucariaceae)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
ナンヨウスギ属 Araucaria
チリーマツ(モンキーパズル) チリーマツ(モンキーパズル)

Araucaria araucana Monkey Puzzle
シマナンヨウスギ シマナンヨウスギ
Araucaria heterophylla Norfolk Island Pine
クックアロウカリア クックアロウカリア
Araucaria columnaris Cook Pine
ブラジルマツ ブラジルマツ
Araucaria augstifolia Brazilian Pine Tree
ナギモドキ属 Agathis
ダンマルジュ ダンマルジュ
Agathis dammara Amboina Pine
ウォレミア属 Wollemia
ウォレマイ・パイン ウォレマイ・パイン
Wollemia nobilis Wollemi Pine

【文献】
Escapa IH and Catalano SA (2013) Phylogenetic Analysis of Araucariaceae: Integrating Molecules, Morphology, and Fossils, Int J Plant Sci, 174(8), 1153-1170, URL: https://www.jstor.org/stable/10.1086/672369, Accessed: 2023-11-11.
Stockey RA (1994) Mesozoic Araucariaceae : Morphology and Systematic Relationships, J Plant Res, 107, 493-502, DOI: , Accessed: 2023-11-11.
CITES (2023) Appendices I, II and III valid from 21 May 2023, https://cites.org/sites/default/files/eng/app/2023/E-Appendices-2023-05-21.pdf, Accessed: 2023-11-9.
Christenhusz MJM and Byng JW (2016) The number of known plants species in the world and its annual increase, Phytotaxa. 261(3), 201–217. DOI: 10.11646/phytotaxa.261.3.1, Accessed: 2023-10-05.

マツ科の写真整理

 マツ科(pinaceae)は、北半球の温帯域を中心にして広く世界中に分布しており、11属約228種が記載されていて(Christenhusz and Byng,2016)、日本の景観に欠かせないマツ属(Pinus)樹種が含まれています(高嶋,1975)。旧分類体系ではマツ亜科(Pinoideae)、トウヒ亜科(Piceoideae)、カラマツ亜科(Laricoideae)、モミ亜科(Abietoideae)の4亜科が識別され、白亜紀初期には既に亜科が成立していたと推定されていますが、近年ではカラマツ亜科とトウヒ亜科をマツ亜科に含めるように改められるなどの変更があって、現在のマツ科の系統樹は凡そ下記のように2亜科となっています(Gernandt et al.,2008)。

             ┌マツ亜属(アカマツ、クロマツ、ラジアータマツ)
         ┌マツ属┤╓╍╍Ducampopinus亜属(*1)(ハクショウ)
        ┌┤   └Strobus亜属(ストローブマツ)
   ┌マツ亜科┤└トウヒ属(トウヒ、エゾマツ)
   │    └カラマツ属(カラマツ)
マツ科┤
   │    ┌─┬ツガ属(ツガ、コメツガ)
   └モミ亜科┤ └モミ属(モミノキ)
        └─ヒマラヤスギ属(ヒマラヤスギ)

*1: Gernandt et al.(2008)ではStrobus亜属に入れられています。

 ソフトウッドと総称されて軽いことが特徴の針葉樹材のなかにあって、松材は比較的重く、特にアカマツ、クロマツの属するマツ亜属では気乾比重0.42~0.52(*2)となっていてハードパインと総称されます。マツ亜属材は、樹脂に富んでいることもあり、耐水性、耐不朽性に優れていることから、湿気に晒される部材としても使用されます(佐伯,1993)。江戸城外堀の石垣を支えてきた胴木(安河内,2009)、旧東京駅丸の内駅舎の木杭(野澤・藤原,2016)等が松材であり、数百年にわたって強度を保っていたことが知られています。

*2:木材を乾燥した時の比重で、乾燥条件により誤差を生じるのですが、目安として針葉樹材(ソフトウッド)では0.5以下、広葉樹材(ハードウッド)では0.5以上であることが普通です。

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【マツ目(Pinales) マツ科(pinaceae)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
マツ亜科 Pinoideae マツ属 Pinus
アカマツ アカマツ
Pinus densiflora Japanese Red Pine
タギョウショウ タギョウショウ Pinus densiflora f. umbraculifera Tanyoshou
クロマツ クロマツ
Pinus thunbergii Black Pine
ダイオウショウ ダイオウショウ
Pinus palustris Longleaf Pine
ハクショウ ハクショウ
Pinus bungeana White Bark Pine
トウヒ亜科 Piceoideae トウヒ属 Picea
エゾマツ エゾマツ
Picea jezoensis Yezo Spruce
コロラドトウヒ ‘コスター’ コロラドトウヒ 'コスター'
Picea pungens ‘Koster’ Blue Spruce
ヨーロッパトウヒ ‘ウィルス・ツベルク’ ヨーロッパトウヒ 'ウィルス・ツベルク'
Picea abis ‘Will’s Zwerg’ Dwarf Norway Spruce
ヒメバラモミ ヒメバラモミ
Picea maximowiczii Japanese Bush Spruce
カラマツ亜科 Laricoideae カラマツ属 Larix
カラマツ カラマツ
Larix kaempferi Japanese Larch
モミ亜科 Abietoideae ツガ属 Tsuga
ツガ ツガ
Tsuga sieboldii Southern Japanese Hemlock
コメツガ コメツガ
Tsuga diversifolia Northern Japanese Hemlock
カナダツガ ‘ベネット’ カナダツガ 'ベネット'
Tsuga canadensis ‘Bennett’ Canadian Hemlock
モミ亜科 Abietoideae モミ属 Abies
モミノキ モミノキ
Abies firma Momi Fir
モミ亜科 Abietoideae ヒマラヤスギ属 Cedrus
ヒマラヤスギ ヒマラヤスギ
Cedrus deodara Himalayan Cedar
モミ亜科(Abietoideae) ユサン属 Keteleeria
テッケンユサン テッケンユサン
Keteleeria davidiana David’s Keteleeria

【文献】
Gernandt DS, Magallón S, López GG, Flores OZ, Willyard A and Liston A (2008) Use of Simultaneous Analyses to Guide Fossil‐Based Calibrations of Pinaceae Phylogeny, DOI: 10.1086/590472, Accessed: 2023-11-9.
佐伯浩(1993)この木なんの木, 132p., 海育舎、大津.
高嶋雄三郎 (1975) 松、ものと人間の文化史16、328p、法政大学出版会.
安河内孝(2009)城郭の石垣、コンクリート工学、47、68-69, URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/coj/47/1/47_1_1_68/_pdf, Accessed: 2023-11-9.
野澤紳一郎・藤原寅士良 (2016) 東京駅丸の内駅舎に使用された木杭の耐久性、土木学会論文集C(地圏工学), 72(4), 300-309, DOI: 10.2208/jscejge.72.300, Accessed: 2023-11-9.
Liua J, Zhang S, Nagalingum NS, Yu-Chung Chiang Y-C, Lindstrom AJ and Gong X (2018) Phylogeny of the gymnosperm genus Cycas L. (Cycadaceae) as inferred from plastid and nuclear loci based on a large-scale sampling: Evolutionary relationships and taxonomical implications, Mol Physiol Evol, 127, 87-97, DOI: 10.1016/j.ympev.2018.05.019, Accessed: 2023-11-7.
Christenhusz MJM and Byng JW (2016) The number of known plants species in the world and its annual increase, Phytotaxa. 261(3), 201–217. DOI: 10.11646/phytotaxa.261.3.1, Accessed: 2023-10-05.

イチョウ科の写真整理

 イチョウ科(Gikgoceae)は、現生種としては1属1種で、イチョウ綱イチョウ目に属す単独科でもあり、第四紀前半の最終氷期を生き延びる事が出来なかったグループの唯一の生き残りと言えます。
 ただし、イチョウ綱の姉妹群と考えられているソテツ綱の現生種と同じく、イチョウ(Gikgo biloba)が『生きた化石』と呼ばれるほど古い時代に他の植物から分岐していたかについては疑問が呈されています。Hohmann et al(2018)によれば、絶滅種を含むグループとしてのイチョウ類は、約3億2500万年前(古生代石炭紀)に分岐成立したものの、種としてのイチョウが枝分かれしたのは、僅か39万年前(第四紀更新世チバニアン)のことであると推定されるそうです。更新世と言えば、現生種がほぼ出揃っていた時代であり、既に被子植物が繁栄していましたし、現生人類と比べても同程度の古さと言えます。
 イチョウは、高木街路樹としては近年最もよく利用されており(瀨古,2017)、御神木や名木古木も多数あるので普通種として認識されていますが、日本国内では自生は認められておらず、有史以前に絶滅したと考えられています。現在世界中で植栽されるイチョウの原産地は中国安徽省あたりであると考えられているようですが、人為の加わらない状態での自生は、当該地でも定かではないようです。このため、絶滅危惧種のリストであるレッドリスト(ワシントン条約附属書)への記載はなくなっています(CITE,2023)。
 イチョウ類は、花粉媒介に大切な役割を担っている昆虫類が反映する以前に分化しているため、多くの裸子植物がそうであるように風媒花です。被子植物との大きな違いとして、イチョウは受粉後に精原細胞から精子を形成することが知られており、精子はその後120日かかって卵に到達することが報告されています(Nakao et al.,2001)。
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【イチョウ目(Ginkgoales) イチョウ科(Gikgoceae)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
イチョウ属 Ginkgo
イチョウ イチョウ
Ginkgo biloba Ginkgo

【文献】
Hohmann N, Wolf EM, Rigault P, Zhou W, Kiefer M, Zhao Y, Fu C-X and Koch MA (2018) Ginkgo biloba’s footprint of dynamic Pleistocene history dates back only 390,000 years ago, BMC Genomics, 19:299, 1-16, DOI: 10.1186/s12864-018-4673-2, Accessed: 2023-11-9.
瀨古祥子(2017)街路樹の根上がりに対する課題認識と植栽環境条件に関する研究、京都府立大学大学院博士学位論文、108p., DOI: https://kpu.repo.nii.ac.jp/record/6109/files/2017_G53_Seko.pdf, Accessed: 2023-11-7.
CITES (2023) Appendices I, II and III valid from 21 May 2023, https://cites.org/sites/default/files/eng/app/2023/E-Appendices-2023-05-21.pdf, Accessed: 2023-11-9.
Nakao Y, Kawase K, Shiozaki S, Ogata T and Horiuchi S (2001) The Growth of Pollen and Female Reproductive Organs of Ginkgo between Pollination and Fertilization, J Jap Soc Hort Sci, 70(1), 21-27, DOI: 10.2503/jjshs.70.21, Accessed: 2023-11-9.
Liua J, Zhang S, Nagalingum NS, Yu-Chung Chiang Y-C, Lindstrom AJ and Gong X (2018) Phylogeny of the gymnosperm genus Cycas L. (Cycadaceae) as inferred from plastid and nuclear loci based on a large-scale sampling: Evolutionary relationships and taxonomical implications, Mol Physiol Evol, 127, 87-97, DOI: 10.1016/j.ympev.2018.05.019, Accessed: 2023-11-7.
Christenhusz MJM and Byng JW (2016) The number of known plants species in the world and its annual increase, Phytotaxa. 261(3), 201–217. DOI: 10.11646/phytotaxa.261.3.1, Accessed: 2023-10-05.

ザミア科の写真整理

 ザミア科(Zamiaceae)は、9属約230種からなる科(Christenhusz and Byng,2016)で、姉妹群であるソテツ科(Cycadaceae)と同様に全種がワシントン条約(CITES)付属書Ⅱ以上に記載されている絶滅危惧種です(CITES,2023)。ザミア科の植物は我が国には自生しませんが、植物園等でみかけることができます。科内で最大の属はザミア属(Zamia)で79種が記載されていて、分子時計手法を用いた解析により、科の成立は6千800万年前(白亜紀末期)頃であり、その後第四紀になってからも分岐を続けたと推定されることが示されています(Calonje et al.,2019)。分岐年代からみる限り、ソテツ科とザミア科からなるソテツ目(Cycadales)の種を生きた化石と呼んできたのは間違いだったようです。


【ソテツ目(Cycadales)の系統関係】(Chang et al.,2020)
 ┌ソテツ科──────ソテツ属 Cycas
┌┤Cycadaceae┌────サゴソテツ属 Dioon
│└ザミア科─┤ ┌──カブラソテツ属 Bowenia
┤ Zamiaceae │┌┤ ┌ウロコザミア属 Lepidozamia
│      └┤│┌┴オニソテツ属 Encephartos
│       │└┴─オニザミア属 Macrozamia
│       │ ┌─ツノザミア属 Ceratozamia
│       │┌┴─シダソテツ属 Stangeria
│       └┤┌─ザミア属 Zamia
│        └┴─ミクロキカス属 Microcycas
└外群:イチョウ目 Ginkgoales

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【ソテツ目(Cycadales) ザミア科(Zamiaceae)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
ザミア亜科(Zamioideae) ザミア連(Zamieae) ザミア属 Zamia
ヒロハザミア ヒロハザミア
Zamia furfuracea Cardboard Palm
ウスバザミア ウスバザミア
Zamia fischeri Fischer’s Zamia
ザミア亜科(Zamioideae) オニソテツ連(Encephalarteae) オニソテツ属Encephalartos
フロリダザミア フロリダザミア
Zamia floridana var. purshiana Florida Arrowroot
ヒメオニソテツ ヒメオニソテツ
Encephalartos horridus Eastern Cape Blue Cycad
ザミア亜科(Zamioideae) オニソテツ連(Encephalarteae) マクロザミア属 Macrozamia
マクロザミア・ポーリ-ギリエルミ マクロザミア・ポーリ-ギリエルミ
Macrozamia pauli-guilielmi Pineapple Zamia
ヤブオニザミア ヤブオニザミア
Macrozamia communis Burrawang
ナガバオニザミア ナガバオニザミア
Macrozamia moorei Moore’s Cycad
サゴソテツ亜科 Diooideae サゴソテツ属 Dioon
サゴソテツ サゴソテツ
Dioon edule Chestnut Dioon
メキシコソテツ メキシコソテツ
Dioon spinulosum Giant Dioon

【文献】

Calonje M, Meerow AW, Griffith MP, Salas-Leiva D, Vovides AP, Coiro M and Javier Francisco-Ortega J (2019) A Time-Calibrated Species Tree Phylogeny of the New World Cycad Genus Zamia L. (Zamiaceae, Cycadales), Int J Plant Sci, 180(4), 286–314. DOI: 10.1086/702642, Accessed: 2023-10-17.
CITES (2023) Appendices I, II and III valid from 21 May 2023, https://cites.org/sites/default/files/eng/app/2023/E-Appendices-2023-05-21.pdf, Accessed: 2023-11-9.
Christenhusz MJM and Byng JW (2016) The number of known plants species in the world and its annual increase, Phytotaxa. 261(3), 201–217. DOI: 10.11646/phytotaxa.261.3.1, Accessed: 2023-10-05.
Chang ACG, Lai Q, Chen T, Tu T, Wang Y, Agoo EMG, Duan J, Li N (2020) The complete chloroplast genome of Microcycas calocoma (Miq.) A. DC. (Zamiaceae, Cycadales) and evolution in Cycadales, Peer J, 8:e8305, DOI: 10.7717/peerj.8305, Accessed: 2024-01-03.

ソテツ科の写真整理

 ソテツ科(Cycadaceae)は、1属約107種からなる科(Christenhusz and Byng,2016)で、現生ではザミア科(Zamiaceae)が姉妹群と考えられています。我が国ではソテツ(Cycas revoluta)が庭園木等によく利用されているので身近ではありますが、そのソテツも含めて全種がワシントン条約(CITES)付属書Ⅱ以上として記載されている絶滅危惧種の扱いになっています(CITES,2023)。科内に13のクレードが認められていますが(Liua et al., 2018)、科以下の分類は未だ流動的の様です。
 ソテツ類は、イチョウやシーラカンスと並んで生きた化石だと言われてきたのですが、現生のソテツ属が分岐したのは中新世後期(約1200万年前)と推定されており(Rull,2012)、多くの被子植物に比べて古いとは言い難いことが示されています。
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【ソテツ目(Cycadales) ソテツ科(Cycadaceae)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
ソテツ属 Cycas
ソテツ ソテツ
Cycas revoluta Japanese Sago Palm
ナンヨウソテツ ナンヨウソテツ
Cycas rumphii Queen Sago Palm
タイワンソテツ ナンヨウソテツ
Cycas taiwaniana Guangxi Sago

【文献】
CITES (2023) Appendices I, II and III valid from 21 May 2023, https://cites.org/sites/default/files/eng/app/2023/E-Appendices-2023-05-21.pdf, Accessed: 2023-11-9.
Liua J, Zhang S, Nagalingum NS, Yu-Chung Chiang Y-C, Lindstrom AJ and Gong X (2018) Phylogeny of the gymnosperm genus Cycas L. (Cycadaceae) as inferred from plastid and nuclear loci based on a large-scale sampling: Evolutionary relationships and taxonomical implications, Mol Physiol Evol, 127, 87-97, DOI: 10.1016/j.ympev.2018.05.019, Accessed: 2023-11-7.
Rull V (2012) Cycad diversification and tropical biodiversity, Collectanea Botanica, 31, 103-106, DOI: 10.3989/collectbot.2012.v31.008, Accessed: 2023-11-7.
Christenhusz MJM and Byng JW (2016) The number of known plants species in the world and its annual increase, Phytotaxa. 261(3), 201–217. DOI: 10.11646/phytotaxa.261.3.1, Accessed: 2023-10-05.

裸子植物(Gymnosperm)の分類(目と科)

 裸子植物(Gymnosperm)は、絶滅した種が多く確認されており、20世紀には化石種との比較に基づく分類体系ができていました。Meyen(1984)によれば、3綱17目が識別されています。


 【分子生物学的手法を取り入れた裸子植物の分類】【被子植物】【シダ類】【陸上植物】【真核生物

【形態に基づく裸子植物の分類(Meyen,1984)】
 は化石で知られる絶滅した目です。目としては現生でも、絶滅した科は省略しています。
Division Pinophyta (= Gymnospermae) 裸子植物門
 Class Ginkgoopsida イチョウ綱
  Order 1 Calamopiyales カラモピタル目(†)
  Order 2 Callistophytales カリストフィトン目(†)
  Order 3 Peltaspermales ペルタスペルメール目(†)
  Order 4 Ginkgoales イチョウ目
   Ginkgoceae イチョウ科
  Order 5 Leptostrobales レプトストロブス目(†)
  Order 6 Caytoniales カイトニア目(†)
  Order 7 Arberiales アルベリア目(†)
  Order 8 Pentoxylales ペントキシロン目(†)
  Order 9 Ephedrales マオウ目
   Ephedraceae マオウ科

 Class Cycadopsoda ソテツ綱
  Order 1 Lagenostomales (= Lyginopteridales) (†) リギノプテリス目
  Order 2 Trigonocarpales (= Medullosales) メドゥロサ目(†)
  Order 3 Cycadales ソテツ目
   Cycadaeae ソテツ科
  Order 4 Bennettitales (= Cycadeoideales) ベネチテス目(†)
  Order 5 Gnetales グネツム目
   Gnetaceae グネツム科
  Order 6 Welwitschiales ウェルフィッチア目
   Welwitschiaceae ウェルフィッチア科
 Class Pinopsida (= Cordaitanthales) 球果植物綱
  Order 1 Cordaitanthales コルダイテス目(†)
  Order 2 Pinales マツ目
   Araucariaceae ナンヨウスギ科
   Pinaceae マツ科
   Taxodiaceae スギ科
   Cupressaceae ヒノキ科
   Podocarpaceae マキ科
   Taxaceae イチイ科
   Cephalotaxaceae イヌガヤ科


 【被子植物の目と科】  【化石種を含む裸子植物の目】  【シダ類の目】  【陸上植物

 形態に基づいた上図の後、植物分類に分子生物学的手法が導入され、現世種については下記のように4綱7目12科83属約1000種に再編成されています(Christenhusz and Byng,2016)。グネツム目はグネツム綱としてソテツ綱から独立し、最大のグループである球果類も大きく再編成されています。旧スギ科はヒノキ科に、旧イヌガヤ科はイチイ科に編入されました。
 ※属数と種数は、現世種に対するChristenhusz and Byng(2016)による数です。
 Class Cycadopsoda ソテツ綱
  Cycadales ソテツ目
   Cycadaceae ソテツ科 1属107種 ソテツ
   Zamiaceae ザミア科 9属230種 ヒロハザミア
 Class Ginkgoopsida イチョウ綱
  Ginkgoales イチョウ目
   Ginkgoceae イチョウ科 1属1種 イチョウ
 Class Gnetopsoda グネツム綱
  Gnetales グネツム目
   Welwitsiaceae ウェルフィッチア科 1属1種 ウェルフィッチア科
   Gnetaceae グネツム科 1属43種 グネモンノキ
  Ephedrales マオウ目
   Ephedraceae マオウ科 1属68種 マオウ

 Class Pinopsida マツ綱(球果綱)
  Pinales マツ目
   Pinaceae マツ科 11属228種 アカマツ
  Araucariales ナンヨウスギ目
   Araucariaceae ナンヨウスギ科 3属37種 シマナンヨウスギ
   Podocarpaceae マキ科 19属187種 イヌマキ
  Cuperssales ヒノキ目
   Sciadopityaceae コウヤマキ科 1属1種 コウヤマキ
   Cupressaceae ヒノキ科 29属149種 (旧スギ科を含む) ヒノキ
   Taxaceae イチイ科 6属27種 (旧イヌガヤ科を含む) イチイ


【文献】
Meyen SW (1984) Basic Features of Gymnosperm Systematics and Phylogeny
as Evidenced by the Fossil Record, Bot Rev 50(1), 1-111, URL: https://link.springer.com/article/10.1007/BF02874305, Accessed: 2023-10-14.
Christenhusz MJM and Byng JW (2016) The number of known plants species in the world and its annual increase, Phytotaxa. 261(3), 201–217. DOI: 10.11646/phytotaxa.261.3.1, Accessed: 2023-10-05.
The Angiosperm Phylogeny Group and others (2016) An update of the Angiosperm Phylogeny Group classification for the orders and families of flowering plants: APG IV, Botanical Journal of the Linnean Society, 181(1), 1–20, DOI: 10.1111/boj.12385, Accessed: 2023-07-11.

モクマオウ科の写真整理

 モクマオウ科(Casuarinaceae)は、外見が針葉樹のように見えるため、かつては早い時期に他の被子植物から分岐したと考えられたこともありましたが、遺伝子解析の結果、現在はブナ目に置かれている約4属91種からなるグループです(Christenhusz and Byng, 2016)。モクマオウ属(Casuarina)1属のみに整理する考え方もあったようですが、遺伝子解析の結果は、Allocasuarina, Casuarina, Ceuthostoma, Gymnostomaの4属とすることを支持しているようです(Sogo et al.,2011)。
 モクマオウ科は熱帯を中心に分布するので、我が国での自生はありません。30年以上前の南インドで、恐らく防風林として植栽されたこの科の並木を車窓から見たことがありました。同席だった現地の研究者に『マツの一種でしょうか?』と尋ねたところ、『あれはキャシュライナです。裸子植物ではなく被子植物ですよ。』と笑われたのを思い出しました。
 維管束植物の分類【概要小葉植物と大葉シダ植物裸子植物被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹


【モクマオウ科(Casuarinaceae)】

和名 (Japanese Name) 画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名 (English name)
モクマオウ属 Casuarina
モクマオウ モクマオウ
Casuarina stricta Coast Beefwood
トクサバモクマオウ トクサバモクマオウ
Casuarine equisetifolia Horsetail she-oak

【文献】
Diouf D, Sy M-O, Gherbi H, Bogusz D and Franche C (2008) Casuarinaceae, In Compendium of Transgenic Crop Plants: Transgenic Forest Tree Species, Edt Kole C and Hall TC, 279-291, URL: https://www.researchgate.net/publication/229763733, Accessed: 2023-11-15.
Sogo A, Setoguchi H, Noguchi J, Jaffre T and Tobe H (2001) Molecular Phylogeny of Casuarinaceae Based on rbcL and matK Gene Sequences, J Plant Res, 114, 459-464, URL: https://link.springer.com/content/pdf/10.1007/PL00014011.pdf, Accessed: 2023-11-15.
Christenhusz MJM and Byng JW (2016) The number of known plants species in the world and its annual increase, Phytotaxa. 261(3), 201–217. DOI: 10.11646/phytotaxa.261.3.1, Accessed: 2023-10-05.
The Angiosperm Phylogeny Group and others (2016) An update of the Angiosperm Phylogeny Group classification for the orders and families of flowering plants: APG IV, Botanical Journal of the Linnean Society, 181(1), 1–20, DOI: 10.1111/boj.12385, Accessed: 2023-07-11.

藤沢から大船へ

 今日は藤沢の長久保公園を初めて尋ねました。植栽された樹木の一本一本まで説明版が設けられているなど、手入れが行き届いていて、季節を変えてまた尋ねたい公園でした。帰り道には、ヒマラヤザクラの開花状況を確認するために大船フラワーセンターに立ち寄ったのですが、まだ蕾は固いようで、今年も開花を見逃さないように要注意です。

【長久保公園】
 タイワンモクゲンジ Koelreuteria paniculata
 ハナアナナス Tillandsia lindenii
 ネオレゲリア Neoregelia carolinae f. tricolor
 アグラオネマ Aglaonema commutatum
 ミドリサンゴ Euphorbia tirucalli
 ユッカ・エレファンティペス Yucca elephantipes
 ブラジルマツ Araucaria augstifolia
 マルバチシャノキ Ehretia dicksonii
 モクマオウ Casuarina stricta
 ハエトリグサ Diobea muscipula
 竜神木リュウジンボク Myrtillocactus geometrizans
 紅彩雲閣ベニサイウンカク Euphorbia trogona f rubra
 黄彩玉オウサイギョク Ferocattus schwarzii
 珍宝閣チンポウカク(なるほど柱) Trichocereus bridgesii ‘Monstrosae’
 神仙玉シンセンギョク Ferocattus gracilis
 鬼面角(キメンカク) Cereus hildmannianus
 不死鳥錦(ふしちょうにしき) Kalanchoe daigremontiana f. variegata
 花麒麟(ハナキリン) Euphorbia milii
 サルオガセモドキ Tillandsia usneoides
 サルノシッポ Cleistocactus winteri subsp. colademono Syn. Hildewintera colademononis
 アマゾンリリー Urceolina X grandiflora Syn. Eucharis X grandiflora
 アサバソウ(ピレア) Pilea cadierei


【大船フラワーセンター】
 ヒマラヤザクラ Cerasus cerasoides
 子福桜(こぶくざくら) Cerasus X kobuku-zakura
 白松(ハクショウ) Pinus bungeana
 タイワンツバキ Gordonia axillaris
 ノコンギク Aster microcephalus var. ovatus
 プラタナス Platanus sp.
 ブロンズフェンネル Foeniculm vulgare var. dulce ‘Rubrum’
 ステビア Stevia rebaudiana
 ムラサキバレンギク Echinacea purpurea
 ウォレマイ・パイン Wollemia nobilis
 ケヤキ Zelkova serrata