鎌倉アルプスのシロウリガイ類化石

 先日、鎌倉アルプスのハイキングコースを歩いていてシロウリガイ類の化石見かけたのですが、何故そんなところに産していたか気になりましたので、改めて調べて見ました。
維管束植物の分類【概要小葉植物と大葉シダ植物裸子植物被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹
 軟体動物門 二枚貝類



シロウリガイ類の化石

現生のシロウリガイ

【シロウリガイ類とは】
 シロウリガイ類は、鰓上皮細胞内の硫黄細菌との共生による化学合成を行うことによりエネルギーを得ることができるため、光の届かない深海に生息することが知られています(藤原,2003)。日本近海に現生するシロウリガイ類としては、シロウリガイ(Calyptogena soyoae)の他にナギナタシロウリガイ(Calyptogena phaseoliformi)、ナラクシロウリガイ(Calyptogena fossajaponica)など、水深3,000m以上の深海からも発見されています(Okutani et al.,2009)。従って、シロウリガイ類の化石が多産する地層は堆積当時深海底であったことが伺われます。
 シロウリガイ(Calyptogena soyoae)は、1955年11月に建造後間もない2代目蒼洋丸を用いて実施された航海で、城ヶ島沖の水深750mから採集された標本を用いて、奥谷喬により記載されました(Okutani,1957)。奥谷は、新潟県の中新統上部から鮮新統下部(ほぼ600万年前の地層)で発見(Oinomikado and kanehara,1938)されたCalyptogena nipponicaがシロウリガイに酷似しているとしていますが、C. nipponicaのタイプ標本は失われており、詳しいことは分からなくなっています。シロウリガイ類化石としては、Akebiconcha kawamurai(アケビガイ)、Calyptogena nipponica等として記載された例(蟹江,1990)があるそうですが、軟体部の失われている化石種について遺伝子情報を用いた解析は出来ませんので、現生種との系統関係は必ずしも明らかではありません。


【三浦半島の地層】
 三浦半島は南方のフィリピン海プレートの沈み込みに伴って押し上げられているため、長期的に見れば現在でも隆起が続いており(国土地理院,1971)、南西方向に行くほど古い地層が露出しています。このうちシロウリガイ類化石を他産するのは、三浦半島の中ほどに位置し逗子市を中心に露頭がみられる三浦層群池子層であることが知られていて(松島・平田,1991)、池子層の堆積年代は鮮新世初期、概ね400万年前(鈴木,2010)と推定されています。一方、先日シロウリガイ類化石をみかけたハイキングコースは、池子層より北の上総層群の露頭がみられるエリアなので、気に懸かったのですが、池子層より北に位置する上総層群の浦郷層、野島層でもシロウリガイ類は見つかっていました(宇都宮・真嶋,2012)。さらに、池子層より南に位置する横須賀市池上の葉山層群(約1500万年前)でもシロウリガイ類の化石が発見されていました(菅野・蟹江,1995)。従って、三浦半島のシロウリガイ類化石は池子層のみならず新第三紀層に広く分布していて、鎌倉アルプスでシロウリガイ化石に遭遇することは十分あり得る事を確認できました。シロウリガイ類化石を埋蔵する地層の堆積年代は概ね1500万年~200万年前の範囲と思われますが、今後新たな化石発見があれば、年代範囲も広がるのかも知れません。


【文献】
Oinomikado T and kanehara K (1938) A new species of Calyptogena from the Higashiyama Oil Field, Niigata-Ken, Japan, J Geol Soc Jap, 45(539), 677-678+pl.21, DOI: 10.5575/geosoc.45.677, Accessed: 2025-08-27.
Okutani T (1957) Two new species of bivalves from the deep water in Sagami Bay collected by the R.V. “Soyo-Maru”, Bull Tokai Reg Fisher Res Lab, (17), 27-30+pl1, URL: https://dl.ndl.go.jp/pid/2304791/1/15, Accessed: 2025-08-27.
国土地理院 (1971) 三浦半島の最近の上下変動, 地震予知連絡会会報, 5, URL: https://cais.gsi.go.jp/YOCHIREN/report/kaihou05/03_01.pdf, Accesed: 2025-08-30.
江藤哲人 (1986) 三浦半島葉山層群の層位学的研究, 横浜国立大学理科紀要第二類生物学・地学, (33), 67-105, URL: https://ynu.repo.nii.ac.jp/record/1662/files/116.pdf, Accessed: 2025-08-26.
江藤哲人 (1986) 三浦半島三浦・上総両層群の層位学的研究, 横浜国立大学理科紀要第二類生物学・地学, (33), 107-132, URL: https://ynu.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=1663&file_id=20&file_no=1, Accessed: 2025-08-26.
江藤哲人 (1989) 三浦半島北部池子地域の地質, 横浜国立大学理科紀要第二類生物学・地学, 36, 87-100, URL: https://ynu.repo.nii.ac.jp/record/1683/files/KJ00004479084.pdf, Accessed: 2025-08-30.
蟹江康光 (1990) 南関東の現生シロウリガイ・アケビガイと新第三紀シロウリガイ類の殻形態, Sci Pept Yokosuka City Mus, (38), 19-23, URL: https://www.museum.yokosuka.kanagawa.jp/wp/wp-content/uploads/2020/12/s38-3_Kanie_1990.pdf, Accessed: 2025-08-27.
松島義章・平田大二 (1991) 三浦半島の化石シロウリガイの資料, 神奈川県自然誌資料, (12), 77-84, URL: https://nh.kanagawa-museum.jp/assets/icp/pdf/nhr12_077_084matsushima.pdf, Acessed: 2025-08-28.
菅野三郎・蟹江康光 (1995) 三浦半島の葉山層群産シロウリガイ類, 横須賀市文化財調査報告書第29集, 三浦半島, 葉山層群(1500万年前)の断層破砕帯から発見された化学合成生物群, 51-55.
藤原義弘 (2003) 化学合成共生システムの大深度への適応, J Geogr, 112(2), 302-308, DOI: 10.5026/jgeography.112.2_302, Accessed: 2025-08-27.
Okutani T, Koshi-ishi T, Sato T, Imai T and Kato C (2009), Vesicomyid Fauna in the Chishima (Kurile) Trench: Occurrences of
a New Taxon and Calyptogena extenta, VENUS, 68(1–2), 15–25, DOI: 10.18941/venus.68.1-2_15, Accessed: 2025-08-30.
鈴木進・蟹江康光 (2010) 神奈川県南東部の葉山層群と三浦層群から産出した放散虫化石による生層序年代, 横須賀市博研報(自然), (57), 1-17, URL: https://www.museum.yokosuka.kanagawa.jp/wp/wp-content/uploads/2020/07/s57-1_Suzuki_and_Kanie_2010.pdf, Accessed: 2025-08-30.
宇都宮正志, 間嶋隆一 (2012) 上総層群浦郷層と野島層(三浦半島北部:鮮新~更新統)の新化石産地から産出した貝化石による古水深の再検討, 化石, 91, 5-14, URL: ,a href=”https://www.palaeo-soc-japan.jp/publications/90%20Utsunomiya%20%26%20Majima.pdf”>https://www.palaeo-soc-japan.jp/publications/90%20Utsunomiya%20%26%20Majima.pdf, Acessed: 2025-08-30.
宇都宮正志, 長浜千展, ジェンキンズ ロバート, 野崎 篤, 間嶋隆一 (2014) シロウリガイ類化石を含む貝殻集積砂岩層(下部更新統上総層群野島層),地質学雑誌, 120(7), 221-231, DOI: 10.5575/geosoc.2014.0021, Acessed: 2025-08-29.
柴田健一郎、野崎篤、高橋直樹、笠間友博、西澤文勝、田口公則 (2021) 三浦半島の新第三系と第四系付加体-外縁隆起帯-前弧海盆堆積物、神奈川県調査研究(自然)、(16), 69-106, URL: https://nh.kanagawa-museum.jp/www/contents/1612424247437/simple/chouken16_069_106shibata.pdf, Accessed: 2025-08-27.
野崎 篤・宇都宮正志 (2022) 三浦半島北部の上総層群の地質と冷湧水性化学合成化石群集, 地質学雑誌, 128(1) 313–333, DOI: 10.5575/geosoc.2022.0030, Accessed: 2025-08-27.
日本地質学会 (2024) 地質系統・年代の日本語記述ガイドライン, URL: https://geosociety.jp/name/contents0062.html, Accessed: 2025-08-30.

『青ブタ』コラボ駅名表示

 金沢文庫駅では、現在放映中のアニメ作品『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』とのコラボイベントの一環として、8月25日までの期間限定で駅名表示が一部変更となっています。
維管束植物の分類【概要小葉植物と大葉シダ植物裸子植物被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹
【本日更新】キク科


【参考】

 イベントポスター
 桜島麻衣(CV:瀬戸麻沙美)
 赤城郁実(CV:山根綺)
 広川卯月(CV:雨宮天)
 梓川咲太(CV:石川界人)
 円通寺客殿側より


 アサガオ Ipomoea nil
 ムベ Stauntonia hexaphylla
 ヤブラン Liriope muscari
 アブラゼミ Graptopsaltria nigrofuscata
○タカサブロウ Eclipta prostrata
 ヤブミョウガ Pollia japonica
 コアカソ Boehmeria spicata
 カラムシ Boehmeria nivea
 イノコヅチ Achyranthes bidentata
 ヌスビトハギ Hylodesmum podocarpum subsp. oxyphyllum var japonicum
 カラマツソウ Thalictrum aquilegiifolium
 ムギワラトンボ(雌) Orthetrum albistylum
 金沢自然公園夏山口
 サトクダマキモドキ Holochlora japonica

鎌倉アルプスへ

 今日は、三浦半島北部の山脈『鎌倉アルプス』を東から西へ辿ってみました。当初は北鎌倉経由で大船まで行くつもりでしたが、あまりに暑いのでJR港南台を終点に変更しました。
維管束植物の分類【概要小葉植物と大葉シダ植物裸子植物被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹
【本日更新】イネ目 コショウ目 ヒルガオ科 オモダカ科 イネ科 クワ科 直翅目 鱗翅目

イネ目(Poales)の系統概要

 イネ目(Poales)は2万種以上が記載されて来た大規模なグループで、そのうち1万2000種以上がイネ科の所属となっています(Wu et al.,2022)。イネ目内のカツマタソウ周辺に認められた3科が統合された結果、APG-IV(2016)では14の科に整理されています。
 イネ科(Poaceae)の分類に関しては、Grass Phtlogeny Working Group(2001)の公表からもうすぐ四半世紀となり、科内のふたつの分岐群(PACMAD分岐群、BEP分岐群)、特に後者が単系であることは広く受け入れられていますが、連のレベル以下にはまだ解決すべき分岐が多数残されている様です。
イネ科の写真整理 タケ亜科の写真

維管束植物の分類【概要小葉植物と大葉シダ植物裸子植物被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹


【イネ目(Poales)の系統概要】 Wu et al.(2022)
 APG-IV(2016)では、カツマダソウ科とアナルトリア科はサンアソウ科に統合され、イネ目は14科となっています。

      ┌グラミニド分岐群(Graminids)
      ││ ┌イネ科(Poaceae) ─→ 【イネ科
     ┌┤│┌┴┬ジョインビレア科(Joinvilleaceae)
     ││└┤ └エクデイオコレア科(Ecdeiocoleaceae)
    ┌┤│ └トウツルモドキ科(Flagellariaceae)
    ││└サンアソウ分岐群(Restiids) = 現サンアソウ科
   ┌┤│ │ ┌カツマダソウ(亜)科(Centrolepidaceae)
   │││ └┬┴サンアソウ科(Restionaceae)
  ┌┤││  └アナルトリア(亜)科(Anarthriaceae)
  │││└トウエンソウ科(Xyridaceae) ┐
 ┌┤│└ホシクサ科(Eriocaulaceae)   ├トウエンソウ段階群
 ││└マヤカ科(Mayacaceae)      ┘(Xyrids)
 │└カヤツリグサ分岐群(Cyprids)
┌┤ │ ┌カヤツリグサ科(Cyperaceae)
││ │┌┴イグサ科(Juncaceae)
┤│ └┴トゥルニア科(Thurniaceae)
│└基部イネ目(Basal Poales)
│ │ ┌ラパテア科(Rapateaceae)
│ │┌┴パイナップル科(Bromeliaceae)
│ └┴ガマ科(Typhaceae)
外群(Outgroup)
 └┬ツユクサ目(Commelinales)
  └ショウガ目(Zingiberales)

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【イネ科(Poaceae)の系統概要】Huang et al.(2022)
 イネ科は、約11000種から構成される被子植物として最大の科です。高温、乾燥、低二酸化炭素濃度でも生育することができるC4光合成に適応した種が含まれていて、イネ(C3)、コムギ(C3)、トウモロコシ(C4)など重要穀物も多数含まれています。光合成タイプにおけるC3/C4の別は、GPWG-II(2012)武田ら(1985), 吉村(2015)等を参考にして示しています。

    ┌PACMAD分岐群(PACMAD Clade)
    ││   ┌ヒゲシバ亜科(Chloridoideae)> ─→ 【ヒゲシバ亜科
    ││   ││ ┌オヒゲシバ連(Cynodonteae) C4
    ││  ┌┤│┌┼シバ連(Zoysieae) C3
    ││  ││└┤├スズメガヤ連(Eragrostideae) C4
    ││ ┌┤│ │└トリラフィス連(Triraphideae)
    ││ │││ └セントロポディア連(Centropodieae) C3/C4
    ││ ││└ダンソニア亜科(Danthonioideae)
    ││┌┤└ダンチク亜科(Arundinoideae) C3
    ││││┌キビ亜科(Panicoideae) ─→ 【キビ亜科
    ││││││      ┌ウシクサ連(Andropogoneae) C4
    │││└┤│    ┌┬┴トダシバ連(Arundinelleae) C4
    │││ ││   ┌┤└スズメノヒエ連(Paspaleae) C4
    │└┤ ││  ┌┤└キビ連(Paniceae) C3/C4
    │ │ ││ ┌┤└トリスタキア連(Tristachyideae) C4
    │ │ ││┌┤└ギネリウム連(Gynerieae)
   ┌┤ │ │└┤└┬チサノレナ連(Thysanoiaeneae)
   ││ │ │ │ └セントテカ連(Centotheceae) C3
   ││ │ │ └┬ゼギテス連(Zuegiteae)
  ┌┤│ │ │  └チャスマンティウム連(Chasmanthieae)
  │││ │ └ミクライラ亜科(Micrairoideae)
 ┌┤││ │  └┬イサクネ連(Isachneae) C3
 ││││ │   └エリアクネ連(Eriachneae) C4
 ││││ └アリスティダ亜科(Aristidoideae)
┌┤│││   └アリスティダ連(Aristideae) C4
││││└BEP分岐群(BEP Clade) C3
││││ │┌┬イチゴツナギ亜科(Pooideae) C3
┤│││ └┤└タケ亜科(Bambusoideae) C3 ─→ 【タケ亜科
││││  └イネ亜科(Orizoideae)=エールハルタ亜科(Ehrhartoideae) C3
│││└プエリア連(Atractocarpeae)───┬プエリア亜科
││└グアデュエラ連(Guaduelleae) ───┘(Puelioideae)
│└ファルス亜科(Pharoideae)
アノモクロア亜科(Anomochlooideae)

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【イネ科(Poaceae)の系統概要】GPWG-II(2012)
 光合成タイプにおけるC3/C4の別は、GPWG-II(2012)武田ら(1985), 吉村(2015)等を参考にして示しています。

     ┌キビ亜科(Panicoideae):250属32366種 C3/C4 ─→ 【キビ亜科
    ┌┤ ┌ミクライラ亜科(Micrairoideae):12属188種 C3/C4
    ││┌┴ダンチク亜科(Arundinoideae):9属45種 C3
    │└┤┌ダンソニア亜科(Danthonioideae):26属281種
   ┌┤ └┴┬セントロポディア分岐群(Centropodie clade):3属6種 C3/C4
  ┌┤│   └ヒゲシバ亜科(Chloridoideae):125属1601種 C3/C4 ─→ 【ヒゲシバ亜科
  ││└アリスティダ亜科(Aristidoideae):27属349種 C4
 ┌┤└┬エールハルタ亜科(Ehrhartoideae):11属111種 = イネ亜科(Orizoideae) C3 ─→ 【イネ亜科
┌┤│ └┬タケ亜科(Bambusoideae):16属1462種 C3─→ 【タケ亜科
┤││  └イチゴツナギ亜科(Pooideae):48属3850種 C3
││└プエリア亜科(Puelioideae):1属11種
│└ファルス亜科(Pharoideae):1属13種
└アノモクロア亜科(Anomochlooideae):2属4種

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【ヒゲシバ亜科(Chloridoideae)周辺の系統概要】Wang et al.(2022)

 ヒゲシバ亜科は140属1400種以上で構成され(Wang et al..2022)、そのうち約半数の種がオヒゲシバ連の所属です。C4光合成に対応した種が多く含まれていることから、近未来の食糧餌料としても期待されています。光合成タイプにおけるC3/C4の別は、GPWG-II(2012)武田ら(1985), 吉村(2015)等を参考にして示しています。

ヒゲシバ亜科(Chloridoideae)
││   ┌オヒゲシバ連(Cynodonteae) C4
┤│   ││     ┌トリオディア亜連(Triodiinae)
││   ││   ┌┬┴オリナス属(Orinus)
││   ││  ┌┤└クレイストジェナス属(Cleistogenes)
││   ││ ┌┤└┬ボウテロウア上亜連(supersubtribe Gouiniodinae)
││   ││ ││ └タツノツメガヤ亜連(Dactylocteniinae)
││   ││┌┤└┬エレウシン亜連(Eleusininae)
││   │└┤│ └アエルロプス亜連(Aeluropodinae)
││  ┌┤ │└トリポゴン亜連(tripogoninae)
││ ┌┤│ └ボウテロウア上亜連(supersubtribe Boutelouodinae)
││┌┤│└シバ連(Zoysieae) C3
│└┤│└スズメガヤ連(Eragrostideae) C4
│ │└トリラフィス連(Triraphideae)
│ └セントロポディア連(Centropodieae) C3/C4
└外群(outgroup):ダンソニア亜科
 │ ┌カリフォルニアオートグラス Danthonia callifornica
 └┬┴シロガネヨシCortaderia selloana
  └キオノクロア・マクラChionochloa macra

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【キビ亜科(Panicoideae)周辺の系統概要】Burke et al.(2016)

 トウモロコシ、稗、粟など重要な穀物が多数含まれているキビ亜科では、212属3316種が記載されているとされ、亜科内には少なくとも10の連が識別されている様です。光合成タイプにおけるC3/C4の別は、GPWG-II(2012)武田ら(1985), 吉村(2015)等を参考にして示しています。

    ┌キビ亜科(Panicoides)
    ││    ┌ウシクサ連(Andropogoneae) C4
    ││  ┌┬┴トダシバ連(Arundinelleae) C4
    ││ ┌┤└スズメノヒエ連(Paspaleae) C4
    ││┌┤└キビ連(Paniceae) C3/C4
    │└┤└スズメノヒエ連(Paspaleae) C4
   ┌┤ │ ┌┬セントテカ連(Centotheceae) C3
   ││ │┌┤└チサノレナ連(Thysanoiaeneae)
   ││ └┤└トリスタキア連(Tristachyideae) C4
   ││  └┬チャスマンティウム連(Chasmanthieae)
  ┌┤│   └ゼギテス連(Zuegiteae)
  │││  ┌ヒゲシバ亜科(Chloridoideae)
  │││┌┬┴ダントニア亜科(Danthonoideae)
 ┌┤│└┤└ミクライラ科(Micrairoideae) C3/C4
 │││ └アリスティダ亜科(Aristidoideae)
┌┤││ ┌イチゴツナギ亜科(Pooideae) C3
│││└┬┴タケ亜科(Bambusoideae) C3
┤││ └イネ亜科(Orizoideae) C3
││└プエリア亜科(Puelioideae)
│└ファルス亜科(Pharoideae)
└アノモクロア亜科(Anomochlooideae)

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【タケ亜科(Bambusoideae)の系統概要】Wysocki et al.(2015)
 タケ亜科は、115属1450種が記載されていて、少なくとも3つの連に相当するクレード(分岐群)が識別できるようです。、

 ┌タケ亜科(Bambusoideae)
 ││ ┌タケ連(Bambiseae) ─→ 【タケ連
┌┤│┌┤└┬旧熱帯区のタケ連(Paleotropical)
││└┤│ └新熱帯区のタケ連(Neotropical)
┤│ │└黍竺(しょじく)連(Olyreae)
││ └メダケ連(Arundinarieae) ─→ 【メダケ連
│└ホソムギ Lolium perenne:イチゴツナギ亜科(Pooideae)
└アメリカマコモ Zizania aquatica:エールハルタ亜科(Ehrhartoideae)
                  =イネ亜科(Orizoideae)

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【タケ連(Bambuseae)周辺の系統概要】Triplett et al.(2010)

 ストレプトジーナ連は、タケ亜科との関係が指摘されたこともありましたが(飯岡,1958)、現在ではイネ亜科内の4つ目の連とされています(Saarela et al.,2018)

┌ファルス亜科(Pharoideae)
┤┌┬エールハルタ亜科(イネ亜科)(Ehrhartoideae)
││└ストレプトジーナ連(Streptogyneae)
└┤┌イチゴツナギ亜科(Pooideae)
 └┴タケ亜科(Bambusoideae)
   │ ┌(熱帯木性バンブー:Tropical Woody Bamboos)
   │┌┴(草性バンブー:Herbaceous Bamboos)
   └┴(温帯木性バンブー:Temperate Woody Bamboos)
     │┌タムノカラムス類(I. Bergbamboes)
     └┤┌アフリカ高山性バンブー(II. African apline bamboos)
      └┼香竹分岐群(III. Chimonocalamus)
       ├オカメザサ分岐群(IV. Shibataeae clade)
       ├マダケ分岐群(V. Phyllostachys clade)
       └アズマザサ分岐群(VI. Arundinaria clade)
        └┬(Sasa-Arundinaria sensu Stricto subclade)
         └┬(Sinicae subclade)
          └(Medake subclade)

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【メダケ連(Arundinarieae)周辺の系統概要】Attigala et al.(2016)
メダケ連内に12のクレードが識別されています。

┌イチゴツナギ亜科(Pooideae)                       ┐
┤└┬ホソムギ Lolium perenne                      │
│ └四条オオムギ Hordeum vulgare Subsp. vulgare            │
│┌タケ連(Bambuseae)                          │
│││  ┌┬インドトゲタケ Bambusa bambos               ├外群
└┤│ ┌┤└メロカンナ・バクシフェラ Melocanna baccifera        │(Outgroups)
 ││┌┤└オルメカ・リフレクサ Olmeca reflexa             │
 │└┤└チュスケア・スペクタビリス Chusquea spectabilis        │
 │ └┬オオバチヂミザサ Olyra latifolia                │
 │  └クリプトクロア・ストリクティフォリア Cryptochloa strictifolia ┘
 └メダケ連(Arundinarieae)
  │    ┌アシドササ・プルプレア Acidosasa purpurea          ┐
  │   ┌┴カンザンチク Pleioblastus hindsii              │
  │  ┌┤ ┌┬アルンディナリア・アバラチアナ Arundinaria appalachiana ├VI
  │  ││┌┤└アルンディナリア・テクタ Arundinaria tecta       │
  │ ┌┤└┤└アルンディナリア・ギガンテア Arundinaria gigentea     │
  │ ││ └オオササ Sasa veitchii                   ┘
  │┌┤│┌イントカラムス・ウィルソニ Indocalamus wilsonii        ─VIII
  │││└┤┌フェロカラムス・ Ferrocalamus rimosivaginus         ┬IV
  │││ └┴オカメザサ Shibataea kumsaca                ┘
  └┤│  ┌ファーゲシア・ニチダ Fargesia nitida            ┬V
   ││ ┌┴ホテイチク Phyllostachys aurea                ┘
   ││ ├水银竹 Indocalamus sinicus                  ─X
   ││┌┤ ┌香竹属の一種 Chimonocalamus sp.             ─III
   ││││┌┴┬クルナ・デンシフォリア Kuruna densifolia         ┬XII
   │└┤└┤ └クルナ・デビリス Kuruna debilis             ┘
   │ │ ├オルデアニア・アルピナ Oldeania alpina           ─II
   │ │ └高黎贡山竹(がおりごんちく) Gaoligongshania megalothyrsa   ─IX
   │ └┬玉山箭竹(ぎょくざんせんちく) Bergbambos tessellata      ─I
   │  └タムノカラムス・スパティフロルス Tamnocalamus sapthiflorus  ─VII
   └アツバチク Ampelocalamus calcareus                 ─XI

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【文献】
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Wu H, Yang J-B, Liu J-X, Li D-Z and Peng-Fei Ma (2022), Organelle Phylogenomics and Extensive Conflicting Phylogenetic Signals in the Monocot Order Poales, Front Plant Sci, 12, DOI: 10.3389/fpls.2021.824672, Accessed: 2025-08-11.
Kellogg EA (2009) The Evolutionary History of Ehrhartoideae, Oryzeae, and Oryza, Rice, 2, 1–14, DOI 10.1007/s12284-009-9022-2, 2025-08-11.
Huang W, Zhang L, Columbus JT, Hu Y, Zhao Y, Tang L, Guo Z, Chen W, McKain M, Bartlett M, Huang C-H, Li D-Z, Ge S and Ma H (2022) A well-supported nuclear phylogeny of Poaceae and implications for the evolution of C4 photosynthesis, Molecular Plant, 15, 755–777, DOI: 10.1016/j.molp.2022.01.015, Accessed: 2025-07-27.
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武田友四郎・谷川孝弘・県和一・箱山晋 (1985) イネ科C3, C4植物の生態と地理的分布に関する研究, 日作紀, 54(1), 54-64, DOI: 10.1626/jcs.54.54, Accessed: 2025-08-03.
吉村泰幸 (2015) 国内に分布するC4植物のフロラの再検討, 日作紀, 84(4). 386-407, DOI: 10.1626/jcs.84.386, Accessed: 2025-08-04.

コショウ目(Piperales)の系統概要

 コショウ目はカネラ目を姉妹群としてモクレン目群内に置かれている比較的早い時期に他の被子植物から分岐したと考えているグループで、分岐年代は前期白亜紀の中葉(1億3000万年前頃)であったと推定されています(Naumann et al.,2013)


 維管束植物の分類【概要小葉植物と大葉シダ植物裸子植物被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹
 コショウ科 ドクダミ科 ウマノスズクサ科


【コショウ目(Piperales)周辺の系統概要】Cai et al.(2006)
 コショウ目は、単子葉類より古い時代に他の被子植物から分岐したモクレン目群に位置付けられてきました。

   ┌真正双子葉類(Eudidots)
   ││ ┌キク上群(Asterids)
  ┌┤└┬┴バラ上群(Rosids))
 ┌┤│ └キンポウゲ目(Ranunculales)
 ││└単子葉類(Monocots)
 │└モクレン目群(Magnolids)
┌┤ │ ┌クスノキ目(Laureales)
││ │┌┤└クロバナロウバイ属(Calyanthus
┤│ ││└モクレン目(Magnoliales)
││ └┤ └ユリノキ属 Liriodendron
││  │┌カネラ目(Canellales)
││  └┤└ドリミス属 Drimys
││   └コショウ目(Piperales) → 【コショウ目
││    └コショウ属 Piper
│└基部被子植物(Basal Angiosperms)
└裸子植物上綱(Gymnosperms)

【コショウ目(Piperales)の系統概要】 Jost et al.(2021)
 ウマノスズクサ科は、4亜科に整理されていますが、この論文ではその4亜科を科として扱っています。

     ┌コショウ目(Piperales)
     ││ ┌コショウ科(Piperaceae)
     ││ ││ ┌┬コショウ属 Piper
     ││┌┤│┌┤└サダソウ属 Peperomia
     ││││└┤└┬ジッペリア・ベゴニィフォーリア Zippelia begoniifolia
     ││││ │ └マネキア属 Manekia
     │└┤│ └ベルエリア属 Verhuellia
     │ │└ドクダミ科(Saururaceae)
     │ │ │┌┬アネモプシア・カリフォルニカ Anemopsia californica
     │ │ └┤└ドクダミ Houttuynia cordata
    ┌┤ │  └┬ハンゲショウ属 Suarurus
    ││ │   └ギムノテカ・キネンシス Gymnotheca chinensis
    ││ └現ウマノスズクサ科
   ┌┤│  │  ┌ウマノスズクサ科(Aristolochiaceae)
   │││  │ ┌┤└┬アリストロキア・フィンブリアタ Aristolochia fimbriata
  ┌┤││  │┌┤│ └トッティア属 Thottea
  ││││  │││└ラクトリス科(Lactoridaceae)
  ││││  └┤│ └ラクトリス属 Lactoris
 ┌┤│││   │└ヒドノラ科(Hydnoraceae)
 │││││   │ └┬プロソパンケ・アメリカーナ Prosopanche americana
 │││││   │  └ヒドノラ・ビッセリ Hydnora visseri
┌┤││││   └カンアオイ科(Asaraceae)
││││││    └┬カンアオイ属 Asarum
││││││     └サルマ属 Saruma
┤││││└カネラ目(Canellales)
││││└┬クスノキ目(Laurales)
││││ └モクレン目(Magnoliales)
│││└センリョウ目(Chloranthales)
││└アウストロバイレヤ目(Austrobaileyales)
│└スイレン目(Nymphales)
アンボレラ目(Amborellales)


【文献】
Naumann J, Salomo K, Der JP, Wafula EK, Bolin JF, Maass E, Frenzke L, Samain M-S, Neinhuis C, dePamphilis CW, Wanke S (2013) Single-Copy Nuclear Genes Place Haustorial Hydnoraceae within Piperales and Reveal a Cretaceous Origin of Multiple Parasitic Angiosperm Lineages, PLoS ONE, 8(11):e79204, DOI: 10.1371/journal.pone.0079204, Accessed: 2025-08-16.
Jost M, Samain M-S, Marques I, Graham SW and Wanke S (2021) Discordant Phylogenomic Placement of Hydnoraceae and Lactoridaceae Within Piperales Using Data From All Three Genomes, Front Plant Sci, 12:642598, DOI: 10.3389/fpls.2021.642598, Accessed: 2025-08-12.
The Angiosperm Phylogeny Group and others (2016) An update of the Angiosperm Phylogeny Group classification for the orders and families of flowering plants: APG IV, Botanical Journal of the Linnean Society, 181(1), 1–20, DOI: 10.1111/boj.12385, Accessed: 2023-07-09.
Cai Z, Penaflor C, Kuehl JV, Leebens-Mack J, Carlson JC, dePamphilis CW, Boore JL and Jansen RK (2006) Complete plastid genome sequences of Drimys, Liriodendron, and Piper: implications for the phylogenetic relationships of magnoliids, BMC Evol Biol, 6:77, DOI: 10.1186/1471-2148-6-77, Accessed: 2025-08-15.

朝比奈から逗子へ

 久し振りに尋ねた朝比奈切通でしたが、今日は熊野神社で、運よく日の当たっているナガバハエドクソウの花を見つけることができました。ここのところの猛暑のせいで勘違いしたのか、もうツクツクボウシが鳴き出していました。

維管束植物の分類【概要小葉植物と大葉シダ植物裸子植物被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹
【本日更新】ハエドクソウ科 セリ科 イネ科 鱗翅目 魚類


【参考】
 ニイニイゼミ Platypleura kaempferi
○コスズメ Theretra japonica Japanese Hawkmoth
 ケイワタバコ Conandron ramondioides var. pilosus
 ミツデウラボシ Selliguea hastatus var. longisquamata
 シンテッポウユリ Lilium x formolongi
 キバナイペ Handroanthus chrysotrichus
 トウガラシ ‘鷹の爪’ Capsicum annuum
 カヤ Torreya nucifera 横浜市指定名木古木 No.49290:朝比奈町21
 石塔群(朝比奈切通入口)
 ヒダリマキマイマイ Euhadra quaesita
 スギ Cryptomeria japonica
 ヤブミョウガ Pollia japonica
 ナガバハエドクソウ Phyryma leptostachya f. oblongifolia
 イチョウ Ginkgo biloba 横浜市指定名木古木 No.50032:朝比奈熊野神社
 朝比奈熊野神社本殿
 スダジイ Castanopsis sieboldii> 横浜市指定名木古木 No.50036:朝比奈熊野神社
 ミズヒキ Persicaria filiformis
 フウトウカズラ Piper kadsura
 モンキアゲハ Papilio helenus
 (葉脈が黄化した)ヒヨドリバナ Eupatorium makinoi 葉脈の黄化
 ジャコウアゲハ(♂) Byasa alcinous
 コヤブタバコ Carpesium cernuum
 ヒメジャノメ Mycalesis gotama
○ツボクサ Gentella asiatica Indian Pennywort
 ダイコンソウ Geum japonicum
 アキアカネ Sympetrum frequens
 ハキダメギク Galinsoga quadriradiata
 ヒメジョオン Erigeron annuus
 アブラゼミ Graptopsaltria nigrofuscata
 アオドウガネ Anomala albopilosa
 ノブドウ Ampelopsis glandulosa var. heterophylla
○ササクサ Lophatherum gracile Common Lophatherum Herb
 アオモンイトトンボ(♂) Ischnura senegalensis
 キンバエ Lucilia caesar
 チヂミザサ Oplismenus undulatifolius
 ウチワタケ Microporus affinis
 ムラサキニガナ Paraprenanthes sororia
 ブルー・ファン・フラワー Scaevola aemula Fairy Fan-flower
 ムクゲ Hibiscus syriacus
 カナリーヤシ(フェニックス) Phoenix canariensis
 ラセイタソウ Boehmeria biloba
 ディエテス・ビコロル Dietes bicolor African Iris
 ギョリュウバイ Leptospermum scoparium
○カンパチ(ショッコ) Seriola dumerili Greater amberjack

ハエドクソウを探して

 花の写真がなかったので、花期が終盤のナガバハエドクソウを探して、鷹取山を訪れました。基本的に薄暗い場所に生えているので、今回もあまり写りが良いとは言えません。
維管束植物の分類【概要小葉植物と大葉シダ植物裸子植物被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹
【本日更新】ハエドクソウ科 鞘翅目 鱗翅目


【参考】○は本日初撮影種
 ジャコウアゲハ(♀) Byasa alcinous
 ノハカタカラクサ(斑入) Tradescantia flumiensis
 カナブン Pseudotorynorhina japonica/ノコギリクワガタ(♂) Prosopocoilus inclinatus
 カブトムシ(♀) Trypoxylus dichotomus/ノコギリクワガタ(♀) Prosopocoilus inclinatus
○サトキマダラヒカゲ Neope goschkevitschii
○ヨツボシオオキスイ Helota gemmata
 アキノタムラソウ Salvia japonica
 カンアオイ属の一種 Asarum sp.
 マメヅタ Lemmaphyllum microphyllum
 ヒヨドリバナ Eupatorium makinoi
 ナガバハエドクソウ Phyryma leptostachya f. oblongifolia

児童遊園地のハーブ園など

 梅雨が明けて夏休みとなり、児童遊園地内の環境活動支援センターでは今日から『カマキリ・ナナフシ展』が始まっています
維管束植物の分類【概要小葉植物と大葉シダ植物裸子植物被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹
【本日更新】サボテン科 シソ科 クマツヅラ科 ミカン科 鱗翅目


【参考】○は本日、初撮影種
 エリカ・クリスマスパレード Erica x hiemalis cv. ‘Chrismas Parade’
 モミジアオイ Hibiscus coccineus
 ムクゲ Hibiscus syriacus
 キョウチクトウ Nerium oleander
 コヒルガオ Calystegia hederacea
 クズクビボソハムシ Lema diversipes
 ハブランサス・アンダーソニー Habranthus andersonii syn. Habranthus tubispathus
 カラマツ Larix kaempferi
 クリ Castanea crenata
 ブラジルヤシ Butia capiatata
 アオノリュウゼツラン Agave americana
 ソテツ Cycas revoluta
 カナリーヤシ Phoenix canariensis
 マオラン(ニューサイラン) Phormium tenax
 セイヨウニンジンボク Vitex Agnus-castus
 (帯化)ヤマユリ (Fasciation) Lilium auratum
 環境活動支援センター
 アサザ Nymphoides peltata
金松玉きんしょうぎょく Mammillaria prolifera Little Candles
 カノコユリ Lilium speciosum
○マウンテンミント Pycnanthemum muticum Mountain Mint
 タチジャコウソウ Thymus vulgaris
 モナルダ(ベルガモット) Monarda didyma
 アオメアブ Ommatius chinensis
○レモンバーベナ Aloysia citrodora Lemon Verbena
 マジョラム Origanum majorana
 ウイキョウ(フェネル) Foeniculum vulgare
○キアゲハ Papilio machaon
 スイバ(赤筋ソレル) ‘ブラッディドッグ’ Rumex acetosa ‘Blody Dog’ Garden Sorrel
 ウツボグサ(セルフヒール) Prunella vulgaris
 セイヨウノコギリソウ Achillea millefolium
 サボンソウ(ソープワート) Saponaria officinalis
 ワイルドストロベリー Fragaria vesca
 シルバータイム Thymus X citriodorus cv. Argenteus
 カレープラント Helichrysum italicum
 ゲンノショウコ Geranium thunbergii
 イヌハッカ(キャットミント) Nepeta cataria
○ヘンルーダ Ruta graveolens Common Rue 【大和本草における柑橘類
 シソ ‘赤紫蘇’ Perilla frutescens var. crispa f. purpurea
 クロタネソウ Nigella damascena
 イタリアンパセリ Petroselinum neapolitanum
 トウガラシ Capsicum annuum
 メボウキ(スイートバジル) Ocimum basilicum
 オランダワレモコウ(サラダバーネット) Sanguisorba minor


 (ビュイレバロニ―の)ボダイジュ Tilia miqueliana
 フランス革命200周年(1989年)のシンボル樹に選ばれたボダイジュ、その花はフランスの代表的なハーブティーになります。1988年7月、ボダイジュの主産地、南フランス・ビュイレバロニーで毎年恒例のボダイジュの市が開かれ、ハーブについて特に貢献のあった人に贈られるシュバリエ(騎士)の称号が、横浜市在住の研究家・広田靚子せいこ氏に日本人として初めて授与されました。同氏がこのとき送った桜の苗木の返礼として1989年3月にビュイレバロニーから送られてきた20本の苗木の1本がこの木です。


 ナガバミズアオイ Pontederia cardata
 ダイコンソウ Geum japonicum
 ヤマユリ Lilium auratum
 フシグロセンノウ Lychnis miqueliana Syn. Silene miqueliana
 ハマボウ Hibiscus hamabo
 ハマゴウ Vitex rotundifolia
 キキョウ Platycodon grandiflorus
 エノキ Celtis sinensis
 ヒオウギ Iris domestica
 ミンミンゼミ Hyalessa maculaticollis
 セイヨウナシ ‘パッセ・クラサン’ Pyrus communis var. Sativa ‘Passe-Crassane’
 ブルーベリー(南部ハイブッシュ系) ‘ジョージアジェム’ Vaccinium darrowii ‘Georgiagem’
 ブルーベリー(ラビットアイ系) ‘ティフブルー’ Vaccinium virgatum ‘Tifblue’
○ヒロヘリアオイラガ Parasa lepida Blue-striped Nettle Grub
 ウンシュウミカン ‘興津早生’ Citrus unshiu ‘Okitsu Wase’
 老爺柿(ロウヤガキ) Diospyros rhombifolia
 常盤柿トキワガキ Diospyros morrisiana トレニア Torenia fournieri
 イヌビワ Ficus erecta
 ハチク Phyllostachys nigra var. henonis
 ウンモンチク Phyllostachys nigra var. henonis f. boryana
 モウソウチク Phyllostachys heterocycla Syn. P. edulis
 マダケ Phyllostachys bambusoides
 サフランモドキ Zephyranthes carinata
 キバナコスモス Cosmos sulphureus
 ノウゼンカズラ ‛マダムガレン’Campsis × tagliabuana ‘Madame Galen’
 ウメノキゴケ属の一種 Parmelia sp.

三渓園のハスなど

 三渓園でも観蓮のための早朝開園を始めたとのことで、家内と二人で訪ねてみました。
【三渓園】2021-11-21 2020-11-23 2017-11-05 2016-12-04
維管束植物の分類【
概要小葉植物と大葉シダ植物裸子植物被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹
【本日更新のページ】節足動物門


【参考】
 ハス ‘原始蓮’ Nelumbo nucifera
 スイレン Nymphaea sp.
 ヒイロタケ Pycnoporus coccineus
 臨春閣
 モウソウチク Phyllostachys heterocycla Syn. P. edulis
 ツボゴケの一種 Plagiomnium sp.
 ゴマダラチョウ Hestina persimilis japonica
 三渓園で収穫した梅シロップかき氷
 旧燈明寺三重塔
 ハシブトガラス Corvus macrorhynchos
 ニシキゴイ Cyprinus carpio
 旧矢箆原やのはら家住宅
 ハンゲショウ Saururus chinensis
 カワウ Phalacrocorax carbo
 ノダフジ Wistaris floribunda
 かながわの景勝50選
 鶏と野菜の黒酢あん
 イセエビ Panulirus japonicus
 シュロ Trachycarpus fortunei

ハエドクソウ科の写真整理

 ハエドクソウ科(Phrymaceae)は、ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)クマツヅラ科(Verbenaceae)に置かれたこともありましたが、現在では独立した科としてシソ目(Lamiales)に置かれている比較的コンパクトなグループです(APG-IV,2016)。APG-III(2009)では、サギゴケ科(Mazaceae)がこの科から分離されて、現在では14属150種で構成される(Kim et al.,2025)と整理されています。神奈川県植物誌(2018)によれば、県内に2属3種が分布していますが、そのうちナガバハエドクソウは、小泉(1929)によりハエドクソウの亜種から種に格上げされ、これが受け入れられています。
 ハエドクソウの根の抽出物には殺虫力のあることが知られていたため蝿毒草ハエドクソウと名付けられ、かつてはハエトリ紙などに利用されていたそうです。ハエドクソウの有毒成分のなかで昆虫に対する毒性の主要成分がハエドクサン類であることが分かっていて(Kim et al.,2019)、合成法も確立している(谷口ら,1988)のですが、製造コストが見合わないという理由で商業的には販売されていないようです。
ハエドクサン類の構造
 ハエドクサン類の構造
維管束植物の分類【概要小葉植物と大葉シダ植物裸子植物被子植物(APG-IV体系)】【生物系統樹


【シソ目(Lamiales) ハエドクソウ科(Phrymaceae)】

和名
(Japanese Name)
画像 (Image) 学名 (Latin name) 英語名
(English name)
ハエドクソウ属 Phyryma
ナガバハエドクソウ ナガバハエドクソウ ナガバハエドクソウ Phyryma leptostachya f. oblongifolia
Syn. Mercurialis leiocarpa
Lopseed

【ハエドクソウ科(Phrymaceae)周辺の系統概要】Kim et al.(2025)

 ┌ハエドクソウ科(Phrymaceae)
 ││ ┌ハエドクソウ属 Phryma
┌┤│┌┴┬ディプラクス属 Diplacus
││└┤ └エリスランテ属 Erythranthe
┤│ └ミゾホウズキ属 Mimulus
│└キリ科(Paulowniaceae)
サギゴケ科(Mazaceae)

 ハエドクソウを江戸時代の文献に探しますと、貝原(1708)に見える蝿取ハイトリ草が相当すると思われます。ただし、この記載の中で関連を言及している本草綱目(1596)所収の『曲節草』がヤマアイであるとすれば、同種の毒に成り得る性分は昆虫毒ではないサポニンだけの様ですので、貝原も『或曰』つまり他人の説として引用したのではないかと推測されます。中国では、ハエドクソウを『透骨草』と表記することがあるようですが、漢方での透骨草は、ホウセンカ Impatiens balsamina、ソラマメ属 Vicia spp.を初めてとして、様々な植物を含む名称の様です。


大和本草 巻之九 草之五 雑草類百三十七種
蝿取ハイトリ
葉ハ似薄荷微長シ葉莖柔葉ヲ飯ニヲシマセテ蝿ニ飼ヘハ死ス毒草ナルヘシ或曰是本草ノ隰草上所載曲節草ナルヘシ
注:曲節草:本草綱目隰草上所収の『曲節草』は、ヤマアイ Mercurialis leiocarpaだと考えられています。


曲節草きょくせつそう やまあゐ メリクリウス和蘭『本草圖譜巻之十一 曲節草
勢州及諸國山中尓あり宿根より生ず円茎対生し葉ハ蓼藍尓似て深緑色光澤あり四時凋マす夏秋の間小碎白花を生じ後小毬実を結ぶ青緑色根上の茎必ず曲り生ず此物諸草より青緑色なるゆゑやまあゐといふ漢土尓て蛇藍と云又根上の節曲るを以て曲節草と名つく


曲節草 一名六月冷 三才圖繪
和産詳ナラズ俗ニしてゴシツト呼モノ此ニ近シ其草ハ樹下陰地ニ生ズ莖ハ細クして方ナリ葉ハ節ニ對して生ズ形チキツ子ノマゴきつねのまごノ葉ニ似テ長ク深緑色ニして光アリ髙サ六七寸或ハ一尺許夏ノ末枝梢ゴトニ淡紅花ヲ開ク長サ四五寸本ハ筒ニして末ハ五ニ分ル大抵益母草ノ如シ花後小莢ヲ結フ長サ三四分花實皆兩小よ葉アリテ之ヲ挟ム根ハ冬枯レズ
 ゴシツ:牛膝はヒナタノイノコズチの漢方名。


曲节草
图经曲节草生均州味甘平无毒治发背疮消痈肿拔毒四月生苗茎方色青有节七月八月著花似薄荷结子无用叶似刘寄奴而青软一名蛇蓝一名绿豆青一名六月凌五月六月采茎叶阴干与甘草作末米汁调服李时珍以为六月霜不知何草按鬼箭羽湖南呼为六月冷亦结青实或恐一物原图不晰存以备考
 『六月冷』というのは、5-6月の頃に茎葉を甘草と併せてすりつぶして米汁にして食すという風習があったための名称で、『六月凌』『六月霜』とも呼ばれるとのことです。


【文献】
Kim Y, Jeong S, Park I and Moon H-K (2025) Revisiting Phryma leptostachya L.: phylogenetic relationships and biogeographical patterns from complete plastome, BMC Plant Biology, 25:278, DOI: 10.1186/s12870-025-06272-9″, Acessed: 2025-07-16.
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The Angiosperm Phylogeny Group and others (2016) An update of the Angiosperm Phylogeny Group classification for the orders and families of flowering plants: APG IV, Botanical Journal of the Linnean Society, 181(1), 1–20, DOI: 10.1111/boj.12385, Accessed: 2023-07-11.
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